愚者の狂想曲☆

ポニョ

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2章

愚者の狂想曲 35 真夏の湖水浴!

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晴天!!

まさにその言葉が似合う様な、雲ひとつ無い快晴だ!

真夏の太陽は、自信ありげに眩しく光輝いている。いつもはソレを鬱陶しくも思うのだが、今日に限っては嬉しく思えたりする。



今日は、皆でロープノール大湖に、湖水浴に出かける日なのです!

この王都ラーゼンシュルトが有るのは、フィンラルディア王国の内陸。だけどすぐ傍に、地球のバイカル湖より少し小さい大きさの、ロープノール大湖がある。

小さな国ならすっぽりと入ってしまうであろう巨大なこの湖は、豊富に水を湛え、沢山の魚介類は、皆の生活を支えている。



この世界は文明が進んでおらず、その湛える水も非常に綺麗。そのままその水を飲んでも、お腹など壊したりはしない。

どこかの南の島のリゾート地の様に、澄み渡った水を堪能出来る。



昨日、湖水浴の準備をしてくれた、リーゼロッテや獣人美少女3人娘、ステラ、ミーア、シノンのお陰で、すぐに出かけることが出来る。

俺達は出かける準備をして宿舎の食堂に降りていくと、もう皆が朝食を始めていた。



「皆~おはよ~」

皆と挨拶を交わすと、ステラが俺に朝食を持ってきてくれる。それをお礼を言って受け取り、食べ始める。

そして、若干2名の嬉しそうな奇行に皆の視線が集まる。



「…マルガもエマも…ロープノール大湖に着くまで、浮き輪は外しててね。そのままじゃ、朝食も食べにくいし、歩きにくいでしょ?」

俺の言葉を聞いたマルガとエマは俺に向き直ると



「え~外さないとダメなの~?葵お兄ちゃん~」

「私も外さないとダメですかご主人様~?」

そのマルガとエマの残念そうな声に、皆が声を殺して笑っている。



昨日の買い出しでリーゼロッテが、初めて泳ぐ子が意外と多いので、木製の浮き輪を数個買ってきてくれた。軽く浮力のある木材を、ドーナツの様に円状に組み合わせた安価な浮き輪ではあるが、浮き輪としての機能は、十分に備えている。

しかし、軽い木材で作ってあるといっても、地球の空気で膨らます、塩化ビニールで出来た浮き輪とは違い、少し重量もあるし、木製なので変形もしない。



マルガとエマは、その木製の浮き輪をつけたまま、悪戦苦闘しながら朝食を食べているのだ。

その姿はとても微笑ましく可愛いものだけど、そんな事しながらロープノール大湖に行ったら、行くまでに疲れちゃうよ!



「うん、マルガもエマも、浮き輪はしまいなさい」

「はい~ご主人様~」

「わかったよ~葵お兄ちゃん~」

シュンとしながら、渋々浮き輪を外し、エマの浮き輪と一緒にアイテムバッグに自分の浮き輪をしまうマルガ。それを見て、肩を震わしながら笑いを堪えている一同。



「本当に…浮き輪をつけたまま行くって聞かなかったから、良かったですわ葵さん」

「仕方ないですよレリアさん。エマもマルガも初めての湖水浴で、嬉しいのでしょうから」

苦笑いしながらの俺の言葉に、フフッと笑っているレリア。

マルガとエマは気恥ずかしそうに照れ笑いをしている。



「じゃ~準備も整っている事だし、朝食を食べ終わったら、ロープノール大湖に向かおうか」

俺の言葉に嬉しそうに頷いているマルガとエマは、邪魔だった浮き輪と言う足枷が無くなった事で、朝食が何時も通りに食べられる様になったので、パクパクと朝食を食べていく。

食べ終わったら湖水浴に行けると言う言葉に、嬉しさを隠しきれていない様だった。

それを微笑ましく思いながら朝食を終え、宿舎を出て馬車置き場に皆で向かう。



俺の荷馬車1号の長柄を、2頭引きの物に交換して、馬のリーズとラルクルを繋ぐ。

初めはリーズだけで良いと思っていたけど、マルガがラルクルが寂しがります!と、少しご立腹で俺におねだりするので、結果、一家全員?で、湖水浴に出かける事になった。



皆が荷馬車に乗り込む。俺とマルガ、リーゼロッテはいつも通り御者台に、他の皆は荷台に人を乗せる時に使う柔らかい敷物を敷いて、その上に座って貰う。

俺の荷馬車は、元々客馬車用のキャリッジタイプを、荷馬車に作り直して貰った物で、板バネも良いのを使ってるから、衝撃も少ないし乗り心地は良い。荷台で寝ていられる位だ。



俺は皆が荷馬車に乗ったのを確認して、荷馬車を進める。

そこそこの人を乗せてはいるが、丈夫で力のある品種の重種馬のリーズとラルクルは、いつもより軽い荷馬車を、事も無げに引いていく。

そんなリーズの頭の上には、何故か得意げな顔をした白銀キツネの子供、甘えん坊のルナがキリッと言った感じで立っている。



「今日は良い天気ですねご主人様~」

「だね~。湖水浴日和だね~」

「本当ですわね。これだけ良い天気ですと、泳ぐのも気持ち良いでしょうね」

その言葉に、若干1名がヒョッコリと顔を出す。



「ほんと~?エマたのしみ~!」

「これエマ!動いている荷馬車の上で走ったら危ないでしょう?」

エマの腰に両手を回すレリア。エマは両手足をバタバタさせながらキャキャとはしゃいでいる。



「でも、葵兄ちゃん、ロープノール大湖のどの辺に泳ぎに行くの?」

「マルコ様、ご心配なさらずとも大丈夫で御座います。この王都ラーゼンシュルト周辺の事は、私達が詳しいですから」

マルコの問に、応えるステラ。



俺達が目指している場所は、ステラが教えてくれたロープノール大湖で、比較的安全に泳げる場所なのだそうだ。町の人も泳ぎに行く、軽い湖水浴場の様な所らしい。

そこは遠浅で、湖の大きな魔物も入り込みにくく見晴らしも良い為、泳ぐにはもってこいの場所みたいなのだ。



俺はステラの教えてくれた通りに荷馬車を進める。

王都ラーゼンシュルトを出て、郊外町のヴェッキオを通り抜け、暫く荷馬車を進めると、俺達の目にロープノール大湖が目に入ってきた。

それを見て若干3人が嬉しそうに声を上げる。



「ご主人様!ロープノール大湖に着きました!」

「やっぱりいつ見ても大きな湖だよね!」

「エマおよぎたい~もう泳いでもいい~?」

マルガにマルコ、エマが我慢出来なさそうに言う。



「ステラが教えてくれた場所までもう少しだから待っててね」

「「「は~い!!!」」」

声を揃えて元気良く返事をするマルガにマルコ、エマの3人。



俺はリーゼロッテと顔を見合わせて、微笑み合いながら荷馬車を進める。

湖岸線沿いに暫く荷馬車を進めると、大きな美しい砂浜が見えてきた。人がまばらだが少し居て、楽しそうに泳いでいるのが見える。



「ここがステラの言っていた所で良いのかな?」

「はい葵様。この場所で御座います」

そのステラの言葉に、若干3名が色めきだっているのは、言うまでもない。

俺は荷馬車を砂浜ギリギリまで寄せて止める。



「じゃ~まずは着替え用にする為の野営テントを2つ建てようか」

俺の言葉に、皆が荷馬車に積んである、何時も野営の時に使っているテントの部品を荷馬車から降ろしていく。そして、テントの軸の木の棒を降ろした時に、若干1名が驚きの力を見せる。



「葵お兄ちゃん~この木の棒もっていったらいいの~?」

そう言いながら、軸の木の棒4本を楽々と脇に抱えるエマ。



「えええ!?エマ…重くないの!?」

「全然おもくないよ?葵お兄ちゃん」

キョトンとした顔で平然と言うエマ。それを見て、俺と同じ様に驚いている皆。



「大丈夫だと思いますよ葵さん。エマはドワーフの血を引くハーフドワーフ。いつもは危ないから使わせない様に言っていますが、エマは…物凄く力が強いのです」

そう言いながら苦笑いしているレリア。



オオウ…あんなちっちゃい身体なのに、力が強いのか!流石ハーフドワーフ。

力の強いドワーフ族の血を、色濃く引き継いでいるんだね。

まあ…魔力も引き継いで居るみたいだし、これ位の力を出せても当然なのかも…

俺達は感心した様にエマを見つめていると、得意げそうに微笑んでいるエマ。



「じゃ~エマ。疲れない様に運んでくれる?無理はしなくて良いからね?」

「は~い!」

元気良く返事をしたエマは、設置場所に軸の木の棒をテテテと運んでいく。

エマの予想外の助力もあり、あっという間に設置出来た2つのテント。



「そっちは女性専用の更衣室にして、こっちは男性様ね。じゃ~皆、水着に着替えようか」

俺の言葉に皆が別れてテントの中に入っていく。

俺とマルコは着替え終わって外に出る。男性は着替えるのが楽で早いからね!

暫く待っていると、女性用のテントから、次々と人が出てくる。

そして気恥ずかしそうに近寄ってきたマルガが



「ご主人様どうですか?変じゃありませんか?」

少しモジモジとしているマルガ。



マルガが着ているのは、一般市民がよく着るタイプの水着だ。

スポーツブラの様な上に、スパッツの様な下。素材は綿で出来ており、紐で縛ってとめるタイプの水着である。

今回は特別にそれぞれに水着を買ってあげる時間がなかったので、女性は皆同じの水着を着用している。しかし、体にフィットする様に作られたその水着は、スタイルの良い彼女達に良く似合っている。



「マルガ良く似合っているよ。可愛いよ」

「ありがとうございます!ご主人様!」

顔を少し赤らめながら言うマルガの尻尾は、嬉しそうにフワフワ揺れている。

その中で、リーゼロッテとエマが、水辺に商売用に使うパラソルの様な大きな日傘を波打ち際に立てて、何かを水につけていた。



「リーゼロッテとエマは、何をしてるの?」

「ええ、果実ジュースと蜂蜜パン、果物を、ロープノール大湖の水で冷やしておこうと思いまして」

そう言いながら、果実ジュースの入った樽と蜂蜜パンと果物の入った木の箱を、流されない様に縛って冷やしているリーゼロッテとエマ。

ここでもエマの活躍で、結構重い果実ジュースの入った樽をやすやすと移動出来たのは言うまでもない。



それを涎のでそうな顔で見ているマルガは、ハッと我を取り戻し、何かを思い出した様であった。

皆を集めだしたマルガは、皆を横一列に並べると、その前に立つ。

そして、腰に可愛い手を当てて、仁王立ちしているマルガは、軽く咳払いをする。



「コホン!では…泳ぐ前に、準備運動をしちゃいます!ご主人様直伝!ラジオタイソウ?なのです!」

右手を上げて元気良く宣誓するマルガ。ふとマルガの右の足元に視線を落とすと、やっぱり何故か得意げな顔をした、白銀キツネの子供、甘えん坊のルナがキリッと立っていた。



「チャン!チャチャ!チャチャチャチャ!チャ~ン!チャチャ!チャチャチャチャ!チャチャチャチャチャチャチャチャ!チャチャチャチャチャ~ン!背伸びの運動なのです!ハイ!!」

マルガはとこがで聞いた事のある音楽を口ずさみながら、体操を始める。



オオウ…こうやって皆でラジオ体操とか、いつぶりだろう?

昔、小学校の頃に、夏休みに朝早起きして、町内のラジオ体操に参加した時いらいかも!

結局、続かなくて、途中で終わったスタンプ帳…なつかしす…

そんな事を考えながら、ふと周りを見てみると、マルガの動きを見て、真剣にラジオ体操している皆。

…皆真面目なんだよね~。ホント…

その中で、俺はある人物?に、目が釘付けになっていた。



…ルナちゃん!

やってる…ラジオ体操…やっちゃってる!

きちんと身体を曲げる様に頭を下げてるし…ジャンプする所はきちんと飛んで、両足を広げてる!

両手を左右に振って、ライダーの変身みたいな所も、きちんと尻尾を振ってる!

深呼吸までしてるし!!!

…君はどこまで賢いんですか!本当にマルガちゃんに似てきたね!もうチビマルガちゃんだね!



ルナに見惚れながらラジオ体操は終わってしまった。

ルナはマルガの足元で、謎のドヤ顔でフンフンしていた。



「準備運動も終わった事だし、もう水の中に入って良い?マルガ姉ちゃん?」

「エマも~!エマもはいりたい~!」

ねえねえと言った感じでマルガに言い寄るマルコとエマを見て、少しお姉さんぶった顔でフフフと笑うマルガ。



「まだですよ!マルコちゃんにエマちゃん!まだ、神聖な儀式が終わっていません!」

そう言って、ロープノール大湖に振り返ると、口に両手を当ててマルガが、



「ヤッホ~~~~!!!!」

ロープノール大湖の水平線に向かって叫ぶマルガ。



「…それが、神聖な儀式なの?マルガ姉ちゃん?」

「そうなのです!こう言う見晴らしの良い所では、『ヤッホー』と叫ばなくては、いけないんです!」

両手を腰に当てて、ドヤ顔のマルガ。ルナも勿論ドヤ顔だ。



そう言えば…昨日見たマジカル美少女キュアプリムで、プリムちゃんがヤッホーってやってたね…

マルガちゃん…真似しちゃってるんだね…

でも…微妙に?いや、かなり?、使い方間違ってるよ!?マルガちゃん!

俺がそう心の中でツッコミを入れていると、3人の叫ぶ声がする。



「「「ヤッホ~~~!!!」」」

マルコにエマは、マルガを真似して、ロープノール大湖の水平線に向かって叫んでいる。



「…おかしいですね~『ヤッホ~!』と叫べば、『ヤッホ~!』と、帰ってくるはずなのです…」

マルガはう~んと唸りながら、可愛い子首を傾げている。それを見て、マルコにエマ、ルナまで首を傾げていた。

その時、俺の隣に居る超美少女の肩が震える。俺はふと、その超美少女に視線を向ける。



「…湖に向かって…『ヤッホ~』って…木霊は返って来ませんよ…3人共…プププ」

肩を震わせ、必死に声を殺しながら、笑っているリーゼロッテ。



…入っちゃったね…リーゼロッテのさんのツボに、入っちゃったね!

凄く楽しそうだね!…きっと、本当の事は、教えて上げない様な気がする!

こういう時のリーゼロッテさんは、Sなんですよね!オラ知ってます!



「マルガ、このロープノール大湖は広いから、『ヤッホ~』が帰ってくるのに時間が掛るんだよ」

「そうなんですか!ご主人様!?」

「た…多分ね…」

「『ヤッホ~』が返ってくるまで…どれ位掛るのですかご主人様?」

「ふへ!?…え…えっと…明後日…位?…かな?」

「明後日ですか!?…ムムム…流石は物凄く大きいロープノール大湖なのです~!!」

俺の言葉に、腕を組んで感心している、マルガにマルコ、エマの3人。ルナはドヤ顔のままだった。

その言葉を聞いて、更に肩を震わせている、金色の妖精の超美少女。



「…リーゼロッテ…笑いすぎだから…」

「…はい…す…すいません葵さん…プププ」

まだ必死に声を殺して笑っているリーゼロッテ。

俺はなんとか、湖に向かって『ヤッホ~』を繰り返そうとするオチャメさん達を、こちらに向かせる。



「と…とりあえず、水の中に入ろうか」

俺はマルガとエマに、木製の浮き輪をつけさせる。



「じゃ~水の中に、行って来なさい!」

「「「は~い!いってきます~」」」

嬉しそうに声を揃えたマルガ、マルコ、エマの3人は、勢い良くロープノール大湖に飛び込んでいく。

ドボンと音をさせて飛び込む3人。その水飛沫が、真夏の太陽の下、虹を作っている。



「気持ち良い~~~~!!!!湖水浴最高だよ!!!」

「本当ですねマルコちゃん!!冷たくて気持よくて…最高なのです!!!」

「エマも~~!!エマもきもちいいよ~~!!プカプカつめたいお水にうくのがきもちいい~!!」

マルガにマルコ、エマの3人は、それぞれに喜びの声を上げ、キャキャとはしゃいでいる。



「じゃ…私も泳いできますね葵さん」

ツボにはまって笑っていたリーゼロッテは、どうやらいつも通りに戻った様で、マルガ達の元に泳いでいく。



「レリアさんも行っちゃってくださいね」

「…でも…私はもう…そんな歳じゃありませんし…」

「レリアさんは十分にお若いですよ。それに、マルガ達が泳いでいる所は、深さ1m位の浅瀬です。エマは浮き輪がないと危険ですが、レリアさんなら問題はありませんよ」

俺の言葉に、若干赤くなっているレリア



「おか~さんこっちにきて~!!いっしょにおよごう~!!はやく~!!!」

エマが満面の笑みでこちらを見て手を振っている。



「ほら…エマも呼んでますし…」

「では…お言葉に甘えて…行ってきます」

照れくさそうに微笑むレリアは、エマの元に泳いでいく。それを笑顔で迎える、嬉しそうなエマ。

それを微笑ましく見送っていると、ふと視線が気になって、その視線の先に向き直ると、木製の浮き輪をつけた3人の獣人美少女達が、モジモジしながら俺を見ていた。俺はその可愛い美少女達に近寄る。



「ステラ、ミーア、シノン何してるの?早く一緒に泳いじゃいな。俺を待つ必要や、命令を待つ必要は無いよ?」

その言葉を聞いた、ミーアとシノンの表情が、パアアと明るくなる。



「あ!それから、あそこに果実ジュースと蜂蜜パン、果物が冷やしてあるから、欲しくなったら勝手に飲んだり食べたりしてね。一杯買ってきてるから、沢山食べても大丈夫だから」

そう言って、ミーアとシノンの頭を優しく撫でると、嬉しそうに尻尾を振って頷く2人



「じゃ~泳いできちゃいなさい!」

「「はい!葵様!行ってきます!!」」

声を揃えて、元気一杯嬉しそうに返事をしたミーアとシノンは、テテテと走ってマルガ達の元に泳いでいく。それを戸惑いながら見つめているステラ。



「ステラどうしたの?ステラも行かないの?」

「あ…いえ…私は…」

いつもと違う、歯切れの悪いステラ。



「ほら!泳ぎに行こう!行くよ!」

「ちょ…あ…葵様!!」

俺は何故か戸惑っているステラの手を引いて、マルガ達のいる波打ち際までステラを引っ張ってくる。

ステラは戸惑いながら俺に手を引かれて、



「あ…葵様、ま…待って下さい…あ!!!!」

足元のおぼつかないステラは、言葉の最後に短い声をあげる。

その直後、自分の足に絡まったステラは、勢い良くつまずいて、俺の手を振りきって、前方に飛び出す。浮き輪をスッポーンと脱ぎ捨てたステラは、水飛沫を上げてロープノール大湖に飛び込んだ。



「わわわわわわ!!!アブブブ!お…溺れる…アプププ…あ…葵様…た…たすけ…」

ステラは水面でバチャバチャしながら、アプアプして溺れていた。

俺は慌ててステラの傍に近寄り、ステラを抱きかかえる。ステラは、まさに藁をも掴む勢いで、俺にしがみついた。



「だ…大丈夫ステラ!?」

「ブハ…ハアハア…はい…なんとか大丈夫です葵様…」

肩で息をしているステラは、少し涙ぐみながら、俺にしがみついていた。



「ステラ、ここは1m位の深さしか無いから、足がつくよ?ゆっくり立ってみて」

「は…はい…葵様…」

俺の言葉に、おっかなびっくりと言った感じのステラは、ゆっくりとロープノール大湖に降り立つ。

身長154cmのステラの胸の下辺りで水は止まっている。それを見て、あからさまに安堵の表情をするステラ。



「ね?大丈夫でしょ?」

「そ…そうですね…葵様…」

やっと落ち着きを取り戻したステラは、顔を若干赤らめている。そんな俺達を見て、皆が近寄ってきた。



「ステラ姉ちゃんって、もしかして、泳げないの?」

マルコが悪気なく直球をステラに投げつける。ステラはガーンと言った感じで軽く落ち込むと



「はい…私…泳げないのです。私…昔に、川で溺れた事がありまして、それ以来、泳げないのです」

シュンとしているステラに、ニコッと微笑むエマが



「じゃ~さ~葵お兄ちゃんに、およぐのおしえてもらったら~?そしたら、およげるようになるよ~ステラお姉ちゃん~」

ニコニコしながらエマが言うと、皆がウンウンと頷く。その俺達の前を、犬かきならぬ、キツネかき?でスイスイと泳いでいる、白銀キツネの子供、甘えん坊のルナ。そんなルナを、羨ましそうな感じの視線で見つめるステラ。



「そうだね…折角の機会だし、泳ぐの教えるよ。てか、初めて泳ぐ子って結構いたよね?きちんと泳ぎ方知らない人、手を上げてみて」

俺の言葉に手をあげる一同。



「えっと…マルガにエマ。そして、ステラ、ミーア、シノンか。マルコやリーゼロッテ、レリアさんは泳げるみたいだから…泳げない人に、少し俺が教えようか」

皆が俺の言葉に頷く中で、マルガが申し訳なさそうに手をあげる。



「どうしたのマルガ?」

「えっと…ルナが私に…泳ぎ方を教えてくれるって…言うんです…」

モジモジしながら、俺とルナのどちらに教えて貰ったら良いか悩んでいるマルガ。



えええ!?ルナに泳ぎ方教えて貰うって!?どういう事!?

ルナとマルガが、レアスキルの動物の心で、意志の疎通が出来るのは解ってるけど…

ルナに泳ぎ方教えて貰ったら…どうなっちゃうんだろう!?

俺がそんな事を考えながら、マルガとルナを交互に見ていると、誰かの視線を感じる。

その視線の方に振り向くと、金色の透き通る様な美しい瞳を、キラキラさせている、金色の妖精の美少女の姿が目に入ってきた。



…あれだね、期待しちゃってるね…リーゼロッテさん!

今度はどんな面白い事を、マルガとルナがしてくれるか期待しちゃってるでしょ!?

そして、また、プププと笑いたいんですね。解ります。

さっきの余韻があるのかな?こういう時のリーゼロッテさんはSなんです!オラ知ってます!



「じゃ…じゃ~マルガはルナに教えて貰ってね」

「ハイ!ありがとうございますご主人様!」

嬉しそうに言うマルガの尻尾は、ブンブンと振られている。その言葉に、若干1名が食いついた。



「エマも~~!エマもマルガお姉ちゃんといっしょに、ルナちゃんからおよぎかたおそわりたい~!!」

エマが満面の笑みでおねだりをしてくる。その声を聞いた、金色の妖精の美少女の瞳が、より一層キラキラしているのを、俺は見逃さなかった。



さらに期待しちゃってるでしょリーゼロッテさん?

マルガとルナに、エマが加わった事でどんな事になるのか…楽しみで仕方がないって顔になっちゃってますよ?リーゼロッテさん!

まあ…ダメだった時は、俺が泳ぎ方を教えれば良いだけだし…任せよう…

オラもどうなっちゃうのか、気になってきちゃったし!



「解ったよエマ。マルガとエマはルナから泳ぎ方を教えて貰ってね。…リーゼロッテ、マルガとエマ、ルナの事よろしく…」

「はい解ってますわ葵さん。私が危なくない様に、見てますから」

キラキラ瞳を輝かせている楽しそうなリーゼロッテ。

まあ…この浅瀬と、これだけ人がいる中で、どうにかなる方が難しいけどね!

ステラ、ミーア、シノンにレリアは、ルナに教えて貰うと言う言葉の意味が解ってない様で困惑していたけど、また今度マルガのレアスキルの事を教えてあげよう。



「じゃそう言う事で。ステラ、ミーア、シノンは俺が教えるよ。じゃ~別れて、少し練習してみようか」

俺達は別れて、泳ぎの練習を始める。



「ステラは兎も角、ミーアとシノンは水が怖いとかは無いんだよね?」

「はいありません葵様」

「私も大丈夫です葵様」

ミーアとシノンの言葉に頷く俺。



「じゃ~ミーアとシノンは浮き輪を外して。ステラは浮き輪をつけたままで良いからね。まずは、ミーアから行こうか。ステラ、シノンは、ミーアに教えているのを見ててね」

俺の言葉に頷くステラにシノン。

俺はミーアに近づいて、両手を優しく握る。



「まず、泳ぎの基本である、バタ足ってのを教えるね。俺が手を引きながらゆっくりと後退するから、それに合わせて足で水を蹴って、前に進む練習ね。やってみようか」

「はい!葵様!」

嬉しそうに返事をしたミーアはゆっくりと俺に手を引かれながら、バタ足を始める。



「そうそう!上手だよミーア!顔をつけて、息継ぎの練習もしてね!」

「はい!解りました葵様!」

顔をつけたり、あげたりして、息継ぎも難なくこなすミーア。

やっぱり獣人系は運動神経が良いね!マルガもそうだったけど、教えてあげると、すぐに出来ちゃう!

この分なら、今日中に余裕で泳げる様になっちゃうかも!オラとは大違いだよ!…ウウウ。

俺は何回か同じ事をして、ミーアを立たせる。



「ミーア上手いね!そんな感じで十分だよ!」

「本当ですか?葵様!」

「うん。今度は1人で練習してみて。もう俺が居なくても、1人で出来ると思うから。無理しなくて良いから、きつくなったら、立つ様にしてね」

「はい!解りました葵様!」

嬉しそうに言うミーアは、ワーキャットの特徴である、細く柔らかそうな紫色の毛並みの尻尾を、お尻でチョコチョコさせている。そんなミーアは1人でバタ足の練習を始める。



「じゃ~次はシノンね。ミーアと同じ様にゆっくりと引っ張るから、バタ足の練習からね」

「はい!葵様!よろしくお願いします!」

嬉しそうに返事をしたシノンの両手を優しく握り、ゆっくりと後退しながら引っ張っていく。

それに合わせてバタ足をするシノン。



「シノン上手だよ!その調子で、息継ぎの練習もしようか!無理はしなくて良いからね!」

「はい!葵様!やってみます!」

ミーアと同じ様に、息継ぎの練習もするシノン。



オオウ…おっとりしてそうなシノンも、運動神経は良いんだね!

教えた事をすぐに出来る様になっちゃってるし!

この分だと、シノンも今日中に泳げる様になれるね!



「もう十分だね!シノンもミーアと同じ様に、1人で練習ね。バタ足が完璧に出来る様になったら、本格的に次の泳ぎ方教えてあげるから、頑張ってね!」

「「はい!解りました葵様!私達頑張ります!」」

嬉しそうに声を揃えて返事をするミーアとシノンは、顔を見合わせて微笑み合っていた。



「じゃ~最後はステラね。ミーアとシノンと同じ事をするからね。ステラは浮き輪を外さなくても良いから、そのままでやってみようか」

「は…はい!わ…解りました葵様!」

緊張した面持ちで言うステラ。俺はステラの両手を優しく握り、同じ様にゆっくりと引っ張りながら後退して行く。

ステラはぎこちないながらも、足をバシャバシャさせて、必死にバタ足をしていた。



「うんうん、なかなかいいよステラ。次は顔を水につけて、息継ぎの練習をしてみようか!」

「は…はい!わ…解りました!葵様!」

必死な感じで言うステラは、恐恐顔を水につける。するとすぐに、その場で立ってしまった。



「プハ!す…すいません!葵様!」

申し訳なさそうに深々と頭を下げるステラ。



「い…いいよ!気にしないで!練習すれば出来る様になるからさ!」

俺は優しくステラの頭を撫でながら言うと、少し表情の緩むステラ。



「解りました!頑張ります!」

そう言って俺の手をにぎるステラ。俺は再度ゆっくりとステラの手を引いて、バタ足の練習をしながら、息継ぎの練習をするが、何度も息継ぎの所で失敗して立ってしまうステラ。



ムウウ…ステラは純血のワーウルフ。

俺達の中では、1番運動神経が良いはずなんだけどな…

バタ足は結構出来てて、息継ぎで失敗するって事は…やっぱり水が怖いのかもしれない。

その恐怖心が、本来出せるはずの運動神経を、激しく邪魔してるのか…

さて…どうしたものか…

俺がそんな事を考えながら、ステラを見ていると、嬉しそうな声が俺にかかる



「ご主人様~!!見て下さい!私泳げる様になっちゃいました!」

「わたしもだよ~!!みてみて、葵お兄ちゃん!」

俺はマルガとエマの嬉しそうな声に振り向くと、そこには、両手足をチョコチョコとさせながら、犬かきで泳いでいるマルガとエマの姿があった。



だよね!そうなるよね!

白銀キツネのルナに、泳ぎ方教えて貰ったら、犬かきになっちゃうよね!

余りに予想通りすぎて…逆にびっくりしちゃったよ!



「そ…そうだね!お…泳げる様になって良かったね…」

その言葉に、嬉しそうに満面の笑みをしているマルガとエマは、白銀キツネの子供、甘えん坊のルナの後ろを、犬かきで泳いでスイスイとついていっている。当然、ルナはドヤ顔でした。

まあ…後で…俺がきちんと泳ぎ方を教えるか…

そんな事を思っていると、マルガとエマが顔を見合わせながら、



「じゃ~エマちゃん!私とレリアさんの所まで、競争しましょうか!」

「うん!きょうそうする~!エマがんばる~!」

そう言って微笑むエマの頭を優しく撫でているマルガ。

レリアの所までは50m位。競争するには少し長い気はするが、ぼちぼち楽しみながら行くには良い距離なのかな?

そんな事を思いながら、マルガとエマに



「じゃ~俺が合図をしてあげるよ。用意はいいかな?」

「ハイ!ご主人様!」

「うん!葵お兄ちゃん!」

元気一杯に言うマルガとエマを微笑ましく思いながら、合図を言う俺。



「行くよ!始め!」

その俺の言葉を合図に、信じられない光景を見せるマルガとエマ。

始めの言葉を聞いたマルガとエマは、まるでジェットエンジンを搭載しているかの様な水飛沫を上げて、物凄い早さでレリアの元に進み始める。そして、あっという間に、レリアの元にたどり着いたマルガとエマ。



いやいやいやいや!!!ありえないから!

なにそれ!?それ…本当に…犬かきなの!?犬かきジェットなの!?

オリンピック選手もびっくりの早さなんですけど!!!!???

そんな水飛沫を上げる犬かきなんて見た事ないよ!?次元が何次元も違うんですけど!?

200m自由形、金メダルが犬かきなんて事になったら、水泳界がひっくりかえっちゃうよ!!??

俺が口を開けてぽかんとしていると、何事も無かったかの様な感じのルナが、ドヤ顔でスイスイと泳いでマルガの元に向かっていく。



オオウ…ルナ師匠凄す…もう…俺が教えれる事は…何も無いね…

俺がそんな感じで少し黄昏れていると、誰かの視線を感じる。俺がその視線に振り向くと、肩を震わせて、プププと声を殺して笑いのツボにハマっている、金色の妖精の美少女の姿が目に入った。



うわあ…凄く楽しそうですね~リーゼロッテさん!

もう瞳がキラキラしてて眩しいですよ?…幸せそうな顔しちゃって…

俺がそんな感じで苦笑いしていると、もう一人の黄昏れている美少女が、囁く様な声を出す。



「皆さん凄いですね…」

ワーウルフの特徴である、頭の上についた、銀色の触り心地の良さそうな、フカフカな犬の様な耳を、フニャンとさせて、尻尾をすぼめているステラ。



違うからね!ステラちゃん!

あれは特別なんだから!あれは…そう!次世代!次世代の何かなんだよ!俺にも解らないけど!

あんなジェット犬かきなんて、出来る子の方がおかしいんだから!



「ス…ステラが気にする事は無いよ?俺達は俺達の練習をしよう?」

ステラの肩にそっと手を置くと、俺の手をギュッと握り返すステラは、嬉しそうに微笑む。



「はい…有難う…御座います…葵様…」

少し顔の赤いステラは、銀色の毛並みの良い尻尾をフワフワさせていた。



「うん!とりあえず…ステラは…その浮き輪を取っちゃおうか」

「ええ!?う…浮き輪をですか!?」

俺の言葉に、ビクッとなっているステラ。俺はステラを宥めながら言う。



「俺が思うに、ステラは運動神経は問題ないと思うんだ。でも、小さい時に川で溺れた経験から、水の中が怖いと言う思いが強くなって、それが、本来出せるはずの運動神経を邪魔しちゃってるだけだと思うんだよね。だから、泳ぎ方より先に、水への恐怖さえ無くなったら、ミーアやシノンの様に、すぐに泳げる様になると思うんだよね。だから…頑張ろう?」

その俺の言葉を聞いたステラは、決意した瞳を向けると、浮き輪を外し、俺に手渡す。

俺は浮き輪を笑顔で受け取り、アイテムバッグにしまう。



「じゃ~ゆっくりと両手を引くから…無理しなくて良いからね?」

「はい…有難う御座います…葵様…」

嬉しそうにはにかむステラの可愛さに、少しドキッとなる。



「じゃ…行くよ?」

少しぎこちなく言った俺は、ゆっくりとステラの手を引いて、後退して行く。それに合わせて、バタ足をするステラ。しかし、顔を水につけた途端、すぐに立ち上がってしまう。



「すいません葵様…」

「いいよ気にしないで。俺はずっとステラの両手を握って離さないから…安心して良いよ?溺れそうになっても、俺がすぐに助けるから…ステラは…何も心配しなくて良いんだよ?」

ステラの頭を優しく撫でながら言うと、ステラは俺の胸に抱きついて、ギュッと俺にしがみつく。

そのステラの乙女の柔肌にドキッとなりながら、優しく頭を撫で続けると、ステラはゆっくりと顔を俺に向ける。



「私…頑張ります!だから…葵様…もう少し…私に力を貸して貰えますか?」

「勿論!俺の力なんかで良ければ!」

俺の言葉に、可愛い微笑みを向けるステラにドキドキしながら、俺は再度ステラの両手を優しく握り、ゆっくりと引っ張って、後退して行く。

ステラはバタ足をしながら、水に顔をつける。しかし、今度は立ち上がること無く、顔をつけたままバタ足をしている。



「そう!良い感じだよステラ!次は顔を上げて、息継ぎ練習だよ!」

俺の言葉に、水に顔をつけながら頷くステラは、水から顔を上げて、息継ぎをする。そして、再度水に顔をつけ、バタ足をして再度息継ぎをする。俺は暫く進んで、ステラを立たせる。



「やったねステラ!出来てたよ!良かったね!」

「はい!有難う御座います!葵様!」

ステラの満面の微笑みはとても可愛く見え、どこか癒される感じがした。

俺とステラは何度も同じ練習をする。ステラも慣れてきた様で、どんどんスムーズにバタ足が出来る様になっていた。



「もうかなり出来る様になったねステラ!じゃ~最後に1人でバタ足をしてみようか!」

「わ…私一人でですか!?…で…出来るでしょうか…」

あからさまに不安な表情をするステラ。俺はステラの肩にそっと手をおいて、



「大丈夫、俺がここで待ってるから。ステラに何かありそうなら、すぐに助けに行くから…だから…やってみよう?」

「…葵様が…待っていてくれるんですか?…私を?」

ステラはそう呟いて、ギュッと握り拳に力を入れると



「解りました!私は葵様に向かって進みます!見ててくださいね!葵様!」

決意の瞳で言うステラに微笑む俺。

俺はステラから10m位離れる。ステラは一人でバタ足で俺の所まで来るのだ。

ステラは、覚悟を決めて、一人で補助なしでバタ足を始める。

ゆっくりではあるが、俺に向かって、必死でバタ足をするステラ。息継ぎを何度もして、ゆっくりゆっくり、しかし、確実に俺の傍に来るステラ。そしてついに俺の両手が、ステラの両手に重なる。

ガバッと水面から立ち上がるステラは、嬉しかったのか、俺にギュッ抱きつき。



「私やりました!葵様!泳ぐ事が出来ました!」

「うん!泳げたね!よく頑張ったねステラ!おめでとう!」

俺も嬉しくなって、ステラを抱き寄せる。それと同時に、ミーアとシノンが近寄ってきた。



「ステラ姉姉おめでとうです~!」

「ステラ姉さんおめでとうですの!」

ミーアとシノンも嬉しそうに俺とステラに抱きつく。



「ありがとうね…ミーアにシノン。私嬉しいわ…」

そう言って微笑み合っているステラ、ミーア、シノン。俺は、その喜びを感じるのと同時に、少し感じた違和感を口にする。



「ステラ姉姉に…ステラ姉さん?…何時もステラの事を…そうやって呼んでるの?ミーア、シノン?」

「はい…私達だけの時はいつも…」

恥ずかしそうに言うミーアに頷くシノン。ステラは少し恥ずかしそうにしていた。



「なら…俺の前でも普通に呼べばいいよ。その方が楽でしょ?」

「ですが…」

「いいよ…ステラが泳げた記念と言う事でね」

俺の言葉に、プッと笑うステラ。



「解りました。そう…させて頂きますね葵様…」

嬉しそうに俺に抱きつくステラ。そして俺に視線を合わせる。

その距離は、ステラの甘い吐息を感じる程近く、その薄く可愛い唇が1cm先にあった。



俺はその時に、3人に抱きつかれている事を思いだし、ステラ、ミーア、シノンの、乙女の柔肌に包まれ、彼女たちの甘い香りに、クラッとするのを感じ、ステラの唇に思わす吸い付いてしまう。

ステラの甘く柔らかい口の中を味わい、堪能すると、俺のパオーンちゃんが大きくなっていた。

他の子達には、ミーアとシノンの死角になっていて見えないとはいえ、これ以上してしまったら、止まらなくなる…

俺は、ステラ、ミーア、シノンから離れようとすると、美少女3人は、俺のモノが大きくなっているのに気がついた様で、優しく俺のモノを握り、摩っていく。その気持ち良さに、俺の身体がゾクゾクとする。



「これ以上されたら…止めれ無くなっちゃうよ?」

「…良いですよ…私達は葵様の…一級奴隷なのですから…」

顔を赤くしてそう呟くステラの可愛さに、俺は我慢ができなくなった。

俺はアイテムバックから浮き輪を取り出し、ステラにつける。そして、ミーアとシノンにその浮き輪につかまる様に指示を出して、ステラ達を沖に引っ張っていく。



「ちょっと泳ぎの練習で、沖の方に行ってくるから、皆で遊んでてね~」

そう他の皆に言い残して、俺はステラ達と一緒に、どんどん沖の方に行くのであった。













俺はステラ達を250m位沖に連れてきていた。

当然足は届かない深さ。しかし、ステラの浮き輪があるので、ミーアもシノンも苦には全く思っていないのが解る。

これだけ皆から離れれば、匂いや音に敏感なマルガの感知範囲外だし、他の子達からも、何をしているのかはっきりとは解らないだろう。その中で、ミーアが少し戸惑いながら



「葵様…この様な沖に来て…ここで練習ですか?」

辺りをキョロキョロして見回すミーアの顎を優しく掴み、その唇に貪りつく。ミーアの可愛い口を抉じ開け、舌を滑り込ませる。ミーアの甘い口の中を堪能して、その舌に俺の唾液を流し込ませ、ミーアに飲ませる。ミーアはそれを味わいながら、コクコクと喉を鳴らして飲み込んでいく。



「ごめん…ステラ、ミーア、シノンの可愛さに…もう…我慢が出来ないんだ…」

俺は喉から絞り出したような声を出すと、ミーアの腰を掴み、水着の下をスルリと降ろし、ミーアのお尻に俺の腰をうずめていく。



「うにゃはははああああ!」

猫の様な甘い声を上げるミーア。俺はミーアの膣に強引に大きくなったモノをねじ込んだ。

ミーアの膣は、俺のモノを喜ぶように迎え入れ、ピクピクと俺のモノを刺激する。

ミーアの柔らかいお尻の感触にゾクゾクと性欲が高まっていく。

ステラの浮き輪にしがみついて、バックから俺に犯されて、艶かしい表情に染まっていくミーアを見ているステラとシノンは、どんどん顔を紅潮させていく。



「見て…ステラにシノン…ミーア…気持ち良さそうでしょ?」

「はい葵様…ミーア…とても気持ち良さそうです…」

「ミーアいいな…私も葵様に…犯して欲しい…」

可愛い事を言うシノンが、俺の口に吸い付き、甘く柔らかい舌を、俺の口の中に忍ばせてくる。

シノンを味わいながら、バックからミーアを犯している俺は、どんどん性欲が高まる。

ミーアのお尻の感触を味わいながら、シノンの豊満な胸に顔を埋め、水着の上から乳首に吸い付く。

冷たい水の味と、シノンの硬くなった乳首を味わいながら、シノンの水着の上をずらし、直接その豊満で柔らかい、マシュマロを舌で味わう。



「あ…うんん」

短い声を上げるシノンは、ギュウッと俺を抱きしめ、その豊満な胸に、俺の顔を埋めさせる。

それに幸せを感じ、ミーアを犯すのにも力が入る。ミーアの柔らかいお尻の穴に指を入れ、膣と同時に犯すと、嬉しそうな猫なで声を上げるミーア。



「ステラ…ミーアとシノン可愛いでしょ?」

「はい…とっても…気持ち良さそうで…可愛いです…」

ミーアとシノンは、ロープノール大湖の水面で、真夏の太陽の光を受けて、キラキラと輝いている。

果てしなく広がる様な水平線と、澄み渡る青空、美しく透き通る様な水に包まれた彼女達は、まさに人魚姫さながらの可愛さを俺に見せつけている。 

俺は、ステラの顎を軽く掴み、目の前に持ってくる。



「ステラ…ステラにキスして欲しい…良い?」

「…はい…葵様が…望むのであれば…」

そう言って、俺の口に吸い付くステラ。ステラの甘くなめらかな舌が、俺の口の中を味わっていく。

俺はステラにも唾を飲ませると、ステラは俺の顔を両手で優しくつかみ、しっかりと味わいながら飲み干していく。その可愛さに、ミーアを激しく後ろから犯し過ぎたのか、ミーアの身体が小刻みに震えてくる。



「あ…葵様!ミ…ミーア…イッちゃいそうです!…ミーアを…ミーアをイカせてくださいまし!」

「うん!解ったよ!…一杯イカせてあげるからねミーア!」

俺はそう言うと、ミーアの顎を掴み強引にこちらに向かせ、その口に吸い付く。

そして、バックから可愛いお尻に腰を激しく叩きつけながら、ミーアのクリトリスをギュッと握り締める。

すると今迄焦らされて我慢出来なかったミーアは、身体を大きく仰け反らせる。



「ミーアイッちゃいます!!…イク…イキます葵様!にゃはああああああん!!」

大きく猫の様な声を上げるミーアは絶頂を迎える。水中で繋がっている事で、キュキュとスレた感じになっているミーアの膣は、俺のモノをキュンキュンと締め詰める。

その刺激に、俺の体中に快楽が押し寄せ、ミーアの子宮に直接精を染付ける様に注ぎ込む。

ステラの浮き輪に掴まって、クテっと絶頂と俺に精を注がれた余韻に浸っている、幸せそうなミーアを見て、また、ムクムクと性欲が復活する俺。



「じゃ~次はシノンね…シノンを犯したい…いい?」

「はい…シノンを犯して下さい!」

そう言って、俺の腰に、既に水着を降ろしている、可愛いく柔らかいお尻を擦りつけてくるシノン。

俺は我慢出来なくなり、シノンの豊満な胸を鷲掴みしながら、シノンの可愛い膣に一気に捩じ込んでいく。



「あはうあんんんんん!!」

ビクッと身体を捩れさせるシノンは、甘い吐息を、広大なロープノール大湖に撒き散らす。

俺は艶かしい色に染まっていく、可愛いウサギちゃんをバックから激しく犯していく。

シノンの豊満で、マシュマロの様な胸の上に、恥ずかしそうについている乳首を、キュッっと両方つねると、シノンの膣からは、甘い蜜がどんどん滴っていく。水中での行為で、水が膣の中に入っていく中、その愛液と水が交じり合い、キュキュと音を立てそうな感触を、俺に味あわせ、楽しませてくれるシノン。

俺はシノンの項に舌を這わせながら、



「ステラ…可愛いシノンに…キスをしてあげて…」

「はい…葵様…」

俺の命令に、艶かしい表情のステラは、シノンの顔を両手で優しくはさみ、その可愛い口に吸い付いている。ステラとシノンが、イヤラシク舌を舐め合っているのを見て、我慢できなくて俺の舌もそこに加わる。

俺とステラ、シノンは3人でキスをして、互いの舌を味わう。

ステラとシノンの舌に、俺の唾液を乗せてあげると、それを味わい飲み込む。そしてもっと欲しいと言う様に、再度舌を出して、俺の唾をおねだりする、ステラとシノンの可愛さに、ゾクゾクと性欲が掻き立てられ、シノンを犯すのに力が入ってしまう。

その激しさに、ロープノール大湖の水面が揺れていて、そこに反射した真夏の太陽の光が、より一層、キラキラと人魚姫達を輝かせる。

その美しさに、俺は我を忘れて、快楽のままにシノンを犯していくと、シノンも我慢出来なくなった様だった。



「葵様!シノンも…イキたいです!シノンも…シノンも…」

「解ったよシノン!可愛くおねだり出来たから…一杯イカせてあげるよ!」

俺はそうシノンの耳元で呟くと、シノンは至高の表情を俺に見せる。

俺にバックから可愛いお尻を叩きつけられ犯され、クリトリスをギュウと掴まれたシノンは、ステラにその豊満な胸を、両手で責められて、もう限界がきていた様だった。

シノンも大きく身体を弾けさせて、絶頂を迎える。

シノンの可愛い膣は、俺の精を全て吸い取る様に、キュンキュン締め付け、その膣の暖かさと柔らかさを俺にこれでもかと味合わせる。

俺は我慢できなくなり、シノンの子宮に、白い焼印を大量に放つ。その熱い焼印に、身を捩れさせ、快楽に染まり、恍惚の表情で、シノンに抱きついているステラ。その顔は何処か幸せそうで、手放したくなくなるほど、可愛いものだった。そんなステラの表情に、俺の限りない性欲は復活し、ステラの腰を、無意識に掴んでいた。



「ステラ…可愛いステラを…犯したい…一杯…ね…」

俺の言葉に、顔を赤くして、嬉しそうに頷くステラに、俺は正面から足を開かせ、そこに腰を鎮めていく。



「うはんんんんん!!!」

ステラを正面座位に近い格好で抱きしめ、それと同時にステラの膣めがけて、激しく腰を振っていく。

ステラは、俺にキスをおねだりしながら、必死に俺にしがみつく。

俺はステラの口を陵辱しながら、上と下の口を同時に犯せる幸せに、身を包まれていた。

ステラの胸に舌を這わせ、首、脇の下、項、次々味わう様に舌を這わせると、ステラはそれに応える様に、膣をキュンキュンと締め付けてくれる。

今迄ミーアとシノンの行為を見せられて、焦らされていたステラは、甘い蜜を滴らせ、その喜びを俺に伝えてくる。



「ステラ…可愛いよ…この綺麗なロープノール大湖に住む、人魚みたいだよ」

その言葉に、顔を真赤にするステラは、俺をギュウウときつく抱きしめ、自ら腰を振り、俺のモノを可愛い膣で味わっていく。俺もその快楽に染まっていき、激しくステラを犯すと、ステラは我慢の限界を迎える。



「葵様!私を…葵様のモノで…イカせてください!葵様のモノで…私はイキたいのです!」

「可愛くおねだりが言える様になったねステラ。嬉しいよ。一杯イカせて上げる!最後は4人でキスしながらイキたい。ミーア、シノンもおいで…」

その言葉に、ミーア、シノンが俺の目の前に、可愛い舌を出しながら、その口を捧げてくる。

俺はステラ、ミーア、シノンと舌を絡ませながら、3人を同時に味わう。ステラを激しく犯すと、ステラの身体が大きく仰け反る。俺はそれを強引に押さえつけ、4人でキスしたまま、ステラの絶頂を目の前で感じる。



「葵しゃま…ヒキます…ヒィク…うはあああああんん!」

俺達に押さえつけられ、目の前でイキ顔を見られているステラは、恥ずかしさも相まってか、今までで1番膣をキュンキュンと締め付け絶頂を迎える。その刺激に俺は堪らなくなって、ステラの全てを奪う様に、ステラの子宮に直接焼印を刻み付ける。その熱い精は、ステラの子宮一杯に広がり、ステラはその快楽に、恍惚の表情を浮かべていた。浮き輪を抱きながらクテっとなって、余韻に浸っている、ステラ、ミーア、シノンの額に、優しくキスをして行く。



「ステラ、ミーア、シノン…とっても可愛かったよ。ありがとね3人共」

その言葉に、ミーア、シノンは最高級の微笑みを俺に向けてくれる中、ステラだけが、その綺麗な銀色掛かった大きな紫の瞳から涙を流す。俺はアタフタしながらステラを見つめ



「え!?どうしたのステラ!?も…もしかして…俺に犯されるのが…嫌だった?」

俺のその表情を見たステラは、軽く首を横に振り、ニコッと微笑むと



「いえ…違います葵様。私は…今の状況が嬉しくて…悲しいだけなのです」

少し矛盾した言葉を優しく俺に語りかけるステラ。その表情はとても穏やかで、何か憑き物がおちたかの様だった。



「え…それは…どういう事なの?」

俺の心配そうな顔を見て、クスッと笑うステラはゆっくりと話しだす。



「私は…こんな幸せで、楽しい事があるなんて、今迄思っても見なかったのです。私は…いえ、私達は…小さい頃から一級奴隷でした。だから…こんなに満ち足りたり、楽しい事、安らげる事など…無いと思っていたのです」

その言葉を聞いたミーアとシノンも頷いている。



「でも…私達は葵様に会えた。葵様はとても優しく私達にしてくれた。でも、私は…それが信じられなくて、リーゼロッテ様とマルガ様が羨ましかったから…リーゼロッテ様とマルガ様に、酷い事を言ってしまっただけでなく、2人様に勝負を挑んだのです」

「マルガとリーゼロッテに勝負?…それはどんな勝負なの?」

「それは…どちらが、葵様の役に立ち、葵様に認められるか…そしてどちらを選んで貰えるかの勝負です」

言い難そうにステラが言うと、シュンとしているミーアとシノン。

俺はその言葉を聞いて、マルガがアワアワしていた事を思い出す。



『そうか…マルガやリーゼロッテは、この事を隠していたのか…まあ、俺がマルガやリーゼロッテ以外を選ぶはずがないと解っていると思うけど、俺の耳には入れたくは無かったわけか…』

俺がそれを思い出していると、その先を語りだすステラ。



「しかし結果は…リーゼロッテ様が言われた通りになりました。私達は葵様に満足した事を提案出来ず、認められず…私達のおねだりばかり…葵様は聞いてくれて…それが申し訳なくて…情けなくて…」

そう言って視線を外すステラ。



「…因みに…リーゼロッテにはなんて言われたの?」

「…言えません…」

「へ!?何故?」

「…私にも女の意地と言うものがあります…」

そう言って俯くステラ。ミーアとシノンも同じ様に俯いている。



「…じゃ~その事はもう聞かないけど、何故そんな勝負を…。君達は暫くしたら、俺が開放して自由にしてあげるって、言ってたのに」

「…それが私達には…いえ…私だけ…許せなかった。何もせずに、与えられるだけなんて…私は…自分自身が許せなかったのです。たとえ…自由が遠のいたとしても…私は自分の力で…それを勝ち取りたかった」

そう言って儚げに微笑むステラ。



なんて誇りの高い女の子なんだろう…

ステラはワーウルフでありながら、落ち着いた感じがあったけど、その誇りは…間違いなくワーウルフのものなんだろう。



俺は良かれと思って彼女達に言ったけど、それは彼女達の誇りを傷つける結果になっていたのかもしれない。俺の言葉は…今迄必死になって生き抜いてきた、彼女たち全てを、否定するものであったのかもしれない。俺はステラの頬を触りながら



「ごめんねステラ。そんなつもりは無かったんだ。只純粋に…君達の事を思って…」

俺のその言葉にニコッと微笑むステラは、軽く首を横に振り、



「いいのです。今は葵様の事が…良く解りますから…すごく近くに…」

そう言って、俺の手を握りながら、優しく微笑むステラ。



「…なにか吹っ切れました。葵様にすべてを話して…」

そう言ってフフッと笑うステラは



「…明日、ここを出て行こうと思います。勝負に負けたら出ていくと、リーゼロッテ様とマルガ様に約束しましたので」

その言葉に激しく動揺しているミーアとシノンは、大きな瞳に涙を浮べている。



「葵様…お世話になりました…そしてありがとうございました」

そう言って俺に優しいキスをするステラ。



「…初めて人を好きになったのかも知れません。…それが葵様で良かった…」

「私も…葵様が…」

「シノンもです…」

そう言って、ミーアとシノンも俺に優しく、キスをしてくれる。

俺は、そのステラ、ミーア、シノンの表情を見て、胸が締め付けられる。

そして、無意識に、彼女達3人を抱きしめていた。それに軽く戸惑っている3人。



「嫌だ…嫌になった。君達を手離したく無くなった。可愛い君達をずっと…好きでいたい。俺だけの物にしたい。だから…最後に…もう一度…俺にチャンスをくれないか?」

俺の言葉に激しく瞳を揺らしているステラ、ミーア、シノンは静かに頷く。



「君達もマルガやリーゼロッテの様に選ばせてあげる。…君達には2つの道を選ばせてあげる。二つの道というのは、このまま俺の奴隷として、永遠に俺に服従するか、奴隷から解放されて自由に生きるかだ。自分の意思で俺に永遠の服従を誓うのか、自由を選ぶのか。奴隷から解放されて自由を選ぶなら、多少のお金も持たせてあげる」

俺は静かにステラ、ミーア、シノンを見つめる



「俺の物になったら、もう解放はしてあげない。俺だけの物にして、俺以外には触れさせないし、心も開かせない。全て…俺だけの物にしたい…多分…ううん、好きになったと思う…ステラ、ミーア、シノンの事が」

その言葉に、大きく可愛い瞳を、涙で揺らしているステラ、ミーア、シノン。



「…やっぱりだめかな?こんな俺じゃ?」

「「「そんな事はありません!!!」」」

いつかの様に、声を揃えて否定する、ステラ、ミーア、シノン。



「私達の気持は…決まっていますが…リーゼロッテ様とマルガ様が…どう言うか」

そう言って、俯くステラに、同じ様にシュンとなっているミーアにシノン。

俺はそんな3人の頭を優しく撫でながら



「それは心配しなくても良いんじゃないかな?」

「え…ですが…勝負は…」

「大丈夫…それは引き分けだから…」

そう言って微笑む俺を見て、キョトンとしている、ステラ、ミーア、シノン。



「引き分け?」

「うん。俺は結果的に、ステラ、ミーア、シノンの可愛い魅力に負けて、ずっと手元…一緒に居たいと思わされたけど、俺にはどちらかなんて選べないし、どっちも好きなんだもん」

その言葉を聞いて、あっけにとられているステラ、ミーア、シノン



「俺がどちらか選ばなければ、勝負の結果なんてでないしね。このままずっと膠着状態でも良いしね~。答えさえ出さなければなんとでもなるし…それに…」

「それに…なんですか?葵様?」

俺の言葉に首を傾げるステラ、ミーア、シノン。



「そんな契約は無効だと、君達やリーゼロッテ、マルガの主人である俺が『命令』すれば、勝負事態、無かった事に出来るしね。主人の命令は絶対。絶対の前に、契約という未確定な約束事なんか消し飛んでしまうしね。…何か、リーゼロッテにその様な事言われなかった?」

俺の言葉を聞いたステラ、ミーア、シノンは、何かを思い出した様に頷く。



「そういえば…リーゼロッテ様がその様な事…言われてましたね…」

「やっぱり…なんて言ってたの?」

「言えません~女だけの秘密です!」

少し拗ね気味に言う可愛いステラにクラッとする。その俺の顔を見て、楽しそうなステラ、ミーア、シノン。



「…じゃあ、もう一度聞くね…君達には…」

「「「私達は、葵様の物です!葵様に全てを捧げます!好きです葵様!」」」

俺の言葉を遮って、声を揃えるステラ、ミーア、シノンは、凄く楽しそうだった。



「え…あ…」

「最後位は…葵様に勝ちたいのです。これも女の意地なのですよ葵様?」

ニコニコと可愛く微笑むステラ、ミーア、シノンの美しい顔は、水面に煌めく光と相まって、俺の瞳に眩しく写った。そして、真夏の日差しに雪が溶けた様に、なんだか可笑しくなって、俺とステラ、ミーア、シノンは、声を出して笑い合っていた。



「じゃ~とりあえず、皆の所に戻ろうか!冷やしておいた、果実ジュースや果物、蜂蜜パンが丁度良い頃合いになってるだろうしさ!」

「私は~果実ジュースと果物が食べたいです葵様!」

「シノンは~果実ジュースと蜂蜜パンが良いです~!」

ニコニコしながら俺に抱きつくミーアとシノンの可愛さは、リーゼロッテやマルガに匹敵するほどに感じた。そんな照れている俺を見て、クスクスと笑うステラjは



「私は全部食べたいですわ葵様!」

「あ~!それはずるいです~ステラ姉姉~!」

「そうなのです~シノンも食べたいです~ステラ姉様~」

若干拗ねているミーアとシノンを見て、クスクスと笑っているステラ。



「よし!じゃ~皆で全部食べよう!それにまだまだ湖水浴は始まったばかりだしね!一杯遊ぶよ!ステラ、ミーア、シノン!」

「「「ハイ!葵様!一杯遊びます!」」」

嬉しそうに声を揃えるステラ、ミーア、シノン。



俺とステラ、ミーア、シノンは、1つの浮き輪に寄り添いながら、皆で手を繋ぎ、覚えたてのバタ足で、マルガ達の元に帰っていくのであった。
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