今日も楽しくいきまshow!?

犬野きらり

文字の大きさ
上 下
59 / 120

59 薬草園に行きました 其の3/ディライド・イズリー4

しおりを挟む
帰り道、リリエットが緊急招集をクラスメイトにかけた。
そして授業終わりに今日の出来事をみんなに報告をした。
驚く者、私を慰める者、考える者、怒る者と様々だったけど、みんな

「ダイアナさんに注意をしよう」

意思統一を図った。
それぞれ危機意識が高いわ。
私も見習わないといけない。
私は、頷くばかりでどうしたらいいか思い当たらないわ。

全く意見を出せないし、見ていたと思ったけど、実際肝心な場所を見ていなかった…
リリエットを見習わないといけません。

もちろん、今日のことはラナ達に報告ね。
私も侍女達に対策を聞いて、リリエット達にも教えないと。こういうのは、集団でいることが重要で、情報も共有した方がいいと聞いたから。

「ミランダちゃん、今日は王宮に行ってくる。屋敷についたら、そのまま行くから」

と帰りの馬車で言われ、私が、侍女達にお義兄様の帰りが遅くなることを説明した。たぶんダイアナさんのことを報告に行くのだろう。
彼女、お義兄様のこと仲間と言っていたし、アンドル王子様の側近という意味なのかしら?
でも仲間が、みんなに嫌われる環境は困るものね~、注意するのかな。



「ラナ、今日ね、お義兄様と私の間にダイアナさんが、手を伸ばしてきてお義兄様の腕に絡みつこうとしたのを、お義兄様が拒否して、その後、ダイアナさんが体勢を変えた時、リリエットが私を引っ張ってくれて、ダイアナさんが突然地面に座って…
私が制服を引っ張って転ばしたみたいに言われたの。リリエットが距離があるのにそんなはずないと言ったら、勘違いでしたと謝ってきたのだけど。
クラスで、ダイアナさんには、気をつけようと意思統一したのだけど、どう気をつければいいかわからないの?教えてくれる?」

と聞くと、

「わざと転んだふりをしてくるのですか?貴族令嬢同士で?そんなはしたないことするなんて信じられませんが…男爵家の方ですよね?…そんなの見る人がいれば、すぐバレる話ですよ。それをお嬢様のせいにするなんて言語道断です」

本当にその通り。
他の侍女もザワザワし始めた。

「…きっとディライド様の気を引きたくてわざとですよね。ミランダ様を貶めて、そんな演出許せませんよ。私達も包囲網を敷いた方が良いのではないですか?」

と違う侍女がお茶を用意している侍女に話し、ラナが、

「奥様に意見を窺いましょう」

と言い始めた。お義母様まで話が行くの?私達って使用人一同!?
広がりが凄い…いや、早い
侍女達が、私は、あの家に知り合いがいるとか聞こえる。
これは、侍女関連も広がる。

「事が大きくなっていないかしら?」

と聞くと、

「お嬢様!これはとんでもないことですよ。イズリー家の令嬢を罠に嵌めようとしたのですから!」

そうなの?そんな凄い大変なことなの?
その前にマリアーノ様とのいざこざがあって、あちらも罠に嵌められた可能性があるらしいのだけど。

サロンに来るように、お義母様から呼び出された。
キリッとした様子で優雅にお茶を飲む貴婦人と可愛いレオン。

何故レオン?

「ミランダ、聞きました。そのダイアナ・ガトルーシーさんの言った言葉を教えてちょうだい」

「教えて、お義姉様」

二人から食いいるような目線、目力を浴びて、これは面接?イズリー家のテストかもしれない…

ここは流石に忘れましたは、絶対にないわ。
私も同じ過ち、マユリカ王女様の黒鞭事件の二の舞はしないよう、自分の所だけは、覚える努力はしていますから!

「ええっと、まず、ダイアナさんが『ディライド様、ミランダ様が突然私の制服を引っ張って、私、転ばされました』と言われ、リリエットが、『ミランダはこっちにいるのよ。あなたの制服を引っ張れるとしたら、ディライド様のみよ!』と反論して、『えっ?あ、違いました。私、一人でよろけてしまって、引っ張られたと勘違いです。ディライド様は関係ないです』でした。その後、謝って走って去りました」

と言うと、二人は頷き合いながら、

「完全にクロだね」

レオンが言った。クロ?何故色をいうの?

「まぁ、この事は育て方にも問題があるわね、今度のお茶会でみなさんに気をつけた方が良い例として、お話しさせてもらうわ」

「僕も今度、第二王子の茶話会に呼ばれているから、話を紹介するよ」

と明るく話す。紹介?

…そんな大層な話なのかしら?

でも、もう言えない。
話さなきゃ良かったかもなんて…
いずれ今日の薬草園の話もみんなに読んでもらうつもりだったのだから…

きっと、今か先かの違いだけ。
…たぶん。
みんな気をつけましょう、と危機意識を呼びかけるだけよね?



ディライドside

王宮に向かっている。

「なんか会いたくない。イライラするし、話したくない」

今までは、ただ面倒な相手で厄介な役職だから、少し距離を開けて付き合う幼馴染み。

「何故アンドルは、ミランダちゃんに好意を持って見るのか…あの目、あの表情が許せない」

私を苛立たせる。
ミランダちゃんの素顔を知らないはずだ。一度見た時、女神とミランダが同一人物とは、間違いなく気づかれていない。

どう調査をしても、接点が無い。ウランダル王国から帰国後に、あいつの言動や表情、纏う空気感、人としての感情…が突然変わっていた。
出発前に、ミランダの名前さえ覚えていない程度の存在だったはずなのに。
人は、いきなりこんなに変わるはずはない。
それもわかりやすいぐらいミランダに対してのみ。
絶対にどこかで接点があり、関わりがあったはず。ミランダが、アンドルを隠し庇い立てをするような誤魔化しが出来る子ではない。
会ってない、話してないと言うなら、間違いなくアンドルとは身分を明かしてない誰かとして、話したに違いない。
あの態度に答えがあるなら、それしかない。
…その証拠が、出て来ない。



王宮の執務室の扉をノックする。

「ディライド・イズリーです。失礼します」

「…ディライド。珍しいな、ここに来るなんて」

とこちら見ずにペンを動かしている。心なんか入っていない単なるやり取り。こういう奴だ。職業王子のままだな。
変わってないと思う…なのに!!

「アンドル、いや、サイファ、ダイアナ・ガトルーシーの手綱はどうなっている?」

「今日の事ですか?マリアーノ嬢との争い、マリアーノ嬢がダイアナ嬢に手を出し転ばせた話ですよね。私は、二人を保健室や応接室に連れていき、事情聴取しましたが、薬草園へ馬車で行きたい、それは駄目だという喧嘩ですよ」

とサイファが呆れを表して言った。やっぱりダイアナは、自分の都合の悪いことは報告しないタイプか。

「違う、薬草園で、あの調子に乗った馬鹿令嬢は、うちのミランダに手を出した!」

ガタッ

立ち上がったアンドル。
そういう態度が、私を苛立たせるんだ。

「アンドルが立ち上がる必要はないだろう。関係ないよ」

と言うと、睨むように私を見る。優しい顔されるより、その方がマシだと思うのは何故だろう。だが、心が落ち着かない。

「ディライド、ダイアナ嬢がミランダ嬢に何をした?」

と王子自らの質問か。今までだったら無視だろう。

…イライラする。

「私に腕を絡みつけようとして、断ったら方向転換して、いきなり地面に座り込んだ。ミランダの友人が、機転をきかせて、ミランダのいた位置をずらしたが、言い分がこれだ。
『ディライド様、ミランダ様が突然私の制服を引っ張って、私、転ばされました』
側にいたのが私だと気づいて、
『えっ?あ、違いました。私、一人でよろけてしまって、引っ張られたと勘違いです。ディライド様は関係ないです』
だよ、何がしたいんだ?」

と聞くと顔色を悪くしたサイファ…

「す、すまない、今から事情聴取に行く」
と答えたが、

「調子に乗らせすぎだ。私にウランダル王国の謀略を潰した仲間じゃないですかと言ってきたよ。ミランダちゃんは、危機意識が低いから、ダイアナ嬢が自分を嵌めようとしたことをわかっていない」

「まさかミランダ嬢に手を出すなんて…ディライドと一緒にいたいからか」

サイファも憎々しい言い方になったが、私は頷く。

「アンドルは何かしたか?」
と聞くと、

「まさか、サイファに言われた馬車の中で、いじめられたという報告だけ受けた。私からは、何の言葉もかけてない。ただいつも通りの顔をしていただけだ。もちろんミランダ嬢の話もイズリー家の話もしていない」

あぁ、あのどうとでも取れる顔な。

「すまない、私は、頼まれて、王宮の知り合いの教師を紹介した」

とグレゴリーが話した。こいつも人の世話をするなんて…変わったな。

「で、どうするんだ、対策は?」

「すまない、ディライド、ミランダ嬢の様子はどうなんだ?怖がっているのか?」

止めろ!アンドルがミランダを心配するな。

「関係ないだろう」

言葉が強く出る。


「対策を言え!」

何故アンドルは、私を苛立たせることばかり言う!

「わかった、ダイアナ嬢には止めろと忠告する」

「いや、サイファ、助言も手も貸すな。夢見と言われても耳を貸すな。ファンド侯爵家には、私から助言して事を動かす。あと、どんな方法でミランダに会ったか知らないが、近づくな。話すな。顔を見るな」

と言うと、グレゴリーが、突然、腹を抱えて笑った。

「珍しいな、ディライド、何をそんな子供ぽいことを言っている。同じ学校にいるんだ、会うだろう?焦って、動揺して、慌てふためく我儘な子供みたいだぞ」

と笑う。まだ笑う。
腹が立つ。

真っ直ぐに見てくるアンドルの視線が痛くて、視線を逸らした。

…負けた気分になった。

最悪だ。
だからここに来たくなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

訳あり冷徹社長はただの優男でした

あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた いや、待て 育児放棄にも程があるでしょう 音信不通の姉 泣き出す子供 父親は誰だよ 怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳) これはもう、人生詰んだと思った ********** この作品は他のサイトにも掲載しています

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

私、確かおばさんだったはずなんですが

花野はる
恋愛
不憫系男子をこよなく愛するヒロインの恋愛ストーリーです。 私は確か、日本人のおばさんだったはずなんですが、気がついたら西洋風異世界の貴族令嬢になっていました。 せっかく美しく若返ったのだから、人生勝ち組で楽しんでしまいましょう。 そう思っていたのですが、自分らしき令嬢の日記を見ると、クラスメイトの男の子をいじめていた事が分かって……。 正義感強いおばさんなめんな! その男の子に謝って、きっとお友達になってみせましょう! 画像はフリー素材のとくだ屋さんからお借りしました。

処理中です...