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本の(栞)

チュートリアルは巻きで

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安いカーテンから差し込む光が容赦なく降り注ぐ。

一樹イツキ
「あぁっクソ、もう朝か...」

なんだか全く眠った実感がない。大学は春休みに入って講義が無くて助かった。

 本シオリとちゃんとはなさなければ、本の主人公なんて冗談じゃない。


一樹
「栞..?あれ?」

机にあった本がない...

まさか?昨日の出来事は夢?悪夢でもみていたのか?

一樹
「馬鹿みたいだな、俺...夢を現実と思い込むなんてどうかしてた..」

大学3年生になり、一人暮らしにバイトも始めた。
これからの将来を真面目に考えていたのだが疲れが溜まったんだろうか?

一樹
「バイトいかないと。ボヤいてる場合じゃねぇ。」

時計は9時20分を指している、バイトは10時急がないと遅刻だ

素早く着替えや身なりを整えて、冷蔵庫のペットボトルのコーヒーを咥えた。

そして、玄関を開けたその瞬間!



一樹
「ぶっふぅっ‼︎」


玄関をあけてコーヒーを口から吹き出してしまった

霧になって視界を覆うコーヒー

視線の先ではコーヒーまみれのヤクザ風のおじさんがこちらをみている。

玄関あけたらヤクザがドアに張り付くぐらい近くにいたら誰だって驚くというものだ。

ヤクザ風のおじさん
「オイ?こらぁ、てめぇが勇者ちゃんかコラァ?」
 
一樹
「ゲホっすっすいません...」

気管に入ってしまった..

しかし、なんだコイツは?!
柄シャツパンチパーマ。シャツの間にサングラス。金ピカネックレス。
しかも既にサングラスをかけているのだ。


鋭いメンチとペらぺらサンダル
昭和のヤクザ映画みたいなヤツだ

挙句に「勇者ちゃん」って頭イカレてるのか?コイツは?

一樹
「あの、多分人違いです、コーヒーかけて、す  すいません」

頭が回らずなんだか妙な話し方になったがなんとか口が動いた

ヤクザ風のおじさん
「いやーイツキちゃんだろぉ?君は、勇者じゃねーか!」

「ホレっ」

玄関の扉を指さした

ゆうしゃいつきの家( *`ω´)かかってこいやっ!まおう と張り紙が有る

一樹
「……」

ヤクザ風のおじさん
「ワシは(まおう)や、といわけで勝負やっ!勇者イツキちゃん!」

一樹
「.....はぁ?」

デレデレッデレデレーデーン!

▷勇者イツキのターン

一樹
「なんか!唐突に始まったー?!!」

------------------
   →      たたかう   まほう

    にげる     フラグを使う
------------------

唐突に4つのコマンドが現れた
どっかてみたことあるような

------------------
とりあえずコマンドを選ぶしかない!

たたかう→武器を装備していません

まほう→魔法を習得していません

にげる→まおうから逃げられない

フラグを使う以外が使えない……
------------------

一樹
「選択肢意味ねぇし!」

思わずツッコミを入れてしまったがそんな場合じゃない

        →フラグをつかう
          -のうこうきす
          -きんだんのあい



一樹
「きんだんのあい...」
思わず口に出してしまった

▷パンパカパーン!(๑˃̵ᴗ˂̵)
[禁断の愛]フラグエレクト!

突然周囲からハートが飛び出し、視界が
ピンク色に染まった

ヤクザ風のおじさん
「勇者イツキ?!なぁ、ワシの女にならんかぁ?可愛いがったるで?」

一樹
「なんでそうなる!男だよ俺は」
頬を赤らめながら男に口説かれるとはこんなにも気持ちが悪いとは

ヤクザまおう
「よっしゃ、ワシのターンや!」

▷ヤクザまおうのターン

         →フラグをつかう
          -のうこうきす

「[のうこうきす)じゃぁアホンダラぁ」
躊躇なく宣言してきたまおうヘンタイ

▷パンパカパーン!(๑˃̵ᴗ˂̵)
[濃厚kiss]フラグエレクト!

一樹
「体が…勝手に!まさか?!」
目の前にはキス顔のヤクザ、体はそちらに引っ張られ抵抗できない

一樹
「たっ助けてくれぇえー!!」
ゆっくりと近づく髭の生えた顎と唇の恐怖の余り叫んだ

???
「このフラグを使って(`・ω・´)っ□」

落ちてきたカードのようなものを何とか拾いあげることができた

一樹
「あくむ」
書かれている文字を読み上げる

▷パンパカパーン(๑˃̵ᴗ˂̵)
[悪夢]のフラグブレイク!

周囲の空間が大きく歪んだ

ヤクザまおう
「なんだもう目覚めちまうんだなぁ、またなぁイツキちゃん」

投げキッスをしてヤクザが消えていく-----

視界がぼやけていく

       ゲームクリア

  シナリオ  栞(`・ω・´)
   
ナレーション  栞(`・ω・´)

ヤクザまおう  あくむおじさん



スペシャルサンクス
勇者イツキ     綴 一樹


(`・ω・´)ゲームクリアおめでとう

「クリア特典  」
フラグ[いちかばちか]を手に入れた 



安いカーテンから差し込む光が容赦無く降り注ぐ。

一樹
「何だ今の茶番は!!」


「おはよー、いい天気だね!
よく眠れたかな(`・ω・´)」

一樹
「文字通りのだったよ、嫌がらせかっ!」


「主人公っていきなり本番は怖いと思ったから夢の中でチュートリアルをやってみたんだよ」

「シナリオも頑張ったんだ!気に入ってくれたかな?」

一樹
「おっさんにキスを迫られるのが気にいるわけねーだろ!!」


「まぁまぁ、フラグの使い方を覚えてもらうには良いかなーと。」

「フラグは物語りの進行をサポートする大事なアイテムなんだ、これからどんどん集めて行こうねー!」

「さっきのは悪夢をエレクトで見せて、ブレイクで醒ます[悪夢]のフラグを使ったんだよー」

夢の中でエレクトとブレイクは聴こえていたような気がするが、ヤクザの顔しか浮かばない

一樹
「フラグを立てると壊すがあるわけか、じゃあ!ヤクザはなんだったんだ?」


「私の好きな仁侠映画を元に考えた可愛いマスコットだよ(*゚∀゚*)」

一樹
「もういいやなんか、えーともういいです」

話が通じない...とりあえずさっきのは夢で昨日のが夢じゃないのはわかった

一樹
「バイトに行かせて下さい」
何故か敬語になった


「バイトしてるんだー!エラい!頑張ってー(๑˃̵ᴗ˂̵)」
 
猛スピードで支度をして、今度はコーヒーは取り出さず扉をあけて走った

一樹
「夢なら覚めてくれ!でもあのヤクザはごめんだ…誰でもいい」

「まともに会話できるやつに会いたい」

全力でバイト先を目指した







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