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鼻歌でも歌い出しそうなぐらい機嫌が良さげなシリル殿下。
私にはそれ自体怖いだけですが…
「どちらに向かっているのですか?私、今の衣装、普段着ですが…いえ一番良い衣装は制服かもしれませんね…制服に着替えてきます」
よく見ると、シリル殿下と同じ空間にいてはいけない、とても酷い装いのように感じた。私は、慌ててシリル殿下に申し出た。
「あぁ大丈夫、すぐ着替えるからね。今日は、ティアラ嬢には私がこれから行くトリウミ王国の王女へのお土産を選んでもらいたくてさ!ここに資料あるから」
…
これは絶対にお土産を買うまで帰らないパターンだ…
海に囲まれたトリウミ王国
王女ルーベラ様は9歳…
とても可愛らしい絵姿。髪の色はオレンジに眼の色は青。お人形みたい。フリルが沢山ついたドレスがとてもお似合いだった。
「大変可愛い王女様ですね」
というと、
「確かにね。可愛いね~。9歳も離れていると話題も難しいと思っていたけど、喜んでもらえそうな話もあるし、贈り物も沢山あげようと思ってね。会話を広げられればいいな」
「それは良いですね」
王族の結婚は大変だとは思うけど、そういうのは、一緒に行く側近とかが用意するのではないのかなと思って、見上げるとシリル殿下はずっと笑っていた。
「ん?あぁ、今回は遊学という名の断れないお見合いで最低人数しか連れて行けない。この遊学中にトリウミ王国で自分で信頼できる人間を見つけることが目的で自分の足下も固められたら上出来」
と言われた。
それは知り合い作りから始めて、婿に行くってことかしら?
「さぁ、着いたよ。まずはティアラ嬢の服を買おう…
朝早くによろしくね、店員さん。ご令嬢一人可愛いく仕上げてくださいなっと」
と言われてポイっとお店に入れられ、店員3名に脱がされ、着せられ、脱がされ、着せられ…
そして、服が決まれば、新たな店員さんがゾロゾロと出てきて、髪の毛、お化粧、爪まで同時進行で進んでいく。
黙ったままでいた。機敏に動く店員さんに声をかけれる感じではなかった。危機迫るものがあり、固まってしまった。
「仕上がりました。シリル殿下…ふぅ~やりましたよ、フフフ」
と店員の一人が言えば、
「うん、素敵だね、ティアラ嬢!これは磨けば光る原石か…シルは本当に運だけは良いなぁ」
なにやらブツブツと言い始めたシリル殿下の言葉は最後まで聞こえなかった。鏡を見て驚いてしまって。
「これは本当に私ですか?誰か貼り付けていますか?」
「何を言われているんですか…」
店員も呆れていた。
「さぁ、行こう。ティアラ嬢。次はルーベラ王女の買い物だ」
「え、でもお会計を」
「大丈夫に決まっているでしょう。私は王弟だよ。ここでお金なんて出さないよ。後ほど会計が王宮に届く」
どういうシステム…
そういえば靴屋も金額の数字を見ていないし、この店でも数字を見ていない。
今着ている服は上物だと誰でもわかる動きやすいワンピース。レースが少ないので大人っぽいデザイン。髪の毛を留めているリボンも髪留めもピカピカしている。艶もない髪の毛は、香油を染み込ませた後に丁寧に編み込まれ、広がってしまう髪の毛が綺麗に隠されている。睫毛もクルリンとなって肌は化粧を施され、少しあるそばかすも隠してくれる。鼻筋も通り頬の血色もいい、唇は赤くプルンとしている…これは一体誰?
と聞かれても答えられないぐらい別人が歩いている。
何度見ても私じゃない令嬢がそこにいる。
「美しいティアラ嬢、エスコートさせてください。まずはお菓子だよね」
と言いながらシリル殿下は、片手を差し出された。緊張を薙ぎ払うように、最初に入った店は、可愛いお菓子の店だった。
グルグル巻きのキャンディーや胡桃がたっぷり入ったクッキー、金の包み紙のチョコレートなど目に付くものを付き人に渡していた。
私は本型になっているお菓子を見ていた。
「どうしたの?」
「こちら数字を捲るとお菓子が出てくるそうですよ。面白くありませんか?」
と言えば、
「確かに面白いね。それも買う!」
と渡していた。
「次は可愛い飾り物がいいね」
とまた私よりもシリル殿下が先導してどんどん買い物を足していく。
「私、必要かしら?」
フフッととても楽しそうに、あれこれ手に取っては付き人に渡していく。
そういえば、シリル殿下はクリスマスパーティーの時何色だったかしら。
次は宝石店。
私には、縁のない店だったが、意外に可愛いデザインも販売している事を知れた。
髪留めの可愛い黄色の花が3つついている物を見ていれば、
「あぁ、私の好きな色だ、これも贈ろう」
シリル殿下は黄色が好きらしい。
雑貨店に行けば、私が見ていたのは木で作られた操り人形。
「気になるの、それ?」
と聞かれ、頷く。
「海で囲まれた王国はきっと海の生物がモデルのものが多いかもしれないですし、ぬいぐるみも沢山持っているかも、真珠もそうかも。全く別な物が喜ばれるかもしれませんよ。例えばこの操り人形で会話したり、腹話術の人形とか」
「そんなの気味悪がられるだろう?」
「そうですか?ワクワクしません?9歳の女の子ですよ。披露したり、一緒に何かするとか、話のきっかけになれば楽しいかなって」
「確かにね、演劇を練習するようなものか、ではこの王子と姫の操り人形にしようっと」
そして可愛いリボンや香油、流行りの石鹸やクリーム、化粧品やお茶に本まで、目につく物をどんどん買っていく。
「凄い…」
「ああ、買いに来れるのは今日しか無いからね、後悔しないためさ」
お昼ご飯を食べる頃には馬車に荷物が入りきらないと、どこからか馬車が増えていた。
「はあ~楽しいね、カフェで休憩しよう。屋台も食べ納めだ。いっぱい食べなきゃ!」
私は注文なんてしないまま、目の前に次から次へと食べ物が増えていく。
周りの人の目が驚きと興味津々ですよ。
「いくらなんでも買いすぎですよ、シリル殿下!」
「そうか…欲張ってしまったな。最後かもと思うとね」
今日初めて笑顔が崩れた。
結局、色んなものをお腹いっぱい食べるなんて贅沢だなと感動していれば、
ドカ、バタンと騒がしい音がして、護衛の方が構え、シリル殿下は、王子様の登場だと言う。
クラード殿下?
「シリル様~、ティアラ嬢~」
と聞き慣れた声がする。
最近すっかりお馴染みになりつつある顔と目が合う。
「シリル様、と誰?」
…「「え?」」
時が止まるってこの事。
「シル~、信じられないよ、何だいそれ!それが第一声なわけ~ごめんね、ティアラ嬢、シルベルトが失礼な男で」
とシリル殿下は呆れ、私は無表情になった。
何かを察知したらしいが
「あっ。ティアラ嬢、随分と、えっ、と、お美しくて、見違えるほどで」
言葉を出す程、酷い。
見違えるほどって、最低ね。
でもまぁ、私も自分で驚くほどですから。
「シル、君は口を開くな」
と怒っているシリル殿下を見ながら、
「いいえ。実は私も鏡を見て私に誰かが貼り付いていますと言ったぐらいです。別人ですよね。シリル殿下のお知り合いの店員方達は、凄い技術をお持ちです」
と言うと、
フゥーと息を吐いた後に
「君もたいがいだよ、怒ればいいのに。受け身ばかりとって流されないようにね。まぁそこをついて君を誘った私が言える話ではないけど」
あたふたと身振りでシルベルト様は、説明し始めた。
「私は、警備隊の隊舎に行く時間で、ビルド侯爵家に迎えに行ったら、街に出たと聞いて、慌てて来て…あまりにも美しくて驚いて」
「もうそんな時間なんだね。いつまでもティアラ嬢とデートしていたかったけど、お迎えが来てしまったね。今日はありがとうティアラ嬢」
「いえこちらこそ、馬車にこの洋服も御礼は言いたりないぐらいです。ありがとうございました」
「あぁ、ルーベラ王女に持って行く品から溢れた物は、ティアラ嬢申し訳ないけど処分してくれるかな?使用してくれたら嬉しいけど、破棄しても良いよ。もう私には、仲が良い女性はいないからね。悪いけど最後の片付けはよろしくね」
「そんな、処分なんて!あんなに沢山買われて」
「よろしくね」
と最後もう一度言われて、笑って手を振られた。
残ったのは、シルベルト様と私、シルベルト様の従者だけ。
嵐のように来て去っていたった。
そして静かになった。
私にはそれ自体怖いだけですが…
「どちらに向かっているのですか?私、今の衣装、普段着ですが…いえ一番良い衣装は制服かもしれませんね…制服に着替えてきます」
よく見ると、シリル殿下と同じ空間にいてはいけない、とても酷い装いのように感じた。私は、慌ててシリル殿下に申し出た。
「あぁ大丈夫、すぐ着替えるからね。今日は、ティアラ嬢には私がこれから行くトリウミ王国の王女へのお土産を選んでもらいたくてさ!ここに資料あるから」
…
これは絶対にお土産を買うまで帰らないパターンだ…
海に囲まれたトリウミ王国
王女ルーベラ様は9歳…
とても可愛らしい絵姿。髪の色はオレンジに眼の色は青。お人形みたい。フリルが沢山ついたドレスがとてもお似合いだった。
「大変可愛い王女様ですね」
というと、
「確かにね。可愛いね~。9歳も離れていると話題も難しいと思っていたけど、喜んでもらえそうな話もあるし、贈り物も沢山あげようと思ってね。会話を広げられればいいな」
「それは良いですね」
王族の結婚は大変だとは思うけど、そういうのは、一緒に行く側近とかが用意するのではないのかなと思って、見上げるとシリル殿下はずっと笑っていた。
「ん?あぁ、今回は遊学という名の断れないお見合いで最低人数しか連れて行けない。この遊学中にトリウミ王国で自分で信頼できる人間を見つけることが目的で自分の足下も固められたら上出来」
と言われた。
それは知り合い作りから始めて、婿に行くってことかしら?
「さぁ、着いたよ。まずはティアラ嬢の服を買おう…
朝早くによろしくね、店員さん。ご令嬢一人可愛いく仕上げてくださいなっと」
と言われてポイっとお店に入れられ、店員3名に脱がされ、着せられ、脱がされ、着せられ…
そして、服が決まれば、新たな店員さんがゾロゾロと出てきて、髪の毛、お化粧、爪まで同時進行で進んでいく。
黙ったままでいた。機敏に動く店員さんに声をかけれる感じではなかった。危機迫るものがあり、固まってしまった。
「仕上がりました。シリル殿下…ふぅ~やりましたよ、フフフ」
と店員の一人が言えば、
「うん、素敵だね、ティアラ嬢!これは磨けば光る原石か…シルは本当に運だけは良いなぁ」
なにやらブツブツと言い始めたシリル殿下の言葉は最後まで聞こえなかった。鏡を見て驚いてしまって。
「これは本当に私ですか?誰か貼り付けていますか?」
「何を言われているんですか…」
店員も呆れていた。
「さぁ、行こう。ティアラ嬢。次はルーベラ王女の買い物だ」
「え、でもお会計を」
「大丈夫に決まっているでしょう。私は王弟だよ。ここでお金なんて出さないよ。後ほど会計が王宮に届く」
どういうシステム…
そういえば靴屋も金額の数字を見ていないし、この店でも数字を見ていない。
今着ている服は上物だと誰でもわかる動きやすいワンピース。レースが少ないので大人っぽいデザイン。髪の毛を留めているリボンも髪留めもピカピカしている。艶もない髪の毛は、香油を染み込ませた後に丁寧に編み込まれ、広がってしまう髪の毛が綺麗に隠されている。睫毛もクルリンとなって肌は化粧を施され、少しあるそばかすも隠してくれる。鼻筋も通り頬の血色もいい、唇は赤くプルンとしている…これは一体誰?
と聞かれても答えられないぐらい別人が歩いている。
何度見ても私じゃない令嬢がそこにいる。
「美しいティアラ嬢、エスコートさせてください。まずはお菓子だよね」
と言いながらシリル殿下は、片手を差し出された。緊張を薙ぎ払うように、最初に入った店は、可愛いお菓子の店だった。
グルグル巻きのキャンディーや胡桃がたっぷり入ったクッキー、金の包み紙のチョコレートなど目に付くものを付き人に渡していた。
私は本型になっているお菓子を見ていた。
「どうしたの?」
「こちら数字を捲るとお菓子が出てくるそうですよ。面白くありませんか?」
と言えば、
「確かに面白いね。それも買う!」
と渡していた。
「次は可愛い飾り物がいいね」
とまた私よりもシリル殿下が先導してどんどん買い物を足していく。
「私、必要かしら?」
フフッととても楽しそうに、あれこれ手に取っては付き人に渡していく。
そういえば、シリル殿下はクリスマスパーティーの時何色だったかしら。
次は宝石店。
私には、縁のない店だったが、意外に可愛いデザインも販売している事を知れた。
髪留めの可愛い黄色の花が3つついている物を見ていれば、
「あぁ、私の好きな色だ、これも贈ろう」
シリル殿下は黄色が好きらしい。
雑貨店に行けば、私が見ていたのは木で作られた操り人形。
「気になるの、それ?」
と聞かれ、頷く。
「海で囲まれた王国はきっと海の生物がモデルのものが多いかもしれないですし、ぬいぐるみも沢山持っているかも、真珠もそうかも。全く別な物が喜ばれるかもしれませんよ。例えばこの操り人形で会話したり、腹話術の人形とか」
「そんなの気味悪がられるだろう?」
「そうですか?ワクワクしません?9歳の女の子ですよ。披露したり、一緒に何かするとか、話のきっかけになれば楽しいかなって」
「確かにね、演劇を練習するようなものか、ではこの王子と姫の操り人形にしようっと」
そして可愛いリボンや香油、流行りの石鹸やクリーム、化粧品やお茶に本まで、目につく物をどんどん買っていく。
「凄い…」
「ああ、買いに来れるのは今日しか無いからね、後悔しないためさ」
お昼ご飯を食べる頃には馬車に荷物が入りきらないと、どこからか馬車が増えていた。
「はあ~楽しいね、カフェで休憩しよう。屋台も食べ納めだ。いっぱい食べなきゃ!」
私は注文なんてしないまま、目の前に次から次へと食べ物が増えていく。
周りの人の目が驚きと興味津々ですよ。
「いくらなんでも買いすぎですよ、シリル殿下!」
「そうか…欲張ってしまったな。最後かもと思うとね」
今日初めて笑顔が崩れた。
結局、色んなものをお腹いっぱい食べるなんて贅沢だなと感動していれば、
ドカ、バタンと騒がしい音がして、護衛の方が構え、シリル殿下は、王子様の登場だと言う。
クラード殿下?
「シリル様~、ティアラ嬢~」
と聞き慣れた声がする。
最近すっかりお馴染みになりつつある顔と目が合う。
「シリル様、と誰?」
…「「え?」」
時が止まるってこの事。
「シル~、信じられないよ、何だいそれ!それが第一声なわけ~ごめんね、ティアラ嬢、シルベルトが失礼な男で」
とシリル殿下は呆れ、私は無表情になった。
何かを察知したらしいが
「あっ。ティアラ嬢、随分と、えっ、と、お美しくて、見違えるほどで」
言葉を出す程、酷い。
見違えるほどって、最低ね。
でもまぁ、私も自分で驚くほどですから。
「シル、君は口を開くな」
と怒っているシリル殿下を見ながら、
「いいえ。実は私も鏡を見て私に誰かが貼り付いていますと言ったぐらいです。別人ですよね。シリル殿下のお知り合いの店員方達は、凄い技術をお持ちです」
と言うと、
フゥーと息を吐いた後に
「君もたいがいだよ、怒ればいいのに。受け身ばかりとって流されないようにね。まぁそこをついて君を誘った私が言える話ではないけど」
あたふたと身振りでシルベルト様は、説明し始めた。
「私は、警備隊の隊舎に行く時間で、ビルド侯爵家に迎えに行ったら、街に出たと聞いて、慌てて来て…あまりにも美しくて驚いて」
「もうそんな時間なんだね。いつまでもティアラ嬢とデートしていたかったけど、お迎えが来てしまったね。今日はありがとうティアラ嬢」
「いえこちらこそ、馬車にこの洋服も御礼は言いたりないぐらいです。ありがとうございました」
「あぁ、ルーベラ王女に持って行く品から溢れた物は、ティアラ嬢申し訳ないけど処分してくれるかな?使用してくれたら嬉しいけど、破棄しても良いよ。もう私には、仲が良い女性はいないからね。悪いけど最後の片付けはよろしくね」
「そんな、処分なんて!あんなに沢山買われて」
「よろしくね」
と最後もう一度言われて、笑って手を振られた。
残ったのは、シルベルト様と私、シルベルト様の従者だけ。
嵐のように来て去っていたった。
そして静かになった。
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