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○~第7章~○ 憧れのオ・マーン公国編
5射精目! マンカス
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「マンカス?」
→→→↑
「違う! イントネーションが違う。最後を上げるでない! 最初を上げるのじゃ! マン↑カス↓。マンカスじゃ」
「ふーん……」
そう言って俺はもう一度マンカスの方を見た。
「あれ!?」
少し先の砂漠の山の上にいた1匹のマンカスが2匹に増えていた。いや、今4匹に増え…… 8匹……
「えっ! えっ? 待って待って! じいちゃん! あいつら増殖していってる!」
「落ち着けテツオ。マンカスは増殖するものなんじゃ。そして行く手を阻んで体力を減らすのが狙いじゃ」
じいちゃんが説明している間にもマンカスは増殖を続け、あっという間に1万匹くらいまで増殖してしまった。この異常な増殖には他の精子たちもマンカスの存在に気付き始めた。
「あはは! なにあれー」
「もしかしてオ・マーン公国が私たちを歓迎してくれてるんじゃないかしら?」
「見てみて! 短い手と足がついてる! かわいい!」
皆が言うとおり、マンカスの見た目はとてもかわいらしかった。
真ん丸の体は真っ白いモフモフの毛に覆われており、大きなクリッとした目がとても愛らしく感じた。
短い足と短い手がちょこんと出て、
『マン♪ カス♪ マン♪ カス♪』
と、まるで合唱するかのように集団で声を出しながらちょこちょこと歩き回っていた。
そしてあっという間に広大な砂漠がマンカスだらけになってしまった。
※なんとも言えない表現でございます。
マンカスたちが足元にまとわりついて歩きにくい。少しでも注意を怠ると踏みつぶしてしまいそうなのだ。
「テツオ。今から遠く向こうに見える山を歩いて目指すが、マンカスを踏んではいかんぞ」
「……え、無理だろこれ。絶対どこかで踏んじゃうよ。こんなにいるんだぜ?」
「そこをなんとか注意しながら歩くんじゃ。マンカスは踏みつぶすと嫌な臭いとともに少量の“酸”を出すのじゃ」
じいちゃん曰く、マンカスを踏みつぶした臭いはどんなに頑張っても慣れない臭いらしい。
※好きな人もいるけど大体変態でございます。
しかし問題なのは“酸”の方なのである。
このマンカスが出す酸にかかってしまうと、俺たちを守っているアシッドシールド(精液)が溶けてしまい、寿命が短くなってしまうのだ。
それを教えてもらった俺とじいちゃんは慎重に慎重にマンカスを踏みつぶさないよう少しずつ歩みを進めた。
しかし――
「うおい! なんだよこれ! くっそ邪魔じゃん! どけやコラァ!!」
他の精子の中からヤンキー精子が前方へ飛び出し、マンカスたちにキレたのだった。
「じいちゃん。あいつ大丈夫かな……」
「テツオ。放っておけ。ああいうバカはいつの時代もいるのじゃ。どうせ昔のプリウスをローダウンさせて乗り回しているしょうもないヤンキーじゃ」
※タイヤも斜めにつけてるやつでございます。
じいちゃんのディスり方がひどかった。
ヤンキー精子はマンカスたちを掴んでは投げ飛ばしたり、蹴飛ばしたりしていた。
『マンカス―! マンカス―!』
マンカスたちも怒っているようで、ヤンキー精子の元へ群がっていた。
「おおん!? やんのか? やんのかゴラァ!」
ヤンキー精子は最高潮にブチ切れ、さらにマンカスたちを投げたり殴ったり蹴飛ばしたりし出した。
そしてとうとう1匹のマンカスを踏みつぶしてしまったのだ。
クチュ……
音がなるとともに、他の精子たちからも「うわぁ……」という小さな悲鳴が聞こえた。
「おっ! いい音なるじゃんかよ!」
ヤンキー精子がそう言うと、ますます調子に乗り、周りにいたたくさんのマンカスたちを踏みつぶしだした。
クチュ! クチュ! クチュ! クチュ!
『マン! カス! マン! カス!』
マンカスたちも更に怒りを露にし、更に量を増やしヤンキー精子の周りに群がった。
しかし、じいちゃんが言ってた臭いも酸も出ていないような気がした。
「じいちゃんじいちゃん。マンカスを踏みつぶしても何も出てないじゃん」
「よく見てみろテツオ。あのヤンキーの周りのアシッドシールドを」
「…………あっ!」
なんとヤンキー精子のアシッドシールド(精液)が少しずつ溶けはじめていた。
そしてよく見ると、マンカスを踏みつぶした瞬間に白い煙のような水蒸気が上がっていたのだ。
「あれがマンカスが出す“酸”じゃ」
そしてついにヤンキー精子のアシッドシールド(精液)が全て溶けてなくなってしまった。
その瞬間――
なんとマンカスたちが次々と重なり始め、合体し始めたのだ。
その数は数百を超え、合体するたびにマンカスは大きさを増し、ついには俺たちの3倍もの大きさにまで成長してしまったのだ。
「お…… おい。マジかよ……」
この突然の合体と巨大化にはさすがのヤンキー精子も焦っているようで、じりじりと後ずさりを始めた。
(あんなに怖がるくらいならプリウスをローダウンさせなきゃいいのに……)
俺がそう思った瞬間、
「あんなに怖がるくらいならプリウスをローダウンさせなきゃいいんじゃ」
じいちゃんが声に出してディスった。
俺は笑った。
~○次回予告○~
マンカスたちが合体し、巨大なマンカスとなってしまった。
その名も“キングマンカス”。
ヤンキー精子が真っ先に餌食となってしまったのは言う間でもない!
だがそんなことはどうでもいい! 大事なのはローダウンされたプリウスを誰が処分するかということ!
次回! ヤン車プリウスの査定額は!
お楽しみに!
→→→↑
「違う! イントネーションが違う。最後を上げるでない! 最初を上げるのじゃ! マン↑カス↓。マンカスじゃ」
「ふーん……」
そう言って俺はもう一度マンカスの方を見た。
「あれ!?」
少し先の砂漠の山の上にいた1匹のマンカスが2匹に増えていた。いや、今4匹に増え…… 8匹……
「えっ! えっ? 待って待って! じいちゃん! あいつら増殖していってる!」
「落ち着けテツオ。マンカスは増殖するものなんじゃ。そして行く手を阻んで体力を減らすのが狙いじゃ」
じいちゃんが説明している間にもマンカスは増殖を続け、あっという間に1万匹くらいまで増殖してしまった。この異常な増殖には他の精子たちもマンカスの存在に気付き始めた。
「あはは! なにあれー」
「もしかしてオ・マーン公国が私たちを歓迎してくれてるんじゃないかしら?」
「見てみて! 短い手と足がついてる! かわいい!」
皆が言うとおり、マンカスの見た目はとてもかわいらしかった。
真ん丸の体は真っ白いモフモフの毛に覆われており、大きなクリッとした目がとても愛らしく感じた。
短い足と短い手がちょこんと出て、
『マン♪ カス♪ マン♪ カス♪』
と、まるで合唱するかのように集団で声を出しながらちょこちょこと歩き回っていた。
そしてあっという間に広大な砂漠がマンカスだらけになってしまった。
※なんとも言えない表現でございます。
マンカスたちが足元にまとわりついて歩きにくい。少しでも注意を怠ると踏みつぶしてしまいそうなのだ。
「テツオ。今から遠く向こうに見える山を歩いて目指すが、マンカスを踏んではいかんぞ」
「……え、無理だろこれ。絶対どこかで踏んじゃうよ。こんなにいるんだぜ?」
「そこをなんとか注意しながら歩くんじゃ。マンカスは踏みつぶすと嫌な臭いとともに少量の“酸”を出すのじゃ」
じいちゃん曰く、マンカスを踏みつぶした臭いはどんなに頑張っても慣れない臭いらしい。
※好きな人もいるけど大体変態でございます。
しかし問題なのは“酸”の方なのである。
このマンカスが出す酸にかかってしまうと、俺たちを守っているアシッドシールド(精液)が溶けてしまい、寿命が短くなってしまうのだ。
それを教えてもらった俺とじいちゃんは慎重に慎重にマンカスを踏みつぶさないよう少しずつ歩みを進めた。
しかし――
「うおい! なんだよこれ! くっそ邪魔じゃん! どけやコラァ!!」
他の精子の中からヤンキー精子が前方へ飛び出し、マンカスたちにキレたのだった。
「じいちゃん。あいつ大丈夫かな……」
「テツオ。放っておけ。ああいうバカはいつの時代もいるのじゃ。どうせ昔のプリウスをローダウンさせて乗り回しているしょうもないヤンキーじゃ」
※タイヤも斜めにつけてるやつでございます。
じいちゃんのディスり方がひどかった。
ヤンキー精子はマンカスたちを掴んでは投げ飛ばしたり、蹴飛ばしたりしていた。
『マンカス―! マンカス―!』
マンカスたちも怒っているようで、ヤンキー精子の元へ群がっていた。
「おおん!? やんのか? やんのかゴラァ!」
ヤンキー精子は最高潮にブチ切れ、さらにマンカスたちを投げたり殴ったり蹴飛ばしたりし出した。
そしてとうとう1匹のマンカスを踏みつぶしてしまったのだ。
クチュ……
音がなるとともに、他の精子たちからも「うわぁ……」という小さな悲鳴が聞こえた。
「おっ! いい音なるじゃんかよ!」
ヤンキー精子がそう言うと、ますます調子に乗り、周りにいたたくさんのマンカスたちを踏みつぶしだした。
クチュ! クチュ! クチュ! クチュ!
『マン! カス! マン! カス!』
マンカスたちも更に怒りを露にし、更に量を増やしヤンキー精子の周りに群がった。
しかし、じいちゃんが言ってた臭いも酸も出ていないような気がした。
「じいちゃんじいちゃん。マンカスを踏みつぶしても何も出てないじゃん」
「よく見てみろテツオ。あのヤンキーの周りのアシッドシールドを」
「…………あっ!」
なんとヤンキー精子のアシッドシールド(精液)が少しずつ溶けはじめていた。
そしてよく見ると、マンカスを踏みつぶした瞬間に白い煙のような水蒸気が上がっていたのだ。
「あれがマンカスが出す“酸”じゃ」
そしてついにヤンキー精子のアシッドシールド(精液)が全て溶けてなくなってしまった。
その瞬間――
なんとマンカスたちが次々と重なり始め、合体し始めたのだ。
その数は数百を超え、合体するたびにマンカスは大きさを増し、ついには俺たちの3倍もの大きさにまで成長してしまったのだ。
「お…… おい。マジかよ……」
この突然の合体と巨大化にはさすがのヤンキー精子も焦っているようで、じりじりと後ずさりを始めた。
(あんなに怖がるくらいならプリウスをローダウンさせなきゃいいのに……)
俺がそう思った瞬間、
「あんなに怖がるくらいならプリウスをローダウンさせなきゃいいんじゃ」
じいちゃんが声に出してディスった。
俺は笑った。
~○次回予告○~
マンカスたちが合体し、巨大なマンカスとなってしまった。
その名も“キングマンカス”。
ヤンキー精子が真っ先に餌食となってしまったのは言う間でもない!
だがそんなことはどうでもいい! 大事なのはローダウンされたプリウスを誰が処分するかということ!
次回! ヤン車プリウスの査定額は!
お楽しみに!
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