憧れの先輩の性格が変わってしまった

わさん

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「あはは。こんな糸引いてるねえ」

 ゼシーの指が、糸に触れ、引き上げる。ぷつりと糸が切れて、その指に粘液が絡まった。それを見せつけるように、ゼシーが笑う。そうして指を、ユアンに向かい、上目遣いで舐めてみせた。言葉をかたちにすることも出来ず、ユアンはただ呻くばかりだ。
 そんなユアンを思いやるはずもないゼシーは、べたべただねと緩い指の輪で、剥き出しにされたままの性器を弄ぶ。

「こんなにちっちゃいのに精いっぱい勃起しててかわいいね」

 自分が侮辱されたのか。恐れたらいいのか怒ったらいいのか。ユアンは分からず、ひ、ひ、と引きつった呼吸しかできない。ゼシーは目を細め、震えるユアンを見下ろす。それでさあ。ゼシーは平坦な声のまま言った。

「それで、きみは俺がゼシーじゃないって、誰かに言ったの?」

 はっとユアンはその言葉に縋る。

「そんなこと聞くあたり、やっぱりあんたは、先輩じゃないんだ」
「ゼシーだよ。でもこういうのは聞いておかないとね」

 ユアンは口元がへの字になるほど力を込めた。ユアンはそれほど親しい人間が多くない。いままではおおっぴらにゼシーを慕う人間もいなかった。だから、誰にも相談ができなかった。
 しかしそれを目の前の男に告げる気にはならない。

「ユアン?」
「あぅっ」
「きみはばかなの? こんなところ無防備に曝してさあ……」

 勝手に暴いたくせに何を言うのか。だがそのユアンの怒りは、先端をこねくり回されるだけで続かない。他人の手にもたらされる刺激がこんなに強烈なものだと、ユアンは知らなかった。

「ねえ、誰かに言った?」
「知らな……やっ! あ……?」

 自分の意思とは関係なく腰が上がり、イく、とユアンが思った途端に手が離された。
 どうして、とユアンが戸惑いながらゼシーに振り向くと、細めた目で笑みを返される。ピン、と起ち上がったままの性器を、刺激にならない程度に指であやされ、ユアンは身悶えた。

「応えてくれたらイかせてあげる」
「なにをそんな下らないことを……!」
「下らない? そうかなあ」
「あっ、やっあっあっ」

 ぎゅうっ、と掴まれ、痛いくらいにゴシゴシと扱かれる。強制的に射精させられそうになり、ユアンの腰が浮くが、そうすると途端に手を離されてしまう。イキそうな快感が留まり、イキ損ねた虚無感に脳が痺れる。
 自分の繊細な部分を勝手にコントロールされている。それなのに、自分がそれにあらがえないことにユアンは屈辱を覚え、唇を噛みしめた。噛みしめていた。そのはずなのに、手遊びのように繰り返されるうち、いつの間にか口は開き、涎が零れそうになっている。

「ほら。ほら。イキたくないの?」
「あっ、まっ、まって! あうぅ……!」

 びくびくと先端が痙攣するような錯覚がある。熱くて熱くて、何かが噴き出ているのではないか。イキたい。出したい。出したい。いまは触られていないのに、ガクガクと腰が上がる。自分の手で擦りたい。足の付け根や尻の狭間をゼシーのなめらかな指が繊細に触れていく。頭がおかしくなりそうだった。
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