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第五章
399 イマジン
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さて、いかなる兵器にも弱点があるように象兵にも弱点がある。
象兵に限らず騎兵全般に言えることだけど、食料を馬鹿食いすることだ。
大きな体を維持するために当然大量の食物を必要とする。
当初は敵のただでさえ潤沢とは言えない食料事情を逼迫してくれるなら象を放置していてもむしろこちらの利益になるはずだった。しかし、食料という戦略において絶対に無視できない要因をほぼ完ぺきな形で象は解決してのけた。
「樹木を食べるとは聞いてねえよ!」
現在象は絶賛食事を兼ねた森林伐採を慣行中。
もうちょっとゆっくり食べないと喉詰めるぞ!? などというオレの忠告を全く無視してバクバクと食べ続けている。
これを続けられると少なくとも象に関して補給を整える必要がない。さらに兵を伏せる場所が少なくなるし、こっちの食料も少なくなる。樹木は蟻にとっても食料だからだ。
難易度の高い山越えを実行しようとしているのも、食料を必要としない象によって荷物を運ばせられるという自信からだろうか。
何にせよ象は放置できない。強さもそうだけど敵の補給線を維持する能力が高すぎる。平然と一部隊乗せられる積載力で維持コストがほとんどゼロとかいう厄介すぎる能力を持っている。
幸い戦術は概ね整っている。素早く倒すとしよう。
巨象は悠々と歩を進める。傍らに敵無きが如く。
それに乗る兵も勝利を疑っていない。それは絶対的な象という戦力を保持しているから――――ではなく、この聖戦に参加することが神に認められているからという自負を持つためだ。
そうして中天に坐す太陽がたまさか訪れた雲に隠れたその時、地面を貫くような鈍い音が響いた。
事実として岩を砕いたその衝撃の正体は爆破音。地面に埋めた爆薬を爆破した音。
ただしその爆発は誰かを傷つけたわけでもなければ、何ひとつとして害があったわけではない。
だが彼女たちの人生においてはじめて聞いたその音は騎乗していた兵を驚かせるのに十分だった。しかし、次の瞬間には驚きなど吹き飛んでしまう。
彼女たちにとっての地面、当然のように惑わないはずの象の体が大きく傾いでいたのだから。
「こ、こら落ち着け!」
「どうした!? 何故暴れる!?」
当惑しながらもなだめようとした彼女らは無能ではなかったのだろう。だが、象の生態を知り尽くしていないがゆえに、根本的な原因はわからなかった。
象の足は繊細な感覚器官で、振動を決して逃さない。
それは逆に大きな音に過剰な反応をしてしまうという欠点でもある。それが産まれて初めて聞くほどの大きな音ならば、なおさらのこと。
動揺したところを畳みかける!
「ラプトルたち突撃だ!」
ラプトルの騎兵が木々をすり抜けるような走りで一気に象に近づき、矢を放つ。
狙いは足の付け根! 地球の象の弱点!
が、しかし、弱点であるはずの足の付け根に当たった矢はあっさりとその皮膚に弾かれる。痛そうにはしているけれど、致命傷ではない。
せいぜい足の小指にデコピンを食らったくらいか。……いや、それけっこう痛い気がする。
決定打にはならなかったけれど、十分役割は果たした。
混乱している敵の注意を引き、上空への警戒をおろそかにしてしまった。
「コッコー!」
雲の切れ目から差した日光に紛れるようにカッコウがゴムのような何かを投下する。
ラーテル戦において使った唐辛子弾。ただし! 今回は改良、いや改悪を加えた!
カプサイシン入りのアルコールに加え、アンモニアを投入! おかげで臭い! もはや犯罪的だぞこれ!?
あの長い鼻を見ればわかるだろうけど象は嗅覚がいい。言い換えれば悪臭を嫌がる。
もうお分かりだろうけど、象はその知能に比例して、とても繊細な感覚を持っている。だからその閾値を超える不快感がものすごく苦手なのだ。
「そして! オレたちはそういう嫌がらせ攻撃はものすごく得意だぞ!」
唐辛子弾が破裂し、カプサイシンとアンモニアがまき散らされる。目、鼻、口から飛び散った液体が侵入し、暴力的な刺激と異臭が辺りに立ち込める。
山全体に轟くほどの叫び声をあげた象はやじろべえのようにぐらぐらと体を左右に傾け、遂にバランスを失い、轟音と共に地面に倒れた。
たちこめる土煙とぱらぱらと舞う木屑。
つい先ほどまで戦闘が行われていたとは思えないしじまが山林を支配する。もう誰も生きては……て、誰か動いてる。
象じゃない。上に載ってたヒトモドキか? 嘘だろ? 象から放り出されてもまだ生きてるのか? 全員生き延びたわけじゃなさそうだけど……はー、ホントにしぶといなあ。
ま、でも今回はありがたい。
奴らにはもう少し生き延びてもらわないとな。
「う、うう? 一体何が……?」
混乱の極致から脱した象兵たちが辺りをきょろきょろと見回す。
かろうじて息がありそうな仲間を揺さぶる。
「ねえ、大丈夫?」
「え、ええ。象が暴れたの……?」
「そうみたい……でもなぜ? あの象は聖別を受けた魔物なのに」
そこで、どこかから声が聞こえた。
「もしや、聖戦には聖別を受けた魔物でさえも参加を許されないのではないか? これは神の怒りではないのか?」
その声は今まで聞いたことのない声だったが、ようやく混乱から立ち直った彼女たちには気にする余裕がなかった。
「そうに違いない! ならば、いっそ象の悪石を砕くべきではないのか!?」
同調する声が多数上がる。
そこに自分は悪くないのだという責任転嫁の意思があるとはだれも思わない。
「落ち着け! もうすでに神の裁きは下っている! 我々はこれ以上穢れを浴びぬようにここを離れることが先決だ」
またしても誰とも知れぬ声が響き、それに同調した兵は歩みを乱しながらも撤退していった。
「演劇ご苦労琴音」
逃げていく敵兵を見送りながら琴音を讃える。
「容易い仕事にゃあ」
琴音は森に潜み、時折象兵に声をかけて奴らの思考を誘導してくれた。
これであの象兵が味方陣地に戻れば魔物を戦争に連れて行ってはならない、などという噂を流してくれるかもしれない。一度や二度ならともかく何度もそういうことが続けば無視できなくなるだろう。
恐ろしいことに象はあれ一体じゃない。指揮官が象の運用をためらってくれれば最高の結果。一般兵に象に対する猜疑心が産まれてくれればまずまず。
何度か戦っているうちにわかったことだけど、戦争はただ勝つだけじゃだめだ。大事なのはその勝利をどうやって次につなげるか。それをやって初めて利益が産まれる。
ようやくオレにも勝利の価値というものが見え始めた気がする。
では今回のもう一つの価値、象に直接話をしてみよう。
象兵に限らず騎兵全般に言えることだけど、食料を馬鹿食いすることだ。
大きな体を維持するために当然大量の食物を必要とする。
当初は敵のただでさえ潤沢とは言えない食料事情を逼迫してくれるなら象を放置していてもむしろこちらの利益になるはずだった。しかし、食料という戦略において絶対に無視できない要因をほぼ完ぺきな形で象は解決してのけた。
「樹木を食べるとは聞いてねえよ!」
現在象は絶賛食事を兼ねた森林伐採を慣行中。
もうちょっとゆっくり食べないと喉詰めるぞ!? などというオレの忠告を全く無視してバクバクと食べ続けている。
これを続けられると少なくとも象に関して補給を整える必要がない。さらに兵を伏せる場所が少なくなるし、こっちの食料も少なくなる。樹木は蟻にとっても食料だからだ。
難易度の高い山越えを実行しようとしているのも、食料を必要としない象によって荷物を運ばせられるという自信からだろうか。
何にせよ象は放置できない。強さもそうだけど敵の補給線を維持する能力が高すぎる。平然と一部隊乗せられる積載力で維持コストがほとんどゼロとかいう厄介すぎる能力を持っている。
幸い戦術は概ね整っている。素早く倒すとしよう。
巨象は悠々と歩を進める。傍らに敵無きが如く。
それに乗る兵も勝利を疑っていない。それは絶対的な象という戦力を保持しているから――――ではなく、この聖戦に参加することが神に認められているからという自負を持つためだ。
そうして中天に坐す太陽がたまさか訪れた雲に隠れたその時、地面を貫くような鈍い音が響いた。
事実として岩を砕いたその衝撃の正体は爆破音。地面に埋めた爆薬を爆破した音。
ただしその爆発は誰かを傷つけたわけでもなければ、何ひとつとして害があったわけではない。
だが彼女たちの人生においてはじめて聞いたその音は騎乗していた兵を驚かせるのに十分だった。しかし、次の瞬間には驚きなど吹き飛んでしまう。
彼女たちにとっての地面、当然のように惑わないはずの象の体が大きく傾いでいたのだから。
「こ、こら落ち着け!」
「どうした!? 何故暴れる!?」
当惑しながらもなだめようとした彼女らは無能ではなかったのだろう。だが、象の生態を知り尽くしていないがゆえに、根本的な原因はわからなかった。
象の足は繊細な感覚器官で、振動を決して逃さない。
それは逆に大きな音に過剰な反応をしてしまうという欠点でもある。それが産まれて初めて聞くほどの大きな音ならば、なおさらのこと。
動揺したところを畳みかける!
「ラプトルたち突撃だ!」
ラプトルの騎兵が木々をすり抜けるような走りで一気に象に近づき、矢を放つ。
狙いは足の付け根! 地球の象の弱点!
が、しかし、弱点であるはずの足の付け根に当たった矢はあっさりとその皮膚に弾かれる。痛そうにはしているけれど、致命傷ではない。
せいぜい足の小指にデコピンを食らったくらいか。……いや、それけっこう痛い気がする。
決定打にはならなかったけれど、十分役割は果たした。
混乱している敵の注意を引き、上空への警戒をおろそかにしてしまった。
「コッコー!」
雲の切れ目から差した日光に紛れるようにカッコウがゴムのような何かを投下する。
ラーテル戦において使った唐辛子弾。ただし! 今回は改良、いや改悪を加えた!
カプサイシン入りのアルコールに加え、アンモニアを投入! おかげで臭い! もはや犯罪的だぞこれ!?
あの長い鼻を見ればわかるだろうけど象は嗅覚がいい。言い換えれば悪臭を嫌がる。
もうお分かりだろうけど、象はその知能に比例して、とても繊細な感覚を持っている。だからその閾値を超える不快感がものすごく苦手なのだ。
「そして! オレたちはそういう嫌がらせ攻撃はものすごく得意だぞ!」
唐辛子弾が破裂し、カプサイシンとアンモニアがまき散らされる。目、鼻、口から飛び散った液体が侵入し、暴力的な刺激と異臭が辺りに立ち込める。
山全体に轟くほどの叫び声をあげた象はやじろべえのようにぐらぐらと体を左右に傾け、遂にバランスを失い、轟音と共に地面に倒れた。
たちこめる土煙とぱらぱらと舞う木屑。
つい先ほどまで戦闘が行われていたとは思えないしじまが山林を支配する。もう誰も生きては……て、誰か動いてる。
象じゃない。上に載ってたヒトモドキか? 嘘だろ? 象から放り出されてもまだ生きてるのか? 全員生き延びたわけじゃなさそうだけど……はー、ホントにしぶといなあ。
ま、でも今回はありがたい。
奴らにはもう少し生き延びてもらわないとな。
「う、うう? 一体何が……?」
混乱の極致から脱した象兵たちが辺りをきょろきょろと見回す。
かろうじて息がありそうな仲間を揺さぶる。
「ねえ、大丈夫?」
「え、ええ。象が暴れたの……?」
「そうみたい……でもなぜ? あの象は聖別を受けた魔物なのに」
そこで、どこかから声が聞こえた。
「もしや、聖戦には聖別を受けた魔物でさえも参加を許されないのではないか? これは神の怒りではないのか?」
その声は今まで聞いたことのない声だったが、ようやく混乱から立ち直った彼女たちには気にする余裕がなかった。
「そうに違いない! ならば、いっそ象の悪石を砕くべきではないのか!?」
同調する声が多数上がる。
そこに自分は悪くないのだという責任転嫁の意思があるとはだれも思わない。
「落ち着け! もうすでに神の裁きは下っている! 我々はこれ以上穢れを浴びぬようにここを離れることが先決だ」
またしても誰とも知れぬ声が響き、それに同調した兵は歩みを乱しながらも撤退していった。
「演劇ご苦労琴音」
逃げていく敵兵を見送りながら琴音を讃える。
「容易い仕事にゃあ」
琴音は森に潜み、時折象兵に声をかけて奴らの思考を誘導してくれた。
これであの象兵が味方陣地に戻れば魔物を戦争に連れて行ってはならない、などという噂を流してくれるかもしれない。一度や二度ならともかく何度もそういうことが続けば無視できなくなるだろう。
恐ろしいことに象はあれ一体じゃない。指揮官が象の運用をためらってくれれば最高の結果。一般兵に象に対する猜疑心が産まれてくれればまずまず。
何度か戦っているうちにわかったことだけど、戦争はただ勝つだけじゃだめだ。大事なのはその勝利をどうやって次につなげるか。それをやって初めて利益が産まれる。
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