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13 不運は続く

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「ご機嫌よう、アンネリーネ様に皆様、はしたない姿をお見せして誠に申し訳ございません。上の窓から年上の女性が、ずっとこちらを見ていたので、ほかの方にも確認していただきたくて、失礼いたしました」

と全力謝罪のお辞儀をしてから、彼女達を見ると、私の言動にかなり疑っているみたいで…

「女性?人の姿さえ見えませんが?」

「あなた、例の件で頭や目をおかしくしたの」

「あら、そうかしら?なんかわざとらしくないですか?アンネリーネ様。トリスタン王子様に近づき、触れる口実をしたかのような、あの男爵令嬢と同様だとは思いたくありませんわ、侯爵令嬢のリディア様が」

とここまで言われて、トリスタン王子が、前に出て、

「やめてくれないか?彼女は新入生だろう?校舎内に誰が、働いているとか知らないのだから、侵入者かもしれないと思ったのかもしれない。気が動転していたし、本当に怖がっていたよ。あまり新入生をいじめてあげるな」

と片手を広げて注意をした。
振る舞いも言葉も優しいと言えば、そうなんだけど…表面上の言葉なんだよ、気持ちがこもってない!
うわぁ、いじめと言われて怒っているよ。この一団の方達が、もっともらしい言葉で納得するわけないことはわかっていた。

「皆様、本当にお騒がせしてしまい申し訳ございません。確かに私、元婚約者の事もあって、人に対して警戒が、強まり疑い深くなっているみたいです。本当にご迷惑おかけしました」

と再びの謝罪。
何故こんな状況になったと、あの見知らぬ女性を心の中で罵って、頭を下げたままにした。

「まぁ、リディア様が、そのように言うなら、そうかもしれないわね。深層心理は、私達ではわかりませんから。トリスタン様の言う通り、あなた達あまりいじめないで上げてください。心に傷を負った新入生なのだから、何か困ったことや相談があれば、私に言えばいいわ。昔のようにね」

とアンネリーネ様が言った。こわーい。
頭を上げて、

「いつもご厚意ありがとうございます」

と言って、私は、本当は馬車留に行きたかったが忘れ物をしたと言って、この団体から抜けて、再び校舎に入った。意外だったのは、アンネリーネ様が私のことを平然と見ていたこと。もっと王子に執着があって虐められるかと思ったのにあっさりだった。
何人か出るに出られない人がいたようだ。私達のただならぬ雰囲気に、その場に待機したのだろう。

「お騒がせしました」

とボソリと言って、一度教室に戻り帰ることにした。
途中でサマーパーティーのポスターが、嫌でも目につく。
これって万が一、パートナーがいない場合は、一人で入場すれば良いのか、その場で何をしていたら良いのか、と考える。
もちろんそんなことは、書いてない。不親切だと思う。

「あれ~!君、クロエ嬢の隣にいた子だよねー、どうしたのポスター見て。もしかしてパートナーがいないから、溜息ついていた?うわぁ、可哀想な場面目撃しちゃったよー。あ、ごめ~ん、俺はもうパートナーいるから無理だよ、なんなら友達紹介しようか、結構顔が広いんだよ、親が商会とか手広くやっているから~」

この失礼でうるさい感じ、朝会った人達。セルジオとカルロスのセルジオの方。

「…ご心配いただきありがとうございます。私はこのポスターを見ていただけです。学園では、このような行事があると知りませんでしたから。楽しみですね」

と世間話と言った形でこの場から消えたい。

「入学準備の説明会に参加しなかったの?あぁ~その頃元婚約者と揉めていたからか。いやぁ今日さー、君の話聞いて結構ドロドロだったんだね~。あの馬糞の件しか知らなかったから、ずっと揉めていたなんて大変だよねー、。俺なんか刃物で刺されそう~恐怖~」

失礼な男子生徒だ、嫌な感じ。苦手だわこの人。

「では、失礼しますね」

と言えば、

「どこにいくの?」

何言っているんだよ、こいつ。私は、アンネリーネ様達やトリスタン王子、知らない女性…の罠にハマって、クタクタのボロボロで精神的に削られすぎて、今すぐ倒れたいのよ。

「帰るんです…」

「何~俺もしかして気に障ること言った?怒っている~?」

「いいえ、本当にポスター見て帰るだけだったんですよ、セルジオさん」

と言えば、

「やったね、名前覚えていてくれたんだね~嬉しいよ~、えっと君は、クロエ嬢の友達のーごめん、誰だっけ?その綺麗な金の髪は忘れてないのだけど。今日忙しくてあっちこっちで、ご令嬢の呼び出しを受けていて、覚えること多くてさ~」

オモテニナリマスネー

「私の事は良いので、クロエのことよろしくお願いします。失礼します」

とここまで話して、また校舎入り口に戻ってきた。何故か後ろに着いてきたが無視をした。こいつも帰る途中だったのか…ずっと見られて居心地が悪いが、もう話す気はない。すでにアンネリーネ様達はいなかった。
やっと帰れるよ。

「おい、セル、探したぞ!」

ダァー、この声は…もう振り向かない。前に進むのみ。

「お!兄者ー。あ、そうだ兄者ー、サマーパーティーのパートナーまだいなかったよな?もう決まっちゃったか?いなかったら、このクロエ嬢の隣の席の、友達の…彼女のパートナーになってあげてよー?ポスターじっと見て、なんか可哀想だったんだよねー。ほら生徒会主催なんだから、そのぐらい救済してやりなよ~」

最悪だ。
同情の上に隣の席の友達…ってどういう扱い?私これでも侯爵令嬢ですが!!
兄者だと、
兄弟揃って、話の言い方が酷い。わざと私を傷つけようとしている?絶対そうだ、馬鹿にしているんだ。
誘うつもりがないことは知っている。だって先程会ったばかりなんだから。

振り返ると、綺麗な青い目と合う。

やっぱりトリスタン王子より深くて濁りもない青だ、どこまでも広がっていて、見つめれば引き込まれるような…

「また、お前か!」

その一言で現実に戻されました。
弟、失礼でうるさい
兄、キツくて短い

「生徒会の方、気にしないでくださいませ。ポスターを見ていただけですので、セルジオさんが、何か勘違いをしたのでしょう。私は用がありまして、自宅に帰らなければなりません。これで失礼します」

「確かに、まぁ、一人でも大丈夫だ。毎年、数人はいるはずだ」

数人…だと、そんな少ないのかい?
それでも、自分でというよりも明日よ、キャロライン達と明日相談の上決めていこう。
もう疲れた。
振り向かない。いや振り向きたくない、この兄弟に。

「兄者ー可哀想なこと言うなよ~」

もうやめろ!

「セル、兄者と言うのはやめろって言っているだろう、俺達は他人だ」

他人かよ!もう疲れた。解放してくれー

「では」

と言って歩き出す。

「あ、待って。大丈夫、兄者は、情に脆いから説得すれば」

走り出した。もうこんな場所に一時でもいたくない。
全力で走って、肩で息をするかのような姿で、御者に驚かれた。

「どうかなさったのですか?」

「気に、しない、でいいわ、不運、続きで、疲れたから、逃げたわ。私、健脚で良かったわ」

初めて、ストーカーの時の散歩量による健脚を褒めてあげたかった。女性に見つめられた時から振り向かず、馬車まで全力で走れば良かったんだ。
見上げたり、余計なことをした私が悪かった。

「ハァー。徳を積まなきゃ。最近判断の誤りが更なる不運を呼んでいるわ」
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