今日も楽しくいきまshow!?

犬野きらり

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42 ダイアナ・ガトルーシー 3

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ダイアナside

あーーーーーぁあ!!

イライラする…

自分が知っている話通りに進まない。
理由はわかっている。

『ティア・マリングレー』

あの偽物が、私になり変わろうとしているからだ。
王女のくせに平凡な夢見の乙女の振りをして、先回りして物語を進めて、結果、何が聖女よ、夢見の乙女よ。あの偽物!

私の手柄を横取りして!

自分の容姿に自信がないからって。
許せない。

ヒロインの偽物が活躍すればそうなるに決まっているわ。改編されたから私の印象が物凄く薄くなってしまった。

アンドル王子の婚約者にマユリカ王女が選ばれないのも、あの偽物のせい。マユリカ王女に聞いたら、勝手にティア王女が夢見の進言をしたと教えてくれた。

私に気をつけろですって、どこまで、偽物がこの小説のことをバラしのか…

あの馬鹿王女のご機嫌をとって、アンドル様と婚約するようにと言っても、悪役令嬢同士で潰し合うし。
話すな、相手にするなと説明しているのに、あの馬鹿王女も勝手に動いて、私の計画通りにいかなかった。

「どうして、言うことを聞いてくれないのよ」

こんなはずじゃない。
あの偽物は、マリングレー王国に帰っている。私は本物のヒロイン、修正力があるはず!
それなのに…

…忌々しい、陰鬱な水色王女なんて言われて、嫌われている。悪役王女と対立するのも、いじめられるのも私の役目なのに。

どうすれば良い?
あの偽物は私を排除しようとしているのよ、そしてヒロインに成りアンドル王子の妃に!

私の言葉を信じてくれるのは、彼よ、彼に全部言うしかないわ。

「サイファ様、お話があります」

「何?」

「ティア王女の夢見の進言についてです」

そう言った瞬間、サイファ様の片眉が動いた。
サイファ様が言った。

「ダイアナ嬢の夢見は、半分当たって半分外れたね。マユリカ王女様が、転入してきたのが、当たりで、アンドル王子の婚約者になってない事が外れ。ティア王女様は、先の未来まで見て宣言しましたよ」

違う、違う。
それは、あの偽物がアンドル様にマユリカ王女と婚約しても、婚約破棄になるからするなと物語の結末を話したからでしょう!

「サイファ様、聞いて下さい。マユリカ王女が、言ったんです。ティア王女様が、
『ダイアナ嬢は、別人が取り憑いている、危ない存在。破滅したくなければ、近づくな』
そんな宣言を受けたから、私の言葉も疑っているとか、酷くありませんか?私は、転入してきてクリネット王国に不慣れだろうから、お手伝いをしたい気持ちがあります。ティア王女の夢見は、私の行く先を壊して排除しようとしているだけです。あの方こそ、狡賢い前世持ち、転生者です」


「前世持ち?でテンセイシャ?」

サイファ様は考えるように復唱していた。
やっぱり!
あの偽物は、自分のことは、棚上げして私だけを危険人物、この世界の異物として排除しようとしているのね。

「あの偽物が、前世の記憶を持っているのは明らかです。聖女と称される知識は前世と呼ばれる世界では、幼児でも知っていることです。そして大事なのは、この世界が、前世の娯楽の一冊として、この国の小説があって、私が、夢見の乙女として活躍する話を盗ったんです。彼女は、前世の同郷です」

サイファ様は、最初信じなかったのか、呆れていたのか。
ただ何も言わず、私を見ていた。
私を探るように…

「しかし、ダイアナ嬢もマユリカ王女にいじめてもらわないと、と話してたよね?」

しまった…

「その小説がそうなっていたから、そうしなくちゃと思って…マユリカ王女と最近話したら、意外に良い人で仲良く出来ると思って!」

と言い訳する。
かなり苦しい…言い訳。

どのくらい時間が経ったのか。
とても長く感じる。
我慢が出来ずに、

「小説の内容、私が、知る限り全部話します。しかしあの偽物の方が、私より詳細に覚えているみたいです」

知る限りを話した。サイファ様がメモを取る。
小出しにするつもりだったのに…
あの偽物が、全て悪い、きっと私の知る、『平凡令嬢は、夢見の乙女です』ではなくなっただろう…

どんな風に影響が出るのだろう。
何故私が怖がらなければいけないの?
物語を壊したのは、あの偽物なのに…許さない!そんな時、

「ディライドがティア王女様の年齢がかなり歳上に感じると言ったのは、あながち正解と言う事か…」

えっ?ディライド様が!

「はい!私は前世も今と同じぐらいです!でもあの偽物の狡賢さは私より絶対に歳上です!嬉しいです、ディライド様が気づいてくれて!」

ディライド様だけは、あの偽物に違和感があったと聞いて、心踊った。

翌日、マリアーノ様とマユリカ王女様の朝の鉢合わせも喧嘩もなかった。
私がネタバレをしたから、この二人が喧嘩しても意味がないことが伝わったのかと、喜んだ。
その日一日平和だった。

そう、この私をあの二人はいじめなきゃいけないのだから!

さらに翌日、サイファ様に褒めてもらいたくて、朝待ち伏せをした。あわよくばアンドル王子にも、褒められるのではと期待して!

…褒められなかった。

私の話を報告する前に、アンドル様が、お茶会を提案したと。

「そうなんですか、では、どちらかが婚約者になるのですか?」

と聞いた。
まぁ、私としては、もうどちらが婚約者になったとしても、あの二人は、ただの悪役令嬢だから一緒だと思った。

「まさか!婚約者なんて有り得ないだろう。学校で、喧嘩されても迷惑だから一席設けて、アンドル様がすべて否定するためだよ」

そんな…

でも、悪役令嬢は婚約者として私を、いじめる事が出来なくても、私が恋人に、なったなら…
いじめてくるに決まっている。
あの馬鹿達は、人の目よりも自分の苛立ちを我慢できないもの。

結果同じだわ。きっとそうよ。

そして、何故かアンドル様が一年の教室に入った。
私もサイファ様の後を追いかけた。

…信じられない光景だった。
渡したものこそ、菓子みたいだったけど、あの誰にも少しの微笑みを見せていて、王子様だったあの人が、

王子という装甲を崩した。王子様なのだけど、男子学生みたいな。一人の人間で青年…

あんな顔、表情も見たことがない。
あんな笑い声に、戯けた姿、
あんな優しい口調で、甘い言葉を聞いたことない…

信じられない。

ディライド様、と前置きしていても、明らかにおかしい…
あの野暮眼鏡女に向けている言葉が、表情に出ている。

…おかしい。
絶対に、おかしい。
何もしていないあの野暮眼鏡女が何で、ここに来て『また』出しゃばってくるの?

あんたは関係ないでしょう!悪役令嬢の取り巻きのモブでしょう!

教室から出る時、私は気づいた。

「水色の髪色」

全て、話が変わったのは、あの王女のせい、あいつは今、この場にいない、だからあの髪色だけ一緒のあの野暮眼鏡女が、いい所を持っていったのよ。

あの水色の髪が!
忌々しい。ジッと見つめた。

「ダイアナ嬢、授業に遅れてしまうぞ」

「わかってます」

あぁーーー
なんで、何もかも上手くいかないの、イライラする。

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