靴を落としたらシンデレラになれるらしい

犬野きらり

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47ベラの物語

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家につけば、いつも通りガシガシと掃除をした。
なんて言えばいいかわからないほどあの方、サクラさんが嫌いだと思う。

「なんでか負けたと感じるのはどうしてかしら!!」
あの言い方ないわよね、シッシッって仮にもクラスメイトなんですけどね。なんていうか私の事は一切眼中にありません的な態度に言葉、ミンネに対しての話し方と違いすぎるでしょう。

不・愉・快

力を込めて床や扉を拭く。
ゴシゴシ窓を拭き、椅子を拭き、机を拭いていく。


そして夜になり、今日借りた本を読む、
ピンクローズの模様が入った物語。こちらシリーズ物なのか同じマークが入っている本を4冊借りた。番号は書いてない、別物語らしい。

作者は、ベラ

流れ星が沢山落ちた夜に落ちてきた女の子達。
その内一人は、赤い髪のとても物知りな女の子で、その知識と好奇心を成長させ、また別の一人は、オレンジの髪の太陽のような明るさと適応力を成長させ、二人は違う国の貴族の養女になる。ある学園で二人は出会う。一人は実は天使の子で、名はセレナ、オレンジの髪。一人は悪魔の子供で名はカミューラ、赤い髪。悪魔の子はその学園を支配した。権力、財力、知識で周りを従えさせた。セレナはカミューラに改心を願い出ても聞き入れてもらえず、何度も挑み、仲間を得て、天使の子は、悪魔の子を退治する。最後その天使の子を真ん中に脇を固める貴族達。楽しい仲間に囲まれて、王国を導きハッピーエンド。

「これは何?セレナさんとカミューラ様のノーマン王立学園の話?誰かが校内で起きた事を書いたのかしら?これがトリウミ王国で楽しまれているお話なの…」

名前だけ見れば、実名だけど、家名が違うし、発行は二年前、丁度カミューラ様達が入学した頃だった。
想像上の偶々の名前の一致?
もちろん私は、カミューラ様が養女かなんて知らない。

「それにしても…なんだか話の執着点も違うしのに最後の絵、真ん中にピンクのスカーフ、両脇に赤、青のネクタイ、その横に緑、黄色、黒って、あの日見た並びと重なる」

バタンと勢いよく閉じた。
天使の子が勝つという話だけど、同じ名前のカミューラ様には確かに面白くない話のはずだわ。

フゥーー
思い返す。
私が、噂で聞くカミューラ様はとても怖い人。
令嬢界のトップ、取り仕切る長みたいなイメージだったけど、図書室であったカミューラ様は、確かに威圧も迫力もあったけど、話を作ったり噂を流したりするような感じではなかったような気がする。
怖いというより何かに我慢している人みたいだった。
セレナさんは、覚えてないけど可愛いらしい感じの方だった。
そして黒魔術で生徒会メンバーを操ったと言われている悪女。

今の学園の評判では、二人とも悪女?

気をつけた方がいいと言われる人だけど、そんな感じには見えなかった。私が今まで読んでいた本がほぼカミューラ様の寄贈の本だったっていう感謝が入っているのかもしれないけど。

私も人を見る目がないから、余計な事は言わないようにしようと心に誓った。




朝、教室に入れば、一斉にこちらを見る女生徒達。隣のクラスの子達までいる。
「おはよう、ございます」
と言えば、
小さな声で
「「おはよう」」
と返ってきた。

これは、落とし靴の姫君に決まった時ぶりのあの居心地の悪さ。ミンネも私の所には来てはくれない。
…何かあったんだろう、私の悪口だろうけど、一体何?朝の連絡事項が終わると、
「ティアラさん、職員室に来てくれるかしら?」
と担任のキアヌス先生から言われついていけば、
「ティアラさん、留学生のサクラさんに意地悪をしたのかしら?」
と聞かれた。

「まさか、私は何もしてません」
と言えば、
「昨日ね、サクラさんが泣きながら私を訪ねてきて、ティアラさんが、シルベルト様とイリーネ様と仲良く話していたので、紹介してもらおうと話しかけたら邪険にされたというのだけど。
…この国ではそういった身分で話していい相手ダメな相手がいるのかと聞かれたんだけど…担任としてみんな仲良くして欲しいわ。レイヤード公爵家と婚約関係になったとも彼女が言っていたけど」

あぁ~最悪。また頓珍漢な解釈されている。
以前も生徒会に入るとか何とか。
勘弁してほしい。
今度は婚約者…
それでクラスメイトも他クラスの女生徒もあんな態度だったってことか。またイベントの姫に選ばれてが、ぶり返しの話題になっているのかもしれない。
間違いなくあの子、
サクラ・セノーが中心となって言っているのね。
あの子何したいのよ。私の事手で追い払っておいて。

「キアヌス先生、私はサクラさんの言っていることがわかりません。生徒会のシルベルト様もイリーネ様も個人でのお付き合いもありませんし、ただイリーネ様にサクラさんが『ゲェー、イリーネだ』と言われたので、トリウミ王国では敬称なしの関係性で皆さんとお過ごしですか?と質問しました。もしよろしければ、イリーネ様にも伺ってください。ご機嫌を悪くしておりましたので、サクラさんには学園にいる者として、いえ、クラスメイトとして注意したのを恨まれてしまったようですね。そして確かにシルベルト様を紹介して欲しいと言われましたが、知り合いではないので紹介出来ませんと言いました。勘違いされているようで非常に残念ですし不愉快です」
と口調がキツくなってしまった。

「そう、なのね。わかったわ、注意をいじめられたと認識されたのかもしれないわね。文化の違いもあるかもしれないけど、私も今後注意深く見てみます」
と言って離れようとすると、コソッと先生から、
「ティアラさん、サクラさんは本当に学園長の推薦、もしかすると親類なのかもしれないわ。公にはしていないけどね。この話は私で終わるけど、学園長までいくと…どういう風に言葉尻を取られるかわからないから気を付けなさい」

えぇーー
権力という圧力ですか。ノーマンの名を持つ学園長と親類…サクラさんって王族?
もう、なんて面倒な人がクラスメイト…

教室に入っても誰も声はかけてくれない。
みんなあの子の話すことを信じているのかしら?

そのまま授業を受けた。
誰とも話さないというのは、中々辛いものがある。

「ミンネ、早く見にいこうよ、生徒会メンバー、お昼になると生徒会室に行くんでしょう。連れて行ってよ!見に行こう」
と声がはしゃいでいる。

「無理よ、普通の女生徒が生徒会なんて訪ねられるわけないわ」
ミンネが答えると、その輪の外側にいた子達が、

「誰かさん以外ね」
と答えた。
「えぇー誰かさんって誰?」

相変わらずだわ。降って湧いたような私を敵対するグループ。
カミューラ様に言われた、『ご愁傷様』が地味に効いてきた。
「なんかイベントで選ばれてから調子にのっているのよね~なんかこの間とかイリーネ様怖いとか言っちゃってたくせに仲良くなっているなんて、自己保全は完璧なのかしら?シルベルト様と仲良くして、何が副賞は靴だけよね。自分だけ生徒会メンバーに入り込んでいるってことよね。最低~」

あの選ばれた日から何人かに相当この件根に持たれているのは、わかっていたけど、まだ遺恨が残っているのね。

そんなに選ばれたかったらシリル様のいう通り生徒会に文句を言えばいいのに。

「でもどっかから覗けるとかないの~?全員揃った所見てみたい!挨拶してもいいじゃないの?この学園の生徒よ、私」
えっへん、と胸を張る姿を見せて教室から出て行く。

「あ、私も見たいかも。廊下で待ち伏せしちゃう、フフフ」
とクラスメイトが連れ立って消えた。

ポンツンと一人残された。

ハァーーーー

溜息を吐く。

「深い溜息だね~」

「ミンネ…」

「流石ビルド家、運が悪いね~」
と出て行ったと思っていたミンネが前に立っていた。


「フフフ、本当に、昨日彼女と帰りに出会ってしまってね。イリーネ様を敬称なしで『ゲェー、イリーネ」って言ったからトリウミでは敬称なしで話すのかって質問と注意したら根に持たれたみたい。カミューラ様のグループ認定もらったわ。ミンネも気を付けてね。後シルベルト様の紹介も頼まれて断ったのも決め手かな」
と言うと、肩を窄めて
「もちろん、彼女の狙いは初めから生徒会メンバーだもの、わかっているわ。春休みに会っているのよ。どんな子かぐらいわかっているわよ。ただやたらと私の周りにいるのよ、その理由が聞いてもわからないの、あとブランカ先輩の近くに行っても追い払われているから余計ね」

「あぁ初めて会った時から言っていたわブランカって」

「私に漏らした言葉でブランカは協力者になるはずなのにって。その意味わかる?」

「全くよ、キアヌス先生からは、サクラさんは学園長の推薦で留学しているそう、親類かもって。そこまで話がいったら庇えない的なことを言われたわ」

「まさかの権力圧!!お昼食べようティア、さっさと逃げようよ」
「えぇ、ミンネ。ありがとう色々」

「安心して庇ってないから!あの子の話を云々と聞いて流しているけど、でも何か、惹きつけられるっていうのかな、私の目や耳が話を聞きたがるのよ。不思議な感覚、何か始まるってね」
とケラケラ笑う。

でもあの子がいる時に私の所にミンネが来ないのは、遠ざけてくれているからなんだろうなと思った。
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