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いくじなしと優男
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帰路についたカトレアは、薬花師たちとのやりとりをエリゼオに報告した。ジャックの身体の状態が整い次第、ヴェルダへと発つことも同時に伝えた。
コウジアの種の交渉もあるが、それ以前に、アルベール王は命の恩人でもある。イーデンの政策を快く思っていないのは同様のはずだ。
夕食と湯浴みを済ませると、カトレアはレイに一言断り、ジャックが療養する客室へと向かった。エリゼオからも伝えておくと言ってくれたが、直接話したかったのだ。
ぽつぽつと燭台の炎が照らす、もぐらの巣穴のように入り組む廊下を歩く。客室の手前まで来ると、扉のわずかな隙間からサフランの声が聞こえた。
「なあ、いい加減考えてくれないかな。アルベール王に仕えるのを辞めて、あたしの側近になって欲しいんだ」
カトレアは扉に伸ばした手をひっこめた。脇に退きながらも、その場から離れられず耳をそばだてる。ジャックの聞き取りづらい声がした。
「何度も言っているだろ。簡単に辞められるものじゃない」
「自分から辞められないだけで、いざとなればあたしが辞めさせられるだろ!」
サフランの訴えは苛立ちだけでなく、もどかしさが滲んでいた。ジャックはあくまで淡々と答える。
「どうやって? 俺をアルベール王から解放するには、それ相応の代償が必要だ」
解放? 代償? ジャックは単なる部下ではないのだろうか。息を詰め、会話の続きに耳を澄ます。
「分かってるよ! ただ、あたしはジャックの人生がそれでいいのか、時々たまらなく辛くなるんだよ!」
鈍い衝突音がして、カトレアはとっさに口元を覆った。もしや、サフランがジャックに抱きついたのではないだろうか。
ジャックと王宮の温室で交わした会話が蘇る。花言葉の本の持ち主は、おそらくサフランだ。
彼女もまた、自分自身の道を歩もうとしないジャックの生き方を憂いているのだ。カトレアよりも、ずっと古い付き合いの頃から。
「あたしたちが傷口を縫ったのだって、一度や二度じゃないだろ!? しかも、今回はあの蘭姫絡み……」
声がくぐもっているが、サフランの元々の声量で大体は聞こえてしまう。
立ち聞きなど、本来は悪趣味だ。それでも足は床に張り付いたままだ。
「あの女……カトレアは、勝気でいかにもわがままな王女だと思ったよ。でもそれだけじゃない。ちゃんと大事なことが見えているから、ジャックが守るに値すると見なしたんだろ?」
だけど、とサフランは声を詰まらせる。
「カトレアの方が、勝手も分からないくせに一丁前に戦おうとしている。あたしは一族の跡取りだから皆が慕ってくれているけど、この土地を守るのが限度だ。それが、悔しい」
カトレアの前では絶対に見せることのなかった本音と、扉の向こうの見えない光景が交互に降りかかり、ただ立ち尽くす。
ジャックは、幼なじみのサフランをなぐさめるのだろうか。カトレアにしたように、腕を回して、あの小柄な身体を引き寄せるのだろうか。
嫌だ――率直で幼稚な思いが、胸を裂いた。
このまま留まって、馬鹿を見るのは耐えられない。おとなしく部屋に戻ろうと足を踏み出すと、ちょうど床のくぼみに足を取られてしまった。慌てて壁に寄りかかるが、振動が部屋にも伝わっただろう。
振り向いた時には、ジャックが扉を開けこちらを凝視していた。途端に顔面に血が上る。
ジャックは何度か瞬きを繰り返した後、「おっちょこちょいの小間使いがつまずいただけだ」とサフランに言いやった。そのまま扉を閉め、こちらに向かってくる。
「何の用だ? もしかして、今の話を聞いていたのか」
「わたしは何も聞いていないわ! サフランが」
「俺の客室に、何故サフランがいると知っている」
とっさの嘘で言葉に詰まると、ジャックは呆れたように嘆息した。一旦部屋に戻り、何か言付けると再び顔を出し、カトレアの肩を抱いた。硬い手のひらと力強い感触に心臓が跳ねる。
「来い。あいつにばれたら余計厄介だ」
強引に連れられ、夕食の後片付けが終わった炊事場まで追いやられる。使用人たちは既に各自の部屋へ下がっており、燭台の灯火だけが二人を浮かび上がらせていた。
カトレアは壁際の隅に追いつめられ、ジャックの冷淡な瞳をきっと睨んだ。
「おまえも聞いたでしょう? ヴェルダのアルベール王の元へ向かうわ。これからの話を直接しようと思って部屋を訪ねたのよ。聞くつもりはなかったの!」
「分かったから、声を潜めろ。で、それからどうするつもりだ」
肩に添えられたままの手を押しやり、カトレアは呼吸を整えた。
「まず、薬花の研究に必要なコウジアの種を譲ってもらえるよう交渉するわ。そして戦が再開する時、わたしはヴェルダ側の軍勢として戦う」
呆れ顔だったジャックの表情が一変した。カトレアは腹の辺りで手を組み、目線を落とした。
「戦はもう免れない。ならば、わたしはイーデンが率いるコルデホーザの軍勢に勝たねばならない。そのためには、アルベール王のお力を借りるしかないのよ」
「……言っておくが、単純な兵力ならコルデホーザの方が上だ」
「無論承知よ。だけど、力のある者が正しいとは限らない。そうおまえが言ってくれたから、わたしは自分の思い描く国を、世界を実現させるために、アルベール王と手を組みたいの」
イーデンこそが為政者に相応しいと声高に言い張った傭兵たち。傍目からも力の差は歴然だというのに、ジャックはあの時、真っ向からカトレアの思いを代弁し、ぶつけてくれた。それがどんなにカトレアを勇気づけただろう。
サフランが吐露した想いが脳裏をよぎる。カトレアもジャックに憐憫を抱いたのは、思慕を胸に秘めている同士だからだ。
頭一つ分上にあるジャックの顔を見つめる。涼しげだが、どこか冷めている瞳。享楽的な言動。出会った時は腹立たしいばかりだったのに、今は寂しい。気づけば口にしていた。
「……ねえ。おまえは、サフランの想いに応える気はあるの?」
ジャックは不機嫌そうに眉をひそめた。触れられたくない話題らしい。
「どう言われようが、俺があいつにしてやれることはない。そもそも、俺の人生に口出しされたくない」
冷ややかな声音に、胃の中がむかむかとしてきた。カトレアに露骨な嫉妬を向けるほどジャックを恋い慕うサフランを、こうも簡単に切り捨てられるのか。
まるで全ての女からの好意を拒むような態度に、カトレアは力なく首を振った。ジャックも苛立たしげに返す。
「それが何だっていうんだ。あいつに同情しているのか?」
常々この男の冷淡さに腹を立ててきたが、今は別の感情が去来する。冷たいだけではない、彼なりの優しさを知ってしまったから。
「いくじなし」
唐突に出た一言に、ジャックは火石をくらったようにまじまじとカトレアを見つめた。怒りに似た悲しみがカトレアを突き動かしていた。
「おまえは、本気で誰かを愛することが怖いのよ。だから平気でわたしをたぶらかしたり、サフランの気持ちを分かってやれないのよ」
カトレアに与えてくれたものにすら、微塵の感情もないと言い捨てているようなものだ。胸をえぐられるような痛みを伴いながらねめつけると、ジャックは皮肉めいた笑みを浮かべた。
「なら、お前は本気で愛している男でもいるというのか?」
カトレアはわずかにひるんだ。殺し文句だ。わざとこのような問いかけをしているのだろうか。
まなじりをつり上げるカトレアを映す瞳は、暗がりに吸い込まれそうな、深い闇を宿していた。低い声が落ちる。
「お前には、あの優男がお似合いだ。あいつを、もっと愛してやれ」
氷を飲み込んだように、カトレアの体温が急速に冷めていった。寝間着の裾を痕が残るほど握りしめ、やっとのことで言葉を押し出す。
「愛せと言われて、誰かを愛することなんて、わたしには……出来ないわ」
重くつぶやいた言葉は、過去の記憶を呼び起こす。
カトレアの伴侶となるはずのレイに想いを寄せる、王宮の女たちを不思議に思った時のことだ。レイはこう言った。
人が誰を想おうと、それは簡単に諦めたり、止めたり出来るものではない、と。
あの時のレイと、同じ想いを抱いている。それでも、誰にも似ていない思いやりを目の前の男に見出してから、カトレアはずっと焦がれているのだ。苦い笑みがゆっくりと広がった。
一体何が、彼を愛することから断絶させているのだろう。カトレアはさらに問いかけた。
「おまえは確か、アルベール王の手駒として暗躍する集団の一人と言っていたわね。何故そんな集団に身を投じたの?」
ジャックは背を向け、洗い場のあたりにもたれかかった。
「俺は、死にかけだったところをエリゼオ様に拾われ、ここの民に混じって育てられた。けれど何のために生きているのか分からないまま、歳を重ねていった」
「でも、おまえが子供の頃からエリゼオ様やサフランが一緒にいたでしょう? それなのに」
振り返り、ジャックは自嘲するような笑みを向ける。
「俺も、死んだことにされたんだ。お前と似たようなものだ」
コウジアの種の交渉もあるが、それ以前に、アルベール王は命の恩人でもある。イーデンの政策を快く思っていないのは同様のはずだ。
夕食と湯浴みを済ませると、カトレアはレイに一言断り、ジャックが療養する客室へと向かった。エリゼオからも伝えておくと言ってくれたが、直接話したかったのだ。
ぽつぽつと燭台の炎が照らす、もぐらの巣穴のように入り組む廊下を歩く。客室の手前まで来ると、扉のわずかな隙間からサフランの声が聞こえた。
「なあ、いい加減考えてくれないかな。アルベール王に仕えるのを辞めて、あたしの側近になって欲しいんだ」
カトレアは扉に伸ばした手をひっこめた。脇に退きながらも、その場から離れられず耳をそばだてる。ジャックの聞き取りづらい声がした。
「何度も言っているだろ。簡単に辞められるものじゃない」
「自分から辞められないだけで、いざとなればあたしが辞めさせられるだろ!」
サフランの訴えは苛立ちだけでなく、もどかしさが滲んでいた。ジャックはあくまで淡々と答える。
「どうやって? 俺をアルベール王から解放するには、それ相応の代償が必要だ」
解放? 代償? ジャックは単なる部下ではないのだろうか。息を詰め、会話の続きに耳を澄ます。
「分かってるよ! ただ、あたしはジャックの人生がそれでいいのか、時々たまらなく辛くなるんだよ!」
鈍い衝突音がして、カトレアはとっさに口元を覆った。もしや、サフランがジャックに抱きついたのではないだろうか。
ジャックと王宮の温室で交わした会話が蘇る。花言葉の本の持ち主は、おそらくサフランだ。
彼女もまた、自分自身の道を歩もうとしないジャックの生き方を憂いているのだ。カトレアよりも、ずっと古い付き合いの頃から。
「あたしたちが傷口を縫ったのだって、一度や二度じゃないだろ!? しかも、今回はあの蘭姫絡み……」
声がくぐもっているが、サフランの元々の声量で大体は聞こえてしまう。
立ち聞きなど、本来は悪趣味だ。それでも足は床に張り付いたままだ。
「あの女……カトレアは、勝気でいかにもわがままな王女だと思ったよ。でもそれだけじゃない。ちゃんと大事なことが見えているから、ジャックが守るに値すると見なしたんだろ?」
だけど、とサフランは声を詰まらせる。
「カトレアの方が、勝手も分からないくせに一丁前に戦おうとしている。あたしは一族の跡取りだから皆が慕ってくれているけど、この土地を守るのが限度だ。それが、悔しい」
カトレアの前では絶対に見せることのなかった本音と、扉の向こうの見えない光景が交互に降りかかり、ただ立ち尽くす。
ジャックは、幼なじみのサフランをなぐさめるのだろうか。カトレアにしたように、腕を回して、あの小柄な身体を引き寄せるのだろうか。
嫌だ――率直で幼稚な思いが、胸を裂いた。
このまま留まって、馬鹿を見るのは耐えられない。おとなしく部屋に戻ろうと足を踏み出すと、ちょうど床のくぼみに足を取られてしまった。慌てて壁に寄りかかるが、振動が部屋にも伝わっただろう。
振り向いた時には、ジャックが扉を開けこちらを凝視していた。途端に顔面に血が上る。
ジャックは何度か瞬きを繰り返した後、「おっちょこちょいの小間使いがつまずいただけだ」とサフランに言いやった。そのまま扉を閉め、こちらに向かってくる。
「何の用だ? もしかして、今の話を聞いていたのか」
「わたしは何も聞いていないわ! サフランが」
「俺の客室に、何故サフランがいると知っている」
とっさの嘘で言葉に詰まると、ジャックは呆れたように嘆息した。一旦部屋に戻り、何か言付けると再び顔を出し、カトレアの肩を抱いた。硬い手のひらと力強い感触に心臓が跳ねる。
「来い。あいつにばれたら余計厄介だ」
強引に連れられ、夕食の後片付けが終わった炊事場まで追いやられる。使用人たちは既に各自の部屋へ下がっており、燭台の灯火だけが二人を浮かび上がらせていた。
カトレアは壁際の隅に追いつめられ、ジャックの冷淡な瞳をきっと睨んだ。
「おまえも聞いたでしょう? ヴェルダのアルベール王の元へ向かうわ。これからの話を直接しようと思って部屋を訪ねたのよ。聞くつもりはなかったの!」
「分かったから、声を潜めろ。で、それからどうするつもりだ」
肩に添えられたままの手を押しやり、カトレアは呼吸を整えた。
「まず、薬花の研究に必要なコウジアの種を譲ってもらえるよう交渉するわ。そして戦が再開する時、わたしはヴェルダ側の軍勢として戦う」
呆れ顔だったジャックの表情が一変した。カトレアは腹の辺りで手を組み、目線を落とした。
「戦はもう免れない。ならば、わたしはイーデンが率いるコルデホーザの軍勢に勝たねばならない。そのためには、アルベール王のお力を借りるしかないのよ」
「……言っておくが、単純な兵力ならコルデホーザの方が上だ」
「無論承知よ。だけど、力のある者が正しいとは限らない。そうおまえが言ってくれたから、わたしは自分の思い描く国を、世界を実現させるために、アルベール王と手を組みたいの」
イーデンこそが為政者に相応しいと声高に言い張った傭兵たち。傍目からも力の差は歴然だというのに、ジャックはあの時、真っ向からカトレアの思いを代弁し、ぶつけてくれた。それがどんなにカトレアを勇気づけただろう。
サフランが吐露した想いが脳裏をよぎる。カトレアもジャックに憐憫を抱いたのは、思慕を胸に秘めている同士だからだ。
頭一つ分上にあるジャックの顔を見つめる。涼しげだが、どこか冷めている瞳。享楽的な言動。出会った時は腹立たしいばかりだったのに、今は寂しい。気づけば口にしていた。
「……ねえ。おまえは、サフランの想いに応える気はあるの?」
ジャックは不機嫌そうに眉をひそめた。触れられたくない話題らしい。
「どう言われようが、俺があいつにしてやれることはない。そもそも、俺の人生に口出しされたくない」
冷ややかな声音に、胃の中がむかむかとしてきた。カトレアに露骨な嫉妬を向けるほどジャックを恋い慕うサフランを、こうも簡単に切り捨てられるのか。
まるで全ての女からの好意を拒むような態度に、カトレアは力なく首を振った。ジャックも苛立たしげに返す。
「それが何だっていうんだ。あいつに同情しているのか?」
常々この男の冷淡さに腹を立ててきたが、今は別の感情が去来する。冷たいだけではない、彼なりの優しさを知ってしまったから。
「いくじなし」
唐突に出た一言に、ジャックは火石をくらったようにまじまじとカトレアを見つめた。怒りに似た悲しみがカトレアを突き動かしていた。
「おまえは、本気で誰かを愛することが怖いのよ。だから平気でわたしをたぶらかしたり、サフランの気持ちを分かってやれないのよ」
カトレアに与えてくれたものにすら、微塵の感情もないと言い捨てているようなものだ。胸をえぐられるような痛みを伴いながらねめつけると、ジャックは皮肉めいた笑みを浮かべた。
「なら、お前は本気で愛している男でもいるというのか?」
カトレアはわずかにひるんだ。殺し文句だ。わざとこのような問いかけをしているのだろうか。
まなじりをつり上げるカトレアを映す瞳は、暗がりに吸い込まれそうな、深い闇を宿していた。低い声が落ちる。
「お前には、あの優男がお似合いだ。あいつを、もっと愛してやれ」
氷を飲み込んだように、カトレアの体温が急速に冷めていった。寝間着の裾を痕が残るほど握りしめ、やっとのことで言葉を押し出す。
「愛せと言われて、誰かを愛することなんて、わたしには……出来ないわ」
重くつぶやいた言葉は、過去の記憶を呼び起こす。
カトレアの伴侶となるはずのレイに想いを寄せる、王宮の女たちを不思議に思った時のことだ。レイはこう言った。
人が誰を想おうと、それは簡単に諦めたり、止めたり出来るものではない、と。
あの時のレイと、同じ想いを抱いている。それでも、誰にも似ていない思いやりを目の前の男に見出してから、カトレアはずっと焦がれているのだ。苦い笑みがゆっくりと広がった。
一体何が、彼を愛することから断絶させているのだろう。カトレアはさらに問いかけた。
「おまえは確か、アルベール王の手駒として暗躍する集団の一人と言っていたわね。何故そんな集団に身を投じたの?」
ジャックは背を向け、洗い場のあたりにもたれかかった。
「俺は、死にかけだったところをエリゼオ様に拾われ、ここの民に混じって育てられた。けれど何のために生きているのか分からないまま、歳を重ねていった」
「でも、おまえが子供の頃からエリゼオ様やサフランが一緒にいたでしょう? それなのに」
振り返り、ジャックは自嘲するような笑みを向ける。
「俺も、死んだことにされたんだ。お前と似たようなものだ」
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