18 / 42
第五章
3.(※)本当の名前
しおりを挟む
目を覚ました時、視界が真っ暗で動揺したが、それが布で覆われているだけだとわかってアルエットは少しずつ経緯を思い出していく。
王城で最期を待っていたアルエットのもとに帝国軍の兵士がやってきたのだ。セヴランへの想いと共に散るはずだった命は、まだ繋がれている。
目隠しをされ、両手を拘束され、長い道のりを経てクライノート帝国へ連れてこられたのだろう。なにせ目が見えないのでここがどこだがかわからない。
――これくらいで不安に思ってはいけないわ。
後ろ手に縛られているが、なんとか冷たく濡れた床から体を起こす。
「気が付いたか、敗戦国の王女よ」
急に離れた場所から男の声がして、アルエットは縮み上がる。
「敗戦国……」
さらなるつらい現実を耳にして、アルエットの声は沈んだ。
硬く冷たい石壁の隙間から染み出した地下水のようなものがアルエットのドレスを汚していたが、この後の処遇を考えるとそんなことはどうでもよかった。
敗戦国の王族を捕える目的は一つしかない。見せしめに大勢の観衆の前で処刑されるのだ。その首をもって勝利宣言となる。あるいは、父王が王妃に話していたように、兵士たちから辱めを受け、慰みものにされる人生か――
絶望とはまさにこのことだ。
「エグマリンの国王や王妃のように泣き喚いて無駄な命乞いをしてもいいのだぞ」
おそらく看守であろう男は笑い飛ばしたが、アルエットは黙ったまま俯いていた。
痛いのは嫌いだ。死ぬのはこわい。でもあがいても仕方のないことだ。せめて、死ぬ前にセヴランに会いたかった。
うなだれるアルエットの耳に、遠くから通路を歩いてくる硬質な足音が聞こえた。処刑場に連れていかれるのかもしれないと思うと、体が震えだして呼吸が速くなった。
――助けて。
喉が引き攣れて声も出てこない。
「今すぐ鍵を開けろ」
立ち止まった男の低い声に、アルエットは息を呑んだ。
「よろしいのですか、殿下?」
「かまわない。話は通してある」
鍵の外れる重い金属音が聞こえて、誰かが牢の中に入ってくる。
アルエットの鼓動は早鐘のようにうるさく鳴っていた。
――まさか、そんなことがあるはずがない。
誰かがアルエットの頭に触れて、びくっと肩をすくめたが、どうやら目隠しをしている布の結び目を解いているだけだとわかった。
「リエル、遅くなって悪かったな」
アルエットをその名で呼ぶのはこの世に一人しかいない。
どきん、どきんと心臓が大きな音を立てる。
はらりと布が外されれば、目の前には会いたいと切望していたその人が、申し訳なさそうに眉根を下げてアルエットの頬を撫でた。
「セヴラン、なの……? どうして……ここに……」
最愛の人に会えて嬉しさがこみ上げてくる反面、戸惑いと不安で胸がいっぱいになる。さきほど彼は「殿下」と呼ばれていなかっただろうか。
「フェザン・ロシール・ディエルシカ。それが俺の本名だ」
漆黒の詰襟の上着に光る金のボタンには、ディエルシカ王家の紋章である翼を広げた三つ首竜の細工が施されている。富と権威と神格を象徴しているというそれは、アルエットも過去に目にしたことがあった。
――ディエルシカ王家。
この大陸において、クライノートを強大な帝国に築き上げた王家の名を知らない者はいない。ただし現皇帝のことを知っていたとしても、その令息のことまでは遠方まで情報は入ってこないものだ。
「リエル、いや、アルエット……こわい思いをさせてすまなかった。君からすべて奪った俺を君は赦してはくれないだろうな」
拘束していた麻縄を短剣で切りながら、フェザンはアルエットに瑠璃色の瞳を向ける。
アルエットが首を大きく横に振ると、長いストロベリーブロンドがゆるゆると揺れた。
「赦すも何も、私には……最初から何もなかったもの。あなたは、私がエグマリン国の王女だと知っていて声をかけてきたの?」
ここへ連行されるまで一度も彼とは顔を合わせたことはなかった。それなのに、セヴランと名乗っていたフェザンはアルエットに向かってリエルと迷わず呼んだ。
「正直に言うとアルエットのことは調べさせてもらった」
「……詮索はしないって言ったのに」
「本当にすまない。こちらにも事情があったんだ」
「どんな事情?」
「それは追々話すとして――」
ぎゅっと抱きしめられ、その温もりにアルエットの瞳から涙がじわりと溢れた。
凛とした大人の色気がふわりと香って、忘れもしないミスダールでの幸せが日々が鮮やかに脳裏に映し出される。
「セ……、ううん、フェザン……。会いたかったの。もう忘れられたかと思っていた……」
「これからは俺が君を守るから。もう何も心配はいらない」
絶望の中に、一つだけ希望の光が灯ったようだった。それも、これ以上ないほどの希望と幸福だ。
肉親や国を失った王女が今の状況を幸せだと思うことに罪悪感がないわけではなかったが、溢れる気持ちは止められない。それは誰にも。
アルエットはフェザンに抱き上げられ、彼の部屋に運ばれた。
「俺が綺麗にしてやろう」
そのまま彼は部屋の一室に向かった。ホッとするような温かい空気を感じて顔を上げれば、そこは浴室だった。すでに浴槽には湯が張られている。
「フェザン……」
なんだか不思議な感じだ。今までセヴランと呼んでいたからついそう呼びたくなってしまうが、本当の名前を口にできることがとても嬉しい。
「少し痩せたか?」
そう言ってフェザンはアルエットのドレスを脱がしていく。
温かい湯をかけられて、冷えた体にじんと染みた。
「フェザンの服が濡れてしまうわ」
「気にするな。どうせすぐ脱ぐことになる」
その言葉の意味を理解して、アルエットは顔を赤らめた。
申しわけない気持ちになりながら髪の毛を洗ってもらうと、真っ白な泡の山を掌に包み込んだフェザンの手がアルエットの肌を滑る。
「ん……っ」
胸の膨らみに指先が触れてアルエットはびくりとした。
全身を撫でられて、じれったさにアルエットは悶える。湯をかけられ、浴槽に連れていかれると、あとから服を脱いだフェザンが入ってくる。
湯が溢れ、アルエットは後ろからフェザンに抱き締められて胸が高鳴っていくのを感じた。
「私……幸せだと思ってもいいの? 生まれた国を見捨てた裏切り者だと言われるかもしれない」
「自分のことよりも他人のことを気遣うアルエットだから、今回のことは話せなかった」
フェザンはそう言ってアルエットの項に優しく口づけた。
「片目が見えなくなった上に予測できない頭痛に襲われる俺は、もう戦場の最前線で部下を率いることはできない、満足のいく公務も無理だろうと父に言われ、皇太子を辞すよう命じられた。帝国を継いでいくことを使命として生きてきた俺には過酷な宣告だった」
それを聞きながらアルエットは彼の腕をぎゅっと握った。
「ミスダールに行って他国に伝わる良薬か秘術などないか情報を得ようとしていた時に、君に出会った。エグマリン国の王女だと知った時は驚いたよ。父が次に属州国にしようとしていた国だったから」
「それで……私に声をかけたの?」
「エグマリン国の王女だと知る前から、純粋な心に触れてすでに惹かれていた。君を苦しみから救ってやりたかった。俺の手で幸せにしてやりたいと思った」
「帝国からの縁談だと言えば、父は断らなかったかもしれないわ」
「ああ、そうだろうな。しかしアルエットの心も体も傷つけるような人間をそのままにはしておきたくなかった。事前に話さなかったのは、優しい君のことだから、どうにか戦争を起こさないように先回りして行動を起こすかもしれないと思ったからだ」
それは買いかぶりすぎだとアルエットは言いたかった。しかし、この話を知っていて、国民が辛い目に遭うところを黙って見ていられたかと聞かれると難しい。
「エグマリン国はなくなってしまったが、残された民のために復興の道を尽力する。だからアルエットは幸せになっていいんだ。もう誰も君を傷つけたりしない」
脇の下から差し込まれたフェザンの手がアルエットの胸の膨らみを優しく捉えた。
「あ……ふぁ……っ」
揉み込まれ、柔らかく形を変えられる度に甘い痺れが沸き起こり、肌が桃色に色づいていく。
「感じやすいのは、変わっていないな」
項や肩に吸いつかれ、アルエットは官能に震えた。
王城で最期を待っていたアルエットのもとに帝国軍の兵士がやってきたのだ。セヴランへの想いと共に散るはずだった命は、まだ繋がれている。
目隠しをされ、両手を拘束され、長い道のりを経てクライノート帝国へ連れてこられたのだろう。なにせ目が見えないのでここがどこだがかわからない。
――これくらいで不安に思ってはいけないわ。
後ろ手に縛られているが、なんとか冷たく濡れた床から体を起こす。
「気が付いたか、敗戦国の王女よ」
急に離れた場所から男の声がして、アルエットは縮み上がる。
「敗戦国……」
さらなるつらい現実を耳にして、アルエットの声は沈んだ。
硬く冷たい石壁の隙間から染み出した地下水のようなものがアルエットのドレスを汚していたが、この後の処遇を考えるとそんなことはどうでもよかった。
敗戦国の王族を捕える目的は一つしかない。見せしめに大勢の観衆の前で処刑されるのだ。その首をもって勝利宣言となる。あるいは、父王が王妃に話していたように、兵士たちから辱めを受け、慰みものにされる人生か――
絶望とはまさにこのことだ。
「エグマリンの国王や王妃のように泣き喚いて無駄な命乞いをしてもいいのだぞ」
おそらく看守であろう男は笑い飛ばしたが、アルエットは黙ったまま俯いていた。
痛いのは嫌いだ。死ぬのはこわい。でもあがいても仕方のないことだ。せめて、死ぬ前にセヴランに会いたかった。
うなだれるアルエットの耳に、遠くから通路を歩いてくる硬質な足音が聞こえた。処刑場に連れていかれるのかもしれないと思うと、体が震えだして呼吸が速くなった。
――助けて。
喉が引き攣れて声も出てこない。
「今すぐ鍵を開けろ」
立ち止まった男の低い声に、アルエットは息を呑んだ。
「よろしいのですか、殿下?」
「かまわない。話は通してある」
鍵の外れる重い金属音が聞こえて、誰かが牢の中に入ってくる。
アルエットの鼓動は早鐘のようにうるさく鳴っていた。
――まさか、そんなことがあるはずがない。
誰かがアルエットの頭に触れて、びくっと肩をすくめたが、どうやら目隠しをしている布の結び目を解いているだけだとわかった。
「リエル、遅くなって悪かったな」
アルエットをその名で呼ぶのはこの世に一人しかいない。
どきん、どきんと心臓が大きな音を立てる。
はらりと布が外されれば、目の前には会いたいと切望していたその人が、申し訳なさそうに眉根を下げてアルエットの頬を撫でた。
「セヴラン、なの……? どうして……ここに……」
最愛の人に会えて嬉しさがこみ上げてくる反面、戸惑いと不安で胸がいっぱいになる。さきほど彼は「殿下」と呼ばれていなかっただろうか。
「フェザン・ロシール・ディエルシカ。それが俺の本名だ」
漆黒の詰襟の上着に光る金のボタンには、ディエルシカ王家の紋章である翼を広げた三つ首竜の細工が施されている。富と権威と神格を象徴しているというそれは、アルエットも過去に目にしたことがあった。
――ディエルシカ王家。
この大陸において、クライノートを強大な帝国に築き上げた王家の名を知らない者はいない。ただし現皇帝のことを知っていたとしても、その令息のことまでは遠方まで情報は入ってこないものだ。
「リエル、いや、アルエット……こわい思いをさせてすまなかった。君からすべて奪った俺を君は赦してはくれないだろうな」
拘束していた麻縄を短剣で切りながら、フェザンはアルエットに瑠璃色の瞳を向ける。
アルエットが首を大きく横に振ると、長いストロベリーブロンドがゆるゆると揺れた。
「赦すも何も、私には……最初から何もなかったもの。あなたは、私がエグマリン国の王女だと知っていて声をかけてきたの?」
ここへ連行されるまで一度も彼とは顔を合わせたことはなかった。それなのに、セヴランと名乗っていたフェザンはアルエットに向かってリエルと迷わず呼んだ。
「正直に言うとアルエットのことは調べさせてもらった」
「……詮索はしないって言ったのに」
「本当にすまない。こちらにも事情があったんだ」
「どんな事情?」
「それは追々話すとして――」
ぎゅっと抱きしめられ、その温もりにアルエットの瞳から涙がじわりと溢れた。
凛とした大人の色気がふわりと香って、忘れもしないミスダールでの幸せが日々が鮮やかに脳裏に映し出される。
「セ……、ううん、フェザン……。会いたかったの。もう忘れられたかと思っていた……」
「これからは俺が君を守るから。もう何も心配はいらない」
絶望の中に、一つだけ希望の光が灯ったようだった。それも、これ以上ないほどの希望と幸福だ。
肉親や国を失った王女が今の状況を幸せだと思うことに罪悪感がないわけではなかったが、溢れる気持ちは止められない。それは誰にも。
アルエットはフェザンに抱き上げられ、彼の部屋に運ばれた。
「俺が綺麗にしてやろう」
そのまま彼は部屋の一室に向かった。ホッとするような温かい空気を感じて顔を上げれば、そこは浴室だった。すでに浴槽には湯が張られている。
「フェザン……」
なんだか不思議な感じだ。今までセヴランと呼んでいたからついそう呼びたくなってしまうが、本当の名前を口にできることがとても嬉しい。
「少し痩せたか?」
そう言ってフェザンはアルエットのドレスを脱がしていく。
温かい湯をかけられて、冷えた体にじんと染みた。
「フェザンの服が濡れてしまうわ」
「気にするな。どうせすぐ脱ぐことになる」
その言葉の意味を理解して、アルエットは顔を赤らめた。
申しわけない気持ちになりながら髪の毛を洗ってもらうと、真っ白な泡の山を掌に包み込んだフェザンの手がアルエットの肌を滑る。
「ん……っ」
胸の膨らみに指先が触れてアルエットはびくりとした。
全身を撫でられて、じれったさにアルエットは悶える。湯をかけられ、浴槽に連れていかれると、あとから服を脱いだフェザンが入ってくる。
湯が溢れ、アルエットは後ろからフェザンに抱き締められて胸が高鳴っていくのを感じた。
「私……幸せだと思ってもいいの? 生まれた国を見捨てた裏切り者だと言われるかもしれない」
「自分のことよりも他人のことを気遣うアルエットだから、今回のことは話せなかった」
フェザンはそう言ってアルエットの項に優しく口づけた。
「片目が見えなくなった上に予測できない頭痛に襲われる俺は、もう戦場の最前線で部下を率いることはできない、満足のいく公務も無理だろうと父に言われ、皇太子を辞すよう命じられた。帝国を継いでいくことを使命として生きてきた俺には過酷な宣告だった」
それを聞きながらアルエットは彼の腕をぎゅっと握った。
「ミスダールに行って他国に伝わる良薬か秘術などないか情報を得ようとしていた時に、君に出会った。エグマリン国の王女だと知った時は驚いたよ。父が次に属州国にしようとしていた国だったから」
「それで……私に声をかけたの?」
「エグマリン国の王女だと知る前から、純粋な心に触れてすでに惹かれていた。君を苦しみから救ってやりたかった。俺の手で幸せにしてやりたいと思った」
「帝国からの縁談だと言えば、父は断らなかったかもしれないわ」
「ああ、そうだろうな。しかしアルエットの心も体も傷つけるような人間をそのままにはしておきたくなかった。事前に話さなかったのは、優しい君のことだから、どうにか戦争を起こさないように先回りして行動を起こすかもしれないと思ったからだ」
それは買いかぶりすぎだとアルエットは言いたかった。しかし、この話を知っていて、国民が辛い目に遭うところを黙って見ていられたかと聞かれると難しい。
「エグマリン国はなくなってしまったが、残された民のために復興の道を尽力する。だからアルエットは幸せになっていいんだ。もう誰も君を傷つけたりしない」
脇の下から差し込まれたフェザンの手がアルエットの胸の膨らみを優しく捉えた。
「あ……ふぁ……っ」
揉み込まれ、柔らかく形を変えられる度に甘い痺れが沸き起こり、肌が桃色に色づいていく。
「感じやすいのは、変わっていないな」
項や肩に吸いつかれ、アルエットは官能に震えた。
0
お気に入りに追加
473
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
踏み台令嬢はへこたれない
IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる