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17 アンドル・クリネット 1
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アンドルside
「ディライドが逃げるとしたら、王都じゃなく港だな。上手い言い訳が出来るだろう、マリングレー王国の王族を領主代理として迎えに行ったとか。都合の良いことに、それで私にそのままティア王女を預けて、さようなら。私との話し合いに応じないつもりだろう」
と呆れと自由なあいつへの羨望を言えば、グレゴリーが、
「学校の終了日、夜会のプランや警備の手配配置、各場所への根回し、全て済んだのは、最低限の仕事をやって行った。アンドルに誠意を見せたのではないか。もっと人数を絞るべきは、理にかなっているし。ディライドの言う、侯爵令嬢以上にするは、良いと思ったよ。他国の姫達は移動があるから、早くに挨拶状を送り済み。令嬢に対して対応人数が、少ないのは分かった上の夜会なのに、何故そんなに慌てるんだアンドル。ディライドに押し付ければ、逃げることはわかっていただろう?」
私の横に立って話をされた。
背も身体も大きなグレゴリーから、慰めるような、説き伏せようとされる口調は、なんか腹が立つ。まるで弟扱いだ。
こいつにとって、話は守るべき対象者だからだろうか、ある意味同等な価値観で意見は言わない。
友達では、もうなくなってしまったのか?
もっと注意すれば良いだろう!
と何回思ったか。それももう仕方がない。
「ウランドル王国が気になる。ダイアナ嬢曰く戦争の準備をしている、なんて爆弾発言にディライドの意見が聞きたい。詳細がわからないから、御伽話の夢見の力かどうかもわからないが、今回、夢見の乙女と呼ばれる王女も招待している。これを機会に二人をぶつけたいし、その計画の意見やその後の展開の予測、相手は王女だ、外交に負担をかけるかもしれない。イズリー家に情報を流しておくのは、間違いないだろう。ダイアナ嬢とは、茶飲み相手ぐらいの感じで、私は知らない程で、会わせたいと思っている」
仕事の区切りで、慌ててイズリー領に来た理由、私の気持ちを言った。
だが、ディライドばかり自由に夏の休暇を楽しんでいるのが、ずるいと思っている事は言わない。
邪魔をしたいと思っていることも。
我ながら、子供じみているな。
それでも、他者をずるいと思ってしまう気持ちは溢れ出る。
「ダイアナ嬢とティア王女を会わせる、私の役割ですね。承知しました。今回の夜会は、私も侯爵以上には賛成でしたよ、近衞騎士をダンス相手にするとしても、流石に多くの令嬢が時間を持て余します。彼女達だって、料理が目的じゃありませんからね。ご令嬢の欲求に、少しでも答えて差し上げねば、噂は広がり、派閥の悪化や馬鹿なことを考える親が出てくるかもしれません。
…アンドル様に期待しておりますよ、その手官をよろしくお願いします。しかしアンドル様が、令嬢の輪に入って話したとしても、王女達を集団に入れる訳にはいきませんし、時間に限りがある。
中々難しい問題ですね。ディライド一人いても仕方ないのではありませんか?」
サイファに言われた。
軽やかに正論を言い、茶化しながら、本題に切り込んでくる。
私の役割…胸が痛い言葉だ。
役割か…サイファにダイアナ嬢の仕草や甘言は通じてない。でもうまい事やってくれているサイファには感謝している。
グレゴリーや私では、アレの相手は絶対に無理だ。
まず優しい言葉はかけられない。
掴まれた腕は、払い落とすだろう。
…サイファは本当に良くやってくれている。
終業日、顔を真っ赤にして笑い転げていたサイファには驚いたが。何があったか聞いたが、黙秘をしている。
ミランダ嬢の馬車辺りの時間軸だと思うが、彼女が奇想天外な事や、破廉恥な事をするとは思えないし、やっぱりやるとしたらダイアナ嬢が何かしてきた?なのか…
まぁ、聞かない方がいいな。
「ディライドには、夜会で各王国の情報収集をして欲しい。それに令嬢のダンス相手もして欲しい。高位貴族の令嬢達には、牽制が付き物だろう。緩和剤として伯爵令嬢達にいてもらう…申し訳ないとは思っているが、高位貴族令嬢達のプライドを保持させるのも必要と王妃様が譲らなかった」
女の性と言われてしまえば、口出しは出来ない。
「で、決まっているんだろう、相手」
グレゴリーは、何ともなしに言う。
これは、国王と王妃、私しか知らない、会話も無しの紙上の候補者。
はっきり言えば、国益しか考えてない婚約、婚姻。王族なんてそんなもの。私が恋だ愛だと騒げば、王族の質を疑われるだけ。
私の下には弟がいるから、十分見極められる。
ハァーーー
「何で王族に生まれたんだろう」
「「やめろよ、禁句だろう、その言葉」」
子供の頃の口癖が久しぶりに出た。割り切っている。しかし、割に合わないと思う王子なんて碌でもない職業だ。
あいつがずるい、自由が羨ましい、何度も繰り返す呪いの気持ち。
ハァーーー
「すまない、あの村まで行って顔洗って戻る!」
「俺も行くぞ」
護衛騎士の役割があるグレゴリーは、すぐ馬の準備をしたが、まだ馬は草を食べている。
「馬にも、休憩させてやれよ。私のことなら、村は見えているし、少し待っててくれ、顔を洗うだけだ。村人に騎士団の制服で驚かせなくない」
と騎乗し、村に向かった。
…
ピンクの髪が、まるで空から降りて来たばかりのようにそよいで動いていた。
朝日を浴びてキラキラ光り、目が離せない。
こちらを見た。
目が合った。青紫の瞳、まるで全てを覆い隠すようにその整った美貌を力強く象徴する。
引き込まれた。
初夏の花の世界に入り込んだのではないか?菫、菖蒲、桔梗…青紫の花々が頭に浮かぶ。
時間が止まった。
天から降りた女神
こんなに美しい人を見たことがない。
死んだ。目が離せない。
呼吸を忘れた。
…
胸が痛い。
ゴホッゴホッゴホッ
息をしなかったせいか突然の空気を吸い込むのにむせ尽くしてしまった。
これは、物理的に痛いんだ。
きっとそうだ。
…私は知らない、こんな心臓の痛みを…
馬車、そう、馬車は?
気付いた時には馬車はなかった。
「あれは、夢か。白昼夢?女神が地上に降りるわけがないピンクの髪だったし、あんな美しい人がこの世にいて噂にならない訳がない!いや、しかし空から舞い降りたから…」
顔を洗い、グレゴリー達の元に戻った。
「大丈夫か、顔が真っ赤だぞ、領主館に行って医師に見てもらおう」
どちらかに言われたかもわからない、イズリー領主館の客室で医師を呼んでもらい、何でもないと言われたのは、昼も過ぎてからの話。
ディライドは、こちらを冷たい目で見ていたのが非常に怖かった。
「ディライドが逃げるとしたら、王都じゃなく港だな。上手い言い訳が出来るだろう、マリングレー王国の王族を領主代理として迎えに行ったとか。都合の良いことに、それで私にそのままティア王女を預けて、さようなら。私との話し合いに応じないつもりだろう」
と呆れと自由なあいつへの羨望を言えば、グレゴリーが、
「学校の終了日、夜会のプランや警備の手配配置、各場所への根回し、全て済んだのは、最低限の仕事をやって行った。アンドルに誠意を見せたのではないか。もっと人数を絞るべきは、理にかなっているし。ディライドの言う、侯爵令嬢以上にするは、良いと思ったよ。他国の姫達は移動があるから、早くに挨拶状を送り済み。令嬢に対して対応人数が、少ないのは分かった上の夜会なのに、何故そんなに慌てるんだアンドル。ディライドに押し付ければ、逃げることはわかっていただろう?」
私の横に立って話をされた。
背も身体も大きなグレゴリーから、慰めるような、説き伏せようとされる口調は、なんか腹が立つ。まるで弟扱いだ。
こいつにとって、話は守るべき対象者だからだろうか、ある意味同等な価値観で意見は言わない。
友達では、もうなくなってしまったのか?
もっと注意すれば良いだろう!
と何回思ったか。それももう仕方がない。
「ウランドル王国が気になる。ダイアナ嬢曰く戦争の準備をしている、なんて爆弾発言にディライドの意見が聞きたい。詳細がわからないから、御伽話の夢見の力かどうかもわからないが、今回、夢見の乙女と呼ばれる王女も招待している。これを機会に二人をぶつけたいし、その計画の意見やその後の展開の予測、相手は王女だ、外交に負担をかけるかもしれない。イズリー家に情報を流しておくのは、間違いないだろう。ダイアナ嬢とは、茶飲み相手ぐらいの感じで、私は知らない程で、会わせたいと思っている」
仕事の区切りで、慌ててイズリー領に来た理由、私の気持ちを言った。
だが、ディライドばかり自由に夏の休暇を楽しんでいるのが、ずるいと思っている事は言わない。
邪魔をしたいと思っていることも。
我ながら、子供じみているな。
それでも、他者をずるいと思ってしまう気持ちは溢れ出る。
「ダイアナ嬢とティア王女を会わせる、私の役割ですね。承知しました。今回の夜会は、私も侯爵以上には賛成でしたよ、近衞騎士をダンス相手にするとしても、流石に多くの令嬢が時間を持て余します。彼女達だって、料理が目的じゃありませんからね。ご令嬢の欲求に、少しでも答えて差し上げねば、噂は広がり、派閥の悪化や馬鹿なことを考える親が出てくるかもしれません。
…アンドル様に期待しておりますよ、その手官をよろしくお願いします。しかしアンドル様が、令嬢の輪に入って話したとしても、王女達を集団に入れる訳にはいきませんし、時間に限りがある。
中々難しい問題ですね。ディライド一人いても仕方ないのではありませんか?」
サイファに言われた。
軽やかに正論を言い、茶化しながら、本題に切り込んでくる。
私の役割…胸が痛い言葉だ。
役割か…サイファにダイアナ嬢の仕草や甘言は通じてない。でもうまい事やってくれているサイファには感謝している。
グレゴリーや私では、アレの相手は絶対に無理だ。
まず優しい言葉はかけられない。
掴まれた腕は、払い落とすだろう。
…サイファは本当に良くやってくれている。
終業日、顔を真っ赤にして笑い転げていたサイファには驚いたが。何があったか聞いたが、黙秘をしている。
ミランダ嬢の馬車辺りの時間軸だと思うが、彼女が奇想天外な事や、破廉恥な事をするとは思えないし、やっぱりやるとしたらダイアナ嬢が何かしてきた?なのか…
まぁ、聞かない方がいいな。
「ディライドには、夜会で各王国の情報収集をして欲しい。それに令嬢のダンス相手もして欲しい。高位貴族の令嬢達には、牽制が付き物だろう。緩和剤として伯爵令嬢達にいてもらう…申し訳ないとは思っているが、高位貴族令嬢達のプライドを保持させるのも必要と王妃様が譲らなかった」
女の性と言われてしまえば、口出しは出来ない。
「で、決まっているんだろう、相手」
グレゴリーは、何ともなしに言う。
これは、国王と王妃、私しか知らない、会話も無しの紙上の候補者。
はっきり言えば、国益しか考えてない婚約、婚姻。王族なんてそんなもの。私が恋だ愛だと騒げば、王族の質を疑われるだけ。
私の下には弟がいるから、十分見極められる。
ハァーーー
「何で王族に生まれたんだろう」
「「やめろよ、禁句だろう、その言葉」」
子供の頃の口癖が久しぶりに出た。割り切っている。しかし、割に合わないと思う王子なんて碌でもない職業だ。
あいつがずるい、自由が羨ましい、何度も繰り返す呪いの気持ち。
ハァーーー
「すまない、あの村まで行って顔洗って戻る!」
「俺も行くぞ」
護衛騎士の役割があるグレゴリーは、すぐ馬の準備をしたが、まだ馬は草を食べている。
「馬にも、休憩させてやれよ。私のことなら、村は見えているし、少し待っててくれ、顔を洗うだけだ。村人に騎士団の制服で驚かせなくない」
と騎乗し、村に向かった。
…
ピンクの髪が、まるで空から降りて来たばかりのようにそよいで動いていた。
朝日を浴びてキラキラ光り、目が離せない。
こちらを見た。
目が合った。青紫の瞳、まるで全てを覆い隠すようにその整った美貌を力強く象徴する。
引き込まれた。
初夏の花の世界に入り込んだのではないか?菫、菖蒲、桔梗…青紫の花々が頭に浮かぶ。
時間が止まった。
天から降りた女神
こんなに美しい人を見たことがない。
死んだ。目が離せない。
呼吸を忘れた。
…
胸が痛い。
ゴホッゴホッゴホッ
息をしなかったせいか突然の空気を吸い込むのにむせ尽くしてしまった。
これは、物理的に痛いんだ。
きっとそうだ。
…私は知らない、こんな心臓の痛みを…
馬車、そう、馬車は?
気付いた時には馬車はなかった。
「あれは、夢か。白昼夢?女神が地上に降りるわけがないピンクの髪だったし、あんな美しい人がこの世にいて噂にならない訳がない!いや、しかし空から舞い降りたから…」
顔を洗い、グレゴリー達の元に戻った。
「大丈夫か、顔が真っ赤だぞ、領主館に行って医師に見てもらおう」
どちらかに言われたかもわからない、イズリー領主館の客室で医師を呼んでもらい、何でもないと言われたのは、昼も過ぎてからの話。
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