6 / 120
6 学校に行きました
しおりを挟む「久しぶりの学校ね。みなさんお変わりないかしら?」
大きな門を潜り、箱型の大きな建物に入っていく。
あら、やっぱり教室に入れば、注目の的!数週間も突然お休みしましたからね。
私も緊張…この一言目が肝心なはず。
「お、おはようございます」
と、言ってみたものの返事はなし。うーん、中々、友人が出来ない、作り方を教えて先生~。
「あの~、ミランダ様…」
「あら、おはようございます。リリエットさん。もしよろしければ隣同士の誼で欠席していた分の授業の板書を写させていただけないかしら?」
「ええ、もちろんですとも!本当にご迷惑をかけて、それにお怪我まで…私、本当に申し訳なくて…本当に申し訳ございませんでした」
低頭な姿勢で泣き出してしまうのではないかしら、彼女は。私が、いじめているみたいね。
「いえ、いえ、私が勝手に首を突っ込んだことだし、ね。それより、私の入院した場所に、アンドル王子様とグレゴリー様がお見えになったのよ、驚いてしまったわ」
「ごめんなさい、本当に。…アンドル王子様まで…とんでもない事に巻き込んでしまって取り返しがつかないわ、ミランダ様。…
ごめんなさい、でもその話はあまり学校内でしない方が良いわ。今、マリアーノ様がその手のお話過剰に敏感で…」
「あーぁ、そうよね、私、グレゴリー様に全部目的とか話してしまったし、事情聞かれたかしら?」
「ええ、それは…叱られたわ。当事者で話し合えと。マリアーノ様は最後まで関わってないとおっしゃってて。今、私は取り巻きとして、謹慎中なの」
「あら、それは辛いのかしら?それでしたら、謝らないと」
「違うの、感謝しているのミランダ様に。今回のことでスタンルートときちんと話すことが出来たの。私達、小さい頃からの関係でしょう…友達とか、家族とか、そういう人が奪われるって感覚かと思って。怖かったんだと思ったのだけど、もちろん領地の事とか将来のこととか…
でもちょっと違ったの。
友達でもなくて、家族でもなくて…彼の頬に触れた時、すごくドキドキしたの…顔が熱ってしまうほど…
どのくらい二人で、そんな時間を過ごしたかわからないのだけど、気づいたら二人して真っ赤になってて…
ミランダ様、本当に大事な大切な人を気づかせてくれてありがとうございます。私、これから彼を私しか見れなくするぐらい頑張りますわ。それにスタンルートも、あの反応は手ごたえがありますし!
今、ダイアナさんは、グレゴリー様やサイファ様、アンドル王子様の追っかけをやられてますからね、あんな次から次へと渡り歩く、下品な令嬢に負けませんから」
と気合いを込めて話してくれるリリエットさんは、可愛いらしい。
ほんのりピンクの頬がまた愛しいわ。
「見ない間にリリエットさん、物凄く可愛くなりましたね。羨ましいほどのお話。これが俗に言う惚気ですね。ご馳走様です」
「あ、え!?違いますよ。違いますからミランダ様?」
ほほぉ~、先生の言っていた通り、恋をすると一目でわかると言っていた通りだわ。
良いなぁ~、恋。
物語では、冒険譚に恋人や家族としての話を読んでいたけど…今度ロマンス本を買いましょう!
せっかく外の世界にいるんだから、まだまだやりたいことはいっぱいだわ。
私にも早く来ないかな~好きな人。
*
お昼になり、食堂に移動した。
「ミランダ様、その野暮ったい眼鏡止めませんか?私、街で眼鏡をプレゼントしますわ。今回の償いと御礼に!」
「いえ、大丈夫ですよ。それにこの眼鏡、お義兄様からの贈り物で…ここだけの話、これのおかげで顔に傷一つ怪我をしなかったんですから。マジックアイテムなのです。そして転倒しても眼鏡も壊れないという一品ですのよ」
ちょっと自慢。
「ええ、でもミランダ様のその美しい水色の髪に分厚いレンズと太い周りの黒縁が…非常に合わないのが、以前から気になりまして…
多分その眼鏡をやめるだけで、友達がすぐに出来ますでしょうに」
「あら?このスーパー眼鏡でもリリエットさんは友達になって下さったのに、そんな見た目ばかりのことで、友達なんて…」
「それは隣同士のご縁でしょう。やはり見た目は大事ですのよ。最近クラスメイトと最新の色や布、化粧品を調査しておりますの。マリングレー王国のパールの白粉…どうにか手に入れたいのですけど、高価で伝手がないと買えないとかで、残念ですけどそう言ったお話を聞いたり、話したりするのも楽しいですわ」
本当にリリエットさん、楽しそうで良かったわ。
「あら、子爵令嬢ごときが、マリングレー王国のパールの白粉なんて手に入るわけないじゃない!」
マリアーノ様が意地悪そうに言ってきた。相変わらず、真ん中にマリアーノ様、取り巻きさんが横並び…あら、以前の取り巻き二名に新しい方一人追加されたのですね。
取り巻きって補充出来るのね!?
私なんて中々友達が出来ないのに!
113
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))

【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。
櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。
兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。
ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。
私も脳筋ってこと!?
それはイヤ!!
前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。
ゆるく軽いラブコメ目指しています。
最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。
小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。

紡織師アネモネは、恋する騎士の心に留まれない
当麻月菜
恋愛
人が持つ記憶や、叶えられなかった願いや祈りをそっくりそのまま他人の心に伝えることができる不思議な術を使うアネモネは、一人立ちしてまだ1年とちょっとの新米紡織師。
今回のお仕事は、とある事情でややこしい家庭で生まれ育った侯爵家当主であるアニスに、お祖父様の記憶を届けること。
けれどアニスはそれを拒み、遠路はるばるやって来たアネモネを屋敷から摘み出す始末。
途方に暮れるアネモネだけれど、ひょんなことからアニスの護衛騎士ソレールに拾われ、これまた成り行きで彼の家に居候させてもらうことに。
同じ時間を共有する二人は、ごく自然に惹かれていく。けれど互いに伝えることができない秘密を抱えているせいで、あと一歩が踏み出せなくて……。
これは新米紡織師のアネモネが、お仕事を通してちょっとだけ落ち込んだり、成長したりするお話。
あるいは期間限定の泡沫のような恋のおはなし。
※小説家になろう様にも、重複投稿しています。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

転生したので前世の大切な人に会いに行きます!
本見りん
恋愛
魔法大国と呼ばれるレーベン王国。
家族の中でただ一人弱い治療魔法しか使えなかったセリーナ。ある出来事によりセリーナが王都から離れた領地で暮らす事が決まったその夜、国を揺るがす未曾有の大事件が起きた。
……その時、眠っていた魔法が覚醒し更に自分の前世を思い出し死んですぐに生まれ変わったと気付いたセリーナ。
自分は今の家族に必要とされていない。……それなら、前世の自分の大切な人達に会いに行こう。そうして『少年セリ』として旅に出た。そこで出会った、大切な仲間たち。
……しかし一年後祖国レーベン王国では、セリーナの生死についての議論がされる事態になっていたのである。
『小説家になろう』様にも投稿しています。
『誰もが秘密を持っている 〜『治療魔法』使いセリの事情 転生したので前世の大切な人に会いに行きます!〜』
でしたが、今回は大幅にお直しした改稿版となります。楽しんでいただければ幸いです。

公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる