雨宿りは図書室で

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【第3章】深まる仲

3人の帰り道

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図書室を後にする頃には外はまた薄暗くなっていた






「ごめんね遅くなって」






「いえ、気にしないでください」






「バス停まで危ないだろうから送っていくよ」






「俺がいるから大丈夫だ」







北山くんがずいっと割り込んで言う

 





「で、でも…」








「そうですね、三浦くんも部活でお疲れでしょうし…私は大丈夫です。
たかくんとは近所なので」



  








え、そうなの?と聞く前に北山くんが答える











「ああ」











 
「そっか…」














何を話そうか、と考えながら歩いていると前方に交差点が見えてきた




   


…あぁ、もうこんなところまで来てしまったんだな









あの交差点を曲がれば2人はバス停へ、俺はひとりバス道を歩くことになる





 




なにか話さなきゃ、なにか…と考えていると植田さんが口を開いた









「三浦君、今日はありがとうございました。」







「えっ?」







「朝、手伝ってくださって」







「あ、ああ!朝のこと!それは全然いいよ!むしろいつもありがとう!



それに…昨日のジップロックもありがとう。おかげで本が濡れずに済んだよ」








「まあ…それはよかったです!」






「ジップロック、返した方が良いかな?」






「いえ!いくらでもあるので、よろしければ差し上げます。」





予備の分のジップロックをいつも持ち歩いているとのことらしい








「じゃあ、これを持って梅雨こそ本を読もうキャンペーンの間図書室に通おうかな」







そう言うと植田さんはとても嬉しそうな顔をして言った






「ふふ、本を大切にしてくださって嬉しいです」










「『朝』のこと?『ジップロック』?みっちゃん、それはなに?」







その様子を見ていた北山くんはすかさず植田さんに問いかけた









その問いに植田さんは少し考えて…







「内緒…!」と微笑んだ







北山くんはとても不服そうな顔をして植田さんを見つめている







一方の俺はと言うと、2人の秘密か!と少し嬉しくなっていた









そんな思いが顔にでていたのか北山くんがジトーっとした目で俺を見る







う、気まずい…







しかし、すぐに交差点にたどり着いていたようだった











「お話ししているとあっという間につきますね」








 「ほんとだね」







本心だった。








植田さんと話していると時が経つのが早く感じてしまうのだ









帰り際は、いつも少し寂しくなる





「では…、月曜日学校で!」




 



信号が青になると同時に植田さんは言った






 




「うん。『猫探偵』読んでくる!月曜日感想話すね!」











「はい!楽しみにしていますね。」






「うん!それじゃ!」







 
またね、と手を振る







そして2人の姿が小さくなるまで見送った
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