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21話 ★
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目を覚ました隼人はぼんやりと天井を見る。
夢を見た、気がする。
どんな夢だったかは思い出せない。
覚醒した瞬間に消えてしまった。
でもほんの少しだけ残っている想いがある。
上手く表現は出来ないけど、言葉にするなら――。
(身動きが取れない、息苦しい、みたいな感じかな)
もぞもぞと寝返りを打って枕元のスマートフォンに手を伸ばす。
起床予定の時間よりやや早い時刻を表示している。
アラームが鳴る時間よりも早くに起きてしまった。
最近はいつもこうだ。
別に早く起きられるのはいいのだが、何かこう、妙なのだ。
「寝た感じがしない」
睡眠時間は充分に取れているのに、なんだか寝起きの爽快感がない。
夜、寝入るときの感覚もなんだか変な気がする。
例えるなら電源のON、OFFを強制的にされるようなそんな気持ち悪さ。
夢見も悪い。これが睡眠の質が悪いというやつなのか。
「最近は健康的な生活をしてると思うんだけどな」
食事は仙崎が栄養バランスの良い料理を作ってくれるし、他の家事もいつの間にかやってある。
お酒やお菓子といった嗜好品や、シャンプーやトイレットペーパーなどの消耗品も常に揃っている。
仙崎と住むようになってから隼人はほぼ家のことで困ったことはない。一人で暮らしていた時よりも快適に過ごせている。
夜更かしだってしていない。夜の分の射精ノルマで疲れてしまうので、出来ないと言う方が正しいかも知れない。
なのに何故か良く寝られた、という感覚を得ることが少ない。
これは一体何なのだろう、そう考えていると扉がノックされる。
「隼人さん、朝ですよ。起きてますか?」
「……うん。起きた」
隼人は仙崎の呼び声に身を起こす。
ドアノブが下りて、爽やかな笑顔で仙崎が入ってきた。
「おはようございます。きちんと起きられて偉いですね」
「んー、たまたまかな。多分」
隼人は両手を伸ばして凝り固まった身体をほぐす。
気持ちの良い寝起きではないが新しい一日が始まるのだ。
切り替えて行かないといけない。
「今日は少し早めに出ないといけません。なので私が抜いてしまってもいいですか?」
「えっ!? あっ、う、うん」
仙崎に言われて自分の下半身に視線をやると、隼人の陰茎がズボンを持ち上げてしまっていた。
(っ~~~~! なんか最近多くないか!)
隼人は顔を赤らめてしまう。ここのところ毎朝こうだ。
以前は朝勃ちになることなんてほとんどなかった。なのに最近は、まるでオナ禁していたみたいに玉が重たい気もする。
仙崎は隼人の隣に腰を掛け、手慣れた手つきでスボンを脱がしてしまう。
下着も下ろされてしまい、簡単に隼人の息子が露わになる。
仙崎の目線と外気に晒されて、隼人のものは待ちわびたかのようにピクッと反応をしめす。
隼人はやる気満々の自分のペニスから目を反らす。
毎日抜いているのに、逆に性欲が強くなっているように思えて受け入れがたい。
そんな隼人の気持ちが伝わったのか、仙崎は右手でなだめるように太ももの内側を撫でる。
彼の左手は乳首を摘まんで尖らせて、指の腹でゆるゆると転がされる。
「あっ! んんっ、あっ、あっ!」
彼の暖かな手が、乳首や太ももを這い回って隼人の淫欲を高めていく。
陰茎が兆してくると、もっと直接的な刺激を求めて自然と脚が開く。
手を後ろについて身体を支えるせいで、腰を突き出す形になって余計に欲しがっているように見えてしまう。
肌が汗ばんで肉体が高揚していく。
しかし隼人はまだ、自分でやらなきゃという義務感で少しの理性を残していた。
だがそれも仙崎が隼人のペニスを掴んだ瞬間に霧散する。
「あああっ! ひう、んんっ! あっ、あっ、ああっ!」
仙崎は、隼人の先走りが溢れ始めたそれを大胆に扱いていく。先端を手の平でくるくると回し、そのまま根本まで上下に動かして体液を塗り拡げる。
「はあっ、ああっ! あっ、あっ、んあっ!」
「気持ち良いですか?」
「あっ! んああっ! い、いいっ! いいっ!」
ここまで官能を引き出されてしまったら、もう後はされるがまま。
もはや自分でしなければいけない理由なんて思い出せない。
素直な隼人さんは素敵ですよ、といいながら隼人のものを擦って更に昂らせる。
「今日はこれも使ってみましょうか」
「そ、それって――」
仙崎が懐から取り出したのは、黒くて小さい電マ。
アダルトビデオなどで登場する大人のおもちゃ。
隼人はまだ状況が飲み込めず、それをまじまじと見ていると、仙崎は隼人の陰茎に押し当ててスイッチを入れる。
「えっ? あっ!!! あああっ――――!!!」
ブブブブッ、と高速で振動する玩具は、ペニスの先端や裏筋に当てられて隼人を強制的に追い上げる。
「あっ、あっ、ああっ! や、やだっ! まって! ひいっ! ああっ――――!」
「気持ち良いでしょう?」
「んんあっ! んんっ、あっ、つ、つよいっ! あっ、あっ! すぐいくうっ!」
敏感な先端を電マで撫で回され、もう一方の手で会陰を押し込まれて極みに導かれる。
「んんっ! んぁ! で、でるっ! あっ、あっ、っ――――!」
「はい、よく出来ました」
強烈な快感が電流となって隼人を貫く。
どぴゅっ、という音が聞こえてきそうな濃い精液が、断続的に噴き出した。
隼人のペニスから吐き出される白濁を、仙崎は牛の乳搾りのように搾り取っていく。
「ひああっ! ま、まって! まっ、んあっ、んんんんっ!」
まだ達している最中のものを扱き上げられて、隼人は快感に倒れ込んでのたうち回る。ベットに倒れ込んでつま先をピンっと張り、目の奥をチカチカさせて強い快楽がすぎ去るのを待つ。
「はあ、はあ、あうっ、……んんっ」
「少し性急すぎましたか?」
「だ、大丈夫……」
隼人は息を切らしながらなんとか答えるが、身体は快楽に痺れたままだ。
一度達しただけなのに、快感が身体を支配して指を動かすのも億劫だ。
隼人は身体を起こそうとするが、力が入らない。
めちゃくちゃ気持ち良い。
彼に出会った最初の頃よりも、気持ち良さが増している気がする。
隼人が余韻に浸っていると、仙崎が隼人の脚を掴んでより大きく広げてくる。
「もう少しじっくり気持ち良くさせてあげたいのですが、時間がないので次いきますよ」
「あっ、も、もう少しま――、ああっ! あっ、あっ」
仙崎は隼人のものを口に含むと、じゅっと吸い上げた。
「ひああああっ!! あああぁぁっ!」
とてつもない快感に隼人は背筋を大きく反らす。
全てが吸い取られてしまいそうな快楽に、腰が跳ねて逃げを打つ。
だが仙崎はしっかり隼人の腰を固定して、口を離すことなく隼人のものを可愛がり続ける。
強く弱く吸い上げて、舌を這わせて隼人を追い込んでいく。
隼人の暴れる足を身体で押さえると、片手に電マを持ち、睾丸や会陰に振動を当てていく。
隼人はシーツをぎゅっと強く握ぎりしめる。
仙崎に与えられる快楽に、滅茶苦茶に翻弄される。
「ああっ、ひいっ! ああっ、だめっ! んああっ!」
(……あたま、とける)
仙崎に与えられる快感は、狂いそうな程の気持ち良さで隼人を攻め立てる。
「あっ、ああっ! やっ! んあっ、ああっ! でるっ、でちゃっ!」
隼人は恥も外聞もなく、泣き叫びながら二度目の射精に辿り着いてしまう。
「っ――――――!!!!」
目の前が真っ白になる。
強烈な快感が、隼人を襲って神経を焼き尽くす。
隼人は大きく身体を跳ねさせて、仙崎の口内に勢いよく白濁を吐き出した。
彼は隼人の体液を飲み込むと、僅かな精子も吸い上げて綺麗に舐め取る。
「隼人さん、大丈夫ですか?」
「……ぅ――――」
隼人は限界を超える快楽に半ば意識を飛ばしかけていた。
半ば閉じかけている瞳は、焦点が合わずに涙を流して虚空を映している。
「隼人は本当に可愛いですね。身体を拭くのでそのままでいいですよ」
はだけて乳首を見せていた上のパジャマも脱がされて、完全に全裸にされた。仙崎はウエットティッシュを取り出すと隼人の身体を清めていく。
「……ぁ、……おれ」
「今、身体を綺麗にしています。このまま服も着替えてしまいましょう」
隼人は身体を拭かれる感覚に少しずつ意識が戻ってくる。だがまだ身体が甘く痺れていて身体を動かせない。
ぼんやりと身体を投げ出したまま、隼人はあること感じた。
仙崎に最高に気持ち良くしてもらったというのに、腹の奥底の熱が冷めない。
もう朝分のノルマとして、二度の射精をしたというのにわだかまりが残っているのだ。
このもやもやしているものの正体が分からない。
仙崎に隅々まで綺麗にしてもらうと、いつの間にか用意されていた新しい下着を履かせられた。
「では下着を履きましょう」
「……うん」
仙崎は慣れた様子で隼人の足に下着を通し、隼人に腰を浮かすように指示を出す。
隼人は妙な熱を見ないふりをして、仙崎に言われた通りに腰を浮かせる。
その時だった。
「ひゃんっ!」
仙崎の指が隼人の後孔をかすめた。
隼人は思わず変な声を上げてしまい、後孔が勝手に収縮する。
「あっ、申し訳ありません。爪で怪我していませんか?」
仙崎は隼人の後孔の具合を確かめるように指の腹で撫でていく。
その感覚に全身の肌が粟立つ。
隼人が無視しようとした腹の奥の残り火に勢いが戻ってしまう。
(……なんか、ヤバいかも)
じわじわと炙るような淫欲の炎が、腰の深いところで発生して隼人を侵食していく。
喉が酷く渇く。
脳が熱くなる。
「痛くしていませんか?」
「んっ、んあっ! 大丈夫! 大丈夫だから!」
「それなら良かったです」
蕾がうずいて指を呑み込もうとするが、その前にすっと指が離れてしまう。
仙崎はひくつく後孔をそのままにして、隼人に下着を履かせる。
だが隼人は、彼が残りの服も着替えさせようとしたのを止めに入る。
「あ、後は自分でするから」
「そうですか? では私は朝食の準備をしてきますね」
「……うん」
仙崎が部屋から出て行くのを確認すると、隼人は枕に顔を押し付けた。
「あっ、はっ、んうっ、なにこれ……!」
この感じは芝居を終えた時の衝動に似ている。
でも似ているだけで同じじゃない。
もっと深いところから飢える感覚。
足りない。欲しい。
でも何を?
隼人の脳裏に、仙崎の指が体内に入ってきたあの夜が浮かぶ。
たった一度、もう何日も前の記憶。
隼人の性欲の限界を知るために行われた婬靡な夜。
指と玩具で未知の快楽を教えられた。
隼人は身体の内側を弄られる感覚を思い出して唾を飲み込む。
ああ、そうか。
あの時いじられた腹の奥にある場所がうずいているんだ。
少し後ろを触られだけなのに……
「隼人さん、時間がなくなってしまいますよ」
リビングから聞こえてきた声にハッとして、隼人は慌てて着替えた。
妙な熱はまだ感じるが、時間がヤバい。
隼人は頭を振ってくすぶる熱を必死に抑える。
急いでリビングに向かうと、テーブルにバランスのいい見事な朝食が用意されていた。
仙崎は味噌汁のお椀を並べている。
「ご、ごめん! 遅くなった」
「大丈夫、まだなんとかなります。隼人さん、ちょっと」
「えっ?」
隼人が席に着こうとすると仙崎に呼び止められた。
隼人が振り向くと、彼は隼人の服の裾を直して肩部分を調整する。
そしてそのまま隼人の頭を撫でると手櫛で髪を整えた。
優しくて長い少し節ばった仙崎の指。
髪を梳くその感触に、隼人の中で何かがカチリとはまる音がした。
「はい、これでいいでしょう。格好いいですよ」
そう言うと仙崎は席に着く。
仙崎は箸を持って食べ始めようとするが、隼人はその場で立ったまま動かない。
「隼人さん? 食べないんですか?」
「――っ、た、食べる」
隼人はぎこちない動きで席に着いて無言で食べ始める。
しかし心の中はある確信でしめられていた。
今まで感じていた何かが一つの形になる。
俺は仙崎さんが好きかもしれない。
そして彼に抱かれたいのかもしれない。
隼人は頬を赤く染めながら黙々とご飯を口に運ぶ。
隼人の中で芽生えた鼓動が高鳴る想い。
そんな甘酸っぱい感情の前に、寝起きに感じた違和感はかき消えてしまった。
夢を見た、気がする。
どんな夢だったかは思い出せない。
覚醒した瞬間に消えてしまった。
でもほんの少しだけ残っている想いがある。
上手く表現は出来ないけど、言葉にするなら――。
(身動きが取れない、息苦しい、みたいな感じかな)
もぞもぞと寝返りを打って枕元のスマートフォンに手を伸ばす。
起床予定の時間よりやや早い時刻を表示している。
アラームが鳴る時間よりも早くに起きてしまった。
最近はいつもこうだ。
別に早く起きられるのはいいのだが、何かこう、妙なのだ。
「寝た感じがしない」
睡眠時間は充分に取れているのに、なんだか寝起きの爽快感がない。
夜、寝入るときの感覚もなんだか変な気がする。
例えるなら電源のON、OFFを強制的にされるようなそんな気持ち悪さ。
夢見も悪い。これが睡眠の質が悪いというやつなのか。
「最近は健康的な生活をしてると思うんだけどな」
食事は仙崎が栄養バランスの良い料理を作ってくれるし、他の家事もいつの間にかやってある。
お酒やお菓子といった嗜好品や、シャンプーやトイレットペーパーなどの消耗品も常に揃っている。
仙崎と住むようになってから隼人はほぼ家のことで困ったことはない。一人で暮らしていた時よりも快適に過ごせている。
夜更かしだってしていない。夜の分の射精ノルマで疲れてしまうので、出来ないと言う方が正しいかも知れない。
なのに何故か良く寝られた、という感覚を得ることが少ない。
これは一体何なのだろう、そう考えていると扉がノックされる。
「隼人さん、朝ですよ。起きてますか?」
「……うん。起きた」
隼人は仙崎の呼び声に身を起こす。
ドアノブが下りて、爽やかな笑顔で仙崎が入ってきた。
「おはようございます。きちんと起きられて偉いですね」
「んー、たまたまかな。多分」
隼人は両手を伸ばして凝り固まった身体をほぐす。
気持ちの良い寝起きではないが新しい一日が始まるのだ。
切り替えて行かないといけない。
「今日は少し早めに出ないといけません。なので私が抜いてしまってもいいですか?」
「えっ!? あっ、う、うん」
仙崎に言われて自分の下半身に視線をやると、隼人の陰茎がズボンを持ち上げてしまっていた。
(っ~~~~! なんか最近多くないか!)
隼人は顔を赤らめてしまう。ここのところ毎朝こうだ。
以前は朝勃ちになることなんてほとんどなかった。なのに最近は、まるでオナ禁していたみたいに玉が重たい気もする。
仙崎は隼人の隣に腰を掛け、手慣れた手つきでスボンを脱がしてしまう。
下着も下ろされてしまい、簡単に隼人の息子が露わになる。
仙崎の目線と外気に晒されて、隼人のものは待ちわびたかのようにピクッと反応をしめす。
隼人はやる気満々の自分のペニスから目を反らす。
毎日抜いているのに、逆に性欲が強くなっているように思えて受け入れがたい。
そんな隼人の気持ちが伝わったのか、仙崎は右手でなだめるように太ももの内側を撫でる。
彼の左手は乳首を摘まんで尖らせて、指の腹でゆるゆると転がされる。
「あっ! んんっ、あっ、あっ!」
彼の暖かな手が、乳首や太ももを這い回って隼人の淫欲を高めていく。
陰茎が兆してくると、もっと直接的な刺激を求めて自然と脚が開く。
手を後ろについて身体を支えるせいで、腰を突き出す形になって余計に欲しがっているように見えてしまう。
肌が汗ばんで肉体が高揚していく。
しかし隼人はまだ、自分でやらなきゃという義務感で少しの理性を残していた。
だがそれも仙崎が隼人のペニスを掴んだ瞬間に霧散する。
「あああっ! ひう、んんっ! あっ、あっ、ああっ!」
仙崎は、隼人の先走りが溢れ始めたそれを大胆に扱いていく。先端を手の平でくるくると回し、そのまま根本まで上下に動かして体液を塗り拡げる。
「はあっ、ああっ! あっ、あっ、んあっ!」
「気持ち良いですか?」
「あっ! んああっ! い、いいっ! いいっ!」
ここまで官能を引き出されてしまったら、もう後はされるがまま。
もはや自分でしなければいけない理由なんて思い出せない。
素直な隼人さんは素敵ですよ、といいながら隼人のものを擦って更に昂らせる。
「今日はこれも使ってみましょうか」
「そ、それって――」
仙崎が懐から取り出したのは、黒くて小さい電マ。
アダルトビデオなどで登場する大人のおもちゃ。
隼人はまだ状況が飲み込めず、それをまじまじと見ていると、仙崎は隼人の陰茎に押し当ててスイッチを入れる。
「えっ? あっ!!! あああっ――――!!!」
ブブブブッ、と高速で振動する玩具は、ペニスの先端や裏筋に当てられて隼人を強制的に追い上げる。
「あっ、あっ、ああっ! や、やだっ! まって! ひいっ! ああっ――――!」
「気持ち良いでしょう?」
「んんあっ! んんっ、あっ、つ、つよいっ! あっ、あっ! すぐいくうっ!」
敏感な先端を電マで撫で回され、もう一方の手で会陰を押し込まれて極みに導かれる。
「んんっ! んぁ! で、でるっ! あっ、あっ、っ――――!」
「はい、よく出来ました」
強烈な快感が電流となって隼人を貫く。
どぴゅっ、という音が聞こえてきそうな濃い精液が、断続的に噴き出した。
隼人のペニスから吐き出される白濁を、仙崎は牛の乳搾りのように搾り取っていく。
「ひああっ! ま、まって! まっ、んあっ、んんんんっ!」
まだ達している最中のものを扱き上げられて、隼人は快感に倒れ込んでのたうち回る。ベットに倒れ込んでつま先をピンっと張り、目の奥をチカチカさせて強い快楽がすぎ去るのを待つ。
「はあ、はあ、あうっ、……んんっ」
「少し性急すぎましたか?」
「だ、大丈夫……」
隼人は息を切らしながらなんとか答えるが、身体は快楽に痺れたままだ。
一度達しただけなのに、快感が身体を支配して指を動かすのも億劫だ。
隼人は身体を起こそうとするが、力が入らない。
めちゃくちゃ気持ち良い。
彼に出会った最初の頃よりも、気持ち良さが増している気がする。
隼人が余韻に浸っていると、仙崎が隼人の脚を掴んでより大きく広げてくる。
「もう少しじっくり気持ち良くさせてあげたいのですが、時間がないので次いきますよ」
「あっ、も、もう少しま――、ああっ! あっ、あっ」
仙崎は隼人のものを口に含むと、じゅっと吸い上げた。
「ひああああっ!! あああぁぁっ!」
とてつもない快感に隼人は背筋を大きく反らす。
全てが吸い取られてしまいそうな快楽に、腰が跳ねて逃げを打つ。
だが仙崎はしっかり隼人の腰を固定して、口を離すことなく隼人のものを可愛がり続ける。
強く弱く吸い上げて、舌を這わせて隼人を追い込んでいく。
隼人の暴れる足を身体で押さえると、片手に電マを持ち、睾丸や会陰に振動を当てていく。
隼人はシーツをぎゅっと強く握ぎりしめる。
仙崎に与えられる快楽に、滅茶苦茶に翻弄される。
「ああっ、ひいっ! ああっ、だめっ! んああっ!」
(……あたま、とける)
仙崎に与えられる快感は、狂いそうな程の気持ち良さで隼人を攻め立てる。
「あっ、ああっ! やっ! んあっ、ああっ! でるっ、でちゃっ!」
隼人は恥も外聞もなく、泣き叫びながら二度目の射精に辿り着いてしまう。
「っ――――――!!!!」
目の前が真っ白になる。
強烈な快感が、隼人を襲って神経を焼き尽くす。
隼人は大きく身体を跳ねさせて、仙崎の口内に勢いよく白濁を吐き出した。
彼は隼人の体液を飲み込むと、僅かな精子も吸い上げて綺麗に舐め取る。
「隼人さん、大丈夫ですか?」
「……ぅ――――」
隼人は限界を超える快楽に半ば意識を飛ばしかけていた。
半ば閉じかけている瞳は、焦点が合わずに涙を流して虚空を映している。
「隼人は本当に可愛いですね。身体を拭くのでそのままでいいですよ」
はだけて乳首を見せていた上のパジャマも脱がされて、完全に全裸にされた。仙崎はウエットティッシュを取り出すと隼人の身体を清めていく。
「……ぁ、……おれ」
「今、身体を綺麗にしています。このまま服も着替えてしまいましょう」
隼人は身体を拭かれる感覚に少しずつ意識が戻ってくる。だがまだ身体が甘く痺れていて身体を動かせない。
ぼんやりと身体を投げ出したまま、隼人はあること感じた。
仙崎に最高に気持ち良くしてもらったというのに、腹の奥底の熱が冷めない。
もう朝分のノルマとして、二度の射精をしたというのにわだかまりが残っているのだ。
このもやもやしているものの正体が分からない。
仙崎に隅々まで綺麗にしてもらうと、いつの間にか用意されていた新しい下着を履かせられた。
「では下着を履きましょう」
「……うん」
仙崎は慣れた様子で隼人の足に下着を通し、隼人に腰を浮かすように指示を出す。
隼人は妙な熱を見ないふりをして、仙崎に言われた通りに腰を浮かせる。
その時だった。
「ひゃんっ!」
仙崎の指が隼人の後孔をかすめた。
隼人は思わず変な声を上げてしまい、後孔が勝手に収縮する。
「あっ、申し訳ありません。爪で怪我していませんか?」
仙崎は隼人の後孔の具合を確かめるように指の腹で撫でていく。
その感覚に全身の肌が粟立つ。
隼人が無視しようとした腹の奥の残り火に勢いが戻ってしまう。
(……なんか、ヤバいかも)
じわじわと炙るような淫欲の炎が、腰の深いところで発生して隼人を侵食していく。
喉が酷く渇く。
脳が熱くなる。
「痛くしていませんか?」
「んっ、んあっ! 大丈夫! 大丈夫だから!」
「それなら良かったです」
蕾がうずいて指を呑み込もうとするが、その前にすっと指が離れてしまう。
仙崎はひくつく後孔をそのままにして、隼人に下着を履かせる。
だが隼人は、彼が残りの服も着替えさせようとしたのを止めに入る。
「あ、後は自分でするから」
「そうですか? では私は朝食の準備をしてきますね」
「……うん」
仙崎が部屋から出て行くのを確認すると、隼人は枕に顔を押し付けた。
「あっ、はっ、んうっ、なにこれ……!」
この感じは芝居を終えた時の衝動に似ている。
でも似ているだけで同じじゃない。
もっと深いところから飢える感覚。
足りない。欲しい。
でも何を?
隼人の脳裏に、仙崎の指が体内に入ってきたあの夜が浮かぶ。
たった一度、もう何日も前の記憶。
隼人の性欲の限界を知るために行われた婬靡な夜。
指と玩具で未知の快楽を教えられた。
隼人は身体の内側を弄られる感覚を思い出して唾を飲み込む。
ああ、そうか。
あの時いじられた腹の奥にある場所がうずいているんだ。
少し後ろを触られだけなのに……
「隼人さん、時間がなくなってしまいますよ」
リビングから聞こえてきた声にハッとして、隼人は慌てて着替えた。
妙な熱はまだ感じるが、時間がヤバい。
隼人は頭を振ってくすぶる熱を必死に抑える。
急いでリビングに向かうと、テーブルにバランスのいい見事な朝食が用意されていた。
仙崎は味噌汁のお椀を並べている。
「ご、ごめん! 遅くなった」
「大丈夫、まだなんとかなります。隼人さん、ちょっと」
「えっ?」
隼人が席に着こうとすると仙崎に呼び止められた。
隼人が振り向くと、彼は隼人の服の裾を直して肩部分を調整する。
そしてそのまま隼人の頭を撫でると手櫛で髪を整えた。
優しくて長い少し節ばった仙崎の指。
髪を梳くその感触に、隼人の中で何かがカチリとはまる音がした。
「はい、これでいいでしょう。格好いいですよ」
そう言うと仙崎は席に着く。
仙崎は箸を持って食べ始めようとするが、隼人はその場で立ったまま動かない。
「隼人さん? 食べないんですか?」
「――っ、た、食べる」
隼人はぎこちない動きで席に着いて無言で食べ始める。
しかし心の中はある確信でしめられていた。
今まで感じていた何かが一つの形になる。
俺は仙崎さんが好きかもしれない。
そして彼に抱かれたいのかもしれない。
隼人は頬を赤く染めながら黙々とご飯を口に運ぶ。
隼人の中で芽生えた鼓動が高鳴る想い。
そんな甘酸っぱい感情の前に、寝起きに感じた違和感はかき消えてしまった。
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