30 / 53
○~第5章~○ 射精の苦悩
6射精目! 宇宙とは
しおりを挟む
急に降り出したどしゃ降りの雨に打たれながら、俺とエイデンはなんとか俺の家まで辿り着いた。
「ほら、エイデン。バスタオル」
「あ、ありがとうさ」
大き目のバスタオルを渡したつもりだったけど、いざエイデンが使うのを見ると本当にハンドタオルにしか見えなかった。
「雨、止みそうにないさ」
「……だな。それよりエイデン、さっきの魔法俺にも教えてくれないか?」」
「サンダーのことさ?」
(いや正式にはディスクグラインダーだろ)
※やっぱり電動工具はmakita一択やで
とは言えなかった。だけど……
あの魔法は使える! 俺はサンダーを見た瞬間そう直感した。
そう。
コンドームに射精されたときに使うのだ。シュミレーションはこうだ。
①射精で“世界”に飛び出した瞬間サンダーを発動させる。
②射精の勢いを利用してコンドームに切り込みを入れる。
③開いた穴から抜け出しオ・マーン公国へ!
※これが世に言う
「は? 俺あの日ちゃんとゴムしたよね? ね?」
「でも来ないんだもん……」
の原理である。
#諸説あり(まくり)
「教えるも何もアレックスの冒険を読んだら分かってるはずさ」
「ごめん。実は魔法のところはあんましよく分かってなくて…… その…… 飛ばし読みしちゃってたんだ」
「なんだ。だったらいいさ。今からでも練習しようさ」
「よろしく頼むよ」
「OKさ。それじゃあ……」
俺はエイデンの言うとおりにし、部屋の中央に立ったまま目をつむり意識を集中させた。
暗闇が広がる。
(そう言えば膣美さんが夢に出てきてた空間と似てるかも?)
「テツオ、余計なことを考えてはいけないさ。意識が散漫になりそうだったら“息を吸って吐く”だけを考えるといいさ」
(ごめん。OK…… 息を吸って吐く。 息を…… 吸って…… 吐く…… 息を…… 吸って……)
(吐く…………………………)
正直驚いた。
“息を吸って吐く”これだけを考えるだけでこれほど意識を集中させることができるとは。
そうやって呼吸のことだけを考えること約5分。俺は考えることも考えなくなっており、なんとも心地よい穏やかな気持ちになっていた。
「うん。今とてもいい状態さ。続けてさ」
隣に座っているエイデンがそう言っているはずなのに、どこかとても遠いところから言われているような気がした。
そのとき俺はある現象に気付いた。
(あれ? 俺、上に移動してる? いや下がってる?)
俺がいま立っているのは部屋の中央だから、上や下に移動するはずなんてない…… だけど体の感覚的には上下どちらかに垂直移動しているような感覚にとらわれ、よろよろと体勢を少し崩してしまった。
「ここ大事さ! 集中を怠ってはいけないさ!」
(そうそう。集中集中……)
体勢を立て直したが、尚も上下どちらかに垂直移動している感覚は続いた。どちらかと言えば下へ落ちて行っているような感覚が勝ってるかな?
そうして再び意識を集中させ、考えることをやめ、ただただ下に落ちて行っている感覚だけを味わっていた。
↓
↓
↓
↓
↓
「そろそろ到達していると思うさ。テツオ、手や足の感覚はあるさ?」
(なに言ってるんだエイデン。そんなのあるに決まっ…… あれ? ない……)
自分の手足の感覚、いや体全ての感覚がなくなっていた。
そう。
自分という個体の境界線がなくなっていた。どこからがエイデンで、どこからが自分で、どこからが部屋の床で、壁で、天井でという境界線がなく、全て1つになっているのを感じた。
(怖い)
不思議とそうは思わなかった。むしろとても気持ちが良かった。
この感覚を例えて言うならそうだな……
ヨーグルト。そう。ヨーグルト。それも粒々の砂糖が入っていない酸っぱいガチのヨーグルトだ。
何が言いたいかというとつまりこうだ。
蓋を開けたヨーグルトの中身はヨーグルトだ。どこまで行ってもヨーグルトだ。
それが今の状態なんだ。
誰が他人でどれが自分という境界線はない。みんな同じ1つのヨーグルトなんだ。
ただ普段の俺たちは、スプーンですくわれたヨーグルトなんだ。だから境界線が始まり、自分が生まれ、他人が生まれるんだ。
下に落ちて行った感覚。あれはスプーンですくわれた場所から元のヨーグルトへ向かって還って行っていたんだ。
つまりヨーグルト、それは……
「エイデン。分かったよ。ここが“宇宙”だ」
「ようやく辿り着いたさね。まずはおめでとうさ。そしたら次に……」
「ううん。エイデン。分かるよ…… ここから先はもう分かってる」
俺の宇宙の中には魔法となる物質がたくさん存在していた。ヨーグルトで言うなら乳酸菌だ。
みんな意思を持っているかの如く自由に動き回っていた。これは……
(いける!)
「エイデン見ていてくれ! 俺の初めての魔法!」
「了解さ!」
俺は右手を自分の胸の高さまで上げ、思いっきり手の平を広げた。そして魔法の名前を叫ぶ!
「サンd」
「ただいみゃー。いやー入れ歯の調整の帰りにめっちゃ雨降って大変じゃったわい。おっ! テツオも帰ってたんじゃな!」
「…………」
「…………」
俺はまたスプーンにすくわれたヨーグルトになった。
「ほら、エイデン。バスタオル」
「あ、ありがとうさ」
大き目のバスタオルを渡したつもりだったけど、いざエイデンが使うのを見ると本当にハンドタオルにしか見えなかった。
「雨、止みそうにないさ」
「……だな。それよりエイデン、さっきの魔法俺にも教えてくれないか?」」
「サンダーのことさ?」
(いや正式にはディスクグラインダーだろ)
※やっぱり電動工具はmakita一択やで
とは言えなかった。だけど……
あの魔法は使える! 俺はサンダーを見た瞬間そう直感した。
そう。
コンドームに射精されたときに使うのだ。シュミレーションはこうだ。
①射精で“世界”に飛び出した瞬間サンダーを発動させる。
②射精の勢いを利用してコンドームに切り込みを入れる。
③開いた穴から抜け出しオ・マーン公国へ!
※これが世に言う
「は? 俺あの日ちゃんとゴムしたよね? ね?」
「でも来ないんだもん……」
の原理である。
#諸説あり(まくり)
「教えるも何もアレックスの冒険を読んだら分かってるはずさ」
「ごめん。実は魔法のところはあんましよく分かってなくて…… その…… 飛ばし読みしちゃってたんだ」
「なんだ。だったらいいさ。今からでも練習しようさ」
「よろしく頼むよ」
「OKさ。それじゃあ……」
俺はエイデンの言うとおりにし、部屋の中央に立ったまま目をつむり意識を集中させた。
暗闇が広がる。
(そう言えば膣美さんが夢に出てきてた空間と似てるかも?)
「テツオ、余計なことを考えてはいけないさ。意識が散漫になりそうだったら“息を吸って吐く”だけを考えるといいさ」
(ごめん。OK…… 息を吸って吐く。 息を…… 吸って…… 吐く…… 息を…… 吸って……)
(吐く…………………………)
正直驚いた。
“息を吸って吐く”これだけを考えるだけでこれほど意識を集中させることができるとは。
そうやって呼吸のことだけを考えること約5分。俺は考えることも考えなくなっており、なんとも心地よい穏やかな気持ちになっていた。
「うん。今とてもいい状態さ。続けてさ」
隣に座っているエイデンがそう言っているはずなのに、どこかとても遠いところから言われているような気がした。
そのとき俺はある現象に気付いた。
(あれ? 俺、上に移動してる? いや下がってる?)
俺がいま立っているのは部屋の中央だから、上や下に移動するはずなんてない…… だけど体の感覚的には上下どちらかに垂直移動しているような感覚にとらわれ、よろよろと体勢を少し崩してしまった。
「ここ大事さ! 集中を怠ってはいけないさ!」
(そうそう。集中集中……)
体勢を立て直したが、尚も上下どちらかに垂直移動している感覚は続いた。どちらかと言えば下へ落ちて行っているような感覚が勝ってるかな?
そうして再び意識を集中させ、考えることをやめ、ただただ下に落ちて行っている感覚だけを味わっていた。
↓
↓
↓
↓
↓
「そろそろ到達していると思うさ。テツオ、手や足の感覚はあるさ?」
(なに言ってるんだエイデン。そんなのあるに決まっ…… あれ? ない……)
自分の手足の感覚、いや体全ての感覚がなくなっていた。
そう。
自分という個体の境界線がなくなっていた。どこからがエイデンで、どこからが自分で、どこからが部屋の床で、壁で、天井でという境界線がなく、全て1つになっているのを感じた。
(怖い)
不思議とそうは思わなかった。むしろとても気持ちが良かった。
この感覚を例えて言うならそうだな……
ヨーグルト。そう。ヨーグルト。それも粒々の砂糖が入っていない酸っぱいガチのヨーグルトだ。
何が言いたいかというとつまりこうだ。
蓋を開けたヨーグルトの中身はヨーグルトだ。どこまで行ってもヨーグルトだ。
それが今の状態なんだ。
誰が他人でどれが自分という境界線はない。みんな同じ1つのヨーグルトなんだ。
ただ普段の俺たちは、スプーンですくわれたヨーグルトなんだ。だから境界線が始まり、自分が生まれ、他人が生まれるんだ。
下に落ちて行った感覚。あれはスプーンですくわれた場所から元のヨーグルトへ向かって還って行っていたんだ。
つまりヨーグルト、それは……
「エイデン。分かったよ。ここが“宇宙”だ」
「ようやく辿り着いたさね。まずはおめでとうさ。そしたら次に……」
「ううん。エイデン。分かるよ…… ここから先はもう分かってる」
俺の宇宙の中には魔法となる物質がたくさん存在していた。ヨーグルトで言うなら乳酸菌だ。
みんな意思を持っているかの如く自由に動き回っていた。これは……
(いける!)
「エイデン見ていてくれ! 俺の初めての魔法!」
「了解さ!」
俺は右手を自分の胸の高さまで上げ、思いっきり手の平を広げた。そして魔法の名前を叫ぶ!
「サンd」
「ただいみゃー。いやー入れ歯の調整の帰りにめっちゃ雨降って大変じゃったわい。おっ! テツオも帰ってたんじゃな!」
「…………」
「…………」
俺はまたスプーンにすくわれたヨーグルトになった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる