今日も楽しくいきまshow!?

犬野きらり

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115 外のお堀は完璧らしい

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「どうしたの、ミランダ、美しい顔に皺を寄せるのは如何なものかとおもうのよ」

「…リリエット…
何かおかしいと思うのよ。昨日、薬草園にアンドル様と一緒に行ったのだけど、何故か、みんな外国語しか話さないのよ。そういう縛りもまた楽しくないかって言われて。確かに楽しかったけど!それだけじゃないわ、最近私に読んでみないかという本、冒険譚も何故か外国語なの…読むのに苦労しているのよ、でも面白いの!この矛盾と違和感!なんかモヤモヤする…」

「…ミランダ、あなた、苦労しているのに楽しいの?」

とリリエットは呆れた顔をした。

そう、大変なのに楽しいって変なのに、本も面白いし、植物の新たな魅力的な話、知らない話を教えてもらうのは、興味深くて夢中になるのだけど…
最近の疲労感は半端ない。

「翻訳本が出てないのかしら?」

と漏らせば、小さな声でリリエットから、

「読まないという選択はないの?難しいのでしょう?」

と聞かれ、少し考えても、やはり続きが気になるのよね。

「ないわね、面白いのよ~」

と答えると、クラスメートが寄ってきた。

「ミランダ様、こちらの問題どう思われますか?」

と先月転入してきた女生徒、カリファさんが、やたら貿易や経済の話を私に聞く。そして…かなり年上のような…何故か先月5名もクラスに転入生が来た。みんな同じクラスだ。
どう見ても学生には、全員見えないのに制服を着ているし、違和感だらけなのに、堂々としているので、誰もその事に触れない。触れられない、もうみんな遠巻き!
このクラスだけめちゃくちゃ違和感。

「リリエット…」

助けを求めると、苦笑いをして席を外された。すると、目の前のカリファさんがやたら分厚い資料をドンと置き、笑って、

「どう思いますか?」

と聞く。…

「先生に聞いた方が良いのではないかしら?私 、経済の事とかよくわからないですし」

「でもイズリー家はサタンクロス商店と懇意にされてますよね。ミランダ様も劇団の責任者と聞きました。利益や還元を考えて公演なさったのではありませんか?」

そう、こうやって毎回逃げようとすると、私に関係ある話で引っ張りこまれ、いつの間にか、この資料を捲り必死に調べている。

何故だ!?

「お義兄様、絶対おかしいですわよね、あの例の転入生達。あの5名の方達にとても話しかけられるし、助けを求めようと視線を彷徨えば、クラスメート達が、休み時間になると、みんな教室から出て行ってしまうの、これって変よね?」

と聞くとお義兄様も、

「変だよね。辛い?でも楽しい?」

と聞いてくる。
そう、困ったなとか面倒くさい質問だなと思っても、展開が広がって興味を刺激する。

「そうなんです、話が面白いのです!なんでしょうか、あの方達の豊かな知識量は、次から次に…友達になれて嬉しいと言われると私も嬉しくて」

「やぁ、ミランダ嬢、昨日振り!随分と興奮していたみたいだけど、どうしたのかな?」

まぁ、爽やかに食堂に登場したアンドル王子様御一行。
賭け事の勝敗がついてから、毎日食堂で食事をするようになった。私に学校の帰りに王宮で、友達交流会をしようとか言うから、学校ですれば良いと言った。義兄も賛成してくれて、食堂の一角は随分人気者なメンバーになった。

今日もアンドル様はメニュー選びを楽しんでいる。

「ミランダ嬢?」

私の様子を窺いつつ、食べる手を止めないのは見事かもしれない。

「昨日の薬草園、楽しかったですけど、何故外国語縛りだったのかとか、私のクラスの転入生達とか何か変でモヤモヤするのですよ」

と言えば、

「ミランダ嬢は、異国の人とか友達になれない?転入生とか新しい友達は困る?」

と上目遣いで可愛く聞いてきた…

「いえ、そういう意味ではなくて、何かおかしいなって」

「こんど使節団が来るそうなんだよ。やはりあちらの言語で迎えて、我々は歓迎してますと表わしたら喜ぶのではないかなと思って。ミランダ嬢は反対?」

「まさか!良い考えだと思います。今度お見えになるのですね。失礼しました。しかし私使節団の方達と交流する意味は…?」

「うん。ほら女性の方達の対応とか歳近いご令嬢の場合とかの…想定かな…ごめんね、迷惑だったよね。私は友達が少ないから頼れる者がいなくて。リリエット嬢は、今、王宮で色々勉強しているだろう?これ以上彼女に負担をかけたら…ミランダ嬢の以前からの言う通り、友達増やそう計画だっけ、あれ、あんまり上手くいってないだろう?今もやっぱり遠巻きにされていて…」

とアンドル様の言う通り、あれから随分と経って食堂のおばさん達は王子一行に慣れたというのに、肝心の学生諸君が、我々を遠巻きにして観客化している…

凄い注目はされているけどね!

どうにかならないのかしら、この現象。

「そうですね、やはりアンドル様も眼鏡をかけたら親しみやすさが増すような。私はもうマジックアイテムの眼鏡ではありませんが、普通の伊達メガネをかけるだけで、なんだか落ち着くのですよね~」

「うん、とっても似合っているよ。瞳の青紫が知的さを際立たせている」

もう、この人はすぐ褒める。意味なく褒める。

「色は関係ないでしょう?全く、今はお友達増やそう計画でアンドル様も眼鏡をして王子オーラを消しましょうって話をしているのです」

「では、一緒に買い物に行こう。次の休み!」

と凄く嬉しそうな顔をして言われる。

「アンドル王子、次の休みは無理です。領地の祭で劇団マーメイドの公演をやる為のポスターや絵姿の絵師が来る日ですから」

と義兄が思いっきり駄目だと否定した。その通りだわ。大きく頷くと、アンドル様は、

「…ディライド…わかった。イズリー領の祭か。とても良いな。ミランダ嬢楽しんで」

と上機嫌になった。

そしてこんな学校生活にも慣れた頃、夏休みが来て、劇団の練習をしたり、何故か転入生が次々にイズリー家に来て、一緒に宿題をしたり、王妃様に何度もお茶に誘われては、色んな話をするという日々。

そしてイズリー領の祭の日

何故かアンドル王子が劇団マーメイドに飛び入り参加し、海のプリンセス(私)にプロポーズするというお芝居をして、バラの花びらを舞台から降らせ、話題を全部掻っ攫っていきました。

翌日、新聞の見出し

『クリネット王国の第一王子、劇団マーメイドの公演中、マリングレー王国第二王女に公開プロポーズ!!観客総立ちになりお祝い!挙式は、ミランダ様の学校卒業後』

「なん、何でしょうか!お義母様~、新聞社が、お芝居を本気にしてしまったようです!すぐに訂正しないと!」

「「「「え!?」」」」

とその場にいた全員に驚かれた。
おかしな事言った?

「ミランダ様、あなたあの場でお受けしていたわよね」

と義母…

「あれは、アドリブのお芝居ですよね!?」

という私の声は潮風に流された。










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