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85 学年テストの勝負 其の1
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テスト勉強の合間、窓を開けて空気の冷たさを感じる。
「ミランダちゃん~!手が空いたなら、お茶をしないかい?」
丁度、外出から戻ってきた義兄が手を挙げて私を見つけてくれた。
相変わらず、かっこいい。ずるいわ、容姿端麗を最大限に活かして、私だけに手を振ってくれてると思ったら、元気よく返事をしてしまう。
*
「お義兄様、やっと落ちつかれましたか?今日もお忙しいそうにしてましたから…」
「ああ、ほら、情報収集で商人と話を聞く事とパーティーの準備…
マユリカ王女様の事だけど、半年後にマリングレー王国の国王陛下の側妃になる事が決まったよ。ミランダちゃんも事件に巻き込まれた訳だから、報告だよ」
優雅にお茶を飲む姿に、ひと段落ついた事を語っていた。
「マユリカ王女様は、ずっとアンドル王子様の婚約者になると言っていたので、お相手がマリングレー王国の国王様と知って、ショックを受けたかもしれませんね」
「マリングレー国は豊かな国だ。確かに年齢差はあるが…身分や起こした騒動を考えれば、落とし所だよ、王女の責任さ。ミランダちゃんが落ち込む必要はないよ!ご令嬢方が夢中になっているパールの白粉がある国だ。側妃になれば、優先的に使えるだろう?」
「もう!お義兄様、別に白粉が好きだから良いとはなりませんよ!」
どうも高級化粧品がみんな令嬢は好きというイメージがあるみたいだけど、それは偏見だと思う。
「ふふ、確かにそうだけど。良かった。ミランダちゃんが元気が出てきて!マリアーノ嬢に嫌味を言われたって聞いたから。珍しくグレゴリーが厳しく注意したって?私も注意しようか?」
「グレゴリー様のあれは、注意というかすでに脅し、アンドル王子様に至っては、宣告って感じでしたけど…これ以上は騒ぎにしないで下さい。それに元気はあります、今はテスト勉強をしているから、そちらに集中しているだけで」
「そうか、ミランダちゃんは、二人と何か話したかい?」
「何も。私は教室内でしたし、マリアーノ様や王子様達は、廊下側でしたから」
「…ミランダちゃんもパーティーに行きたい?」
笑って聞くお義兄様だけど、
「前にも答えた通り、私は、パーティーに参加したいとは、本当に思っておりませんから。最近話題の高位貴族の争う場面なんて、怖くて入れませんよ。最後マリアーノ様の腰が抜けて、立ち上がれずに先生が、補助しながら移動したんですよ…」
騒ぎを聞きつけて、見に来る人もいて、笑っている人もいた。
「それは大変だな…
ライバルを蹴落としたい、自分をアピールしたいが強いよね。彼女の話し方は…いつも思うが令嬢として酷い。度々ミランダちゃんに迷惑をかけるのも許せないし。反省出来る子じゃなさそうだから。ファンド侯爵家は、東部地方のまとめ役、領地も地方も不正などはなくきちんとしている…真面目さのある人物と聞く限り証言されている。だからこそ、何故あんなに娘を甘やかして育てたのか疑問だよ」
そうね、確かに。
他の東部地方の人達も真面目で忠実。
昔、先生から聞いたアレかしら?
「馬鹿な子ほどかわいい…」
「何それ?」
「あら、お義兄様も知りませんか。昔、先生が言ってました。親は意外と優秀な子よりも、馬鹿な子ほど、手の掛かる子ほどかわいいものだと言っていたんです。そして何とかしたい、助けたいと思うと」
「へぇ~、先生は我々の知らない事を沢山知っているよね。見かけは若そうだけど。ミランダちゃんは、先生が何歳なのか知っているの?」
「…秘密と言われました。女性に年齢を聞いていいのは学生までで、それを過ぎてから聞く男性には、不信感を抱きなさい、要注意よと言われました」
お義兄様が笑っている。
「厳しいな。相変わらず、家庭教師と言っても、どうでも良い事まで教えられているな…国の歴史や地理、外国語とかもミランダちゃんは、知識が浅かったよね。周辺諸国も名前と場所ぐらいだったし。何を中心に教わっていたの?」
「経済や動植物、天気や神話、礼儀作法や淑女教育も。でも一番は生きることについてですね。沢山の事を学びましたね。先生からは、一応教科書通りには習いましたけど、いつも話が脱線して、先生の体験談や私にどう思うと意見や考えをさせてくれましたね」
「本当に変わっている。普通教師は決め事を詰め込むからな。確かにミランダちゃんの個性は先生の影響を受けているよね」
それってどういう意味かしら?
「お義兄様、私は確かに人の話の途中でも、自分の世界、彼方に行ってしまいますけど…一応テスト勉強も頑張ってますし、前回も中々成績は良かったんですのよ。私は、お義兄様の方が心配です。皆さんより学校は途中ですし、ウランダル王国に行っていた期間もありますし、その、授業に遅れたりとかしてませんか?」
先生がいろいろ協力してくれていたのは知っているけど…
「まぁ、任せてよ。私は物覚えが良いからね。間違いなく学年一位になるよ」
「…一位ですか!お義兄様ならなってしまいそうですが、でも同じ学年には、アンドル王子様がいるじゃないですか!それは難しいのでは?」
何も考えずに、ただ大変だよーっという意味を込めて言ったつもりだった…
馬鹿な一言だった。レオンのあの負けず嫌いな発言を忘れていた…兄弟なのに。
「…アンドルはアホンドルだから。私の敵ではない!」
えっ!?いきなり不敬発言!悪口!?
「あ、私は、一位なんて絶対に無理です。今回は、ニ十位ぐらいになれたらいいなぁと…」
私の話題に変えた。しかし、
「まぁ大丈夫だと思うが、そういう学校関係の情報を入手していなかったな…」
お義兄様がぶつぶつ言い始めた。駄目だわ、話題転換に失敗したわ。
あぁ、完璧に余計なことを言った気がする。最近ずっと穏やかな学校だった(マリアーノ様関係を除いて)
翌々日、学校で…
「ねぇ、ミランダ大変よ!なんでもディライド様とアンドル王子様が、今度の学力テストで勝負するって話よ!!
昨日まるで二人が戦いの宣言みたいにされたって!
何か聞いてないの?ミランダ」
…
リリエットが、私がお義兄様と別れて教室に入った後に、かつてないほど興奮して聞いてきました。
…たぶんアレだ。
難しいなんて言った、あの言葉だわ。
アンドル王子様、大変申し訳ございません、と心の中で謝罪をした。
*
二学年教室
「アンドル王子、私は、次の学年テストで必ず一位になります。もうミランダちゃんに予告したんです。私に負けたら、小賢しい真似をするのはやめて欲しいですね」
「こういうはっきりとした結果がでる勝負は良いな、久しぶりだ。ディライド、私もお前には言いたいことがある。この勝負私が勝ったら、私を邪魔するのは止めろ、馬鹿にもするな」
「ふふ、確かに久しぶりの勝負ですね」
「まぁ負けやしないがな」
「「フッフフフ」」
という会話があったとか…
(リリエット情報談)
「ミランダちゃん~!手が空いたなら、お茶をしないかい?」
丁度、外出から戻ってきた義兄が手を挙げて私を見つけてくれた。
相変わらず、かっこいい。ずるいわ、容姿端麗を最大限に活かして、私だけに手を振ってくれてると思ったら、元気よく返事をしてしまう。
*
「お義兄様、やっと落ちつかれましたか?今日もお忙しいそうにしてましたから…」
「ああ、ほら、情報収集で商人と話を聞く事とパーティーの準備…
マユリカ王女様の事だけど、半年後にマリングレー王国の国王陛下の側妃になる事が決まったよ。ミランダちゃんも事件に巻き込まれた訳だから、報告だよ」
優雅にお茶を飲む姿に、ひと段落ついた事を語っていた。
「マユリカ王女様は、ずっとアンドル王子様の婚約者になると言っていたので、お相手がマリングレー王国の国王様と知って、ショックを受けたかもしれませんね」
「マリングレー国は豊かな国だ。確かに年齢差はあるが…身分や起こした騒動を考えれば、落とし所だよ、王女の責任さ。ミランダちゃんが落ち込む必要はないよ!ご令嬢方が夢中になっているパールの白粉がある国だ。側妃になれば、優先的に使えるだろう?」
「もう!お義兄様、別に白粉が好きだから良いとはなりませんよ!」
どうも高級化粧品がみんな令嬢は好きというイメージがあるみたいだけど、それは偏見だと思う。
「ふふ、確かにそうだけど。良かった。ミランダちゃんが元気が出てきて!マリアーノ嬢に嫌味を言われたって聞いたから。珍しくグレゴリーが厳しく注意したって?私も注意しようか?」
「グレゴリー様のあれは、注意というかすでに脅し、アンドル王子様に至っては、宣告って感じでしたけど…これ以上は騒ぎにしないで下さい。それに元気はあります、今はテスト勉強をしているから、そちらに集中しているだけで」
「そうか、ミランダちゃんは、二人と何か話したかい?」
「何も。私は教室内でしたし、マリアーノ様や王子様達は、廊下側でしたから」
「…ミランダちゃんもパーティーに行きたい?」
笑って聞くお義兄様だけど、
「前にも答えた通り、私は、パーティーに参加したいとは、本当に思っておりませんから。最近話題の高位貴族の争う場面なんて、怖くて入れませんよ。最後マリアーノ様の腰が抜けて、立ち上がれずに先生が、補助しながら移動したんですよ…」
騒ぎを聞きつけて、見に来る人もいて、笑っている人もいた。
「それは大変だな…
ライバルを蹴落としたい、自分をアピールしたいが強いよね。彼女の話し方は…いつも思うが令嬢として酷い。度々ミランダちゃんに迷惑をかけるのも許せないし。反省出来る子じゃなさそうだから。ファンド侯爵家は、東部地方のまとめ役、領地も地方も不正などはなくきちんとしている…真面目さのある人物と聞く限り証言されている。だからこそ、何故あんなに娘を甘やかして育てたのか疑問だよ」
そうね、確かに。
他の東部地方の人達も真面目で忠実。
昔、先生から聞いたアレかしら?
「馬鹿な子ほどかわいい…」
「何それ?」
「あら、お義兄様も知りませんか。昔、先生が言ってました。親は意外と優秀な子よりも、馬鹿な子ほど、手の掛かる子ほどかわいいものだと言っていたんです。そして何とかしたい、助けたいと思うと」
「へぇ~、先生は我々の知らない事を沢山知っているよね。見かけは若そうだけど。ミランダちゃんは、先生が何歳なのか知っているの?」
「…秘密と言われました。女性に年齢を聞いていいのは学生までで、それを過ぎてから聞く男性には、不信感を抱きなさい、要注意よと言われました」
お義兄様が笑っている。
「厳しいな。相変わらず、家庭教師と言っても、どうでも良い事まで教えられているな…国の歴史や地理、外国語とかもミランダちゃんは、知識が浅かったよね。周辺諸国も名前と場所ぐらいだったし。何を中心に教わっていたの?」
「経済や動植物、天気や神話、礼儀作法や淑女教育も。でも一番は生きることについてですね。沢山の事を学びましたね。先生からは、一応教科書通りには習いましたけど、いつも話が脱線して、先生の体験談や私にどう思うと意見や考えをさせてくれましたね」
「本当に変わっている。普通教師は決め事を詰め込むからな。確かにミランダちゃんの個性は先生の影響を受けているよね」
それってどういう意味かしら?
「お義兄様、私は確かに人の話の途中でも、自分の世界、彼方に行ってしまいますけど…一応テスト勉強も頑張ってますし、前回も中々成績は良かったんですのよ。私は、お義兄様の方が心配です。皆さんより学校は途中ですし、ウランダル王国に行っていた期間もありますし、その、授業に遅れたりとかしてませんか?」
先生がいろいろ協力してくれていたのは知っているけど…
「まぁ、任せてよ。私は物覚えが良いからね。間違いなく学年一位になるよ」
「…一位ですか!お義兄様ならなってしまいそうですが、でも同じ学年には、アンドル王子様がいるじゃないですか!それは難しいのでは?」
何も考えずに、ただ大変だよーっという意味を込めて言ったつもりだった…
馬鹿な一言だった。レオンのあの負けず嫌いな発言を忘れていた…兄弟なのに。
「…アンドルはアホンドルだから。私の敵ではない!」
えっ!?いきなり不敬発言!悪口!?
「あ、私は、一位なんて絶対に無理です。今回は、ニ十位ぐらいになれたらいいなぁと…」
私の話題に変えた。しかし、
「まぁ大丈夫だと思うが、そういう学校関係の情報を入手していなかったな…」
お義兄様がぶつぶつ言い始めた。駄目だわ、話題転換に失敗したわ。
あぁ、完璧に余計なことを言った気がする。最近ずっと穏やかな学校だった(マリアーノ様関係を除いて)
翌々日、学校で…
「ねぇ、ミランダ大変よ!なんでもディライド様とアンドル王子様が、今度の学力テストで勝負するって話よ!!
昨日まるで二人が戦いの宣言みたいにされたって!
何か聞いてないの?ミランダ」
…
リリエットが、私がお義兄様と別れて教室に入った後に、かつてないほど興奮して聞いてきました。
…たぶんアレだ。
難しいなんて言った、あの言葉だわ。
アンドル王子様、大変申し訳ございません、と心の中で謝罪をした。
*
二学年教室
「アンドル王子、私は、次の学年テストで必ず一位になります。もうミランダちゃんに予告したんです。私に負けたら、小賢しい真似をするのはやめて欲しいですね」
「こういうはっきりとした結果がでる勝負は良いな、久しぶりだ。ディライド、私もお前には言いたいことがある。この勝負私が勝ったら、私を邪魔するのは止めろ、馬鹿にもするな」
「ふふ、確かに久しぶりの勝負ですね」
「まぁ負けやしないがな」
「「フッフフフ」」
という会話があったとか…
(リリエット情報談)
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