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第二章 革命児編

第26話 呉服

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経丸達は金崎の居城春日井城に着いた。

金崎の居城春日井城は大きな山を丸ごと城にしておりこの国一の大きさの山城である。難攻不落無敵の城に見えるがしかし弱点がひとつある冬は豪雪によって身動きがとれなくなる城なのである。そのため冬の間は全く戦が出来なくなるのである。



経丸達を見つけた門番のいかつい男は経丸達に向かって



「お主達、何者だ」



「この城の城主金崎さまに用事がある天羽経丸です」



「天羽様、でしたかこれは失礼いたしました。ただいまご案内させていただきます」



経丸達は城の中に通された。



門番は金崎の部屋の前まで経丸達を案内し



「ここでございます、では私はここで」



「ありがとうございます」



皆は丁寧に門番に頭を下げた。



うわぁ緊張するなぁこういうの初めてだからなぁ。



経丸は緊張しながら震える手で戸を開けた。



「失礼します」



金崎は入ってくる経丸達に向かい合うように座っていて



「おっ久しぶりですね、経丸さん」



経丸は金崎の顔を見て昔の記憶が一瞬でよみがえり



「あっ、あなたは我を助けてくれた上野さまではありませんか」



驚く経丸に金崎は優しい口調で



「今は名前を金崎に変えたんですよ」



「これは失礼しました」



経丸は頭を下げた。



「しかし、大きくなりましたね」



「はっ、おかげさまで」



「殿、前にご縁があったのですか?」



凛は小声で経丸に聞いた。



「私のこと助けてくれた命の恩人です」



「経丸さん、あなたにつかえていたあのお兄さんは元気ですか?」



「元気でございます」



「それはよかったです」



金崎は優しく微笑んだ。



「しかしなぜ名前を変えられたのですか?」



「偉い人から私の強さを認められてそれで名前を与えられました」



「そうだったんですか、名前が金崎に変わっていたのでわかりませんでしたよ」



金崎は笑いながら



「それはそうですよね」



「しかしおなごなのにこの国で一二を争う大大名になられるとはすごいですね」



「いやぁ、そんなことないですよ」



「おなご!!」



士郎と凛とひのはビックリした。



「まぁ、とにかく経丸さんも頑張ってるみたいだからよかったですよ」



「ありがとうございます」



「じゃあ、さっそく同盟を結んで町を案内させていただきます」



経丸はビックリした感じで



「同盟を結んでくださるのですか」



「私と経丸さんの仲ですから」



「ありがとうございます」



そして経丸は献上品を渡し金崎はお礼の品を渡して同盟は結ばれた。



金崎に引き連れられて皆は城を出た。



「経丸さん達はおなごのかたが多くていいですね私、娘がほしいから羨ましいです」



「結婚して子供を産めばよいではないですか?」



「私ははおなごなのに城主です。しかしその事実を知ってるものは家臣以外にいませんだから他の大名に知れたらおなごが城主ならと攻めてこられたら大変なので」



「でも金崎様なら攻めてこられても勝てるではないですか」



「勝てても戦をするということは大事な家臣や民を亡くすことになるからしたくないのです」



「そうですよね、変なこと聞いてすみません」



『いえいえそれより経丸さん達洋服に興味ありますか?』



『はい、あります』



『それはよかったです、この近くにおなご用のいい服を揃えている呉服屋があるので今から皆で行きましょう』



『男用はないんですか?』



金崎は申し訳なさそうに



『ごめんなさい、今日行くところはおなご用の服専門なんですよ』



申し訳なさそうに話す金崎に士郎は慌てて



『いや、それがし服にはあまり興味がないので気になさらないでください』



経丸も続けるように



『そうです、士郎なんか布さえ体に着けときゃいいって考えの持ち主なので』



士郎はムスッとした顔で



『おい、殿そんなに俺は原始人じゃないぞ』



経丸は自分の口のまえに右手の人差し指を置いて



『しっー』



『しっーってなんだよ』







金崎は呉服屋につれていった。



「うわぁすごい数」



あまりの数に経丸達はビックリした。



金崎は優しい顔で



『皆さん欲しいものがあったら私に遠慮なくいってください』



経丸は慌てて



「それは悪いですよ」



「遠慮しなくて大丈夫です、私から見たら経丸さん達は娘みたいなんだですから」



『しかし』



凛は経丸の耳元で



『殿、ここはお言葉に甘えましょう』



ひのも凛に同意するように



『そうです、凛ちゃんの言うとおりここは甘えましょう』



「ではお言葉に甘えさせていただきます」



経丸は金崎に頭を下げた。



経丸達はうきうきしながら服を見て回っていた。



士郎は退屈で大あくびをしながら椅子に腰かけていた。



ひのは少し派手めの赤色の主張が強い服を持って



これは私にはちょっとでかなぁでもちょっと着てみようかなぁ



凛はひのの後ろから



「あっひのちゃんいいじゃんそれ」



『そう?』



「似合ってるよ」



「いやちょっと着てみただけです」



「いやわかるよ、私も女の子だから変心してみたい気持ちわかるわかる」



「いやそんなつもりじゃ」



ひのは顔を赤くした。



「凛さんちょっと来てください」



「どうしたんです、殿」



経丸は朝顔の刺繍が入った黄色と赤の二つの服を持ち



「色を黄色か赤で迷ってるのですがどちらがよいと思いますか?」



「黄色がよろしいかと」



「なぜ?」



「兄貴が好きな色だからでございます」



経丸の顔が真っ赤になった。



『殿、その黄色に着替えて少し待っててください』



凛はそういうと走り出した。



凛は士郎の右腕を乱暴に引っ張り



『兄貴、兄貴』



士郎は気だるそうに



『なんだよ』



『ちょっときて』



士郎は渋々凛に着いていった。



凛が士郎を案内したところには新しい黄色の着物に着替えた経丸の姿があった。



『ねぇ、殿のこのかっこうどう?』



経丸は顔を真っ赤にして



『凛ちゃん!!』



士郎はどもりながら心の声が漏れるように



『おっ、殿、可愛いんじゃないか』



士郎の意外な言葉に経丸は戸惑うように



『えっ?』



『えっ、ってなんだよ』



『さっきなんて言ったの?』



『二回も同じ事言わないよ』



凛はニヤニヤしながら



『兄貴、殿の事可愛いって言ったよね』



士郎は少し大きな声で



『バカ、余計なことを言うな』



経丸は士郎を茶化すように



『士郎が私の事を可愛い何てお世辞言うなんて』



士郎は小さな声で



『バーカ、俺はお世辞が大嫌いなんだよ』



経丸は呟くように



『えっ?』



『何でもないよ』







何だかんだで皆服が決まった。



「金崎様ありがとうございました」



『皆、可愛くなってよかったですね』



経丸達は少し照れた。



『経丸さん、これからよろしくお願いします』



金崎は経丸に頭を下げた。



経丸は慌てて



『こちらこそよろしくお願いします』



これにて天羽家は無事金崎家と同盟を結べたのであった。
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