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17解放
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怖い顔をした鬼…いえ女生徒、そんな顔、生徒会メンバーに見せれないでしょう?と言ってやりたい所をグッと堪えた。無駄に争いたくないというのと恨まれたくない、これが大きい。
「サマリア様、いかがなさいましたの?」
と言えば、
「あなたのせいで…酷いわよ、ティアラ様。何よ、あれじゃ私がアシストしたみたいじゃないの!初めから狙って、私を誘導していたの?それにわざと身分の低い私に様とかつけて、あざといのよ!!それに目立ちたくなさそうにして、私は控えめで謙虚ですっていうの演出して…初めて会った時から鼻につく感じあったのよ」
と言われた。
とんだ言いがかりですよ。本当に随分な言われよう…
「まさか、そのようなことはないです。あざといと言われるなら、さん付けにします。イベントの内容は、私だって何も知らなかったわけですし、今残っていたのも、決してパートナーを決めるためではなくて、副賞の事で話し合っていただけです」
と言えば、
「副賞って何になったのかしら?」
まぁ彼女の知りたいことはそこだろな。
「それは、白のハイヒールです。ログワット様の紹介してくださる靴屋さんに決めました。その話し合いでしたのよ」
と私の言っている言葉に少しだけ納得したような形になってくれた。
やはり過分は人に恨まれるものだと実感した。
「まぁそうよね、靴のイベントだから御礼とは靴ってことなのね。わかったわ、パーティーのパートナーや婚約者候補ではないのね!ログワット様のご紹介の靴屋ね、ふ~ん羨ましいわ」
再びの確認。
本当にそこが重要なんですね。
「はい、そのような話は、一切なかったですわ。私、早く戻らなきゃ行けませんのでこれで失礼致しますわ」
と言って足早に廊下を歩く。早く教室に戻って帰ろう。
逆に選ばれて恨まれたり、喧嘩腰の方を相手にするなんて、いい迷惑だと思う。
「本当に最悪…」
「何が最悪なんですか?」
声の先を見れば、警備員の服。茶色の髪、前髪が長いですよ。
「警備員さん!教室の見回りですか?」
少し声が弾んだのは…理由は言えない。
「はい、教室内に忘れ物などあれば預かったり、放課後ですのでたまにですが、喧嘩や不純異性交遊などがありますので注意したりしているんですよ」
「不純、異性交遊、ですか…」
ドキドキしてしまった。
「ハッハハハ、お年頃ですからね、一日一回は注意しますよ」
と何でもないように言う。
流石に大人だ。
「それよりも何が最悪なんですか?また靴でも落としましたか?」
「あっ」
そうか警備員さんには片方だけしか靴を持っていない所を見られていたんだ…
「いえ、私のあの日の靴の行方がわかったんです。生徒会メンバーが、弁償してくれることになったのですが、やはり皆様は女生徒から人気がありますから僻まれてしまいそうで…」
と言えば、
「確かに、王太子殿下に王弟殿下、公爵令息などご令嬢の憧れの的ですね。大変ですね、お嬢さんも」
と緩やかに優しい口調で言ってくれる。
フゥ、落ちつくわ。
図々しいけどこの機会にお茶会に誘ってしまおうか?
名前も紹介し合っていない仲だけど。
勝手に私はクランさんだって知ってはいるけど、うーん、はしたないかな。
「お嬢さん、また難しい顔していますよ。眉間に…跡がついてしまいますよ」
と言ってくれる。
皺なんて令嬢に言わない所が優しいし、紳士だわ~。
と、ひとしきり感激したあと、やっぱり、警備員さんの優しさに甘えてみようと勇気を出してみた。
「警備員さん、無茶なお願い聞いてもらっていいですか?」
と言うと、
「無茶なお願いですか…」
少し考えた後、
「続きを話してみてください」
と言われた。
「私、縁あって、二年生と三年生の先輩方と知り合いになりまして、三年生の先輩がご卒業する前にお茶会を開く事になりまして、その…年上の殿方も交えて…先輩が今後夜会などに出席される際に経験をしてみたいとの事で…
もしよろしければ出席していただけませんか?」
…
勇気を出して言ってみた。
…
やっぱり図々しいな。
…
少しの間も痛い、心臓部に沈黙が刺さる。
「突然のお願いに驚きましたよね、本当に申し訳ございません。忘れてください」
「わかりました。いいですよ。私はクランと申します」
とにこやかに言ってくれた。
えっ、いいの…
「私は、ティアラ・ビルドと申します」
と気が抜けた声になってしまった。
本当にいいの…
クランさんは、まだ教室内の見回りがあるそうなので、一応、今月末の予定である事、決まり次第すぐに連絡すると言って別れた。
ボォーッとしてしまう。
まさか本当に了承の返事がもらえるなんて夢のようで、一つの使命が達成されたかのような…先程の生徒会室からの解放といい、このミッションからの解放が心を楽にしてくれた。
「本当にありがとうございます、警備員さん!いえ、クランさん!」
*
生徒会室
(シルベルトside)
「シル、見事彼女だったね~」
とシリル殿下がからかってくる。
「まぁ、視界がぼやけていましたが、顔を突き合わして、僅かながら会話もしましたからね。フフフ」
分別理由が、足であることは言わない…
「勘が当たったということか。しかしシリル様、あの『知らない』を正解と言うのは、強引すぎたのではないですか?確かにアンケートであの靴が偽物であるに、本物を片方持っている令嬢が反応するだろうことは予想通りでしたけど」
とログワットが言えば、クラード様も、
「段々と女生徒達の一部があらぬ方向に落とし靴の姫を称号としてとらえ始めていたから仕方ないな。私達はやり方を間違えた…ここで区切りをつけなければ、争いが続いていただろう」
と言った。
シリル様は、
「シルベルトは、残念だったんじゃないの?ドレス一式にアクセサリーや靴ってパートナーになりたかったんじゃないの?」
これは明らかに揶揄いだ。
「そんなんじゃありません。あくまで御礼としてです。正気に戻れなかったら、今もセレナと…」
と言えば、またみんな思い出してしまったようだ。
「すまない」
と言えば、
「でもさ、靴のサイズがわかればサプライズがあっても良いよね。あの子は命…貞操の恩人だったわけじゃない、それぞれ感謝を込めようよ。助けてくれたことにね」
とシリル様が笑った。
流石恋多き男は、イロの付け方もお洒落だと感心する。
確かにサプライズか…
そういうの女性は好きだとセレナが言っていた。
何でもない日にアクセサリーを貰えれば嬉しいとかなんとか…
今思えば、強請られていたような気がする。その点ティアラ嬢は、謙虚に白のハイヒールでいいと言っていた。
好感が持てる令嬢だな…
「何、ぼぉっとしてる?シルベルト今日の執務を早くやれ!」
クラード様の檄が飛ぶ。
「シルベルトは浮かれているのさ」
と笑いながらシリル様は、こちらも見ずにトリウミ王国の資料を見ている。
もう、こちらの心残りは片付けたと言うかのごとく前を向いていた。
はあーーー、何とも言えない気持ちになる…これは俺だけじゃないだろう。
もうすぐ卒業式なんだと実感せざる得なかった。
(これでやっとセレナ関係の心残りが消えたな)
「サマリア様、いかがなさいましたの?」
と言えば、
「あなたのせいで…酷いわよ、ティアラ様。何よ、あれじゃ私がアシストしたみたいじゃないの!初めから狙って、私を誘導していたの?それにわざと身分の低い私に様とかつけて、あざといのよ!!それに目立ちたくなさそうにして、私は控えめで謙虚ですっていうの演出して…初めて会った時から鼻につく感じあったのよ」
と言われた。
とんだ言いがかりですよ。本当に随分な言われよう…
「まさか、そのようなことはないです。あざといと言われるなら、さん付けにします。イベントの内容は、私だって何も知らなかったわけですし、今残っていたのも、決してパートナーを決めるためではなくて、副賞の事で話し合っていただけです」
と言えば、
「副賞って何になったのかしら?」
まぁ彼女の知りたいことはそこだろな。
「それは、白のハイヒールです。ログワット様の紹介してくださる靴屋さんに決めました。その話し合いでしたのよ」
と私の言っている言葉に少しだけ納得したような形になってくれた。
やはり過分は人に恨まれるものだと実感した。
「まぁそうよね、靴のイベントだから御礼とは靴ってことなのね。わかったわ、パーティーのパートナーや婚約者候補ではないのね!ログワット様のご紹介の靴屋ね、ふ~ん羨ましいわ」
再びの確認。
本当にそこが重要なんですね。
「はい、そのような話は、一切なかったですわ。私、早く戻らなきゃ行けませんのでこれで失礼致しますわ」
と言って足早に廊下を歩く。早く教室に戻って帰ろう。
逆に選ばれて恨まれたり、喧嘩腰の方を相手にするなんて、いい迷惑だと思う。
「本当に最悪…」
「何が最悪なんですか?」
声の先を見れば、警備員の服。茶色の髪、前髪が長いですよ。
「警備員さん!教室の見回りですか?」
少し声が弾んだのは…理由は言えない。
「はい、教室内に忘れ物などあれば預かったり、放課後ですのでたまにですが、喧嘩や不純異性交遊などがありますので注意したりしているんですよ」
「不純、異性交遊、ですか…」
ドキドキしてしまった。
「ハッハハハ、お年頃ですからね、一日一回は注意しますよ」
と何でもないように言う。
流石に大人だ。
「それよりも何が最悪なんですか?また靴でも落としましたか?」
「あっ」
そうか警備員さんには片方だけしか靴を持っていない所を見られていたんだ…
「いえ、私のあの日の靴の行方がわかったんです。生徒会メンバーが、弁償してくれることになったのですが、やはり皆様は女生徒から人気がありますから僻まれてしまいそうで…」
と言えば、
「確かに、王太子殿下に王弟殿下、公爵令息などご令嬢の憧れの的ですね。大変ですね、お嬢さんも」
と緩やかに優しい口調で言ってくれる。
フゥ、落ちつくわ。
図々しいけどこの機会にお茶会に誘ってしまおうか?
名前も紹介し合っていない仲だけど。
勝手に私はクランさんだって知ってはいるけど、うーん、はしたないかな。
「お嬢さん、また難しい顔していますよ。眉間に…跡がついてしまいますよ」
と言ってくれる。
皺なんて令嬢に言わない所が優しいし、紳士だわ~。
と、ひとしきり感激したあと、やっぱり、警備員さんの優しさに甘えてみようと勇気を出してみた。
「警備員さん、無茶なお願い聞いてもらっていいですか?」
と言うと、
「無茶なお願いですか…」
少し考えた後、
「続きを話してみてください」
と言われた。
「私、縁あって、二年生と三年生の先輩方と知り合いになりまして、三年生の先輩がご卒業する前にお茶会を開く事になりまして、その…年上の殿方も交えて…先輩が今後夜会などに出席される際に経験をしてみたいとの事で…
もしよろしければ出席していただけませんか?」
…
勇気を出して言ってみた。
…
やっぱり図々しいな。
…
少しの間も痛い、心臓部に沈黙が刺さる。
「突然のお願いに驚きましたよね、本当に申し訳ございません。忘れてください」
「わかりました。いいですよ。私はクランと申します」
とにこやかに言ってくれた。
えっ、いいの…
「私は、ティアラ・ビルドと申します」
と気が抜けた声になってしまった。
本当にいいの…
クランさんは、まだ教室内の見回りがあるそうなので、一応、今月末の予定である事、決まり次第すぐに連絡すると言って別れた。
ボォーッとしてしまう。
まさか本当に了承の返事がもらえるなんて夢のようで、一つの使命が達成されたかのような…先程の生徒会室からの解放といい、このミッションからの解放が心を楽にしてくれた。
「本当にありがとうございます、警備員さん!いえ、クランさん!」
*
生徒会室
(シルベルトside)
「シル、見事彼女だったね~」
とシリル殿下がからかってくる。
「まぁ、視界がぼやけていましたが、顔を突き合わして、僅かながら会話もしましたからね。フフフ」
分別理由が、足であることは言わない…
「勘が当たったということか。しかしシリル様、あの『知らない』を正解と言うのは、強引すぎたのではないですか?確かにアンケートであの靴が偽物であるに、本物を片方持っている令嬢が反応するだろうことは予想通りでしたけど」
とログワットが言えば、クラード様も、
「段々と女生徒達の一部があらぬ方向に落とし靴の姫を称号としてとらえ始めていたから仕方ないな。私達はやり方を間違えた…ここで区切りをつけなければ、争いが続いていただろう」
と言った。
シリル様は、
「シルベルトは、残念だったんじゃないの?ドレス一式にアクセサリーや靴ってパートナーになりたかったんじゃないの?」
これは明らかに揶揄いだ。
「そんなんじゃありません。あくまで御礼としてです。正気に戻れなかったら、今もセレナと…」
と言えば、またみんな思い出してしまったようだ。
「すまない」
と言えば、
「でもさ、靴のサイズがわかればサプライズがあっても良いよね。あの子は命…貞操の恩人だったわけじゃない、それぞれ感謝を込めようよ。助けてくれたことにね」
とシリル様が笑った。
流石恋多き男は、イロの付け方もお洒落だと感心する。
確かにサプライズか…
そういうの女性は好きだとセレナが言っていた。
何でもない日にアクセサリーを貰えれば嬉しいとかなんとか…
今思えば、強請られていたような気がする。その点ティアラ嬢は、謙虚に白のハイヒールでいいと言っていた。
好感が持てる令嬢だな…
「何、ぼぉっとしてる?シルベルト今日の執務を早くやれ!」
クラード様の檄が飛ぶ。
「シルベルトは浮かれているのさ」
と笑いながらシリル様は、こちらも見ずにトリウミ王国の資料を見ている。
もう、こちらの心残りは片付けたと言うかのごとく前を向いていた。
はあーーー、何とも言えない気持ちになる…これは俺だけじゃないだろう。
もうすぐ卒業式なんだと実感せざる得なかった。
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