26 / 49
第二章 革命児編
第26話 呉服
しおりを挟む
経丸達は金崎の居城春日井城に着いた。
金崎の居城春日井城は大きな山を丸ごと城にしておりこの国一の大きさの山城である。難攻不落無敵の城に見えるがしかし弱点がひとつある冬は豪雪によって身動きがとれなくなる城なのである。そのため冬の間は全く戦が出来なくなるのである。
経丸達を見つけた門番のいかつい男は経丸達に向かって
「お主達、何者だ」
「この城の城主金崎さまに用事がある天羽経丸です」
「天羽様、でしたかこれは失礼いたしました。ただいまご案内させていただきます」
経丸達は城の中に通された。
門番は金崎の部屋の前まで経丸達を案内し
「ここでございます、では私はここで」
「ありがとうございます」
皆は丁寧に門番に頭を下げた。
うわぁ緊張するなぁこういうの初めてだからなぁ。
経丸は緊張しながら震える手で戸を開けた。
「失礼します」
金崎は入ってくる経丸達に向かい合うように座っていて
「おっ久しぶりですね、経丸さん」
経丸は金崎の顔を見て昔の記憶が一瞬でよみがえり
「あっ、あなたは我を助けてくれた上野さまではありませんか」
驚く経丸に金崎は優しい口調で
「今は名前を金崎に変えたんですよ」
「これは失礼しました」
経丸は頭を下げた。
「しかし、大きくなりましたね」
「はっ、おかげさまで」
「殿、前にご縁があったのですか?」
凛は小声で経丸に聞いた。
「私のこと助けてくれた命の恩人です」
「経丸さん、あなたにつかえていたあのお兄さんは元気ですか?」
「元気でございます」
「それはよかったです」
金崎は優しく微笑んだ。
「しかしなぜ名前を変えられたのですか?」
「偉い人から私の強さを認められてそれで名前を与えられました」
「そうだったんですか、名前が金崎に変わっていたのでわかりませんでしたよ」
金崎は笑いながら
「それはそうですよね」
「しかしおなごなのにこの国で一二を争う大大名になられるとはすごいですね」
「いやぁ、そんなことないですよ」
「おなご!!」
士郎と凛とひのはビックリした。
「まぁ、とにかく経丸さんも頑張ってるみたいだからよかったですよ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、さっそく同盟を結んで町を案内させていただきます」
経丸はビックリした感じで
「同盟を結んでくださるのですか」
「私と経丸さんの仲ですから」
「ありがとうございます」
そして経丸は献上品を渡し金崎はお礼の品を渡して同盟は結ばれた。
金崎に引き連れられて皆は城を出た。
「経丸さん達はおなごのかたが多くていいですね私、娘がほしいから羨ましいです」
「結婚して子供を産めばよいではないですか?」
「私ははおなごなのに城主です。しかしその事実を知ってるものは家臣以外にいませんだから他の大名に知れたらおなごが城主ならと攻めてこられたら大変なので」
「でも金崎様なら攻めてこられても勝てるではないですか」
「勝てても戦をするということは大事な家臣や民を亡くすことになるからしたくないのです」
「そうですよね、変なこと聞いてすみません」
『いえいえそれより経丸さん達洋服に興味ありますか?』
『はい、あります』
『それはよかったです、この近くにおなご用のいい服を揃えている呉服屋があるので今から皆で行きましょう』
『男用はないんですか?』
金崎は申し訳なさそうに
『ごめんなさい、今日行くところはおなご用の服専門なんですよ』
申し訳なさそうに話す金崎に士郎は慌てて
『いや、それがし服にはあまり興味がないので気になさらないでください』
経丸も続けるように
『そうです、士郎なんか布さえ体に着けときゃいいって考えの持ち主なので』
士郎はムスッとした顔で
『おい、殿そんなに俺は原始人じゃないぞ』
経丸は自分の口のまえに右手の人差し指を置いて
『しっー』
『しっーってなんだよ』
金崎は呉服屋につれていった。
「うわぁすごい数」
あまりの数に経丸達はビックリした。
金崎は優しい顔で
『皆さん欲しいものがあったら私に遠慮なくいってください』
経丸は慌てて
「それは悪いですよ」
「遠慮しなくて大丈夫です、私から見たら経丸さん達は娘みたいなんだですから」
『しかし』
凛は経丸の耳元で
『殿、ここはお言葉に甘えましょう』
ひのも凛に同意するように
『そうです、凛ちゃんの言うとおりここは甘えましょう』
「ではお言葉に甘えさせていただきます」
経丸は金崎に頭を下げた。
経丸達はうきうきしながら服を見て回っていた。
士郎は退屈で大あくびをしながら椅子に腰かけていた。
ひのは少し派手めの赤色の主張が強い服を持って
これは私にはちょっとでかなぁでもちょっと着てみようかなぁ
凛はひのの後ろから
「あっひのちゃんいいじゃんそれ」
『そう?』
「似合ってるよ」
「いやちょっと着てみただけです」
「いやわかるよ、私も女の子だから変心してみたい気持ちわかるわかる」
「いやそんなつもりじゃ」
ひのは顔を赤くした。
「凛さんちょっと来てください」
「どうしたんです、殿」
経丸は朝顔の刺繍が入った黄色と赤の二つの服を持ち
「色を黄色か赤で迷ってるのですがどちらがよいと思いますか?」
「黄色がよろしいかと」
「なぜ?」
「兄貴が好きな色だからでございます」
経丸の顔が真っ赤になった。
『殿、その黄色に着替えて少し待っててください』
凛はそういうと走り出した。
凛は士郎の右腕を乱暴に引っ張り
『兄貴、兄貴』
士郎は気だるそうに
『なんだよ』
『ちょっときて』
士郎は渋々凛に着いていった。
凛が士郎を案内したところには新しい黄色の着物に着替えた経丸の姿があった。
『ねぇ、殿のこのかっこうどう?』
経丸は顔を真っ赤にして
『凛ちゃん!!』
士郎はどもりながら心の声が漏れるように
『おっ、殿、可愛いんじゃないか』
士郎の意外な言葉に経丸は戸惑うように
『えっ?』
『えっ、ってなんだよ』
『さっきなんて言ったの?』
『二回も同じ事言わないよ』
凛はニヤニヤしながら
『兄貴、殿の事可愛いって言ったよね』
士郎は少し大きな声で
『バカ、余計なことを言うな』
経丸は士郎を茶化すように
『士郎が私の事を可愛い何てお世辞言うなんて』
士郎は小さな声で
『バーカ、俺はお世辞が大嫌いなんだよ』
経丸は呟くように
『えっ?』
『何でもないよ』
何だかんだで皆服が決まった。
「金崎様ありがとうございました」
『皆、可愛くなってよかったですね』
経丸達は少し照れた。
『経丸さん、これからよろしくお願いします』
金崎は経丸に頭を下げた。
経丸は慌てて
『こちらこそよろしくお願いします』
これにて天羽家は無事金崎家と同盟を結べたのであった。
金崎の居城春日井城は大きな山を丸ごと城にしておりこの国一の大きさの山城である。難攻不落無敵の城に見えるがしかし弱点がひとつある冬は豪雪によって身動きがとれなくなる城なのである。そのため冬の間は全く戦が出来なくなるのである。
経丸達を見つけた門番のいかつい男は経丸達に向かって
「お主達、何者だ」
「この城の城主金崎さまに用事がある天羽経丸です」
「天羽様、でしたかこれは失礼いたしました。ただいまご案内させていただきます」
経丸達は城の中に通された。
門番は金崎の部屋の前まで経丸達を案内し
「ここでございます、では私はここで」
「ありがとうございます」
皆は丁寧に門番に頭を下げた。
うわぁ緊張するなぁこういうの初めてだからなぁ。
経丸は緊張しながら震える手で戸を開けた。
「失礼します」
金崎は入ってくる経丸達に向かい合うように座っていて
「おっ久しぶりですね、経丸さん」
経丸は金崎の顔を見て昔の記憶が一瞬でよみがえり
「あっ、あなたは我を助けてくれた上野さまではありませんか」
驚く経丸に金崎は優しい口調で
「今は名前を金崎に変えたんですよ」
「これは失礼しました」
経丸は頭を下げた。
「しかし、大きくなりましたね」
「はっ、おかげさまで」
「殿、前にご縁があったのですか?」
凛は小声で経丸に聞いた。
「私のこと助けてくれた命の恩人です」
「経丸さん、あなたにつかえていたあのお兄さんは元気ですか?」
「元気でございます」
「それはよかったです」
金崎は優しく微笑んだ。
「しかしなぜ名前を変えられたのですか?」
「偉い人から私の強さを認められてそれで名前を与えられました」
「そうだったんですか、名前が金崎に変わっていたのでわかりませんでしたよ」
金崎は笑いながら
「それはそうですよね」
「しかしおなごなのにこの国で一二を争う大大名になられるとはすごいですね」
「いやぁ、そんなことないですよ」
「おなご!!」
士郎と凛とひのはビックリした。
「まぁ、とにかく経丸さんも頑張ってるみたいだからよかったですよ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、さっそく同盟を結んで町を案内させていただきます」
経丸はビックリした感じで
「同盟を結んでくださるのですか」
「私と経丸さんの仲ですから」
「ありがとうございます」
そして経丸は献上品を渡し金崎はお礼の品を渡して同盟は結ばれた。
金崎に引き連れられて皆は城を出た。
「経丸さん達はおなごのかたが多くていいですね私、娘がほしいから羨ましいです」
「結婚して子供を産めばよいではないですか?」
「私ははおなごなのに城主です。しかしその事実を知ってるものは家臣以外にいませんだから他の大名に知れたらおなごが城主ならと攻めてこられたら大変なので」
「でも金崎様なら攻めてこられても勝てるではないですか」
「勝てても戦をするということは大事な家臣や民を亡くすことになるからしたくないのです」
「そうですよね、変なこと聞いてすみません」
『いえいえそれより経丸さん達洋服に興味ありますか?』
『はい、あります』
『それはよかったです、この近くにおなご用のいい服を揃えている呉服屋があるので今から皆で行きましょう』
『男用はないんですか?』
金崎は申し訳なさそうに
『ごめんなさい、今日行くところはおなご用の服専門なんですよ』
申し訳なさそうに話す金崎に士郎は慌てて
『いや、それがし服にはあまり興味がないので気になさらないでください』
経丸も続けるように
『そうです、士郎なんか布さえ体に着けときゃいいって考えの持ち主なので』
士郎はムスッとした顔で
『おい、殿そんなに俺は原始人じゃないぞ』
経丸は自分の口のまえに右手の人差し指を置いて
『しっー』
『しっーってなんだよ』
金崎は呉服屋につれていった。
「うわぁすごい数」
あまりの数に経丸達はビックリした。
金崎は優しい顔で
『皆さん欲しいものがあったら私に遠慮なくいってください』
経丸は慌てて
「それは悪いですよ」
「遠慮しなくて大丈夫です、私から見たら経丸さん達は娘みたいなんだですから」
『しかし』
凛は経丸の耳元で
『殿、ここはお言葉に甘えましょう』
ひのも凛に同意するように
『そうです、凛ちゃんの言うとおりここは甘えましょう』
「ではお言葉に甘えさせていただきます」
経丸は金崎に頭を下げた。
経丸達はうきうきしながら服を見て回っていた。
士郎は退屈で大あくびをしながら椅子に腰かけていた。
ひのは少し派手めの赤色の主張が強い服を持って
これは私にはちょっとでかなぁでもちょっと着てみようかなぁ
凛はひのの後ろから
「あっひのちゃんいいじゃんそれ」
『そう?』
「似合ってるよ」
「いやちょっと着てみただけです」
「いやわかるよ、私も女の子だから変心してみたい気持ちわかるわかる」
「いやそんなつもりじゃ」
ひのは顔を赤くした。
「凛さんちょっと来てください」
「どうしたんです、殿」
経丸は朝顔の刺繍が入った黄色と赤の二つの服を持ち
「色を黄色か赤で迷ってるのですがどちらがよいと思いますか?」
「黄色がよろしいかと」
「なぜ?」
「兄貴が好きな色だからでございます」
経丸の顔が真っ赤になった。
『殿、その黄色に着替えて少し待っててください』
凛はそういうと走り出した。
凛は士郎の右腕を乱暴に引っ張り
『兄貴、兄貴』
士郎は気だるそうに
『なんだよ』
『ちょっときて』
士郎は渋々凛に着いていった。
凛が士郎を案内したところには新しい黄色の着物に着替えた経丸の姿があった。
『ねぇ、殿のこのかっこうどう?』
経丸は顔を真っ赤にして
『凛ちゃん!!』
士郎はどもりながら心の声が漏れるように
『おっ、殿、可愛いんじゃないか』
士郎の意外な言葉に経丸は戸惑うように
『えっ?』
『えっ、ってなんだよ』
『さっきなんて言ったの?』
『二回も同じ事言わないよ』
凛はニヤニヤしながら
『兄貴、殿の事可愛いって言ったよね』
士郎は少し大きな声で
『バカ、余計なことを言うな』
経丸は士郎を茶化すように
『士郎が私の事を可愛い何てお世辞言うなんて』
士郎は小さな声で
『バーカ、俺はお世辞が大嫌いなんだよ』
経丸は呟くように
『えっ?』
『何でもないよ』
何だかんだで皆服が決まった。
「金崎様ありがとうございました」
『皆、可愛くなってよかったですね』
経丸達は少し照れた。
『経丸さん、これからよろしくお願いします』
金崎は経丸に頭を下げた。
経丸は慌てて
『こちらこそよろしくお願いします』
これにて天羽家は無事金崎家と同盟を結べたのであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
隊員の内部事情
元次三蔵
大衆娯楽
自衛隊の内部の内部。
いわゆる駐屯地の中で暮らしてる隊員たち(営内者)のドタバタヒューマンコメディ?を書いていこうと思います。(`ー´ゞ
一作品500~1000文字前後でサクッと読める感じでいきたいと思います。
めんどくさいからじゃないよ(-。-)y-~
なるべく毎日更新したいけど、たまには1週間くらい空いちゃうよね🎵
あっ、横書きの方が見やすいよ~🎵
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる