8 / 8
007:新居
しおりを挟む
「えーっと。……それは本当ですか?」
現在、屋敷の執事さんとお話中。
「ええ、本当です」
だ、そうです。なんかすごい事になってきたのですが………
時は少し戻り、ある一室の扉前。一人の少年がブツブツ何かを発しながら弧を描くように歩き回っていた。
「あーくっそぉー、どんな顔して会えばいいんだ!」
そんなことを小さく叫びながら、尚もまた回りに回っていた。そう、回っていた。
「何かの訓練でしょうか?」
そこで声をかけてきたのがこの執事。五十代中程の初老の男。いかにも『ザ、執事』っという感じの燕尾服を着用し、その背筋は針金でも入っているのではと思うほど伸びている。髪は効率重視のためか短く切揃えており、黒と白で半々に混ざり合い、薄くなっているところなど一切無い。両手にはシミひとつ無い純白の綿っぽい手袋を付け、その手の置き場も絵になるのではないかと思うほど精錬されている。
「い、いえ。特には………」
(何か拙かった、だろうか?)
「そうですか。申し遅れました、私(わたくし)この屋敷で執事をしておりますオーラフと申します。ツトム様がこちらにいらっしゃるとお聞き致しましたので伺った次第でございます」
「そう、ですか」
(よかったー。ただ俺に用事があっただけか。で、何の用だろう?)
「はい。ところで、ツトム様でよろしいでしょうか?」
「は、はい」
(え、なんかの詰問か?口調が強くなっている様な気がするのだが………スパイかなんかだと疑われてるのか?)
「そうですか。実はトレヴァー様より伝言がございまして『東区の方に屋敷を用意した。そちらに移ってもらいたい』とのことです。」
そこでさっきの話に戻る。
つまり、ジルさんに勝ったというそれだけのこと(ジルさんは悪くないよ!)で俺には屋敷が与えられたということだ。
まあ、その屋敷がオンボロの幽霊屋敷とかではなかったらの話だが……。
でだ、俺はすぐさまそれを了承。数分前まで扉の前でグダグダとしていたのが嘘の様にスパッと部屋に入り中にいる少女に話しかける。
「東区ってところに屋敷を貰ったから移る準備をして、ね」
「分かりました」
「お、おぅ」
あ、あれ?なんかの従順になちゃった?そりゃ、気まずい空気よりはいいけどさ。なんか調子狂うなあ………。てか、準備するような荷物なんてそもそも無いけどね。
「じ、じゃあ行こうか」
「はい」
……やっぱ、やりにくいなあ。
「うわぁーーー」
思わず感嘆してしまったよ。いやもう、立派です。どこの邸宅ですかって感じです。米の国にあったホワイトのハウスなんか目じゃないね。うん。
そう今、東区にあるというお屋敷に来ています。領主様の屋敷から徒歩五分。少し歩けば金物屋や雑貨屋、市場がある立地条件は完璧。な・の・に、敷金、礼金、家賃は無料。まあ、給料からいろいろ引かれているかもしれないが。
「さて、入りますか」
扉に手をかけ、ギギギギィーーーとはならず、なぜか内側から静かに屋敷の扉が開く。うむ、きちんと油がさしてあるようだ。オッケー!
………なんか最近俺自身のテンションもおかしくなってきたようだ。異世界補正かな……多分。
おっと、そんなことよりもどうやって扉が開いたのかだ!……まあ、単純に中から開けた人がいるからなのだがね。しかし、驚くのはまだ早い!
えっ、驚いてないって。そこは空気を読め!そう、そこっ!
っとまあ、出てきたのはメイド。全身ムチムチを超えてカッチカチというかガッチガチのボディー…………ではなくて、蝶よ花よと育てらてた生粋のお嬢様風の色白の女の子。見た感じ年は十五、六というところだろう。髪は少しピンクが入った金髪を後ろでポニーテールにしており、碧目からの柔和な笑顔は一部の特殊な男性以外であれば理性など容易に崩壊するだろう。
うむ、結果かわゆい。以上!
危うく理性が吹っ飛びそうに…………
「お帰りなさいませ、ご主人様」
ぺこりんこ
くっ!ただ単にメイドが挨拶をしただけだというのになんという攻撃力だ!
これがメイド喫茶に通ってしまう人間の気持ちだというのか!
ここは冷静になり後日ベットの上で…………い、いかん。
邪念退散。煩悩退散。
「あ、あの………よろしいでしょう、か?」
おっと、思ったより時間が経っていたようだ。(5秒くらいかな)
「う、うん。お願い」
何がお願いかはわからないが、さっきの衝撃でつい口走ってしまった。
「えっ、あ、はい。では、屋敷内を案内致しますので付いてきてください」
現在、屋敷の執事さんとお話中。
「ええ、本当です」
だ、そうです。なんかすごい事になってきたのですが………
時は少し戻り、ある一室の扉前。一人の少年がブツブツ何かを発しながら弧を描くように歩き回っていた。
「あーくっそぉー、どんな顔して会えばいいんだ!」
そんなことを小さく叫びながら、尚もまた回りに回っていた。そう、回っていた。
「何かの訓練でしょうか?」
そこで声をかけてきたのがこの執事。五十代中程の初老の男。いかにも『ザ、執事』っという感じの燕尾服を着用し、その背筋は針金でも入っているのではと思うほど伸びている。髪は効率重視のためか短く切揃えており、黒と白で半々に混ざり合い、薄くなっているところなど一切無い。両手にはシミひとつ無い純白の綿っぽい手袋を付け、その手の置き場も絵になるのではないかと思うほど精錬されている。
「い、いえ。特には………」
(何か拙かった、だろうか?)
「そうですか。申し遅れました、私(わたくし)この屋敷で執事をしておりますオーラフと申します。ツトム様がこちらにいらっしゃるとお聞き致しましたので伺った次第でございます」
「そう、ですか」
(よかったー。ただ俺に用事があっただけか。で、何の用だろう?)
「はい。ところで、ツトム様でよろしいでしょうか?」
「は、はい」
(え、なんかの詰問か?口調が強くなっている様な気がするのだが………スパイかなんかだと疑われてるのか?)
「そうですか。実はトレヴァー様より伝言がございまして『東区の方に屋敷を用意した。そちらに移ってもらいたい』とのことです。」
そこでさっきの話に戻る。
つまり、ジルさんに勝ったというそれだけのこと(ジルさんは悪くないよ!)で俺には屋敷が与えられたということだ。
まあ、その屋敷がオンボロの幽霊屋敷とかではなかったらの話だが……。
でだ、俺はすぐさまそれを了承。数分前まで扉の前でグダグダとしていたのが嘘の様にスパッと部屋に入り中にいる少女に話しかける。
「東区ってところに屋敷を貰ったから移る準備をして、ね」
「分かりました」
「お、おぅ」
あ、あれ?なんかの従順になちゃった?そりゃ、気まずい空気よりはいいけどさ。なんか調子狂うなあ………。てか、準備するような荷物なんてそもそも無いけどね。
「じ、じゃあ行こうか」
「はい」
……やっぱ、やりにくいなあ。
「うわぁーーー」
思わず感嘆してしまったよ。いやもう、立派です。どこの邸宅ですかって感じです。米の国にあったホワイトのハウスなんか目じゃないね。うん。
そう今、東区にあるというお屋敷に来ています。領主様の屋敷から徒歩五分。少し歩けば金物屋や雑貨屋、市場がある立地条件は完璧。な・の・に、敷金、礼金、家賃は無料。まあ、給料からいろいろ引かれているかもしれないが。
「さて、入りますか」
扉に手をかけ、ギギギギィーーーとはならず、なぜか内側から静かに屋敷の扉が開く。うむ、きちんと油がさしてあるようだ。オッケー!
………なんか最近俺自身のテンションもおかしくなってきたようだ。異世界補正かな……多分。
おっと、そんなことよりもどうやって扉が開いたのかだ!……まあ、単純に中から開けた人がいるからなのだがね。しかし、驚くのはまだ早い!
えっ、驚いてないって。そこは空気を読め!そう、そこっ!
っとまあ、出てきたのはメイド。全身ムチムチを超えてカッチカチというかガッチガチのボディー…………ではなくて、蝶よ花よと育てらてた生粋のお嬢様風の色白の女の子。見た感じ年は十五、六というところだろう。髪は少しピンクが入った金髪を後ろでポニーテールにしており、碧目からの柔和な笑顔は一部の特殊な男性以外であれば理性など容易に崩壊するだろう。
うむ、結果かわゆい。以上!
危うく理性が吹っ飛びそうに…………
「お帰りなさいませ、ご主人様」
ぺこりんこ
くっ!ただ単にメイドが挨拶をしただけだというのになんという攻撃力だ!
これがメイド喫茶に通ってしまう人間の気持ちだというのか!
ここは冷静になり後日ベットの上で…………い、いかん。
邪念退散。煩悩退散。
「あ、あの………よろしいでしょう、か?」
おっと、思ったより時間が経っていたようだ。(5秒くらいかな)
「う、うん。お願い」
何がお願いかはわからないが、さっきの衝撃でつい口走ってしまった。
「えっ、あ、はい。では、屋敷内を案内致しますので付いてきてください」
0
お気に入りに追加
6
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
これぞほんとの悪役令嬢サマ!?
黒鴉宙ニ
ファンタジー
貴族の中の貴族と呼ばれるレイス家の令嬢、エリザベス。彼女は第一王子であるクリスの婚約者である。
ある時、クリス王子は平民の女生徒であるルナと仲良くなる。ルナは玉の輿を狙い、王子へ豊満な胸を当て、可愛らしい顔で誘惑する。エリザベスとクリス王子の仲を引き裂き、自分こそが王妃になるのだと企んでいたが……エリザベス様はそう簡単に平民にやられるような性格をしていなかった。
座右の銘は”先手必勝”の悪役令嬢サマ!
前・中・後編の短編です。今日中に全話投稿します。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
haruhi8128
ファンタジー
受験を間近に控えた高3の正月。
過労により死んでしまった。
ところがある神様の手伝いがてら異世界に転生することに!?
とある商人のもとに生まれ変わったライヤは受験生時代に培った勉強法と、粘り強さを武器に王国でも屈指の人物へと成長する。
前世からの夢であった教師となるという夢を叶えたライヤだったが、周りは貴族出身のエリートばかりで平民であるライヤは煙たがられる。
そんな中、学生時代に築いた唯一のつながり、王国第一王女アンに振り回される日々を送る。
貴族出身のエリートしかいないS級の教師に命じられ、その中に第3王女もいたのだが生徒には舐められるばかり。
平民で、特別な才能もないライヤに彼らの教師が務まるのか……!?
努力型主人公を書いて見たくて挑戦してみました!
前作の「戦力より戦略。」よりは文章も見やすく、内容も統一できているのかなと感じます。
是非今後の励みにしたいのでお気に入り登録や感想もお願いします!
話ごとのちょっとしたものでも構いませんので!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
今から面白くなってきそうです^ ^楽しみにしています(((o(*゚▽゚*)o)))