上 下
19 / 42
第五章

4.(※)独占愛

しおりを挟む
  長い指に頂を挟まれて弄られると、そこから愉悦を擦りこまれるような感覚にアルエットの思考は蕩け始める。



「や……ぁ……っ」



 身もだえると、水面がはげしく波打って湯が零れた。

 フェザンの引き締まった体躯を背中に感じながら、アルエットは甘い声で啼く。



「じっとしていないと湯がなくなるぞ」



 耳元でくすっと笑いながら、フェザンは片方の手をアルエットの脚の間に伸ばした。しなやかな指先が秘裂を割り開き、官能的な動きで翻弄してくる。



「あっ……だめ、無理、じっとなんて……っ」



 蜜口にずぷりと指を埋められて、かあっと一気に体温が上がったような気がした。久しぶりの感覚に、蜜襞がうねりその指に絡みつく。



「あっ、はぁ……っはぁっ、あぁ……」



 胸を強く揉みしだかれ蜜襞を甘くかき混ぜられ、頭の芯まで痺れてしまいそうだ。



「アルエット」



 名前を呼ばれて、恍惚感に浸ったままのとろんとした目で肩越しに振り返れば、目を細めたフェザンに唇を塞がれた。



「んぅ……っふ、んんっ」



 キスを交わしながらもフェザンの愛撫は止まらない。

 指先が秘裂に隠されていた紅玉を探り当てると、触れられただけで腰が跳ねた。



「んっ……ふぁ……あっ、あっ……」



 秘粒を指で押しつぶされたり、優しくこねられると下腹部の奥が強く疼いて、額の辺りがむずむずしてくる。



「ここが悦いんだな?」



 執拗に秘粒を愛撫され、アルエットは湯が零れるのも構わずに身をよじった。



「やぁっ……だめっ、もう……っ」



 張りつめた弓のように、高みに押し上げられたアルエットの意識が一瞬にして弾け飛んだ。



 もう二度とこんな満たされた瞬間は訪れないだろうと思っていたのに。

 逞しい腕に包まれてアルエットは彼の体に寄りかかった。そうしていないと湯の中に沈んでしまうそうだったからだ。



「まだ足りないだろう?」



 脇を抱えられて向かい合わせにさせられると、ちょうど秘裂の辺りにフェザンの反り返った剛直が当たって、下腹部がきゅんと疼く。少しでも体勢をずらすだけで、いつでもアルエットの中に突き立てられそうな力強さにドキドキと胸が高鳴った。



「湯に浸かっていないところがすっかり冷えている」



 そう言って、フェザンがアルエットの体を押し上げると揺れる乳房に吸いついた。



「やぁ……ん……あぁ……っ」



 頂を口に含まれ、熱い舌先で嬲られる。背中を撫でる大きな掌は温かいのに、感じさせるような手つきでぞくぞくと全身が打ち震えてしまう。



「甘くて……いつまでもこうしていたいな」



 何度も、交互に愛撫された頂は赤く膨れて濡れ光っていた。じりじりとした愉悦は下腹部の奥に溜まるばかりで、どこにも逃げてくれない。



「フェザン……」



 アルエットは耐え切れなくなって腰を動かし、フェザンの剛直に秘裂を擦りつける。先端が秘粒を転がすたびに、薔薇色の唇の間から切ない吐息が漏れた。



「ああ。もっと俺の名を呼んでくれ、アルエット」



「フェザンっ、大好き……っ、もう離れないと約束して……っ」



「絶対に離さない。アルエットは俺だけのものだ」



 湯の中でぬるぬると滑る剛直を感じながら、フェザンに乳房を吸い上げられるとまた官能の波がやってくる。



「あぁ……っ、はぁ……っ、気持ち、いい……っ」



 フェザンの肩にしがみつきながら、アルエットは絶頂に達した。びくびくと体が震えて、ぐったりとフェザンに倒れかかる。



「今日は無理はさせたくなかったが、そんなにかわいい姿を見せるのは……反則だ」



 まだ強烈な余韻の残っていたアルエットの体が湯に中で軽く浮いたかと思うと、ほどけた蜜口に猛々しい熱杭がめり込んできた。



「ひぁ……っ!」



 柔らかく解れていたとはいえ、久しぶりに受け入れるフェザンの圧倒的な質量に、目の前がちかちかと明滅する。



「いきなり、そんなに食い締めるな。まだ挿れたばかりだぞ」



「だ……って、フェザンの……こんなに大きかった……?」



「思い出させてやる」



 にやりと口端を上げたフェザンの瑠璃色の瞳が熱っぽく光ったかと思うと、次の瞬間勢いをつけて最奥を貫かれた。



「あぁぁん……っ」



 絶頂を味わったばかりの蜜壺は、少しの刺激でも敏感に官能を拾い上げて、何度もアルエットの意識を奪った。

 抱き合っていると胸の頂がフェザンの引き締まった肌に擦れて、たまらなく甘い痺れが体中を駆け巡る。



「おかしくなっちゃう……っ」



 目に涙の膜を張りながら、アルエットは切れ切れに嬌声を上げた。



 細腰をがっちりと掴まれ、激しく上下に揺さぶられる。熱い楔を打ち込まれ、一つに溶け合った体温が高みに達しようとしていた。



「あっあっ……やぁぁ……っ」



「俺の……アルエット……っ」



 眩い光に包まれて、アルエットの体が勝手にびくびくと震える。蜜襞が収斂し、剛直に絡みつく。息を詰めたフェザンが呻くのと同時に、最奥で熱い飛沫が放たれるのを感じた。



 互いの呼吸が整うまで、しばらく動けなかった。フェザンの体に凭れていると、激しい鼓動の音が聞こえて胸が熱くなる。



「……俺の子を孕め。俺たちが愛し合っている証を」



 繋がったまま口づけを交わし、アルエットは幸せの余韻に浸る。



「ええ。私もあなたの子を産みたい」



 そう微笑むと、フェザンは目を細めて頭を撫でてくれた。



「では、もっと君に子種を注がなくては」



「え?」



 目をぱちくりさせているアルエットを風呂から抱き上げたフェザンは、濡れた体を拭いて寝室へ向かう。



「あ、あの……、私、今、その子種とやらをもらったのでは……」



 はっきりと最奥に吐精するのを感じたが、勘違いだったのだろうか。

 ベッドに仰向けに寝かされれば、たしかにフェザンの剛直は質量を保ったままである。



「一度限りで孕むとは決まっていない」



 そう言ってフェザンは蕩ける蜜口に雄々しい剛直を押し当てた。



「あ……はぁ……っん」

 

 一度慣らされた蜜洞は容易く彼を最奥へと誘う。みっしりと押し拡げられた蜜襞がじわりと潤いを増した。



「すごく……熱い……」



「アルエットの中もとても熱くて溶けてしまいそうだ」



 ぎゅっと抱きしめられ、最奥を穿たれると内臓まで深く押し上げられそうな錯覚で苦しさと愉悦が入り混じる。蜜を絡めながら別の意志を持った生き物のように、脈打つ塊が繰り返し蜜壺を責め立てた。



「あぁぁ……っ」



 じゅぷじゅぷと淫らな水音を立てながら、蜜襞が激しく擦り上げられる悦びにこらえきれず目尻から涙がこぼれる。



「きつくて……押し出されてしまいそうだ……っ」



 官能の波で隘路がうねり、蜜壺が切なくわなないていた。



 フェザンの力強い抽送と、その度に彼の真っ直ぐな黒髪が肌の上を滑るくすぐったさが、異なる愉悦を生んでアルエットを高みに押し上げる。



「あぁっ、フェザン……すごい……悦いの……っ」

 

 あえかな声が寝室に響き渡った。



「俺も悦すぎておかしくなりそうだ、アルエットの中は最高だ」



 首筋にキスを落としてから上体を起こしたフェザンが、アルエットの膝裏を掴んで持ち上げる。



「やぁぁ……それっ、だめ……っ」



 秘部が真上を向くような角度に体を曲げられて、熱い楔を打ち込まれる。普通に横になって抽送されるよりも、より深くまで先端が届いて激しく甘い衝撃が蜜壺に届く。



「だめならこんなに締め付けないだろう?」



 息を乱しながらフェザンは笑みを浮かべ、さらに抉るように抽送を与えてきた。



 最愛の人と心も体も一つに溶け合い、これ以上ない幸福感で満たされる。

 自分を偽る必要もない。彼を疑うこともしなくていい。



 ただ愛される悦びと愛する幸せに酔いしれて、アルエットは喜悦の声を上げた。



「好き……大好き、フェザン……」



「愛している、アルエット。俺の光」



 抽送が速くなり、呼吸を荒げたフェザンは獣のように乱暴にアルエットの中を蹂躙し尽くし、最奥へ愛の証が注ぎ込まれた。



 目の前に眩しい光が閃いて、アルエットは多幸感に包まれて全身を震わせる。何も考えられなくなって涙が溢れて止まらない。

 指先にさえ力が入らないのに、蜜襞だけは貪欲に収斂し、フェザンの放った精を一滴残らず引き込もうとしているようだった。



「はぁ……」



 深く嘆息してフェザンがアルエットの体に倒れ込んで、楔を引き抜いた。その瞬間にもアルエットはぞくぞくと感じ入ってしまい、甘い声を漏らす。



「アルエットに出会うことができて本当によかった」



「私こそ、フェザンに出会えてうれしい……」



 愉悦の余韻に浸っていたアルエットは微笑んだ。

 乱れた髪をフェザンの長い指が梳いてくれる。その温もりがとても愛しい。



 この腕の中にずっと包まれていたい。どこにも居場所などないと思っていた人生に、たった一つだけ見つけた光がアルエットの心に灯った。



 この人となら、きっとどんなことも乗り越えていける。

 指を絡ませ、口づけを交わしながら、永遠の愛を願った。



「大好き」



「愛している」



 ずっと、いつまでも、この愛を二人で温めていけたなら、その光は未来へ歩む道を明るく照らすだろう。

 微笑み合う二人の瞳には互いの愛する人の姿だけが映し出されている。



「アルエット。約束を覚えているか?」



 ベッドのそばのチェストを開け、フェザンが何かを取り出した。



「あ……リボン……」



 アルエットは潤んだ瞳でそれを見つめた。



「大切なものだろう。君に返せてよかった」



 彼の大きな手から水色のリボンを受け取り、アルエットは微笑んだ。



「ありがとう、フェザン」



 孤独だった人生に温かな幸せをくれた最愛の人に寄り添い、支えを必要とする時があるならば全力で彼に尽くそうとアルエットは心に誓った。

 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

私を虐げた人には絶望を ~貧乏令嬢は悪魔と呼ばれる侯爵様と契約結婚する~

香木あかり
恋愛
 「あなた達の絶望を侯爵様に捧げる契約なの。だから……悪く思わないでね?」   貧乏な子爵家に生まれたカレン・リドリーは、家族から虐げられ、使用人のように働かされていた。   カレンはリドリー家から脱出して平民として生きるため、就職先を探し始めるが、令嬢である彼女の就職活動は難航してしまう。   ある時、不思議な少年ティルからモルザン侯爵家で働くようにスカウトされ、モルザン家に連れていかれるが……  「変わった人間だな。悪魔を前にして驚きもしないとは」   クラウス・モルザンは「悪魔の侯爵」と呼ばれていたが、本当に悪魔だったのだ。   負の感情を糧として生きているクラウスは、社交界での負の感情を摂取するために優秀な侯爵を演じていた。   カレンと契約結婚することになったクラウスは、彼女の家族に目をつける。   そしてクラウスはカレンの家族を絶望させて糧とするため、動き出すのだった。  「お前を虐げていた者たちに絶望を」  ※念のためのR-15です  ※他サイトでも掲載中

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。

扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋 伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。 それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。 途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。 その真意が、テレジアにはわからなくて……。 *hotランキング 最高68位ありがとうございます♡ ▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス

愛の重めな黒騎士様に猛愛されて今日も幸せです~追放令嬢はあたたかな檻の中~

二階堂まや
恋愛
令嬢オフェリアはラティスラの第二王子ユリウスと恋仲にあったが、悪事を告発された後婚約破棄を言い渡される。 国外追放となった彼女は、監視のためリアードの王太子サルヴァドールに嫁ぐこととなる。予想に反して、結婚後の生活は幸せなものであった。 そしてある日の昼下がり、サルヴァドールに''昼寝''に誘われ、オフェリアは寝室に向かう。激しく愛された後に彼女は眠りに落ちるが、サルヴァドールは密かにオフェリアに対して、狂おしい程の想いを募らせていた。

若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~

雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」 夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。 そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。 全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載

美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛

らがまふぃん
恋愛
 人の心を持たない美しく残酷な公爵令息エリアスト。学園祭で伯爵令嬢アリスと出会ったことから、エリアストの世界は変わっていく。 ※残酷な表現があります。苦手な方はご遠慮ください。ご都合主義です。笑ってご容赦くださいませ。 *R5.1/28本編完結しました。数話お届けいたしました番外編、R5.2/9に最終話投稿いたしました。時々思い出してまた読んでくださると嬉しいです。ありがとうございました。 たくさんのお気に入り登録、エール、ありがとうございます!とても励みになります!これからもがんばって参ります! ※R5.6/1続編 美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛 投稿いたしました。再度読み返してくださっている方、新たに読み始めてくださった方、すべての方に感謝申し上げます。これからもよろしくお願い申し上げます。 ※R5.7/24お気に入り登録200突破記念といたしまして、感謝を込めて一話お届けいたします。 ※R5.10/29らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R5.11/12お気に入り登録300突破記念といたしまして、感謝を込めて一話お届けいたします。 ※R6.1/27こちらの作品と、続編 美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れる程の愛(前作) の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.10/29に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R6.11/17お気に入り登録500突破記念といたしまして、感謝を込めて一話お届けいたします。

処理中です...