今日も楽しくいきまshow!?

犬野きらり

文字の大きさ
上 下
111 / 120

111 私は色々甘くみてました

しおりを挟む
「リリエット、久しぶり!」

新学期を迎えました。夜会終了後から色々あって、少しのんびりしたら、もう月初め!

「良かったわ、リリエット、二年生も同じクラスで安心したわ」

と言えば、

「私もよ!あ、こんな風に気軽に話しては駄目よね。ミランダ様は王女様なんだから」

「やめてよ!手紙でも書いた通りそのままでお願い。ミランダ・イズリーのままで。確かに正式な養子縁組ではなかったけど、預かりという形でイズリー家では、少し気を遣われたけど、ようやく今まで通りを意識してくれているのだから。それにしてもリリエット、私、休みに会いに来てくれると思ったのに…」

話したい事が沢山あったので、イズリー家でお茶を誘ったのだけど…

「もちろん、会いたかったわ、だって知りたいことが盛り沢山だったもの。実は私とスタンルート…アンドル王子様の側近候補になって…夜会後から…働かされていた、のよ。王子が、あんな方とは思わなかった…でもミランダ、笑っているのね、良かったわ」

「リリエットは大丈夫?薄く目元に隈が出来てるわよ」

その後リリエットは、私を見つめ、しばらく無言だった。

「その間は何?何なの!」

「あ、私は、忙しいかったけどそのミランダも大変でしょう!そう、決定事項として、ダイアナさんは、進級試験にも落ちて、ウランダル王国の提案を受けマユリカ王女の侍女になり、マリングレー王国に一緒に行くそうよ」

「もうお会いすることがないの?マリングレー王国か、あの三人夜会でとても仲良しだったものね。あちらで楽しく過ごせたらいいわよね」

と言うに留めた。彼女が来たらすぐに私の前に現れて、文句を言うと思っていたけど。
私とアンドル様の賭け事は、冷静に考えて何故婚約者決めなんてものを決めてしまったのだろうと、非常に後悔した。
あの時の私、普通ではなかった。

「ハァー、リリエット、私、朝から遠巻きにされて挨拶しか教室でしてないの…嫌われてしまったのかな」

せっかく仲良くなった令嬢も教室内にいるのに!

「うーん、」

リリエットが遠慮がちに私にコソっと教えてくれた。

「ミランダ、あなた同学年の男子生徒から、絶対近づいてはいけない女生徒、第一位らしいわよ…」

あぁ、とうとう私も噂ランキングに入ってしまったのね。
ハァーーー

「あの夜会騒動が男子生徒を怖がらせたのね…確かに私もやってやると意気込んでいたもの…」

何故かリリエットが私を見て申し訳無さそうにし始めた。

「ごめんね、ミランダ…でも王女様なのだから気軽に近寄られて、被害にあったら困ると思うし…何事も距離感が大事だと思うの。私はこれは良いと思うわ」

頑張ってというポーズをされた。こんなリリエットは見た事がない。怪~し~い。

「…リリエットがこんな力説するなんて、噂の操作元…スタンルートさん?」

「ち、違うわ、ほら、ミランダは今は超取り扱い注意人物だから!」

これは、間違いなさそうだわ。

「酷い言われようね」

アンドル王子は、本当に私と勝負…婚約したいと思っている…という事?
花や手紙、本が届いてもどこか勝負という遊び、暇つぶしみたいな風に考えていた。友達の延長みたいな…

「リリエット、なんか私、凄く逃げ場がなくなっていくような?」

「やっと気づいたの、ミランダ。アンドル王子様は、非常にやり手よ。ディライド様に劣らずね。ディライド様は大丈夫なの?色々と…」

「確かに現在気まずいわ、夜会後にすぐイズリー領に視察に行ってしまったから…きちんと話は出来てないというか、当たり障りない対応をされているというか、難しいところ」

義兄とは登校の馬車でも話そうと考えていたのに、義兄から話題を振られ、王子様との賭け事について話せていない。でも義父や義母には伝えてあるから、知っているはずなのに…

協力してくれないのかなと、寂しい気持ちではいた。


新入生も入学してきて、とても賑やかになった。
でもまだ私に言いがかりを言ってくる者はいない…賭け期日まで残り三日。

「ねぇ、ミランダ、今年の一年生は騒がしくない?」

「そうかしら?」

「私達の時よりうるさいわよ」

とリリエットは言うけど、それはどうかしら?私としては、ダイアナさんやマリアーノ様のような勢いのある方を求めているのだけど…

朝、毎日お義兄様と登校する私は、相変わらずだ。

新入生の黄色い声…噂話…視線…は感じる。

そして、教室の入り口の側を居城にしているマリアーノ様と取り巻き令嬢が、無言で通る度に、ジッと見つめられ圧力をかけられている。

どうせなら、私の元に来て言いがかりをつけて欲しいのに!


帰りの馬車の義兄は、ポツリと話し始めた。

「ミランダちゃん…王族復帰したし身分的にアンドルと釣り合いが取れているし、あいつは、伯爵令嬢でもミランダちゃんに婚約者の打診をしたよ」

「ええ、夜会の時に聞きました。賭け事という勝負を持ちかけられ、あの場の雰囲気に流されてしまって後悔はしてます。お義兄様ならすぐ私に協力してくれると思ってましたのに、その件に全く触れないので、アンドル様側かと思っておりました」

と私も本音を話す。

「ミランダちゃんは、アンドルの婚約者になりたいの?」

と聞かれ、

「婚約者なんて、私には無理です。この国のお姫様になるって事ですよね?私では相応しくありません」

「王女なのに?」

「生まれはそうであっても、何も知らないのですから…」

私は、本当に色んなことを知らなかった。義母のお茶会に呼んでもらって、貴族の事を知ってばかり…
みんなに驚かれて、その度に恥ずかしさが増す。無知の自分、学ぶことは楽しいけど、王女達やマリアーノ様達、貴族令嬢は人の揚げ足取りや蔑める事が、当たり前みたいで、そういうのは知りたくなかった。
義母の真似も出来ない。

「王子の婚約者になりたくないけど、アンドルは好きなの?」

「アンドル様を好き?友達として楽しいですし、ドキドキもします、怒ったり悲しかった事もあります。あの方といると知らなかった世界が広がる感じがします…でも好きかどうかはわからない…です」



「そうか、アンドルはミランダちゃんにとって特別なのか…ずっと考えていた事があるんだ。私にとってミランダちゃんは特別だよ、気づいていたのに誤魔化していた。隣にいてくれたから、それが続くってその関係を守りたくて…王子の婚約者になりたくないなら、私の婚約者になってイズリー領で、いっぱい好きな事して楽しい事して生きていけばいい。貴族のしがらみなんて伯爵領には、それほど関係ない!」

「お義兄様…」

ガタンと馬車が止まった。

「アンドルとの賭け事は三日後だよね。同じ日に返事を聞かせて。ミランダちゃんには、選択肢があることを忘れないで欲しい」

何も答える事が出来なかった。
義兄の真剣な表情と声が、私の考え無しの甘さを引き裂いた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?

雨宮羽那
恋愛
 元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。 ◇◇◇◇  名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。  自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。    運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!  なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!? ◇◇◇◇ お気に入り登録、エールありがとうございます♡ ※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。 ※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))

【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。

櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。 兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。 ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。 私も脳筋ってこと!? それはイヤ!! 前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。 ゆるく軽いラブコメ目指しています。 最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。 小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。

紡織師アネモネは、恋する騎士の心に留まれない

当麻月菜
恋愛
人が持つ記憶や、叶えられなかった願いや祈りをそっくりそのまま他人の心に伝えることができる不思議な術を使うアネモネは、一人立ちしてまだ1年とちょっとの新米紡織師。 今回のお仕事は、とある事情でややこしい家庭で生まれ育った侯爵家当主であるアニスに、お祖父様の記憶を届けること。 けれどアニスはそれを拒み、遠路はるばるやって来たアネモネを屋敷から摘み出す始末。 途方に暮れるアネモネだけれど、ひょんなことからアニスの護衛騎士ソレールに拾われ、これまた成り行きで彼の家に居候させてもらうことに。 同じ時間を共有する二人は、ごく自然に惹かれていく。けれど互いに伝えることができない秘密を抱えているせいで、あと一歩が踏み出せなくて……。 これは新米紡織師のアネモネが、お仕事を通してちょっとだけ落ち込んだり、成長したりするお話。 あるいは期間限定の泡沫のような恋のおはなし。 ※小説家になろう様にも、重複投稿しています。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

転生したので前世の大切な人に会いに行きます!

本見りん
恋愛
 魔法大国と呼ばれるレーベン王国。  家族の中でただ一人弱い治療魔法しか使えなかったセリーナ。ある出来事によりセリーナが王都から離れた領地で暮らす事が決まったその夜、国を揺るがす未曾有の大事件が起きた。  ……その時、眠っていた魔法が覚醒し更に自分の前世を思い出し死んですぐに生まれ変わったと気付いたセリーナ。  自分は今の家族に必要とされていない。……それなら、前世の自分の大切な人達に会いに行こう。そうして『少年セリ』として旅に出た。そこで出会った、大切な仲間たち。  ……しかし一年後祖国レーベン王国では、セリーナの生死についての議論がされる事態になっていたのである。   『小説家になろう』様にも投稿しています。 『誰もが秘密を持っている 〜『治療魔法』使いセリの事情 転生したので前世の大切な人に会いに行きます!〜』 でしたが、今回は大幅にお直しした改稿版となります。楽しんでいただければ幸いです。

訳あり冷徹社長はただの優男でした

あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた いや、待て 育児放棄にも程があるでしょう 音信不通の姉 泣き出す子供 父親は誰だよ 怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳) これはもう、人生詰んだと思った ********** この作品は他のサイトにも掲載しています

処理中です...