お前が代わりに『カノジョ』やれ

パイ生地製作委員会

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本編

イザリくんといっしょ!②オモチャで放置なんて聞いてない

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「……っ、ふ、ぅ……んぐ……」

  コンクリート造1Rの、大学生には持って来いの小さなマンションの一室、ここはイザリくんの下宿先だ。

 部屋に響くバイブレーションのかすかな振動音。本当はものすごい振動なのになぜ耳に届く頃には控えめになっているのか?―…それは男性器を模した極太の大人のオモチャが俺のケツのナカに挿入されているせいで音がくぐもっているためだ。
 それを自分で引っこ抜くことができないよう、両腕は後ろで縛られ、体は室内に置かれた折りたたみ自転車のサドルの上に乗せられ、下半身は足首と太ももをくっ付けるようにして縛られているためつま先が床に届かない。無理矢理床に倒れて逃げることができないよう、縛られた両足はサドルの下を通して縄で連結させられている。これでは自転車ごと転倒しても、サドルから降りることはできないだろう。

 つまり、俺はどうあがいてもこの地獄のチャリから逃れることはできない。
 いや、地獄のチャリって何なんだよ。

 『勘弁してくれ』と内心悪態づいたところで、どうにもなるものでもない。こんな恥ずかしい体勢で俺はかれこれ数十分以上もの時間、ケツのアナをオモチャで弄られっぱなしなのだ。

  ……あまり言いたくないことだけど、さらに悪いことには、パンツが取り払われた俺のモノには“貞操帯”と言うらしい小さなベルトが巻かれており、その根本には南京錠がかけられている。それは俺が勝手に射精できないように管理するためのものだ。バイブが俺のイイ所を刺激して、俺のアレはビンビンに勃ち上がり今にも射精しそうなのに、貞操帯がそれを許してくれない。

 逃げ場を失った熱は体の中をぐるぐると巡り続けている。苦しい。先端からは我慢汁が滴り落ち、自転車の下に小さな水溜まりを作っている。もう限界だと思うのに、俺には為す術がない。

 そんなこんなで俺はイキたいのにイケない状況下でケツの中はオモチャに嬲られまくってずっと生殺しの状態を味わい続けているのだが、俺をこんな悲惨な状況に追いやった張本人は呑気に買い物に出かけている。
 あ、今帰って来た。ドアを開けてこちらに向かってくる足音に、ようやく開放されると期待が膨らむ。

「は、水溜まりできてて草。えらい長いこと我慢したなあ?ちゃんと反省した?」

 俺とは異なる言葉を使うイザリくんの『えらい~』というフレーズ、もちろん形容詞の「偉い」と褒めるシチュエーションでも使うのだが、副詞で使用する場合は『偉い』と褒めているわけではなく『とても』とか『よくもまあ』という意味なのをこの前知った。

「ごめん、っぅ、なさいッ!っぁ、んんぅ、も、はんせ、しました!したから、これ、取って、くださっ……、あああっ!」

 イザリくんは怒っている。
 俺が『カノジョ(代理)のくせに浮気した。』と思っているからだ。

 イケメンなイザリくんならともかく、この平凡な俺に限って浮気なんて、例えやろうと思っても出来ようはずもないのに。

 事の発端なんて何のことはない、俺はただ単に所属しているオタサーの“漫画・アニメ・ラノベサークル”の飲み会に行って、それをイザリくんに報告するのを忘れていただけなのだ。
 次の日イザリくんの部屋に行くと、既にイザリくんのご機嫌は斜めになっていた。

 それに俺だって指を咥えてお仕置きされるのを待っていたわけじゃない。一生懸命弁明しようとしたんだ。

     ▽

『だから、飲み会には女子だけなかく男女混ざって参加してたし、全然浮気じゃな…』

『後ろめたかったから連絡せんかったんやろ?』

『それは単に忘れててただけで、他意なんかないよ!』

『…これは“お仕置きコース”確定やな。』

『お、お仕置きって…何?』

『ケツん中にバイブ突っ込んで射精我慢。』

『な゛?! ヤだよそんなの!』

 そこでハタとイザリくんの表情が固まり、声音が一気に冷たくなる。『嫌なんやったらええで、別に。』と。

 俺がイザリくんの要求を拒否すること。カノジョ代理の俺がやらないということ。それってすなわち“こういう”役回りが全て妹に行き着くということ。

『そ、それだけは絶対にダメッ!』

     ▽

 イザリくんがバイブのスイッチを手に取り、止めるどころか、『最大』にまでカチカチと調整したせいで、俺のガクガクと揺れる背筋はピンッと反射的に反り返る。自然とイザリくんの方へ胸を突き出す格好となり、毎日弄られるせいで今も完全に熟れて赤く色づいた乳首を思いっきりつねられる。

「い、痛い、よ!ごめんなさいっ!いたい!あ、ひぃッ!」

「『痛い』とか言いながら全っ然萎えてないやん、このドMが。これで喜ぶんやったらお仕置きの意味ないなあ?……いっそこのいやらしい勃起乳首にピアスでも開けるか?」

 痛いのだけは勘弁な俺は、想像しただけで顔から血の気が引いていく。必死に頭を横に振って意思表示をする俺をよそに、イザリくんは何やら部屋をゴソゴソといじり始め、謎の物体を手に取る。
 ピアッサーだ。

「これ我慢出来たら貞操帯、外したってもええよ。」

 そう言って容赦なく俺の乳首をつまみ、ピアッサーを近づける。

 思わず身じろぎするも、「あんまり動いたら何回も刺し直すことんなるけど。」と言われれば、ブルブルと震えながら大人しくするしかなかった。

 恐怖のせいで涙の溜まった目でイザリくんを見つめる。バイブから与えられる強すぎる快楽に声を震わせながら「お願い、はんせい、したからっ。おねがい、やめてっ。」と息も絶え絶えに懇願する。

 するとイザリくんはこの場の雰囲気を一切無視して「はー、最高。」と俺を見つめてうっそりと微笑むのだ。何が最高なんだろう。今更こんな仕打ちに反抗する気力も徐々に無くなってきていた。何より俺がオモチャでケツの穴を虐められているのをイザリくんが楽しそうに眺めているのがどうにもこうにも俺の優越感を煽る。

 まるで美術の彫刻のような端正な顔立ちが、色気マシマシの艶っぽい笑顔に染まる過程に見惚れたのがいけなかった。

 ガシャン。

「っあ。」

 乳首に痛みが走る。
 我慢できない痛みではない。しかし痛みよりも恐怖の方が大きかったのか、嗚咽をあげ、ボロボロと涙を零しながら泣く俺に、イザリくんはさっきの鬼畜モードが嘘だったかのように俺に優しく何度も俺の顔にキスを落とし、「よく我慢できました。」と約束通り貞操帯を外してくれた。

 ようやく自由になった俺のチンポは、痛々しい程に赤く腫れており、痛みを経た今も萎えてはいなかった。そんな可哀想なチンポをイザリくんが手淫で俺の精を解放してくれて、俺は背筋がぞくぞくと泡立つのを止められなかった。

 こうして俺は、平凡な容姿に似つかわしくないリング型の“乳首ピアス”をシャツの下に身につけることになったのだった。




「ほなもう片っぽもあけとこか。」

 前言撤回。イザリくんは全然優しくなんかない。その体の100%が鬼でできている。
 絶対にだ。
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