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3 婚約解消の話し合い

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アンネリーネ様のお茶会は欠席した。
昨日学園通りで怪我をして、門番にも迷惑をかけていたので、もしかしたらご存知かもしれない。
恥ずかしい噂や悪評は、令嬢間で回るのが早いから。
いずれ、ウィルソン様との婚約解消の件だって、知られてしまうだろう。
それでも今は、余計な事を言いそうだし、聞かれても困る。もう今までの私を忘れて下さい、お願いします状態なのだから。

私的には、可哀想な元婚約者という立場がいい。
とても都合が良い。
出来れば男爵令嬢が、悪だとなれば、アンネリーネ様にとっても都合が良いのではないかしら。今までの仕出かしが、誰か良い風に書き換えてくれないかしら?

なんてことを思っていたのよねーーー。

三日後、第一回婚約解消の話し合い後

「ウィルソン様は、私も悪いと言っているんですか?」

やっぱりな。

「ああ、端的に言えばそうかな。リディの扱いに疲れたと…」

クッーーー
やっぱりストーカー行為を持ち出してきたか!自分の浮気に仕方ないよねー感を入れてきたか。

「ごめんなさい、父様。私、ウィルソン様に夢中になって、私を好きになって欲しくて、私ばかりの思いを押し付けてしまいました。私の思いを知ってもらえれば、政略的なことじゃなくて、私がきちんとお慕いしているから、良い婚姻関係を築けると思っていたのです」

「リディは、悪くないわ。愛情を押してしまうのは、まだ子供だったから。学園に入る前の子供よ、旦那様。ボリシュ侯爵家だって、そのあたりわかるはずでしょう?婚約解消を言い出したのだって、ウィルソンさんよ。あちらは慰謝料を払いたくないって事?」

「いや、それはない。一番は、ウィルソン君が涙ながらに謝罪をし、反省してきたのだけど、経緯の説明でリディの事を持ち出して、好意に驚き対応出来なかったと。あちらは、まだ婚約関係を続けたいと言っている。ひたすら低姿勢で謝罪を受けた。リディに対して、大事にする、これからはもっと協力する、二度とこんなことにはならないようにするとも言っている。それに相手とは、三か月前に初めて話したばかりで、自分の思い込みだったと、やはりリディが好きだと言っている」

それはないわ。あの態度に、私への恋慕があるとは思えない!
まさか誕生日に訪問した事が証なんて、言わないよね。婚約者の義務だよね?この間までの私なら、お願いして来てもらっただろうけど。
慰謝料は減らしても(いらないとは絶対に言わない)
心ここに在らずの婚約者なんて、絶対いらない。何が二度とよ、そんなこと言う人を信用できるわけがない。
ウィルソン様が、誠意ある人なら、私の重い行為も逃げるや避けるではなく、注意してくれたはずだわ。
結果、私達はお子様だったの。
それでいいじゃない!
もう振り返さないで終わりにしましょうよ。即婚約解消あるのみ!
その方が私(の都合)はいい!

「父様、絶対嫌。ウィルソン様から婚約解消って言い出したのですよ。婚約継続したいなんて、そんな戯言言っている段階で、我が家を貶めてますわ。もう浮気をされた時点で、心はウィルソン様に少しもありません。お互いに、この先仲良く関係を続けるなんて、やって行けませんわ。これが政略的に一番いい結婚だとしても」

と激情気味にキレた。

まぁ政略的には、色々あるだろう。それは私もわかるよ、私は一人っ子、ウィルソン様は次男だからね。我が家に入ってもらう予定の婚約だもの。家格も侯爵家同士で中々強い派閥になるよね。

母様が、話始めた。

「いいように利用されるだけかもしれないわ。陰で男爵令嬢に貢いだり、別宅を構えられたり、私達だって追い出されたりしたら、まさかの乗っ取り」

いいね、流石に乗っ取りはしないとは思うけどね。素直で気が弱そうな人だから。でも人は変わるし、未来はわからないか。

「流石母様。私もそこら辺も心配していました」

と二人で目を合わせる。女同士わかる事は、多いにある。それを父様にアピールする。

「父様、そこを突いて、もう一度交渉してください。確かに我が家は、婿入り者を希望してますが、学園に行って新たな出会いがあるかもしれないです。そう、学園、ウィルソン様は、私に教室に来るな、食事も共に出来ないと宣言しておりました。私に新たな人間関係を築けといわれましたわ。全然ルーナ嬢と関係を改める気はないと、私は思います!」

と言えば、母様も大きく頷く。
しまいには、

「旦那様、私もボリシュ侯爵家に共に参りましょう。学園内の発言、とても義息として可愛いがれないとはっきり申しましょうか」

おぉ~、かなりお怒りだ。いいよ、いいよ。この勢いで慰謝料分捕りよ!
あれ?私の前世って?

第二回婚約解消の話し合い後

「慰謝料は払うと言っているし、ウィルソン君は、私達に誠心誠意謝ってきた。あちらは、リディアももう学園に入学するのだし、中で様子を見たらどうだろうと。気に入らなければ、その時改めて解消すれば良いのではないかと」

「私はリディの気持ちに任せるわ。確かに学園では、パートナーを伴って参加する行事もあるから、寂しい思いをするのは、リディかもしれないわ。今日もウィルソン君から手紙と花を預かっているけど」

と両親は言う。
これって物凄く変じゃない。
金は払うが、婚約者のままでいて欲しい、学園での婚約者としての対応を見てくれって、どうして私が、学園入学時にウィルソン様には婚約者がいるという世間体が必要なの?パートナー?では一体彼は、今までの行事誰と参加していたのよ。(誘われてない)

まさか、転生者としての物語やシナリオの強い設定かしら?
怖っ。それが、私の役割なら怖い。

何としても解消あるのみね!

手紙を読めば、謝罪はあるものの我が家の領地の勉強をしているとか、経営の勉強をしているとか、ガルドニ侯爵のようになりたいとか…
侯爵という爵位にしがみついているとしたら、私って何かしら?
あら、最悪の最低男の出来上がり。
あー、私本当にこの人のどこが良かったんだろう?


「ないわ、絶対にないです。我が家の爵位目当てでしょうか。この手紙見て下さい。明日のお茶会で大々的に私は、婚約解消する事を発表します。だって皆さん男爵令嬢のルーナ嬢の事を知っているんですよ。即、ボリシュ侯爵家に速達で、婚約解消通知を突きつけてください。これ以上自分都合で、リディアを辱めに合わせないで欲しいとね」


「「ウッ、この手紙も鼻につく部分だけしか見ていない。リディは情熱を傾けた分だけ、否定的というか憎さも徹底している」」

とあれだけウィルソン様~と言って、熱烈に追いかけていた娘が、一切の優しさも見せず打ち落とすのが、まだ意外みたいだ。
両親は、ウィルソン様が私に優しくしたり、我が家を第一に考え行動しているとなれば、私の気が変わると思っているのか、あちらのボリシュ侯爵家や彼自身も同じ考えか。

「こんないきなりの掌返し、余計に信じられないわ」

と呟けば、今までの事を察してくれたようで、私が本当にもうウィルソン様との関係が、修復不可とわかってくれた。
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