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○~第5章~○ 射精の苦悩

3射精目! 本を売るなら

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【コンドームとは】
 コンドームは、ゴムやポリウレタンの薄膜でできた避妊具である。
 性交時、ボッキした陰茎に被せて膣内で射精しても精液を中に溜め、膣内に流れ出さないようにすることで性感染症の予防や避妊の目的で使用される。
 「ゴム」や「スキン」との俗称の他、「オカモト」などの呼び名もある。
 表と裏があり、初めて装着する童貞は8割の確率で間違えることでも有名。童貞諸君は念のため2個持っていくように。
 ※僕はいまだにどちらが表かわかりません

『マラペディアにはそう書いてあるわ』
「そう書いてあるわじゃねーよ! そのコンドーム内でうっかり3日間も生きてしまったじゃねーか!」

 あの日、11月25日にセックスという現象が発生し、俺は4回目のセックスで射精されたのだが、行き着いた先はコンドームだと判明したためスパ次郎の能力を使って、SランクDNAが俺の中に入り込んだ日まで再びタイムスリップしてきたのだ。
 事実上、俺はこれで12回死んだことになる……

「っていうことはさ、最初立て続けに3回セックスの震動が起こったじゃん?」
『んああ。あの3回も全部コンドームやろな。でも惜しいよな。あのゴムの向こう側はきっとオ・マーン公国やぞ!』
「何かいい方法ないの?」
『俺もそう思ってコンドームの突破方法ググってるけど全然でてこーへんわ』

 スパ次郎のスマホにも情報がないことから、俺たちはキンタマーニ王国の国立図書館へ行き、なんとかこのコンドームを突破する方法はないか調べることにした。
 しかし……

『全然それらしい文献はないな』

 スパ次郎の言う通りだった。
 どの文献を見ても精子の生まれ方、射精の手続き方法やグループ分け、DNAの付与義務など、学校で習うレベルのことしか記載されておらず、オナニーやセックス時の射精のことや、行き着いた先のティッシュやコンドームのことなど一切記載されていなかった。

「なんだろう。ような気がする」
『知らん方が幸せっちゅうこともあるんかいな?』

(そうか。そういうことか…… なるほど。具体的に書いたとしたら、オナニーと分かってて射精にイクような真似はしないわな)

 国立図書館にはもう用はなかった。

『それらしい文献がない以上はもう高齢者にでも聞くしかないんちゃう? テツオのじいちゃんは知らんの?』
「あーダメダメ。じいちゃんは軍の射精召集からずっと逃げ続けてる変わり者なんだ。知ってるわけがないよ。それだったら西の村の村長にでも聞いた方がマシだな」

 その日の夕方、俺とスパ次郎は西の村の村長である西野精一郎さんの自宅を訪ねた。
 村長は俺のじいちゃんと同じ歳で確か70歳だったと思う。村長であるため、射精にはイかなくて良い身分なのだ。

「おお、誰かと思えば種夫さん(じいちゃんの名前)ところのテツオくんじゃないか。今日はどうしたんだい?」

(村長なら何か知っているかもしれない)

 そう思い、俺は射精からその先のことについての文献がないことを質問した。

「なるほど…… テツオくんは面白いことを考えているようだね。しかし実際私は射精にイったことがないから分からない」

(ああ…… やっぱダメか……)

 このままお礼を言って家に帰ろうと腰を上げたその時、村長が妙なことを言い出した。

「だけど私がテツオくんと同じ年齢の頃…… いや、もうちょっと上だったかな? ある面白い本を読んだことがあるよ」
「ど、どんな本ですか?」
「あ、いや本と言っても参考書や論文などじゃなくって冒険ファンタジー小説でね。テツオくんが今聞いてきた射精の先から冒険が始まるストーリーなんだ。
 なんだ小説かって思うだろう? でもね、それが本当によく作り込まれていてね。作者はまるで本当にその世界へ行ってきたんじゃないかって勘違いしちゃうほど素晴らしい作品なんだ。
 私はほら、村長だろう? 射精にイきたくてもイけない立場だから…… 血気盛んだった若い頃はその小説を何度も読み返して、自分をよくその主人公に置き換えたものだよ」
「どんなタイトルの小説なのですか?」
「確か…… アレ、アレック? あそうそう。“魔法賢者アレックスの冒険”だったと思う」
「今でもその小説はお持ちなのですか?」
「それが申し訳ない。実は売ってしまったんだ」
「どこに売ってしまわれたのですか?」
「そりゃあテツオくん。本を売るならOFFだよ」
 ※ここで ♪本を売るならファック-OFF♪ というBGMが流れます

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