御曹司に捕まった孤児

胡宵

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守るべきもの(光星side)

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俺は親の顔を知らない。
俺の親はきっと俺が邪魔で仕方なかったのだ。施設の人によると俺は冬の寒い朝、施設の前に捨てられていたらしい。名前も誕生日もわからない。
そんな俺に施設の人は光星という名前をつけて一生懸命育ててくれた。

俺が5歳になった頃、施設に一人の男の子が来た。それが奏人だった。

奏斗が施設に来たとき、俺は全身に痣を作って泣きじゃくる奏斗を見て、幼いながらに「この子も親に愛されなかったのだ」と悟った。
奏斗を可哀想だと思った俺は、それから奏斗が泣くたびにそばに寄ってなぐさめた。
そうするうちに奏斗は俺に懐き、ずっと俺について回るようになった。どこへ行くにも寝るときも俺と奏斗は一緒だった。

奏斗が施設に来て1年になる頃には俺が奏斗を守ってやらなくてはいけないという意識が芽生え、奏斗をいじめようとする年上のお兄ちゃんたちによく牽制していた。

そして、中学に上がった頃、奏斗はよく女子から告白されるようになった。それもそのはず、奏斗は昔からきれいな顔をしていて、異性を意識し始める女子たちが騒ぎ出すのは当然だった。
毎日のように呼び出されて告白される奏斗をみて、俺は心に溜まっていくモヤモヤに気づいた。
最初は奏斗ばかりモテることにイライラしているのかと思っていた。でも、違った。

ある日、奏斗は気恥ずかしそうに俺に相談してきた。

「光星、俺さ3組の〇〇ちゃんのことが最近気になってるんだ。それで明日告白しようかなぁなんて。」
「、、、。」
「光星?」
「〇〇ちゃんはやめたほうがいいよ。性格悪いって聞くし。ていうかちょっと前聞いたとき彼氏いるって言ってた気がする。」
「そ、そんなに言わなくても、、、」
「ごめん、、、」

このとき、俺はずっとわからずにいたモヤモヤの正体に気づいた。

俺は、奏斗のことが好きなんだ。友達なんかじゃない。奏斗を他の人に取られたくない。

そんな気持ちに強く支配された俺は、それから奏斗を徹底的に守った。誰もが奏斗に近づけないように。誰にも俺から奏斗を奪わせないために。

だから奏斗、俺が自立した生活を遅れるようになるまで、奏斗を養えるようになるまでちゃんと待っててね。
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