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○~第8章~○ 卵管采の門番 不毛明王編
3排卵目! ワキ汗毘沙門天の正体
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「そのアロンアルファ、取れますよ?」
まるで“取れて当然”とも言っているかのように自信に満ち溢れた声が後方から聞こえてきた。
そう。
ただの小汚い中年オヤz…… いや、ワキ汗毘沙門天だ。
「私なら取れますよ? そのアロンアルファを」
今度は倒置法でアプローチをかけてきた。
取れるんだったらさっさとやればいいものをコイツはやろうとしない。
つまり――
“取って欲しければ願いを乞うがいい”
そう言っているのだ。
マウントを取りに来ているのだ。
ここへ来て形勢を逆転しようとしているのだ。
「くそっ! 腹立つわね……」
「ん? 何かいいましたか? ん? ん?」
「このっ!」
『膣美さま――』
アタシが殴りかかる動作に入ろうとする前に婆やが止めに入ってきた。
『膣美さま、ここは一つ冷静に。この私にお任せくださいませ』
婆やがそう言うと、アタシの前を通り過ぎ、ワキ汗毘沙門天の前まで歩いて行った。
『ワキ汗毘沙門天殿、先ほどまでの数々のご無礼をお詫び申し上げます。私どもではこのカチカチのアロンアルファを取り除く術は持ち合わせておりません故、ワキ汗毘沙門天殿のお力をお貸しいただければと思います』
ワキ汗毘沙門天を前にして“あの”婆やが頭を下げた。
なのに――
「いやーダメですねえ! あなただけではヤル気が起こりません。そちらの小娘にも頭を下げてもらわないと! 私を何度も殴り倒したこの小娘にもねえ!」
ワキ汗毘沙門天がそう言うと、まっすぐアタシを指さしてきた。
コイツは最初からアタシを狙っていたのだ。
『膣美さまにも頭を下げれと申すのでございますか……』
「そうですよ! この小娘にこそ頭を下げてもらいたいものですね! この私をことあるごとにボコスカと…… 何度殴られたことでしょう! さあ! 謝罪も含めてこうべを垂れなギョベバッ!!」
!?
あまりの一瞬の出来事に目が反応できなかったが、アタシが気付いた時にはワキ汗毘沙門天が不毛明王の崖に叩きつけられ気絶していた。
「ば、婆や?」
慌てて婆やの方を振り向いたが、完全に右ストレートで殴り飛ばしていた。
『はっ! い、いけません! つ、つい手が出て……』
「あーあ。あの様子じゃあしばらく起きないわよアイツ」
その時だった――
婆やが殴り飛ばしたおかげというかなんというか、アタシの魔法で凍らせていたワキ汗毘沙門天の両脇の氷が割れ、とめどなくワキ汗が噴き出し、アロンアルファでガッチガチに固められた不毛明王の肛門にビチャビチャとかかりだしたのだ。
するとどうだろう。
≪嗚呼…… いい…… とてもいいですな……≫
不毛明王が喘ぎだしたのだ。
いや、これは余計な表現だった。
本当はみるみる内に肛門のアロンアルファが剥がれ落ちて行くことを言いたかったのだ。
「婆や! 見てみて! アロンアルファが剥がれ落ちてく!」
『なるほど! 分かりましたでございますよ膣美さま』
婆やの解釈はこうだ。
ワキ汗毘沙門天のワキ汗には恐らく“ケトン”が多く含まれている。このケトンにはアセトンが含まれているため、アロンアルファが溶けだしたのだ。
『ケトンが多く含まれる汗が出る。つまり! ワキ汗毘沙門天は糖尿病と存じます』
婆やがそう言ったその時、
「ふふっ。ご名答ですよ」
ワキ汗毘沙門天がいつの間にか立ち上がっており、少し空中に浮いていた。
よく見ると体の周りが水色に光り輝いており、表情は気持ち悪いくらい自信に満ち足りた薄ら笑いを浮かべている。
「ば、婆や! コイツ! さっきまでとなんか違う!」
『やっと本性を現したのでございますね』
事態は急展開を迎え、辺り一面緊張感が漂う!
≪も…… もう少しワキ汗をかけてほしいですな……≫
不毛明王を除いて。
まるで“取れて当然”とも言っているかのように自信に満ち溢れた声が後方から聞こえてきた。
そう。
ただの小汚い中年オヤz…… いや、ワキ汗毘沙門天だ。
「私なら取れますよ? そのアロンアルファを」
今度は倒置法でアプローチをかけてきた。
取れるんだったらさっさとやればいいものをコイツはやろうとしない。
つまり――
“取って欲しければ願いを乞うがいい”
そう言っているのだ。
マウントを取りに来ているのだ。
ここへ来て形勢を逆転しようとしているのだ。
「くそっ! 腹立つわね……」
「ん? 何かいいましたか? ん? ん?」
「このっ!」
『膣美さま――』
アタシが殴りかかる動作に入ろうとする前に婆やが止めに入ってきた。
『膣美さま、ここは一つ冷静に。この私にお任せくださいませ』
婆やがそう言うと、アタシの前を通り過ぎ、ワキ汗毘沙門天の前まで歩いて行った。
『ワキ汗毘沙門天殿、先ほどまでの数々のご無礼をお詫び申し上げます。私どもではこのカチカチのアロンアルファを取り除く術は持ち合わせておりません故、ワキ汗毘沙門天殿のお力をお貸しいただければと思います』
ワキ汗毘沙門天を前にして“あの”婆やが頭を下げた。
なのに――
「いやーダメですねえ! あなただけではヤル気が起こりません。そちらの小娘にも頭を下げてもらわないと! 私を何度も殴り倒したこの小娘にもねえ!」
ワキ汗毘沙門天がそう言うと、まっすぐアタシを指さしてきた。
コイツは最初からアタシを狙っていたのだ。
『膣美さまにも頭を下げれと申すのでございますか……』
「そうですよ! この小娘にこそ頭を下げてもらいたいものですね! この私をことあるごとにボコスカと…… 何度殴られたことでしょう! さあ! 謝罪も含めてこうべを垂れなギョベバッ!!」
!?
あまりの一瞬の出来事に目が反応できなかったが、アタシが気付いた時にはワキ汗毘沙門天が不毛明王の崖に叩きつけられ気絶していた。
「ば、婆や?」
慌てて婆やの方を振り向いたが、完全に右ストレートで殴り飛ばしていた。
『はっ! い、いけません! つ、つい手が出て……』
「あーあ。あの様子じゃあしばらく起きないわよアイツ」
その時だった――
婆やが殴り飛ばしたおかげというかなんというか、アタシの魔法で凍らせていたワキ汗毘沙門天の両脇の氷が割れ、とめどなくワキ汗が噴き出し、アロンアルファでガッチガチに固められた不毛明王の肛門にビチャビチャとかかりだしたのだ。
するとどうだろう。
≪嗚呼…… いい…… とてもいいですな……≫
不毛明王が喘ぎだしたのだ。
いや、これは余計な表現だった。
本当はみるみる内に肛門のアロンアルファが剥がれ落ちて行くことを言いたかったのだ。
「婆や! 見てみて! アロンアルファが剥がれ落ちてく!」
『なるほど! 分かりましたでございますよ膣美さま』
婆やの解釈はこうだ。
ワキ汗毘沙門天のワキ汗には恐らく“ケトン”が多く含まれている。このケトンにはアセトンが含まれているため、アロンアルファが溶けだしたのだ。
『ケトンが多く含まれる汗が出る。つまり! ワキ汗毘沙門天は糖尿病と存じます』
婆やがそう言ったその時、
「ふふっ。ご名答ですよ」
ワキ汗毘沙門天がいつの間にか立ち上がっており、少し空中に浮いていた。
よく見ると体の周りが水色に光り輝いており、表情は気持ち悪いくらい自信に満ち足りた薄ら笑いを浮かべている。
「ば、婆や! コイツ! さっきまでとなんか違う!」
『やっと本性を現したのでございますね』
事態は急展開を迎え、辺り一面緊張感が漂う!
≪も…… もう少しワキ汗をかけてほしいですな……≫
不毛明王を除いて。
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