薄幸の王女は隻眼皇太子の独占愛から逃れられない

宮永レン

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第五章

4.(※)独占愛

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  長い指に頂を挟まれて弄られると、そこから愉悦を擦りこまれるような感覚にアルエットの思考は蕩け始める。



「や……ぁ……っ」



 身もだえると、水面がはげしく波打って湯が零れた。

 フェザンの引き締まった体躯を背中に感じながら、アルエットは甘い声で啼く。



「じっとしていないと湯がなくなるぞ」



 耳元でくすっと笑いながら、フェザンは片方の手をアルエットの脚の間に伸ばした。しなやかな指先が秘裂を割り開き、官能的な動きで翻弄してくる。



「あっ……だめ、無理、じっとなんて……っ」



 蜜口にずぷりと指を埋められて、かあっと一気に体温が上がったような気がした。久しぶりの感覚に、蜜襞がうねりその指に絡みつく。



「あっ、はぁ……っはぁっ、あぁ……」



 胸を強く揉みしだかれ蜜襞を甘くかき混ぜられ、頭の芯まで痺れてしまいそうだ。



「アルエット」



 名前を呼ばれて、恍惚感に浸ったままのとろんとした目で肩越しに振り返れば、目を細めたフェザンに唇を塞がれた。



「んぅ……っふ、んんっ」



 キスを交わしながらもフェザンの愛撫は止まらない。

 指先が秘裂に隠されていた紅玉を探り当てると、触れられただけで腰が跳ねた。



「んっ……ふぁ……あっ、あっ……」



 秘粒を指で押しつぶされたり、優しくこねられると下腹部の奥が強く疼いて、額の辺りがむずむずしてくる。



「ここが悦いんだな?」



 執拗に秘粒を愛撫され、アルエットは湯が零れるのも構わずに身をよじった。



「やぁっ……だめっ、もう……っ」



 張りつめた弓のように、高みに押し上げられたアルエットの意識が一瞬にして弾け飛んだ。



 もう二度とこんな満たされた瞬間は訪れないだろうと思っていたのに。

 逞しい腕に包まれてアルエットは彼の体に寄りかかった。そうしていないと湯の中に沈んでしまうそうだったからだ。



「まだ足りないだろう?」



 脇を抱えられて向かい合わせにさせられると、ちょうど秘裂の辺りにフェザンの反り返った剛直が当たって、下腹部がきゅんと疼く。少しでも体勢をずらすだけで、いつでもアルエットの中に突き立てられそうな力強さにドキドキと胸が高鳴った。



「湯に浸かっていないところがすっかり冷えている」



 そう言って、フェザンがアルエットの体を押し上げると揺れる乳房に吸いついた。



「やぁ……ん……あぁ……っ」



 頂を口に含まれ、熱い舌先で嬲られる。背中を撫でる大きな掌は温かいのに、感じさせるような手つきでぞくぞくと全身が打ち震えてしまう。



「甘くて……いつまでもこうしていたいな」



 何度も、交互に愛撫された頂は赤く膨れて濡れ光っていた。じりじりとした愉悦は下腹部の奥に溜まるばかりで、どこにも逃げてくれない。



「フェザン……」



 アルエットは耐え切れなくなって腰を動かし、フェザンの剛直に秘裂を擦りつける。先端が秘粒を転がすたびに、薔薇色の唇の間から切ない吐息が漏れた。



「ああ。もっと俺の名を呼んでくれ、アルエット」



「フェザンっ、大好き……っ、もう離れないと約束して……っ」



「絶対に離さない。アルエットは俺だけのものだ」



 湯の中でぬるぬると滑る剛直を感じながら、フェザンに乳房を吸い上げられるとまた官能の波がやってくる。



「あぁ……っ、はぁ……っ、気持ち、いい……っ」



 フェザンの肩にしがみつきながら、アルエットは絶頂に達した。びくびくと体が震えて、ぐったりとフェザンに倒れかかる。



「今日は無理はさせたくなかったが、そんなにかわいい姿を見せるのは……反則だ」



 まだ強烈な余韻の残っていたアルエットの体が湯に中で軽く浮いたかと思うと、ほどけた蜜口に猛々しい熱杭がめり込んできた。



「ひぁ……っ!」



 柔らかく解れていたとはいえ、久しぶりに受け入れるフェザンの圧倒的な質量に、目の前がちかちかと明滅する。



「いきなり、そんなに食い締めるな。まだ挿れたばかりだぞ」



「だ……って、フェザンの……こんなに大きかった……?」



「思い出させてやる」



 にやりと口端を上げたフェザンの瑠璃色の瞳が熱っぽく光ったかと思うと、次の瞬間勢いをつけて最奥を貫かれた。



「あぁぁん……っ」



 絶頂を味わったばかりの蜜壺は、少しの刺激でも敏感に官能を拾い上げて、何度もアルエットの意識を奪った。

 抱き合っていると胸の頂がフェザンの引き締まった肌に擦れて、たまらなく甘い痺れが体中を駆け巡る。



「おかしくなっちゃう……っ」



 目に涙の膜を張りながら、アルエットは切れ切れに嬌声を上げた。



 細腰をがっちりと掴まれ、激しく上下に揺さぶられる。熱い楔を打ち込まれ、一つに溶け合った体温が高みに達しようとしていた。



「あっあっ……やぁぁ……っ」



「俺の……アルエット……っ」



 眩い光に包まれて、アルエットの体が勝手にびくびくと震える。蜜襞が収斂し、剛直に絡みつく。息を詰めたフェザンが呻くのと同時に、最奥で熱い飛沫が放たれるのを感じた。



 互いの呼吸が整うまで、しばらく動けなかった。フェザンの体に凭れていると、激しい鼓動の音が聞こえて胸が熱くなる。



「……俺の子を孕め。俺たちが愛し合っている証を」



 繋がったまま口づけを交わし、アルエットは幸せの余韻に浸る。



「ええ。私もあなたの子を産みたい」



 そう微笑むと、フェザンは目を細めて頭を撫でてくれた。



「では、もっと君に子種を注がなくては」



「え?」



 目をぱちくりさせているアルエットを風呂から抱き上げたフェザンは、濡れた体を拭いて寝室へ向かう。



「あ、あの……、私、今、その子種とやらをもらったのでは……」



 はっきりと最奥に吐精するのを感じたが、勘違いだったのだろうか。

 ベッドに仰向けに寝かされれば、たしかにフェザンの剛直は質量を保ったままである。



「一度限りで孕むとは決まっていない」



 そう言ってフェザンは蕩ける蜜口に雄々しい剛直を押し当てた。



「あ……はぁ……っん」

 

 一度慣らされた蜜洞は容易く彼を最奥へと誘う。みっしりと押し拡げられた蜜襞がじわりと潤いを増した。



「すごく……熱い……」



「アルエットの中もとても熱くて溶けてしまいそうだ」



 ぎゅっと抱きしめられ、最奥を穿たれると内臓まで深く押し上げられそうな錯覚で苦しさと愉悦が入り混じる。蜜を絡めながら別の意志を持った生き物のように、脈打つ塊が繰り返し蜜壺を責め立てた。



「あぁぁ……っ」



 じゅぷじゅぷと淫らな水音を立てながら、蜜襞が激しく擦り上げられる悦びにこらえきれず目尻から涙がこぼれる。



「きつくて……押し出されてしまいそうだ……っ」



 官能の波で隘路がうねり、蜜壺が切なくわなないていた。



 フェザンの力強い抽送と、その度に彼の真っ直ぐな黒髪が肌の上を滑るくすぐったさが、異なる愉悦を生んでアルエットを高みに押し上げる。



「あぁっ、フェザン……すごい……悦いの……っ」

 

 あえかな声が寝室に響き渡った。



「俺も悦すぎておかしくなりそうだ、アルエットの中は最高だ」



 首筋にキスを落としてから上体を起こしたフェザンが、アルエットの膝裏を掴んで持ち上げる。



「やぁぁ……それっ、だめ……っ」



 秘部が真上を向くような角度に体を曲げられて、熱い楔を打ち込まれる。普通に横になって抽送されるよりも、より深くまで先端が届いて激しく甘い衝撃が蜜壺に届く。



「だめならこんなに締め付けないだろう?」



 息を乱しながらフェザンは笑みを浮かべ、さらに抉るように抽送を与えてきた。



 最愛の人と心も体も一つに溶け合い、これ以上ない幸福感で満たされる。

 自分を偽る必要もない。彼を疑うこともしなくていい。



 ただ愛される悦びと愛する幸せに酔いしれて、アルエットは喜悦の声を上げた。



「好き……大好き、フェザン……」



「愛している、アルエット。俺の光」



 抽送が速くなり、呼吸を荒げたフェザンは獣のように乱暴にアルエットの中を蹂躙し尽くし、最奥へ愛の証が注ぎ込まれた。



 目の前に眩しい光が閃いて、アルエットは多幸感に包まれて全身を震わせる。何も考えられなくなって涙が溢れて止まらない。

 指先にさえ力が入らないのに、蜜襞だけは貪欲に収斂し、フェザンの放った精を一滴残らず引き込もうとしているようだった。



「はぁ……」



 深く嘆息してフェザンがアルエットの体に倒れ込んで、楔を引き抜いた。その瞬間にもアルエットはぞくぞくと感じ入ってしまい、甘い声を漏らす。



「アルエットに出会うことができて本当によかった」



「私こそ、フェザンに出会えてうれしい……」



 愉悦の余韻に浸っていたアルエットは微笑んだ。

 乱れた髪をフェザンの長い指が梳いてくれる。その温もりがとても愛しい。



 この腕の中にずっと包まれていたい。どこにも居場所などないと思っていた人生に、たった一つだけ見つけた光がアルエットの心に灯った。



 この人となら、きっとどんなことも乗り越えていける。

 指を絡ませ、口づけを交わしながら、永遠の愛を願った。



「大好き」



「愛している」



 ずっと、いつまでも、この愛を二人で温めていけたなら、その光は未来へ歩む道を明るく照らすだろう。

 微笑み合う二人の瞳には互いの愛する人の姿だけが映し出されている。



「アルエット。約束を覚えているか?」



 ベッドのそばのチェストを開け、フェザンが何かを取り出した。



「あ……リボン……」



 アルエットは潤んだ瞳でそれを見つめた。



「大切なものだろう。君に返せてよかった」



 彼の大きな手から水色のリボンを受け取り、アルエットは微笑んだ。



「ありがとう、フェザン」



 孤独だった人生に温かな幸せをくれた最愛の人に寄り添い、支えを必要とする時があるならば全力で彼に尽くそうとアルエットは心に誓った。

 
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