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75 商人からの謝罪
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王宮の馬車留め、サーシャさんのように見張っている人もいるかもしれないと、用心深くなった。
私的に問題は、二人になりお宅訪問は良くないと思っている。最悪な誤解の噂が恐ろしい。
今日、思いっきって王子様に聞いてみよう。
出来るだけ複数人と一緒に会えば誤解はされないし、お義兄様も王宮に来やすいかもしれないわ。
あれこれ今日話すこと、言い方を頭の中で考えていると、
「おーい、大丈夫か?ミランダ嬢、体調が悪いなら、無理しない方がいい」
えっ!?
「アンドル王子様!私いつの間に!」
私ったら歩きながら、意識だけ彼方に行っていたわ。目の前にアンドル王子様がいた。とてもラフなスタイルで…
プライベートルーム感満載です。またお宅訪問、
黒シャツ…
金色の髪に映えますね。とてもお似合いです。
あぁ、やっぱり何かがおかしいわね、これは!
「プッフフフ、また別なこと考えていたんだろう?だんだんミランダ嬢が、わかってきたよ。フラフラしているから、危なかっしい。歩く時はちゃんと意識しないと!いくら仲が良い侍女がいるからといっても、注意しないといけないよ」
何故か私は、王子に注意をされていた。その言い方、まるで、
「もう、アンドル王子様、何だかお義兄様みたいな口調だわ、最近人間関係を考えることばかりで気が逸れてしまって」
「いつもディライドは、こんな風にミランダ嬢に注意するのか…そうか…
学校内?イズリー家?の人間関係って…手伝えることあるかな、私が面倒で拒否している話だけども…」
明らかに落ち込んだ笑顔になられても、私も困る。
「いえ、知らなかったから、私には積み重ねたものがないし、他者との関わりが希薄で、他者を怒らせてしまうばかりで…」
「揉めたのかい?」
「ち、違います、私の理解度が低いせいと知らなさすぎが原因なので…」
「表情が、暗いな。今日はその問題を解決しようか」
と王子が提案するけど、私もサーシャさんになんて言えばいいかわからない。
リリエットを奪ってごめんって事だけじゃないだろうし。
「いえ、人間関係の複雑さは…今はちょっと離れたいかなと」
王子は理由は聞かず、そういう時もあるね、と同意してくれた。
「では、明るい旅の話をしてもらおう!東方諸国の商隊から商人三人だよ」
*
応接室にエスコートされながら入ると、商人達の顔色は悪く、緊張しているようで、汗がずっと流れている。
明るい旅の話…
アンドル王子様から紹介を受けて挨拶をする。
「初めまして、ミランダ・イズリーです。本日はよろしくお願いします」
商人の一人の唾を飲み込む音が響く。
「本日は、お話聞かせて下さい」
王子もそう言い、私をエスコートしながらソファに勧め、座り込んだ。
商人達の私を見る目が…
まだ何も話しをしていないのに、何故こんなに緊張しているの。
今、人がいると言っても、このテーブルについて話を聞いているのは、アンドル王子様と私のみ…
そして壁側に侍女達。
沈黙。
商人は物だけでなく話も売る。この状況を見て『友達』として捉えるのか…
チラッと横を向くと、王子様がそこにいた。
また表情筋動かさず、少し口角上げているの?様子を窺っているのだろうか?
今、みんなが知りたい情報…それは婚約者!
…まさか!!
私から言わなくては!
「商人の方々、誤解なさらないでね。噂話程度の中にも沢山情報が入っておりますものね?本日、私がここにいる意味という点でそういう意味ではないと察して頂けるとありがたいですわ」
言わないでね。絶対に!
友達なんだから、下手なこと言われると誤解される。大変なことになるから!
と両手を思わずグッと握る。
商人達が、再び私をジッと見た。
あ!?これは!この野暮ったい眼鏡令嬢が、誤解なんてするわけないだろう、って思ってますね!?
そうね、なんという自惚れ!
横を見ると、王子はあの人間味を失った顔をして…
王子自ら誤解するなよ、お前達!という意味を出しているのね。
なんか色々ごめんなさい。
汗を拭おうとハンカチを取り出そうとすると、
「申し訳ございません!」
一人がこの駆け引きみたいな沈黙に耐えられず、床に落ちた。
そしてその隣の商人達も崩れ落ちるように
「私達のことは、やはり全部調査済みってことですよね、名も通ってない商人の私達が王宮に呼ばれるなんて…」
「間者ではありません、確かに情報は集めましたが!」
次々と土下座し、弁明をする三人。
へ!?
何故いきなり突拍子もない話に?そんなこと誰も一言も問い詰めていないよ。
「確かに、この国である情報を欲しいと依頼されています。でも国の政治や経済とかじゃなくて…マリングレー王国の教会から、ダイアナ・ガトルーシーが何をしたのか、誰を巻き込んだかです」
「我々は、個人調査ぐらいの気持ちでしたので、まさか城に連行される程の話だと思わず…」
いきなり話始められた。
「教会が?男爵令嬢を?マリングレー国の神官が事件を起こしたのは、約三週間前ですが、その件でですか?」
王子が冷たく淡々と言い、侍女が扉を開けた途端、騎士が数人入って囲んだ。私はただ驚くばかり。
「いいえ、依頼は二か月前ですし、私達としたら、小遣い程度の依頼だと思っていたら…調査すると、対象者は友人とともに人攫いに会ったと、また最近マリングレー王国の神官が貴族に事件を起こして捕まった事件を聞いた途端、使者がこの依頼書を持って来たから…まさか被害者のミランダ・イズリー様までいるなんて。貴族令嬢の秘密を暴こうとしたわけではないのです」
「それは、逆に貴重な話が聞けたよ。ミランダ嬢の事は神官事件で名前は伏せているが?」
王子が言った。
私に何かが絡ってきた。
ゾワとする鎖のように…
「ダイアナ嬢が攫われた事件に巻き込まれた令嬢がミランダ様で、神官が暴力をふったとされる令嬢は、綺麗な水色の髪と…街で聞きました」
やっぱりあの騒ぎを見ていた人の口から、ただの被害令嬢で収まっていないのね…特徴が漏れているのね。
「で、あなた達は、依頼主に報告はしましたか?どこでそのような依頼を受けたのですか?」
冷静に取り調べを進める王子。
「いえ、これからイズリー領の港からマリングレー王国に向かうつもりでした。そこで取引をと…東方諸国はマリングレー王国と数多く取引しておりますから、彼方此方に教会があります。その一つの」
「では、教会全体が一斉にその件を各商人に依頼している可能性があると言いたいのかな。一応、私の耳に入って来たのは今日初めてだよ」
「…はい。私達は丁度商隊として回っていた場所が、クリネット王国と近かったので、私達が一番に情報を売れるとは思ってました」
「そうか、教会ね、ダイアナ嬢か、夢見の乙女については?」
王子が商人に聞いた。
「教会では、ただ聖女様の夢見に出てきた令嬢だから調べる必要があるとだけ」
顔を上げ、既に絶望に染まった表情で商人の一人が震えながら話した。そしてそのまま商人達は騎士に連れて行かれた。
マリングレー王国の教会から依頼を受けた商人を捕まえた…という事?
やっぱり間者?
「ごめんね、ミランダ嬢。怖かっただろう。突然の罪の告白に…」
「いえ、私の名前を言われて驚きましたが、確かに店で神官もダイアナさんに聖女様からの手紙があると言ってました…
が、すいません、私はあまりの突然の謝罪から始まって間者の弁明と言われても、ついていけなくて今、何が何だかで」
と言えば、アンドル王子様も深い溜息を吐かれて、
「本当だよ、我々が入って自己紹介した途端だよ、いきなり床に座って謝罪と弁明。何が起こったかと身構えたよ」
「いえ、アンドル王子様は、ずっと顔色も変えず質問し、冷静に対処されて凄いと思いました。私なんてこの部屋に居て商人の顔を見ただけですから」
と言った後にアンドル王子がこちらを見た。
「本当にすまなかった。すぐに商人達を外に連れ出すべきだったのに、物凄く動揺して、ここでつい問い詰めた。旅の話を聞く為に呼んで、何故、依頼されてこの国の令嬢を調べましたって勝手に謝罪しているんだと訳がわからなくなって。ミランダ嬢と今日話す計画が全部水に流れたと…ハァ、ごめん、また自分勝手な話だ」
「動揺、わかります。今も何がと思う気持ちとこうやって話して下さると落ちついてきました。教会はダイアナさんの何を知りたいのでしょうか?」
「以前、夜会前に二人を会わせた事が原因か」
あーダイアナさんってあの言動で聖女様を怒らせたってこと?
それとも、
本当の目的は…
『忌み子』を探しているってこと?
鎖がギュッと私の身体を締めた気がした。
私的に問題は、二人になりお宅訪問は良くないと思っている。最悪な誤解の噂が恐ろしい。
今日、思いっきって王子様に聞いてみよう。
出来るだけ複数人と一緒に会えば誤解はされないし、お義兄様も王宮に来やすいかもしれないわ。
あれこれ今日話すこと、言い方を頭の中で考えていると、
「おーい、大丈夫か?ミランダ嬢、体調が悪いなら、無理しない方がいい」
えっ!?
「アンドル王子様!私いつの間に!」
私ったら歩きながら、意識だけ彼方に行っていたわ。目の前にアンドル王子様がいた。とてもラフなスタイルで…
プライベートルーム感満載です。またお宅訪問、
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金色の髪に映えますね。とてもお似合いです。
あぁ、やっぱり何かがおかしいわね、これは!
「プッフフフ、また別なこと考えていたんだろう?だんだんミランダ嬢が、わかってきたよ。フラフラしているから、危なかっしい。歩く時はちゃんと意識しないと!いくら仲が良い侍女がいるからといっても、注意しないといけないよ」
何故か私は、王子に注意をされていた。その言い方、まるで、
「もう、アンドル王子様、何だかお義兄様みたいな口調だわ、最近人間関係を考えることばかりで気が逸れてしまって」
「いつもディライドは、こんな風にミランダ嬢に注意するのか…そうか…
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明らかに落ち込んだ笑顔になられても、私も困る。
「いえ、知らなかったから、私には積み重ねたものがないし、他者との関わりが希薄で、他者を怒らせてしまうばかりで…」
「揉めたのかい?」
「ち、違います、私の理解度が低いせいと知らなさすぎが原因なので…」
「表情が、暗いな。今日はその問題を解決しようか」
と王子が提案するけど、私もサーシャさんになんて言えばいいかわからない。
リリエットを奪ってごめんって事だけじゃないだろうし。
「いえ、人間関係の複雑さは…今はちょっと離れたいかなと」
王子は理由は聞かず、そういう時もあるね、と同意してくれた。
「では、明るい旅の話をしてもらおう!東方諸国の商隊から商人三人だよ」
*
応接室にエスコートされながら入ると、商人達の顔色は悪く、緊張しているようで、汗がずっと流れている。
明るい旅の話…
アンドル王子様から紹介を受けて挨拶をする。
「初めまして、ミランダ・イズリーです。本日はよろしくお願いします」
商人の一人の唾を飲み込む音が響く。
「本日は、お話聞かせて下さい」
王子もそう言い、私をエスコートしながらソファに勧め、座り込んだ。
商人達の私を見る目が…
まだ何も話しをしていないのに、何故こんなに緊張しているの。
今、人がいると言っても、このテーブルについて話を聞いているのは、アンドル王子様と私のみ…
そして壁側に侍女達。
沈黙。
商人は物だけでなく話も売る。この状況を見て『友達』として捉えるのか…
チラッと横を向くと、王子様がそこにいた。
また表情筋動かさず、少し口角上げているの?様子を窺っているのだろうか?
今、みんなが知りたい情報…それは婚約者!
…まさか!!
私から言わなくては!
「商人の方々、誤解なさらないでね。噂話程度の中にも沢山情報が入っておりますものね?本日、私がここにいる意味という点でそういう意味ではないと察して頂けるとありがたいですわ」
言わないでね。絶対に!
友達なんだから、下手なこと言われると誤解される。大変なことになるから!
と両手を思わずグッと握る。
商人達が、再び私をジッと見た。
あ!?これは!この野暮ったい眼鏡令嬢が、誤解なんてするわけないだろう、って思ってますね!?
そうね、なんという自惚れ!
横を見ると、王子はあの人間味を失った顔をして…
王子自ら誤解するなよ、お前達!という意味を出しているのね。
なんか色々ごめんなさい。
汗を拭おうとハンカチを取り出そうとすると、
「申し訳ございません!」
一人がこの駆け引きみたいな沈黙に耐えられず、床に落ちた。
そしてその隣の商人達も崩れ落ちるように
「私達のことは、やはり全部調査済みってことですよね、名も通ってない商人の私達が王宮に呼ばれるなんて…」
「間者ではありません、確かに情報は集めましたが!」
次々と土下座し、弁明をする三人。
へ!?
何故いきなり突拍子もない話に?そんなこと誰も一言も問い詰めていないよ。
「確かに、この国である情報を欲しいと依頼されています。でも国の政治や経済とかじゃなくて…マリングレー王国の教会から、ダイアナ・ガトルーシーが何をしたのか、誰を巻き込んだかです」
「我々は、個人調査ぐらいの気持ちでしたので、まさか城に連行される程の話だと思わず…」
いきなり話始められた。
「教会が?男爵令嬢を?マリングレー国の神官が事件を起こしたのは、約三週間前ですが、その件でですか?」
王子が冷たく淡々と言い、侍女が扉を開けた途端、騎士が数人入って囲んだ。私はただ驚くばかり。
「いいえ、依頼は二か月前ですし、私達としたら、小遣い程度の依頼だと思っていたら…調査すると、対象者は友人とともに人攫いに会ったと、また最近マリングレー王国の神官が貴族に事件を起こして捕まった事件を聞いた途端、使者がこの依頼書を持って来たから…まさか被害者のミランダ・イズリー様までいるなんて。貴族令嬢の秘密を暴こうとしたわけではないのです」
「それは、逆に貴重な話が聞けたよ。ミランダ嬢の事は神官事件で名前は伏せているが?」
王子が言った。
私に何かが絡ってきた。
ゾワとする鎖のように…
「ダイアナ嬢が攫われた事件に巻き込まれた令嬢がミランダ様で、神官が暴力をふったとされる令嬢は、綺麗な水色の髪と…街で聞きました」
やっぱりあの騒ぎを見ていた人の口から、ただの被害令嬢で収まっていないのね…特徴が漏れているのね。
「で、あなた達は、依頼主に報告はしましたか?どこでそのような依頼を受けたのですか?」
冷静に取り調べを進める王子。
「いえ、これからイズリー領の港からマリングレー王国に向かうつもりでした。そこで取引をと…東方諸国はマリングレー王国と数多く取引しておりますから、彼方此方に教会があります。その一つの」
「では、教会全体が一斉にその件を各商人に依頼している可能性があると言いたいのかな。一応、私の耳に入って来たのは今日初めてだよ」
「…はい。私達は丁度商隊として回っていた場所が、クリネット王国と近かったので、私達が一番に情報を売れるとは思ってました」
「そうか、教会ね、ダイアナ嬢か、夢見の乙女については?」
王子が商人に聞いた。
「教会では、ただ聖女様の夢見に出てきた令嬢だから調べる必要があるとだけ」
顔を上げ、既に絶望に染まった表情で商人の一人が震えながら話した。そしてそのまま商人達は騎士に連れて行かれた。
マリングレー王国の教会から依頼を受けた商人を捕まえた…という事?
やっぱり間者?
「ごめんね、ミランダ嬢。怖かっただろう。突然の罪の告白に…」
「いえ、私の名前を言われて驚きましたが、確かに店で神官もダイアナさんに聖女様からの手紙があると言ってました…
が、すいません、私はあまりの突然の謝罪から始まって間者の弁明と言われても、ついていけなくて今、何が何だかで」
と言えば、アンドル王子様も深い溜息を吐かれて、
「本当だよ、我々が入って自己紹介した途端だよ、いきなり床に座って謝罪と弁明。何が起こったかと身構えたよ」
「いえ、アンドル王子様は、ずっと顔色も変えず質問し、冷静に対処されて凄いと思いました。私なんてこの部屋に居て商人の顔を見ただけですから」
と言った後にアンドル王子がこちらを見た。
「本当にすまなかった。すぐに商人達を外に連れ出すべきだったのに、物凄く動揺して、ここでつい問い詰めた。旅の話を聞く為に呼んで、何故、依頼されてこの国の令嬢を調べましたって勝手に謝罪しているんだと訳がわからなくなって。ミランダ嬢と今日話す計画が全部水に流れたと…ハァ、ごめん、また自分勝手な話だ」
「動揺、わかります。今も何がと思う気持ちとこうやって話して下さると落ちついてきました。教会はダイアナさんの何を知りたいのでしょうか?」
「以前、夜会前に二人を会わせた事が原因か」
あーダイアナさんってあの言動で聖女様を怒らせたってこと?
それとも、
本当の目的は…
『忌み子』を探しているってこと?
鎖がギュッと私の身体を締めた気がした。
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