御曹司に捕まった孤児

胡宵

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手に入れた宝(冬夜side)

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奏斗が同意書にサインをした。

これで俺のものだ。

「ありがとう奏斗くん」

施設員の女が微笑みながら奏斗に話しかける。
たった今俺のものになったというのに無礼にも話しかけるとは、イライラする。

「小島さん、紅茶にこれを入れて持ってきてもらえますか?」

静かに女に渡したのは睡眠薬だ。

「こ、これは」
「お願いします」
「は、はい」

女は指示にためらったがたたみかけるとすぐに言うことを聞いた。

「お待たせ致しました」
「奏斗くんに」
「はい。奏斗くんどうぞ」
「ありがとうございます」
「それはね、この前父に買ってもらった紅茶でね、香りが良くて飲みやすいんだ。」

奏斗はなんの疑いもなく出された紅茶を飲む。

「おいしいです」
「良かった。少しお話しようか」

それから15分ほど話をしていると睡眠薬の効果が出てきたのか不意に奏斗の力が抜けた。

「すいません、、、なんかねむたくて、、、」
「いいよ。疲れているんだね」

そうして奏斗は完全に眠りについた。

「じゃあ小島さん奏斗くんは連れて帰りますね」
「はい。よろしくお願いいたします」

俺は奏斗を抱きかかえて車に向かった。

「冬夜様おかえりなさいませ」

ガチャッ

「ご自宅で宜しいでしょうか」
「ああ。」

奏斗が今腕の中にいる。この1ヶ月は長かった。
家の空いている地下室を改造し奏斗を迎え入れるための準備を惜しみなくした。
あとは奏斗を閉じ込めれば完璧だ。

奏斗、これからは俺だけを見て俺だけのために生きろ。








ガチャッ

「冬夜様、ご自宅に到着致しました」

奏斗を抱いて家に入る。

「おかえりなさいませ冬夜様。」

うちは表向きは日本三大財閥の1つ御園財閥として知られているが、裏では御園組として警察すらも恐れる存在である。
屋敷の地上部分は財閥としての家だが、地下に行けばそこは御園組の巣窟とも言える。
その地下の一番下の階。組の幹部ですら立ち入りを許されないところに奏斗の部屋を作った。

コツコツコツ

静かな地下通路に自分の革靴の音だけが響く。

ピピッ カチャ

指紋と虹彩の認証をすると重い鉄の扉が開く。

中に入ればそこにはキングサイズのベッドに鎖、トイレ、浴槽など必要最低限の物しか置いていない。

部屋の真ん中にあるベッドへ奏斗を下ろすと両足には鎖を、首にはチョーカーをつけた。

「奏斗、また目覚める頃に来るからな。」

最後に監視カメラを確認してまた重たい扉を閉めた。

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