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58 薬草園に行きました 其の2
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薬草園に着くと、白衣を着た薬剤研究員の方々がいた。
先生が遅れていることを説明している。
何とも言えない空気で…
「では案内します」
私達のクラスは、研究所の所長さんに案内してもらう。
穏やかな雰囲気で安心した。
最初のハーブ園の区画は、外で栽培、温室栽培と案内を受ける。喉の薬や茶にするものなど説明を受けて、次は木の果実、匂いが柑橘系に一気に変わる。
クラスメイトは、
「いい匂いよね、皮を集めて匂い袋を作ったり、煮詰めてジャムもいいわよね」
と話して、口の中に柑橘の酸っぱさが広がった。そんな最中に、お義兄様がやってきた。
「失礼します。遅れました」
と一礼をしてから入ってきた。歓声が沸く…流石だわ。
所作も完璧で柔かな笑顔も自然、どこを切り取っても完璧王子だわ。
自慢の義兄ね。
「お義兄様、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫。今。私のクラスは、今月末の文化祭の準備だけどね。まぁ、私の方で必要な物の手配は一手に引き受ける条件で、みんなが相談して書き出してくれている間は、暇だから抜けてきた」
「え?許可取るって言ってませんでしたか?」
「絶対大丈夫だと思ったのに、意外と先生が、頑なに授業に出てとか言って、フー、私を困らす。だからカリキュラムのホームルームを今の時間に変えてもらった」
そんなのマリアーノ様の馬車に乗るよりも悪質だと思う。ダイアナさんはお義兄様にも言うのかしら?
一人勝手なことすると、みんなに迷惑をかけるって話。
たぶんお義兄様の方がよっぽど自分勝手だと思うわ。
クラスメイトにも聞こえているだろう話に、今日あった喧嘩を伝えられなかった。顔も見れないわ。
ごめんなさい、うちのお義兄様がと、心で本日のカリキュラムを変えられたクラスメイトと先生に心の中で詫びる。
「みなさん、お茶の準備が出来ました。飲み比べて下さい」
研究員の皆さんが用意してくれたポットに、みんなこっそり持ってきた菓子をテーブルに置く。
これが、友達同士のお菓子交換!
すぐ隣のお義兄様を見ると、笑っていた。
私も持ってきたチョコクッキーを出す。
リリエットが、
「ミランダ、これ、最近出店したお店じゃないの?気になったのだけど、聞いたことがなかったから、手を出さなかったの」
と言われて、
「お義兄様の紹介で」
と言えば、また歓声が沸く。みんなが喜んでくれて良かった!
「お義兄様、みんなが私のお菓子を求めてくれています。凄い嬉しいです」
夏季休暇のお土産は、2個しか渡せなかったけど…今回は、用意した分みんな喜んで取ってくれる。
「あ、これ、お義兄様の分」
チョコクッキーを差し出す。
「ありがとう、ミランダちゃん」
嬉しそうな笑顔が溢れて、私も幸せな気持ちになった。
お菓子の交換は、味の評論会になり、お茶も飲んで、みんな饒舌に会話が弾んだ。
その中に私がいるなんて、信じられないなと思いながら、みんなの話にずっと頷いていた。隣にいるお義兄様は何も話さず、笑顔でくすぐったい。私だけ心配症の保護者同伴だからなのか、友達の輪に入っている様子を温かく見守られているからなのか…
恥ずかしさと穏やかな空間が、心地良い。胸が、ぽかぽかするのはお茶のせいなのかもしれない。
「では自由行動です。区画5つ本日解放です。えっと…お勧めは、区画4の温室です。貴重な草花が置いてあります」
所長が話す。
もしかして、その温室に月下美人が置いてありそう。
「リリエット、区画4の温室に行きましょう。きっと月下美人は、そこに展示されているのよ」
と言えば、
「…ええ」
何故か遠慮がちに返事をされた。リリエットはすぐに義兄を見た。何か変だったかしら?温室は、少し暑い。外気とは温度差がある。
入ってすぐにわかった。
「飾り方が…」
と言うと、お義兄様も苦笑して、
「酷いな、これは。いかにも自分のだけだな」
と言い、リリエットも
「絶対にみんなに見てほしいが、全面に出てますね」
と仕方無さそうに笑った。入ってすぐの反対側に4段ほどの階段を作り、その3段目に置かれた月下美人。
ちょうど私の胸の高さぐらいに鉢があり、よく見える。
というか、それしか見えない。階段の置き場には、その主役、月下美人しか無いのだから。
葉っぱも茎も凛として艶もありスッと伸びている。蕾は茎の延長先にあるが包まれていて、花は想像つかない。
「きっと大きな花が咲くのでしょうね」
蕾は一箇所しかついていなかった。きっとアンドル王子様は、この子にかける思いが熱いのだろう。
笑ってはいけないと思いつつ、この階段といい、鉢植え一つを中央に置く姿といい、もしこの子が人間だったら、
『絶対君主』
になりそうだと思う。今、読んでいる物語に影響を受けているのだけど。
「ディライド様~」
という声が聞こえた。
ダイアナさんだ。怪我はなかったのだろう。温室の外からかしら、随分と遠くから呼んでいるわね。王宮派遣の家庭教師とは、そのあたりの教育は?
「ミランダ、ここから出ましょう。万が一こんな所で、転ばれたら鉢植えが割れてしまうわ」
とリリエットは言った。
まるでダイアナさんが、転ぶ事が前提のように…
「お義兄様?」
「あぁ、リリエット嬢の言う通り、ここは狭いしね。アンドルの宝物もある、他の見学者の邪魔にもなるから出ようかな」
と三人で出ると、ダイアナさんがいた。
「ディライド様、私、一人で探していました。聞いて下さい。薬草園に歩いて行く決まりをマリアーノ様が馬車で行きたいと言うので、注意したら、暴力振るわれたのです!酷いですよね!」
「そうだね。災難だったね」
そっけなくお義兄様は、ダイアナさんの言葉を終わらせる。ダイアナさんは、お義兄様の腕に手を伸ばす。
本当にこの人は、誰かの腕に絡みつくのが好きなんだなぁ、と思う。そしてサイファ様はどうしたの?同じ一年生なので、参加しているのでは?
「困るな、ダイアナ嬢。そういうのはサイファだけにした方がいいよ」
手を丁重に断っていた。当然です。
「サイファ様は最近冷たいんです。私がアンドル様と仲が良いから遠慮しているのかもしれないですけど」
と言えば、
「では、私も遠慮しよう。アンドルにもサイファにも嫌われたくないから」
と言われると、得意気な顔になったダイアナさんは、
「大丈夫ですよ。ディライド様もご存知の通り、ウランダル王国の野望を潰した仲間じゃないですか!私達は特別ですから!」
?よくわからないけど、お義兄様とは仲間らしい。
「私は先に帰るよ」
珍しい。
お義兄様がお一人で帰るのですか?
私に向かってお義兄様が言うと、ダイアナさんが、ぐるりと体勢を私側に身体を入れた、と思う。
同時に、リリエットが私の腕を思い切り引いた。
「何?」
という間にダイアナさんが座り込んだ。そして、
「ディライド様、ミランダ様が突然私の制服を引っ張って、私、転ばされました」
と言った。
「えっ!?」
驚いた。スッとリリエットが前に出た。
「何言っているのかしら?ダイアナさん。ミランダはこっちにいるのよ。あなたの制服を引っ張れるとしたら、ディライド様のみよ!」
「えっ、そんなはず…」
私を見るダイアナさん。確かに二歩ぐらいの距離がある。手を伸ばしても制服に届かない。
「ダイアナ嬢、私は君の制服なんて引っ張っていないよ」
とお義兄様が冷たく言った。
「えっ?あ、違いました。私、一人でよろけてしまって、引っ張られたと勘違いです。ディライド様は関係ないです」
「違うよ!我が家のミランダのせいにしたよね」
とお義兄様が言うと、ダイアナさんは、慌てた様子と、今みんなに注目されている感じを見回してから、
「ごめんなさい、勘違いでした」
と謝ってから、走って逃げた…
リリエットが、
「私、マリアーノ様が手を伸ばした時、ダイアナさんの肩に当たっていないのにダイアナさんが、下にお尻をついたのを見て、もしかしてわざとやっているかもと思ったの」
と言った。
何と!?私も見ていたはずだけど、手が触れたかどうかは、よくわからなかったし、確かに音はしなかった。
今日もリリエットに感謝の日になりました。
先生が遅れていることを説明している。
何とも言えない空気で…
「では案内します」
私達のクラスは、研究所の所長さんに案内してもらう。
穏やかな雰囲気で安心した。
最初のハーブ園の区画は、外で栽培、温室栽培と案内を受ける。喉の薬や茶にするものなど説明を受けて、次は木の果実、匂いが柑橘系に一気に変わる。
クラスメイトは、
「いい匂いよね、皮を集めて匂い袋を作ったり、煮詰めてジャムもいいわよね」
と話して、口の中に柑橘の酸っぱさが広がった。そんな最中に、お義兄様がやってきた。
「失礼します。遅れました」
と一礼をしてから入ってきた。歓声が沸く…流石だわ。
所作も完璧で柔かな笑顔も自然、どこを切り取っても完璧王子だわ。
自慢の義兄ね。
「お義兄様、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫。今。私のクラスは、今月末の文化祭の準備だけどね。まぁ、私の方で必要な物の手配は一手に引き受ける条件で、みんなが相談して書き出してくれている間は、暇だから抜けてきた」
「え?許可取るって言ってませんでしたか?」
「絶対大丈夫だと思ったのに、意外と先生が、頑なに授業に出てとか言って、フー、私を困らす。だからカリキュラムのホームルームを今の時間に変えてもらった」
そんなのマリアーノ様の馬車に乗るよりも悪質だと思う。ダイアナさんはお義兄様にも言うのかしら?
一人勝手なことすると、みんなに迷惑をかけるって話。
たぶんお義兄様の方がよっぽど自分勝手だと思うわ。
クラスメイトにも聞こえているだろう話に、今日あった喧嘩を伝えられなかった。顔も見れないわ。
ごめんなさい、うちのお義兄様がと、心で本日のカリキュラムを変えられたクラスメイトと先生に心の中で詫びる。
「みなさん、お茶の準備が出来ました。飲み比べて下さい」
研究員の皆さんが用意してくれたポットに、みんなこっそり持ってきた菓子をテーブルに置く。
これが、友達同士のお菓子交換!
すぐ隣のお義兄様を見ると、笑っていた。
私も持ってきたチョコクッキーを出す。
リリエットが、
「ミランダ、これ、最近出店したお店じゃないの?気になったのだけど、聞いたことがなかったから、手を出さなかったの」
と言われて、
「お義兄様の紹介で」
と言えば、また歓声が沸く。みんなが喜んでくれて良かった!
「お義兄様、みんなが私のお菓子を求めてくれています。凄い嬉しいです」
夏季休暇のお土産は、2個しか渡せなかったけど…今回は、用意した分みんな喜んで取ってくれる。
「あ、これ、お義兄様の分」
チョコクッキーを差し出す。
「ありがとう、ミランダちゃん」
嬉しそうな笑顔が溢れて、私も幸せな気持ちになった。
お菓子の交換は、味の評論会になり、お茶も飲んで、みんな饒舌に会話が弾んだ。
その中に私がいるなんて、信じられないなと思いながら、みんなの話にずっと頷いていた。隣にいるお義兄様は何も話さず、笑顔でくすぐったい。私だけ心配症の保護者同伴だからなのか、友達の輪に入っている様子を温かく見守られているからなのか…
恥ずかしさと穏やかな空間が、心地良い。胸が、ぽかぽかするのはお茶のせいなのかもしれない。
「では自由行動です。区画5つ本日解放です。えっと…お勧めは、区画4の温室です。貴重な草花が置いてあります」
所長が話す。
もしかして、その温室に月下美人が置いてありそう。
「リリエット、区画4の温室に行きましょう。きっと月下美人は、そこに展示されているのよ」
と言えば、
「…ええ」
何故か遠慮がちに返事をされた。リリエットはすぐに義兄を見た。何か変だったかしら?温室は、少し暑い。外気とは温度差がある。
入ってすぐにわかった。
「飾り方が…」
と言うと、お義兄様も苦笑して、
「酷いな、これは。いかにも自分のだけだな」
と言い、リリエットも
「絶対にみんなに見てほしいが、全面に出てますね」
と仕方無さそうに笑った。入ってすぐの反対側に4段ほどの階段を作り、その3段目に置かれた月下美人。
ちょうど私の胸の高さぐらいに鉢があり、よく見える。
というか、それしか見えない。階段の置き場には、その主役、月下美人しか無いのだから。
葉っぱも茎も凛として艶もありスッと伸びている。蕾は茎の延長先にあるが包まれていて、花は想像つかない。
「きっと大きな花が咲くのでしょうね」
蕾は一箇所しかついていなかった。きっとアンドル王子様は、この子にかける思いが熱いのだろう。
笑ってはいけないと思いつつ、この階段といい、鉢植え一つを中央に置く姿といい、もしこの子が人間だったら、
『絶対君主』
になりそうだと思う。今、読んでいる物語に影響を受けているのだけど。
「ディライド様~」
という声が聞こえた。
ダイアナさんだ。怪我はなかったのだろう。温室の外からかしら、随分と遠くから呼んでいるわね。王宮派遣の家庭教師とは、そのあたりの教育は?
「ミランダ、ここから出ましょう。万が一こんな所で、転ばれたら鉢植えが割れてしまうわ」
とリリエットは言った。
まるでダイアナさんが、転ぶ事が前提のように…
「お義兄様?」
「あぁ、リリエット嬢の言う通り、ここは狭いしね。アンドルの宝物もある、他の見学者の邪魔にもなるから出ようかな」
と三人で出ると、ダイアナさんがいた。
「ディライド様、私、一人で探していました。聞いて下さい。薬草園に歩いて行く決まりをマリアーノ様が馬車で行きたいと言うので、注意したら、暴力振るわれたのです!酷いですよね!」
「そうだね。災難だったね」
そっけなくお義兄様は、ダイアナさんの言葉を終わらせる。ダイアナさんは、お義兄様の腕に手を伸ばす。
本当にこの人は、誰かの腕に絡みつくのが好きなんだなぁ、と思う。そしてサイファ様はどうしたの?同じ一年生なので、参加しているのでは?
「困るな、ダイアナ嬢。そういうのはサイファだけにした方がいいよ」
手を丁重に断っていた。当然です。
「サイファ様は最近冷たいんです。私がアンドル様と仲が良いから遠慮しているのかもしれないですけど」
と言えば、
「では、私も遠慮しよう。アンドルにもサイファにも嫌われたくないから」
と言われると、得意気な顔になったダイアナさんは、
「大丈夫ですよ。ディライド様もご存知の通り、ウランダル王国の野望を潰した仲間じゃないですか!私達は特別ですから!」
?よくわからないけど、お義兄様とは仲間らしい。
「私は先に帰るよ」
珍しい。
お義兄様がお一人で帰るのですか?
私に向かってお義兄様が言うと、ダイアナさんが、ぐるりと体勢を私側に身体を入れた、と思う。
同時に、リリエットが私の腕を思い切り引いた。
「何?」
という間にダイアナさんが座り込んだ。そして、
「ディライド様、ミランダ様が突然私の制服を引っ張って、私、転ばされました」
と言った。
「えっ!?」
驚いた。スッとリリエットが前に出た。
「何言っているのかしら?ダイアナさん。ミランダはこっちにいるのよ。あなたの制服を引っ張れるとしたら、ディライド様のみよ!」
「えっ、そんなはず…」
私を見るダイアナさん。確かに二歩ぐらいの距離がある。手を伸ばしても制服に届かない。
「ダイアナ嬢、私は君の制服なんて引っ張っていないよ」
とお義兄様が冷たく言った。
「えっ?あ、違いました。私、一人でよろけてしまって、引っ張られたと勘違いです。ディライド様は関係ないです」
「違うよ!我が家のミランダのせいにしたよね」
とお義兄様が言うと、ダイアナさんは、慌てた様子と、今みんなに注目されている感じを見回してから、
「ごめんなさい、勘違いでした」
と謝ってから、走って逃げた…
リリエットが、
「私、マリアーノ様が手を伸ばした時、ダイアナさんの肩に当たっていないのにダイアナさんが、下にお尻をついたのを見て、もしかしてわざとやっているかもと思ったの」
と言った。
何と!?私も見ていたはずだけど、手が触れたかどうかは、よくわからなかったし、確かに音はしなかった。
今日もリリエットに感謝の日になりました。
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