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○~第1章~○ 精子:テツオ
2射精目! 膣美(ちつみ)てww
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『あ…… あの…… テ、テツオさ…… ん……』
あの日、光り輝くヒ・マラ山の頂上から一筋の光が僕の頭を射して以来、毎晩同じ夢を見るようになった。
狭く薄暗い部屋の中で、僕の名前を弱々しく、とても恥ずかしそうに呼ぶ女の子の声が聞こえる。
僕はその女の子の声が大好きになった。
少し鼻にかかったその声を聞くだけで、心が癒される感じがした。
『テツオ…… さん…… 私…… は…… ここに…… います』
「どこ? どこにいるの?」
夢の中で僕はいつもそう言って、声が聞こえる方へ走ろうとするのだが、なぜか体が動かない。
「君は誰? どこにいるの? 君の名は?」
※ここで前前前前世みたいなタイトルの音楽が流れます。
『私は…… 膣美…… 土田膣美…… です……』
「………………」
_人人人人人人人人人_
> なんか名前微妙! <
 ̄YYYYYYYYY ̄
「はっ!」
そう。
いつもこの場面で目が覚めるんだ。
「土田…… 膣美……」
聞いたことのない名前だった。
それにまず、土田という名字はこのキンタマーニ王国には存在しない。
キンタマーニ王国には、西の村と東の村がある。
僕が住んでいる西の村の精子たちは皆、“西野”という名字だ。西の村だからだ。
しかし、東の村の精子たちの名字は、“東玉袋”という名字なのだ。
え? “東野”じゃないの? って思うかもしれないが、東玉袋なのだ。
これには諸説あるが、現在最も有力なのは、西の村に比べて東の村の方が大きいので、ずっとずっと昔のキンタマーニの王様がわざわざ付けた名字だそうだ。
そのおかげで、僕たち西の村の精子は時々差別を受ける。
「西の精子は弱い弱い!」
「お前たちはカウパー特攻隊行きだ!」
などなど。
だから西の村の精子たちはこぞってこう言うんだ。
「ああ…… 俺も名字が東玉袋が良かったな」
「東玉袋になりたい(切実)」
と。
だけど僕は、名字が東玉袋になりたいだなんて一度も思ったことはない。
カッコいいカッコ悪いとか、偉い偉くないとかじゃなく、お互い受精を目標とした精子には変わりないんだから。
話しは逸れてしまったが、とにかくこのキンタマーニ王国に、“土田膣美”という女の子はいない。
だとすれば、毎晩見るあの夢の女の子は一体……
そう思っていた時のことだった。
♪ピンポンパンテーン(PANTENE)♪ ♪ピンポンパンテーン(PANTENE)♪
突然、スマホのエリアメールが大音量で鳴りだしたのだ。
急いで画面を覗き込む。
王様から国民への緊急メール速報だった。内容はこうだ。
○~キンタマーニ王国の国民諸君~○
この度、誠にめでたいことに、ヒ・マラ山のDNA採掘場より、『SランクDNA』の採掘に成功した。
ついては、本日の午後7時より、我が城ゴールデンキャッスル(通称:金城)にて、我が王族たちにSランクDNAを与える付与式を執り行うため、国民諸君は我が城ゴールデンキャッスル(通称:金城)前の、国民集会広場まで集まるように。
第36代キンタマーニ王:金城たけし
(え、SランクDNAって……なんだろう?)
あの日、光り輝くヒ・マラ山の頂上から一筋の光が僕の頭を射して以来、毎晩同じ夢を見るようになった。
狭く薄暗い部屋の中で、僕の名前を弱々しく、とても恥ずかしそうに呼ぶ女の子の声が聞こえる。
僕はその女の子の声が大好きになった。
少し鼻にかかったその声を聞くだけで、心が癒される感じがした。
『テツオ…… さん…… 私…… は…… ここに…… います』
「どこ? どこにいるの?」
夢の中で僕はいつもそう言って、声が聞こえる方へ走ろうとするのだが、なぜか体が動かない。
「君は誰? どこにいるの? 君の名は?」
※ここで前前前前世みたいなタイトルの音楽が流れます。
『私は…… 膣美…… 土田膣美…… です……』
「………………」
_人人人人人人人人人_
> なんか名前微妙! <
 ̄YYYYYYYYY ̄
「はっ!」
そう。
いつもこの場面で目が覚めるんだ。
「土田…… 膣美……」
聞いたことのない名前だった。
それにまず、土田という名字はこのキンタマーニ王国には存在しない。
キンタマーニ王国には、西の村と東の村がある。
僕が住んでいる西の村の精子たちは皆、“西野”という名字だ。西の村だからだ。
しかし、東の村の精子たちの名字は、“東玉袋”という名字なのだ。
え? “東野”じゃないの? って思うかもしれないが、東玉袋なのだ。
これには諸説あるが、現在最も有力なのは、西の村に比べて東の村の方が大きいので、ずっとずっと昔のキンタマーニの王様がわざわざ付けた名字だそうだ。
そのおかげで、僕たち西の村の精子は時々差別を受ける。
「西の精子は弱い弱い!」
「お前たちはカウパー特攻隊行きだ!」
などなど。
だから西の村の精子たちはこぞってこう言うんだ。
「ああ…… 俺も名字が東玉袋が良かったな」
「東玉袋になりたい(切実)」
と。
だけど僕は、名字が東玉袋になりたいだなんて一度も思ったことはない。
カッコいいカッコ悪いとか、偉い偉くないとかじゃなく、お互い受精を目標とした精子には変わりないんだから。
話しは逸れてしまったが、とにかくこのキンタマーニ王国に、“土田膣美”という女の子はいない。
だとすれば、毎晩見るあの夢の女の子は一体……
そう思っていた時のことだった。
♪ピンポンパンテーン(PANTENE)♪ ♪ピンポンパンテーン(PANTENE)♪
突然、スマホのエリアメールが大音量で鳴りだしたのだ。
急いで画面を覗き込む。
王様から国民への緊急メール速報だった。内容はこうだ。
○~キンタマーニ王国の国民諸君~○
この度、誠にめでたいことに、ヒ・マラ山のDNA採掘場より、『SランクDNA』の採掘に成功した。
ついては、本日の午後7時より、我が城ゴールデンキャッスル(通称:金城)にて、我が王族たちにSランクDNAを与える付与式を執り行うため、国民諸君は我が城ゴールデンキャッスル(通称:金城)前の、国民集会広場まで集まるように。
第36代キンタマーニ王:金城たけし
(え、SランクDNAって……なんだろう?)
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