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窓からさしこむ明るい日差しが隼人を深い眠りから浮上させる。必要なだけの睡眠を取ることができたようで脳が自然に覚醒し、穏やかな朝を迎えたことを知る。
「ふあーーあ、んあ? 今何時だ」
隼人は大きくあくびをしながら時計を確認すると朝の九時半を過ぎたところだった。
「あーーよく寝た。今日は休みか……何しようかな」
とりあえず今日は仙崎に約束した部屋の片付けをしなければ。あとはネットを見ながら昼寝して怠惰に過ごしたい。
隼人はベットの上でぼんやりと今日の予定を考えていると扉をノックされる。
「おはようございます隼人さん。起きてますか?」
「ん、起きたよ。おはよう仙崎さん」
隼人がベットを抜け出して扉を開けると、仙崎が気持のいい笑顔を浮かべて立っていた。彼は今日は休みだというのにワイシャツにネクタイを締めて髪もしっかりとセットされていた。
相変わらずカッコイイけどもしかして部屋着とか貸したほうが良かったかな、と隼人が思っていると仙崎から食事が用意されていることを告げられる。
「朝ご飯?」
「ええ。きっとお腹を空かせているのではないかと勝手ながら用意してみました。一緒にいかがですか?」
確かにお腹は空いていた。昨日夕飯を食べずに寝たからいつも以上に空腹を感じていることに今更気づく。
「食べる食べる! お腹すいた!」
「では一緒に食べましょうね」
隼人が元気よく答えると、仙崎の朗らかな微笑みが炸裂する。仙崎の笑顔はまだ寝ぼけている隼人には威力が高い。
この人は絶対にモテる。彼女が途切れることがない人だ。
隼人はまともに女性とお付き合いをしたことがない。人に聞かれれば仕事の忙しさを理由にしていたが、実際には自分でアプローチする方法がよくわからないというのが本音だ。
あとで仙崎さんにモテる秘訣とか教えてもらおうかな、なんて考えながらリビングに移動すると隼人は目の前に広がる光景に唖然とした。
「なっ!! ええっ!?」
昨日まで雑然としていたリビングはすっかり片付けられて様変わりしていた。
通販の段ボールの山は消え、ソファーの上に溜まっていた洗濯物は綺麗に畳まれて服の種類ごとに分けられている。郵便物置き場になっていたテーブルは、美しい花が飾られてホテルのような朝食が用意されている。一夜にしてオシャレな部屋へと変わったリビングに隼人は開いた口がふさがらない。
「こ、これは、いったい……」
隼人が混乱していると、仙崎は丁寧に説明してくれた。
「申し訳ありません。昨夜はとてもお疲れだったようなので私の方で少し整理をしてみました」
まず、と仙崎が通販の段ボールがあった場所を示す。
「こちらにあったネットショッピングで購入されたものは、クローゼットに日付順に仕舞いました。開封などはしてませんのでご安心を」
すでに空になっていた段ボールは処分しました、と仙崎に柔らかな笑顔で言われてしまう。
「ソファーの上の洗濯物は畳んだだけですので、あとで確認してみてください。郵便物は種類別にわけ消印順に並べてこちらに保管してあります」
仙崎によると、空の段ボールや商品が入っていたビニール袋など明確にゴミだろうと見られるものは処分したが、それ以外のものは勝手に捨てるようなことはせずに整頓して収納したとのこと。
「マジか……。滅茶苦茶キレイになってる」
仙崎は少し整理しただけですよ、と言うが明らかに部屋が綺麗になっている。部屋の隅はホコリ一つ落ちていないし、フローリングはピカピカに光っている。
なんだか隼人の普段の怠惰さが浮き彫りになるようで、あまりの恥ずかしさに過去の自分をボコボコにしてやりたくなった。
昨日の夜汚い部屋を見られているのだから、今更と言ってしまえばそうなのだが。
「勝手に動いて申し訳ありません。しかしせっかくの休みですから、すべての時間を体を休めることに費やした方がいいと考えまして」
「あー、うん。確かにそれはありがたい」
昨日はほんとに疲れていたのでその配慮は嬉しい。しかしこれだけ掃除と片付けをしてくれたならそれなりに音がするはずだろうに、一切気が付くことなく熟睡していた。
「部屋がキレイになってたのにも驚いたけど、ご飯も凄すぎる」
テーブルには焼き魚や卵焼き、お漬物などの和食ものと、ウインナーやサラダ、ベーコンエッグなどの洋食ものの朝食が用意されている。見た目にもこだわっているようで、高級レストランで出される料理のように綺麗に盛り付けられている。サラダなんて生ハムで薔薇を作って飾られていて崩すのが勿体ないぐらいだ。そして美味しそうな料理をさらに引き立たせている華やかに生けられた花。
たとえ寝起きじゃなくても理解が追いつかないだろう。
「俺が寝ている間にシェフとか呼んだ?」
自分でも変なことを言っている自覚はあるがこればかりは仕方ない。
仙崎は楽しそうに、いいえ、と答える。
「すべて私が調理しました。和食と洋食どちらがいいのか迷いまして、一通り作ってみました。ご飯もパンもどちらも用意できますので、お好きな方を召し上がってください」
もちろん両方食べても大丈夫ですよ、と言いながら仙崎が隼人のために椅子を引くので、隼人は促されるがまま席につく。
「じゃあご飯で。これほんとに仙崎さんが作ったの? 料理もできるなんて凄いね」
「そんなに凄くはありませんよ。私は自分が食べたいものを作るぐらいなので、あまり凝った料理は作れません」
仙崎がご飯をよそるのを見ながら、隼人は彼のおごることのない謙虚さにこの人は善人なんだなと思う。こんないい人がマネージャーという立場だとしても闇の深い芸能界に関わるのはあまり良くないのではないかと一瞬頭をよぎる、が今は目の前のご飯だ。
「それじゃあ、いただきます」
隼人は味噌汁のお椀を持って一口飲むと、あまりの美味しさにカッと眠気が吹き飛んだ。
「うまっ!! なんかこう出汁がきいてるのがわかる!」
隼人はさらにコクコクと味噌汁を飲むと、自分が自覚していた以上に飢餓感を抱えてた体がもっと食事をとれと主張するのがわかる。隼人は本能に従って用意されている料理を次々に口に運んで行く。
「このだし巻き卵美味しい! ベーコンがカリカリで好き! 鮭もいい塩加減! なんかご飯いっぱい食べれちゃうかも!」
夢中になって食べる隼人に、仙崎は優しい笑顔でお口にあったようで良かったです、と微笑む。そんな料理の美味しさと優しい微笑みに、隼人は彼を完璧超人だと思った。
俺、この人に勝てるところないかも。
「昨日夕食を抜いていたので少し多めに作りました。好きなだけ食べてくださいね」
「仙崎さんありがとう!」
仙崎の優しさに隼人は後ろ向きな考えはパッと捨てて、改めて彼の人柄の良さに感動しながら料理を一つ一つ味わって食べた。
遅めの朝食を終えた隼人は、料理を作ってもらったかわりに食事の後片付けを引き受けた。仙崎はゆっくりしていてもかまわないのに隣で隼人が洗ったお皿の水気を拭いている。
隼人は何となしにスポンジの泡を立てていると、仙崎さんはちゃんと休んだのだろうか、と頭に浮かんだ。昨日家についたときはすでに夜遅かった。なのに朝起きたら部屋は綺麗になっているし、たくさんの料理も作られていた。隼人が手元で洗っているお皿はもともと家にはなかった。まして花瓶なんてオシャレなものはうちにはない。
「仙崎さんちゃんと寝た? 掃除も料理も嬉しいけど、ちゃんと休めるときに休まないと結構マネージャーってキツイよ」
マネージャーの仕事はどうしても付く人間のスケジュールに振り回されるハードな仕事だ。家事をしてくれるのはとてもありがたいけど、隼人のために無理をするのは良くない。そんな隼人の主張に仙崎がふわりと笑う。
「心配していただいてありがとうございます。仕事の流れをつかんだら私なりに力の抜き方を考えてみます」
「そうそう。拘束時間長いし別に俺が撮影してるときとかサボっててもいいからね」
サボることを進められるとは思っていませんでした、と穏やかな笑顔で答える仙崎に、隼人は目が惹かれてしまう。仙崎は隼人の理想的な大人のイメージで、こういうちょっとした表情にも色気が出ていてカッコイイ。
「家事は私が普段からしていることですから大丈夫ですよ。でもせっかくですからお昼は隼人さんが昨日教えてくれた食べ方をしようかと」
俺が教えた食べ方というと――。
「あ! カップラーメン!? 食べてくれるの?」
「ええ。私もインスタント食品は食べますが、地域によって味が違うことは知りませんでした。ぜひ私にも食べ比べをさせてください」
仙崎が隼人の好きなものを食べてくれる、それだけのことがなんだかとても嬉しく感じる。
「じゃあ俺もお昼はインスタントにしよ。そうだな、俺はカップ焼きそばの会社別の食べ比べにしようかな」
「それも楽しそうですね。一口分けてもらってもいいですか?」
「もちろん! どれもそれぞれ良さがあってね、麺の太さとかソースの味もそうだし――」
今までずっと一人だったから、自分の好きなものを誰かに紹介できることが凄く嬉しい。こんな時間が続くなら共同生活もいいかも。
そんなことを思いつつ、隼人は笑顔で話を聞いてくれる仙崎と食の好みについて語り合った。
「ふあーーあ、んあ? 今何時だ」
隼人は大きくあくびをしながら時計を確認すると朝の九時半を過ぎたところだった。
「あーーよく寝た。今日は休みか……何しようかな」
とりあえず今日は仙崎に約束した部屋の片付けをしなければ。あとはネットを見ながら昼寝して怠惰に過ごしたい。
隼人はベットの上でぼんやりと今日の予定を考えていると扉をノックされる。
「おはようございます隼人さん。起きてますか?」
「ん、起きたよ。おはよう仙崎さん」
隼人がベットを抜け出して扉を開けると、仙崎が気持のいい笑顔を浮かべて立っていた。彼は今日は休みだというのにワイシャツにネクタイを締めて髪もしっかりとセットされていた。
相変わらずカッコイイけどもしかして部屋着とか貸したほうが良かったかな、と隼人が思っていると仙崎から食事が用意されていることを告げられる。
「朝ご飯?」
「ええ。きっとお腹を空かせているのではないかと勝手ながら用意してみました。一緒にいかがですか?」
確かにお腹は空いていた。昨日夕飯を食べずに寝たからいつも以上に空腹を感じていることに今更気づく。
「食べる食べる! お腹すいた!」
「では一緒に食べましょうね」
隼人が元気よく答えると、仙崎の朗らかな微笑みが炸裂する。仙崎の笑顔はまだ寝ぼけている隼人には威力が高い。
この人は絶対にモテる。彼女が途切れることがない人だ。
隼人はまともに女性とお付き合いをしたことがない。人に聞かれれば仕事の忙しさを理由にしていたが、実際には自分でアプローチする方法がよくわからないというのが本音だ。
あとで仙崎さんにモテる秘訣とか教えてもらおうかな、なんて考えながらリビングに移動すると隼人は目の前に広がる光景に唖然とした。
「なっ!! ええっ!?」
昨日まで雑然としていたリビングはすっかり片付けられて様変わりしていた。
通販の段ボールの山は消え、ソファーの上に溜まっていた洗濯物は綺麗に畳まれて服の種類ごとに分けられている。郵便物置き場になっていたテーブルは、美しい花が飾られてホテルのような朝食が用意されている。一夜にしてオシャレな部屋へと変わったリビングに隼人は開いた口がふさがらない。
「こ、これは、いったい……」
隼人が混乱していると、仙崎は丁寧に説明してくれた。
「申し訳ありません。昨夜はとてもお疲れだったようなので私の方で少し整理をしてみました」
まず、と仙崎が通販の段ボールがあった場所を示す。
「こちらにあったネットショッピングで購入されたものは、クローゼットに日付順に仕舞いました。開封などはしてませんのでご安心を」
すでに空になっていた段ボールは処分しました、と仙崎に柔らかな笑顔で言われてしまう。
「ソファーの上の洗濯物は畳んだだけですので、あとで確認してみてください。郵便物は種類別にわけ消印順に並べてこちらに保管してあります」
仙崎によると、空の段ボールや商品が入っていたビニール袋など明確にゴミだろうと見られるものは処分したが、それ以外のものは勝手に捨てるようなことはせずに整頓して収納したとのこと。
「マジか……。滅茶苦茶キレイになってる」
仙崎は少し整理しただけですよ、と言うが明らかに部屋が綺麗になっている。部屋の隅はホコリ一つ落ちていないし、フローリングはピカピカに光っている。
なんだか隼人の普段の怠惰さが浮き彫りになるようで、あまりの恥ずかしさに過去の自分をボコボコにしてやりたくなった。
昨日の夜汚い部屋を見られているのだから、今更と言ってしまえばそうなのだが。
「勝手に動いて申し訳ありません。しかしせっかくの休みですから、すべての時間を体を休めることに費やした方がいいと考えまして」
「あー、うん。確かにそれはありがたい」
昨日はほんとに疲れていたのでその配慮は嬉しい。しかしこれだけ掃除と片付けをしてくれたならそれなりに音がするはずだろうに、一切気が付くことなく熟睡していた。
「部屋がキレイになってたのにも驚いたけど、ご飯も凄すぎる」
テーブルには焼き魚や卵焼き、お漬物などの和食ものと、ウインナーやサラダ、ベーコンエッグなどの洋食ものの朝食が用意されている。見た目にもこだわっているようで、高級レストランで出される料理のように綺麗に盛り付けられている。サラダなんて生ハムで薔薇を作って飾られていて崩すのが勿体ないぐらいだ。そして美味しそうな料理をさらに引き立たせている華やかに生けられた花。
たとえ寝起きじゃなくても理解が追いつかないだろう。
「俺が寝ている間にシェフとか呼んだ?」
自分でも変なことを言っている自覚はあるがこればかりは仕方ない。
仙崎は楽しそうに、いいえ、と答える。
「すべて私が調理しました。和食と洋食どちらがいいのか迷いまして、一通り作ってみました。ご飯もパンもどちらも用意できますので、お好きな方を召し上がってください」
もちろん両方食べても大丈夫ですよ、と言いながら仙崎が隼人のために椅子を引くので、隼人は促されるがまま席につく。
「じゃあご飯で。これほんとに仙崎さんが作ったの? 料理もできるなんて凄いね」
「そんなに凄くはありませんよ。私は自分が食べたいものを作るぐらいなので、あまり凝った料理は作れません」
仙崎がご飯をよそるのを見ながら、隼人は彼のおごることのない謙虚さにこの人は善人なんだなと思う。こんないい人がマネージャーという立場だとしても闇の深い芸能界に関わるのはあまり良くないのではないかと一瞬頭をよぎる、が今は目の前のご飯だ。
「それじゃあ、いただきます」
隼人は味噌汁のお椀を持って一口飲むと、あまりの美味しさにカッと眠気が吹き飛んだ。
「うまっ!! なんかこう出汁がきいてるのがわかる!」
隼人はさらにコクコクと味噌汁を飲むと、自分が自覚していた以上に飢餓感を抱えてた体がもっと食事をとれと主張するのがわかる。隼人は本能に従って用意されている料理を次々に口に運んで行く。
「このだし巻き卵美味しい! ベーコンがカリカリで好き! 鮭もいい塩加減! なんかご飯いっぱい食べれちゃうかも!」
夢中になって食べる隼人に、仙崎は優しい笑顔でお口にあったようで良かったです、と微笑む。そんな料理の美味しさと優しい微笑みに、隼人は彼を完璧超人だと思った。
俺、この人に勝てるところないかも。
「昨日夕食を抜いていたので少し多めに作りました。好きなだけ食べてくださいね」
「仙崎さんありがとう!」
仙崎の優しさに隼人は後ろ向きな考えはパッと捨てて、改めて彼の人柄の良さに感動しながら料理を一つ一つ味わって食べた。
遅めの朝食を終えた隼人は、料理を作ってもらったかわりに食事の後片付けを引き受けた。仙崎はゆっくりしていてもかまわないのに隣で隼人が洗ったお皿の水気を拭いている。
隼人は何となしにスポンジの泡を立てていると、仙崎さんはちゃんと休んだのだろうか、と頭に浮かんだ。昨日家についたときはすでに夜遅かった。なのに朝起きたら部屋は綺麗になっているし、たくさんの料理も作られていた。隼人が手元で洗っているお皿はもともと家にはなかった。まして花瓶なんてオシャレなものはうちにはない。
「仙崎さんちゃんと寝た? 掃除も料理も嬉しいけど、ちゃんと休めるときに休まないと結構マネージャーってキツイよ」
マネージャーの仕事はどうしても付く人間のスケジュールに振り回されるハードな仕事だ。家事をしてくれるのはとてもありがたいけど、隼人のために無理をするのは良くない。そんな隼人の主張に仙崎がふわりと笑う。
「心配していただいてありがとうございます。仕事の流れをつかんだら私なりに力の抜き方を考えてみます」
「そうそう。拘束時間長いし別に俺が撮影してるときとかサボっててもいいからね」
サボることを進められるとは思っていませんでした、と穏やかな笑顔で答える仙崎に、隼人は目が惹かれてしまう。仙崎は隼人の理想的な大人のイメージで、こういうちょっとした表情にも色気が出ていてカッコイイ。
「家事は私が普段からしていることですから大丈夫ですよ。でもせっかくですからお昼は隼人さんが昨日教えてくれた食べ方をしようかと」
俺が教えた食べ方というと――。
「あ! カップラーメン!? 食べてくれるの?」
「ええ。私もインスタント食品は食べますが、地域によって味が違うことは知りませんでした。ぜひ私にも食べ比べをさせてください」
仙崎が隼人の好きなものを食べてくれる、それだけのことがなんだかとても嬉しく感じる。
「じゃあ俺もお昼はインスタントにしよ。そうだな、俺はカップ焼きそばの会社別の食べ比べにしようかな」
「それも楽しそうですね。一口分けてもらってもいいですか?」
「もちろん! どれもそれぞれ良さがあってね、麺の太さとかソースの味もそうだし――」
今までずっと一人だったから、自分の好きなものを誰かに紹介できることが凄く嬉しい。こんな時間が続くなら共同生活もいいかも。
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