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15生徒会の意図
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どうにか逃げ出せないだろうか。
適当な嘘…が思い浮かばない。ミンネ達には悪いけど、本当に嬉しくない。
一歩づつ近づく生徒会室。
横を通り過ぎた女生徒が私をチラッと見た。
もしかしてあなたも生徒会室に行くの?
あの変なイベントに巻き込まれてしまった?
イヤイヤよね?
と話したい事を思いを込めて、目と目で会話を試みる。
結果…無視…
野心がメラメラと見える。私のことをライバルとしか見ていないようだった。
私関係ないのに…
全然選ばれたいとか思っていないから。私の事はライバルとしてカウントしないで欲しい…
争う気は皆無なのに。辞退させてください~。
はあーーーーっ
今日何度目かの深い溜息を吐いた。
そして扉前、ガックリと垂れていた頭を上げて、いざ出陣…本当に嫌だわ。
「失礼します」
と言って部屋に入れば、女生徒が7人いた。
一斉に振り向くのはお約束でしょうか?一糸乱れずキツい目つきでライバルの値踏みをされる。
一番前にサマリア様…
私は、知り合いだとぬか喜びを一瞬した。あちらからは、一段と厳しい目線を私に向けた。
はあ?
私、興味ない事知っているはずなのに…いや、言わなかったかも。
「全員揃ったところで、もう一度聞きたいのだけど、この靴を知っている令嬢はいますか?」
まず、生徒会長のクラード殿下が言った。
それに呼応するように
「はい、存じております」
と、一斉に手を上げた。
慌てて私も真似して上げる。
「困ったな」
と眉毛を下げ困り顔もナイスイケメンとばかりに黄色い歓声が上がった。
はあ~、危なかった。一人違うことをすれば目立つ所だった。
ここからは慎重に行動しなければ!
「じゃあ、これから簡単なアンケートを取らして欲しいな」
と横から笑ってシリル殿下が言った。
集まっている女生徒が、ザワザワし始めた。
アンケートですって?
今回こそ間違えてはいけないわ。よく考えなければ。
「では、紙を配ります。名前を書いて下さい。あぁ数問の二択だから、すぐ終わると思って、机や椅子を用意してなくてごめんね。お詫びに王宮から朝摘んだ薔薇をみんなにあげるよ~。アンケートが終わったら持っていってね」
と軽いノリのシリル殿下。
薔薇を配るなんて、やっぱり見つけるというよりイベントとしてやっているのかな?
顔を上げると、公爵令息様(青)がこちらを見ている。
やはりあの爪先だけ入れて止まった体勢が怪しかったのかもしれない。あれは確かに不自然だった…
なんか睨むように見ている、気がする。
…油断大敵だわ。
「一問目、この靴は私のである。YESかNOで答えて」
他の女生徒の動きに迷いがないみたいに、ペンを走らせる音がする。
ここはきっとみんなYESね。
「二問目、落としたのは下駄箱である」
これは、どうしよう。
落としたのはパーティー会場の階段よ。
引っ掛けかしら?そうよ、全校集会で最初にクラード殿下は階段と場所を指定して話をしていたわ。話を聞いていたかのチェックね。
みんなどちらにしたかしら?
大丈夫よね。普通に考えたら、NOよね。
「三問目、生徒会メンバーが好きである」
靴、関係ないじゃない!!
パッと顔を上げてしまった。
すると、五人と目が合った。
あっ!また反抗的態度を取ったと勘違いされたかもしれない。
ここにいる人達はみんな生徒会メンバーが好きなんだろうから。
クゥーーー
やってしまった。
ここは冷静に森に紛れなきゃ!まだ大丈夫。顔を上げただけ…そんな人もいる。
YESと記入した。
「最後だよ、この靴は偽物である」
えっ!?
どう反応して書けばいいの?
あれが偽物だとは私は知っている。だって血が付着していないもの…
でもそれを周りの女生徒は知らない。
みんななんて答えるかしら、どうしよう?
ここはNOでいくべきかな。
偽物を否定する人が多そうな気がする。
「本日は放課後の時間を割いてもらいありがとう。また連絡すると思うが、その時は協力して欲しい」
とクラード殿下(赤)。
「「「はい!」」」
声が揃ってる。同調怖い…
「協力してくれてありがとうね」
シリル殿下(黄)は最初から最後までにこやかだ。
「「「キャーー」」」
駄目だ、ついていけない…
「今日のアンケートなど学園内で話をしても大丈夫だから」
とログワット様(緑)も言った。
「嘘をついたとしてもこれは、イベントだから平気だ。気にしないように」
とシルベルト様(青)。
…
何故か目が合った。
ウッ、声が出そうになってしまった。あの日、顔と顔を合わせている、地味な私でも少しぐらい覚えている可能性はある。
確かにこの人が一番要注意人物だった。
バレたかも…もしかしたら最初から気づいているとか…
それなら、こんなくだらないイベントやる必要ないよね。
シリル殿下が薔薇の花を用意している最中、
「生徒会長、あの4問で、本当にわかるんですか?もしすでに姫が決定しているなら、この場で誰が落とし靴の姫君なのか教えて下さい!私気になって夜も寝れません」
とサマリア様。
随分とこのイベントに積極的だ。こういう人が選ばれるべきな気がするわ。
だって靴は偽物だし、イベントなのだから、興味がある人が姫になればいい。
すると、サマリア様に賛同する女生徒が賛成表明していた。
「ちょっと待ってよ、今アンケートに答えてもらったばかりで検討もしていないで決めることは出来ないよ」
とシリル殿下がみんなを諌めるように言った。
「もし、決まっていたらどうなのかな?」
と煽るように聞くログワット様。
「おい、ログワット!ご令嬢達、これはイベントだから!あのパートナーの噂を信じているなら違うよ。私達は卒業パーティーでは、数多くの女生徒と踊りたいと思っているから。本当にこのイベントはパートナー決めではないよ」
とシリル殿下が慌てて言った。
「御礼に惹かれているのかな?」
とクラード殿下が冷たい笑顔を向けた。すると一斉に女生徒は視線を切るように下を向いた。
これは、まずいと思ったのかサマリア様が私を見た。
ん、何?
「いえ、先日友人との話の中でもう決まっているんじゃないかとティアラ様が話していたので、私、その言葉を鵜呑みにしてしまって…大変失礼しました。御礼に興味があるわけではなくて、一年生の学園の思い出として姫に選ばれたかっただけなのです」
とサマリア様が言った。
えっ?
私、言いましたか?そんな事?
おい、皆様で一斉にこちらを見ないでください。
「ティアラ嬢?」
とクラード殿下が私を見て名前を呼んだ。
えっ、まさか私のせいにされたのですか?
…
「知りません」
と答えると、重い空気を切り裂くようにシリル殿下が、突然
「はい、大正解!おめでとう。君が落とし靴の姫君だよ。うん、おめでとう」
と言われた。
何が正解なの?
落とし靴の姫って…何で。
「納得いきません!」
口火を切ったのは、顔を真っ赤にしたサマリア様だ。
いや、私も納得していないけど…
「この靴だって誰の物でもないもの。勿論落ちてもいないよ。どこにでもあるハイヒールを買ってきただけだよ。だから絶対に君達のではない、みんな嘘吐きだ。始めに言ったよね。イベントだって。この靴を知らないが正解だったんだ。一番最初にクラードが君達に知っているか聞いたよね?その時に『知らない』と、正直に誰かが言っても決まったし、アンケートに知らないって書いても決まった。最初にその言葉を言った令嬢に決めていただけだよ、ご令嬢」
とシリル殿下が言った。
生徒会メンバーが頷く。
最初、慌て手を上げたアレか…
あの段階で決まってしまったってこと…
危なかった。私の心は、あの時から『知らない』だったから。
…
…みんな黙っている。それでも納得出来ないようなサマリア様は、
「そんなのイベントでもないわ、騙し討ちよ…」
と言った。
確かに。
「アンケートに書いた人はいないのですか?」
と別の女生徒の質問に、シルベルト様が、
「確認したがいなかった」
と言うと、
「これで終わりってこと?嘘、やだ!」と言ってまた違う女生徒が、サマリア様に
「あなたが余計なこと言うから!」
と責めた。
「ちょっと、ちょっと冷静に」
とシリル殿下が間に立って止めた。
そして居心地が悪くなったサマリア様は、私を睨みつけ生徒会室から出て行った。
次から次に女生徒達が出ていく。
私も続いて出て行かなければと一歩踏み出せば、肩に手を置かれた。
「少し待って欲しい、ティアラ・ビルド嬢」
呼び止めたのは、やはりと言うべきかシルベルト様だった…
やっぱり本当は気付いていた?
先程のシリル殿下の話は詭弁?
身体に緊張感が走ったのは気のせいではない。
嫌な予感がするもの…
(最悪だわ。御礼も求めてないけど、誰かに反感を買うことはもっと求めていません!)
適当な嘘…が思い浮かばない。ミンネ達には悪いけど、本当に嬉しくない。
一歩づつ近づく生徒会室。
横を通り過ぎた女生徒が私をチラッと見た。
もしかしてあなたも生徒会室に行くの?
あの変なイベントに巻き込まれてしまった?
イヤイヤよね?
と話したい事を思いを込めて、目と目で会話を試みる。
結果…無視…
野心がメラメラと見える。私のことをライバルとしか見ていないようだった。
私関係ないのに…
全然選ばれたいとか思っていないから。私の事はライバルとしてカウントしないで欲しい…
争う気は皆無なのに。辞退させてください~。
はあーーーーっ
今日何度目かの深い溜息を吐いた。
そして扉前、ガックリと垂れていた頭を上げて、いざ出陣…本当に嫌だわ。
「失礼します」
と言って部屋に入れば、女生徒が7人いた。
一斉に振り向くのはお約束でしょうか?一糸乱れずキツい目つきでライバルの値踏みをされる。
一番前にサマリア様…
私は、知り合いだとぬか喜びを一瞬した。あちらからは、一段と厳しい目線を私に向けた。
はあ?
私、興味ない事知っているはずなのに…いや、言わなかったかも。
「全員揃ったところで、もう一度聞きたいのだけど、この靴を知っている令嬢はいますか?」
まず、生徒会長のクラード殿下が言った。
それに呼応するように
「はい、存じております」
と、一斉に手を上げた。
慌てて私も真似して上げる。
「困ったな」
と眉毛を下げ困り顔もナイスイケメンとばかりに黄色い歓声が上がった。
はあ~、危なかった。一人違うことをすれば目立つ所だった。
ここからは慎重に行動しなければ!
「じゃあ、これから簡単なアンケートを取らして欲しいな」
と横から笑ってシリル殿下が言った。
集まっている女生徒が、ザワザワし始めた。
アンケートですって?
今回こそ間違えてはいけないわ。よく考えなければ。
「では、紙を配ります。名前を書いて下さい。あぁ数問の二択だから、すぐ終わると思って、机や椅子を用意してなくてごめんね。お詫びに王宮から朝摘んだ薔薇をみんなにあげるよ~。アンケートが終わったら持っていってね」
と軽いノリのシリル殿下。
薔薇を配るなんて、やっぱり見つけるというよりイベントとしてやっているのかな?
顔を上げると、公爵令息様(青)がこちらを見ている。
やはりあの爪先だけ入れて止まった体勢が怪しかったのかもしれない。あれは確かに不自然だった…
なんか睨むように見ている、気がする。
…油断大敵だわ。
「一問目、この靴は私のである。YESかNOで答えて」
他の女生徒の動きに迷いがないみたいに、ペンを走らせる音がする。
ここはきっとみんなYESね。
「二問目、落としたのは下駄箱である」
これは、どうしよう。
落としたのはパーティー会場の階段よ。
引っ掛けかしら?そうよ、全校集会で最初にクラード殿下は階段と場所を指定して話をしていたわ。話を聞いていたかのチェックね。
みんなどちらにしたかしら?
大丈夫よね。普通に考えたら、NOよね。
「三問目、生徒会メンバーが好きである」
靴、関係ないじゃない!!
パッと顔を上げてしまった。
すると、五人と目が合った。
あっ!また反抗的態度を取ったと勘違いされたかもしれない。
ここにいる人達はみんな生徒会メンバーが好きなんだろうから。
クゥーーー
やってしまった。
ここは冷静に森に紛れなきゃ!まだ大丈夫。顔を上げただけ…そんな人もいる。
YESと記入した。
「最後だよ、この靴は偽物である」
えっ!?
どう反応して書けばいいの?
あれが偽物だとは私は知っている。だって血が付着していないもの…
でもそれを周りの女生徒は知らない。
みんななんて答えるかしら、どうしよう?
ここはNOでいくべきかな。
偽物を否定する人が多そうな気がする。
「本日は放課後の時間を割いてもらいありがとう。また連絡すると思うが、その時は協力して欲しい」
とクラード殿下(赤)。
「「「はい!」」」
声が揃ってる。同調怖い…
「協力してくれてありがとうね」
シリル殿下(黄)は最初から最後までにこやかだ。
「「「キャーー」」」
駄目だ、ついていけない…
「今日のアンケートなど学園内で話をしても大丈夫だから」
とログワット様(緑)も言った。
「嘘をついたとしてもこれは、イベントだから平気だ。気にしないように」
とシルベルト様(青)。
…
何故か目が合った。
ウッ、声が出そうになってしまった。あの日、顔と顔を合わせている、地味な私でも少しぐらい覚えている可能性はある。
確かにこの人が一番要注意人物だった。
バレたかも…もしかしたら最初から気づいているとか…
それなら、こんなくだらないイベントやる必要ないよね。
シリル殿下が薔薇の花を用意している最中、
「生徒会長、あの4問で、本当にわかるんですか?もしすでに姫が決定しているなら、この場で誰が落とし靴の姫君なのか教えて下さい!私気になって夜も寝れません」
とサマリア様。
随分とこのイベントに積極的だ。こういう人が選ばれるべきな気がするわ。
だって靴は偽物だし、イベントなのだから、興味がある人が姫になればいい。
すると、サマリア様に賛同する女生徒が賛成表明していた。
「ちょっと待ってよ、今アンケートに答えてもらったばかりで検討もしていないで決めることは出来ないよ」
とシリル殿下がみんなを諌めるように言った。
「もし、決まっていたらどうなのかな?」
と煽るように聞くログワット様。
「おい、ログワット!ご令嬢達、これはイベントだから!あのパートナーの噂を信じているなら違うよ。私達は卒業パーティーでは、数多くの女生徒と踊りたいと思っているから。本当にこのイベントはパートナー決めではないよ」
とシリル殿下が慌てて言った。
「御礼に惹かれているのかな?」
とクラード殿下が冷たい笑顔を向けた。すると一斉に女生徒は視線を切るように下を向いた。
これは、まずいと思ったのかサマリア様が私を見た。
ん、何?
「いえ、先日友人との話の中でもう決まっているんじゃないかとティアラ様が話していたので、私、その言葉を鵜呑みにしてしまって…大変失礼しました。御礼に興味があるわけではなくて、一年生の学園の思い出として姫に選ばれたかっただけなのです」
とサマリア様が言った。
えっ?
私、言いましたか?そんな事?
おい、皆様で一斉にこちらを見ないでください。
「ティアラ嬢?」
とクラード殿下が私を見て名前を呼んだ。
えっ、まさか私のせいにされたのですか?
…
「知りません」
と答えると、重い空気を切り裂くようにシリル殿下が、突然
「はい、大正解!おめでとう。君が落とし靴の姫君だよ。うん、おめでとう」
と言われた。
何が正解なの?
落とし靴の姫って…何で。
「納得いきません!」
口火を切ったのは、顔を真っ赤にしたサマリア様だ。
いや、私も納得していないけど…
「この靴だって誰の物でもないもの。勿論落ちてもいないよ。どこにでもあるハイヒールを買ってきただけだよ。だから絶対に君達のではない、みんな嘘吐きだ。始めに言ったよね。イベントだって。この靴を知らないが正解だったんだ。一番最初にクラードが君達に知っているか聞いたよね?その時に『知らない』と、正直に誰かが言っても決まったし、アンケートに知らないって書いても決まった。最初にその言葉を言った令嬢に決めていただけだよ、ご令嬢」
とシリル殿下が言った。
生徒会メンバーが頷く。
最初、慌て手を上げたアレか…
あの段階で決まってしまったってこと…
危なかった。私の心は、あの時から『知らない』だったから。
…
…みんな黙っている。それでも納得出来ないようなサマリア様は、
「そんなのイベントでもないわ、騙し討ちよ…」
と言った。
確かに。
「アンケートに書いた人はいないのですか?」
と別の女生徒の質問に、シルベルト様が、
「確認したがいなかった」
と言うと、
「これで終わりってこと?嘘、やだ!」と言ってまた違う女生徒が、サマリア様に
「あなたが余計なこと言うから!」
と責めた。
「ちょっと、ちょっと冷静に」
とシリル殿下が間に立って止めた。
そして居心地が悪くなったサマリア様は、私を睨みつけ生徒会室から出て行った。
次から次に女生徒達が出ていく。
私も続いて出て行かなければと一歩踏み出せば、肩に手を置かれた。
「少し待って欲しい、ティアラ・ビルド嬢」
呼び止めたのは、やはりと言うべきかシルベルト様だった…
やっぱり本当は気付いていた?
先程のシリル殿下の話は詭弁?
身体に緊張感が走ったのは気のせいではない。
嫌な予感がするもの…
(最悪だわ。御礼も求めてないけど、誰かに反感を買うことはもっと求めていません!)
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**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
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ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
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