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007:新居

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「えーっと。……それは本当ですか?」

現在、屋敷の執事さんとお話中。

「ええ、本当です」

だ、そうです。なんかすごい事になってきたのですが………


時は少し戻り、ある一室の扉前。一人の少年がブツブツ何かを発しながら弧を描くように歩き回っていた。

「あーくっそぉー、どんな顔して会えばいいんだ!」

そんなことを小さく叫びながら、尚もまた回りに回っていた。そう、回っていた。

「何かの訓練でしょうか?」

そこで声をかけてきたのがこの執事。五十代中程の初老の男。いかにも『ザ、執事』っという感じの燕尾服を着用し、その背筋は針金でも入っているのではと思うほど伸びている。髪は効率重視のためか短く切揃えており、黒と白で半々に混ざり合い、薄くなっているところなど一切無い。両手にはシミひとつ無い純白の綿っぽい手袋を付け、その手の置き場も絵になるのではないかと思うほど精錬されている。

「い、いえ。特には………」

(何か拙かった、だろうか?)

「そうですか。申し遅れました、私(わたくし)この屋敷で執事をしておりますオーラフと申します。ツトム様がこちらにいらっしゃるとお聞き致しましたので伺った次第でございます」

「そう、ですか」

(よかったー。ただ俺に用事があっただけか。で、何の用だろう?)

「はい。ところで、ツトム様でよろしいでしょうか?」

「は、はい」

(え、なんかの詰問か?口調が強くなっている様な気がするのだが………スパイかなんかだと疑われてるのか?)

「そうですか。実はトレヴァー様より伝言がございまして『東区の方に屋敷を用意した。そちらに移ってもらいたい』とのことです。」


そこでさっきの話に戻る。

つまり、ジルさんに勝ったというそれだけのこと(ジルさんは悪くないよ!)で俺には屋敷が与えられたということだ。
まあ、その屋敷がオンボロの幽霊屋敷とかではなかったらの話だが……。

でだ、俺はすぐさまそれを了承。数分前まで扉の前でグダグダとしていたのが嘘の様にスパッと部屋に入り中にいる少女に話しかける。

「東区ってところに屋敷を貰ったから移る準備をして、ね」

「分かりました」

「お、おぅ」

あ、あれ?なんかの従順になちゃった?そりゃ、気まずい空気よりはいいけどさ。なんか調子狂うなあ………。てか、準備するような荷物なんてそもそも無いけどね。

「じ、じゃあ行こうか」

「はい」

……やっぱ、やりにくいなあ。



「うわぁーーー」

思わず感嘆してしまったよ。いやもう、立派です。どこの邸宅ですかって感じです。米の国にあったホワイトのハウスなんか目じゃないね。うん。

そう今、東区にあるというお屋敷に来ています。領主様の屋敷から徒歩五分。少し歩けば金物屋や雑貨屋、市場がある立地条件は完璧。な・の・に、敷金、礼金、家賃は無料。まあ、給料からいろいろ引かれているかもしれないが。

「さて、入りますか」

扉に手をかけ、ギギギギィーーーとはならず、なぜか内側から静かに屋敷の扉が開く。うむ、きちんと油がさしてあるようだ。オッケー!

………なんか最近俺自身のテンションもおかしくなってきたようだ。異世界補正かな……多分。

おっと、そんなことよりもどうやって扉が開いたのかだ!……まあ、単純に中から開けた人がいるからなのだがね。しかし、驚くのはまだ早い!
えっ、驚いてないって。そこは空気を読め!そう、そこっ!

っとまあ、出てきたのはメイド。全身ムチムチを超えてカッチカチというかガッチガチのボディー…………ではなくて、蝶よ花よと育てらてた生粋のお嬢様風の色白の女の子。見た感じ年は十五、六というところだろう。髪は少しピンクが入った金髪を後ろでポニーテールにしており、碧目からの柔和な笑顔は一部の特殊な男性以外であれば理性など容易に崩壊するだろう。

うむ、結果かわゆい。以上!
危うく理性が吹っ飛びそうに…………

「お帰りなさいませ、ご主人様」

ぺこりんこ

くっ!ただ単にメイドが挨拶をしただけだというのになんという攻撃力だ!
これがメイド喫茶に通ってしまう人間の気持ちだというのか!

ここは冷静になり後日ベットの上で…………い、いかん。

邪念退散。煩悩退散。

「あ、あの………よろしいでしょう、か?」

おっと、思ったより時間が経っていたようだ。(5秒くらいかな)

「う、うん。お願い」

何がお願いかはわからないが、さっきの衝撃でつい口走ってしまった。

「えっ、あ、はい。では、屋敷内を案内致しますので付いてきてください」
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みんなの感想(1件)

昨日のおかずの残り物

今から面白くなってきそうです^ ^楽しみにしています(((o(*゚▽゚*)o)))

解除

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