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初めての朝帰り
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人生初の高級ブティックで
素敵なワンピとボレロと靴を買ってもらい……
そして更に生まれて初めての高価な宝石をプレゼントされて
しかも最後は有名なフレンチのレストランで、美味しいフルコースのお料理を食べさせてくれたのに
*****
最上階のスイートルームに誘われた事が怖かったから
ただそれだけの理由で璃音に嘘をついてサファイアホテルから逃げた玲は
いつもの様に一人ぼっちで帰宅して、その後お風呂で髪と身体を綺麗に洗い、
もちろん歯磨きも済ませて自分の部屋に入ったが……
この後わずか10秒で、突然いきなり溢れ始めた涙が止まらなくなったので
結局このまま夜中の12時をすぎるまで
自分の過ちを後悔しながらティッシュを片手にメソメソしていたが
いつまでもこんな風にグズグズと泣いていても仕方がないから この後すぐに
(あっ…もう日付けが…変わっていたの?
じゃあ今日は凄く遅い時間になったけど……
今から璃音さんにメールを送ってみようかな?
きっと私は嫌われているから無視されちゃうと思うけど、
でも短い文章を一回送るだけなら…メールをしても…いいよね?)
と勇気を出して璃音にメールを送信してみたが……
ものの2分で璃音から返信されたメールの内容は、
たった一言『俺はお前だけが欲しい』と書かれた短い文章のみ だったから
このメッセージを見た玲は、今すぐ直ちに覚悟を決めて、
このあと璃音が運転する車に乗って、彼の自宅マンションへと向かう事になったのだが
*****
龍崎プレジデントヒルズと呼ばれる豪華なマンションに到着した玲は……
「ここが~俺の…マ、マ、マンションだ。
そんなに緊張しなくていいから早くスリッパを履けよ玲、
今から一緒に~、あっちのリビングで、うまい水でも飲もうじゃないか」
なんだかとても上機嫌な璃音に玄関のドアを開けてもらって
めちゃくちゃ綺麗な玄関ホールで靴を脱いでスリッパを履いた後
ホテルみたいに広い廊下を無言で歩いてリビングの中に入ったけれど、
まるで王侯貴族のお城みたいに絢爛豪華な部屋の中で……
なんと、いきなり、突然に!
(えっと この部屋に飾られている絵画はきっと、
ルノワールとシャガールと、クロード・モネの作品だよね?)
オタクのコミュ障でも知っている、世界的に有名な絵画を発見したから
あまりにもビックリしすぎて石像みたいに固まったのに、そんな玲の真後ろで……
「えーと……これが~一応ソファーだ……。
それで~、あの絵はル、ル、ルノワールだ。
じゃあ、そろそろ俺と一緒に…えっと…み、み、水を飲むかい?」
なんとも素晴らしいタイミングで璃音は水を取りに行ったので
今世紀最大級に緊張している姿を運良く見られなかった玲は、
ほんの少しだけ心が楽になったけど、結局、このあと、案の定、
(ルノワールとシャガールの絵画を飾ったリビングなんて初めて見たよ……
しかも璃音さんのお部屋はペントハウスだから、最上階のフロア全部が彼の部屋だし、
なんか こんな凄いマンションに、なんの取り柄もないコミュ障の私が居てもいいのかなぁ)
やはり豪華すぎるこの部屋は、
ボッチのコミュ障には100年くらい早い気がしたから
(璃音さんは本当に こんな私の事が欲しいの?幻滅されたらどうしよう!)
こうして遂に対人スキルの限界を突破した玲は……
ガタガタと震えながら無言で下を向く事しか出来なくなったのに
そんなヘタレの負け犬みたいな玲の身体を璃音は優しく抱きしめてくれたので
この後ソファーで隣に座った璃音から、お前が欲しいと言われた玲はこのままの勢いで、
少し激しいキスをされた後すぐに、そのまま広いベッドに運ばれて……
そして遂に、人生初の熱い夜を璃音と一緒に過ごした後で
これまた人生初めての、
朝の5時にドキドキしながら帰宅する事で有名な朝帰りをリアルに経験したのだが、
*****
残念な事に玲の自宅は今日も安定の無人だったので
全くドキドキできない状態で初めての朝帰りを果たした玲は
帰宅早々リビングのソファーに座って冷えた緑茶を飲んだ後
殺風景な白い壁にテープと画鋲で乱暴に貼り付けられた
百円ショップのゴッポ&モネモネ犬猫カレンダーを複雑な心境で見ていたけれど
そんな事よりも……
(あっ!そう言えば今日から7月に入るんだっけ?)
今日が7月1日になっている事に気が付いたので
6月のモネモネ子猫のカレンダーを一気に破った後ですぐ
7月のヒマワリ犬が描かれた意味不のページに変えている途中で ふと……
(いや…ちょっと待って?
確か龍崎ビルの落成式典は7月10日だったから
つまり璃音さんの金塊が謎の実行犯に強奪される日まで、
あと たったの9日だけしか時間が残されていないって事なの?)
このタイミングで銀次達の会話を思い出したので
(そもそも あと一週間やそこらで私に何が出来るって言うの?
…って言うか具体的に何をすれば、今すぐ実行犯を探し当てる事が出来るの?)
こうしている間にも段々と焦ってきた玲は、トムと蛍丸、
そして早瀬翔の飼い猫レイピアに、一刻も早くエスパーの件を報告する為に
(じゃあ今から自転車に乗って、大急ぎで河川敷に行ってみようかな?)
なんて事を思いながら慌ててソファーを立ち上がったのに、
次の瞬間 なんと、いきなり!
コンコンコン!
コンコンコン!
『おーい玲、すげぇ情報を持ってきたぞー』
突然リビングの窓にノックの音と、大好きな友達の声が聞こえたので
えっ?もしかしてトムなの?と返事をした玲が急いでカーテンを開けてみると
一階のウッドテラスに置いてある、ガーデンセットのテーブルの上で
とっても可愛いカラスのトムが、チョコンと止まって此方を見ていた事に気が付いた。
素敵なワンピとボレロと靴を買ってもらい……
そして更に生まれて初めての高価な宝石をプレゼントされて
しかも最後は有名なフレンチのレストランで、美味しいフルコースのお料理を食べさせてくれたのに
*****
最上階のスイートルームに誘われた事が怖かったから
ただそれだけの理由で璃音に嘘をついてサファイアホテルから逃げた玲は
いつもの様に一人ぼっちで帰宅して、その後お風呂で髪と身体を綺麗に洗い、
もちろん歯磨きも済ませて自分の部屋に入ったが……
この後わずか10秒で、突然いきなり溢れ始めた涙が止まらなくなったので
結局このまま夜中の12時をすぎるまで
自分の過ちを後悔しながらティッシュを片手にメソメソしていたが
いつまでもこんな風にグズグズと泣いていても仕方がないから この後すぐに
(あっ…もう日付けが…変わっていたの?
じゃあ今日は凄く遅い時間になったけど……
今から璃音さんにメールを送ってみようかな?
きっと私は嫌われているから無視されちゃうと思うけど、
でも短い文章を一回送るだけなら…メールをしても…いいよね?)
と勇気を出して璃音にメールを送信してみたが……
ものの2分で璃音から返信されたメールの内容は、
たった一言『俺はお前だけが欲しい』と書かれた短い文章のみ だったから
このメッセージを見た玲は、今すぐ直ちに覚悟を決めて、
このあと璃音が運転する車に乗って、彼の自宅マンションへと向かう事になったのだが
*****
龍崎プレジデントヒルズと呼ばれる豪華なマンションに到着した玲は……
「ここが~俺の…マ、マ、マンションだ。
そんなに緊張しなくていいから早くスリッパを履けよ玲、
今から一緒に~、あっちのリビングで、うまい水でも飲もうじゃないか」
なんだかとても上機嫌な璃音に玄関のドアを開けてもらって
めちゃくちゃ綺麗な玄関ホールで靴を脱いでスリッパを履いた後
ホテルみたいに広い廊下を無言で歩いてリビングの中に入ったけれど、
まるで王侯貴族のお城みたいに絢爛豪華な部屋の中で……
なんと、いきなり、突然に!
(えっと この部屋に飾られている絵画はきっと、
ルノワールとシャガールと、クロード・モネの作品だよね?)
オタクのコミュ障でも知っている、世界的に有名な絵画を発見したから
あまりにもビックリしすぎて石像みたいに固まったのに、そんな玲の真後ろで……
「えーと……これが~一応ソファーだ……。
それで~、あの絵はル、ル、ルノワールだ。
じゃあ、そろそろ俺と一緒に…えっと…み、み、水を飲むかい?」
なんとも素晴らしいタイミングで璃音は水を取りに行ったので
今世紀最大級に緊張している姿を運良く見られなかった玲は、
ほんの少しだけ心が楽になったけど、結局、このあと、案の定、
(ルノワールとシャガールの絵画を飾ったリビングなんて初めて見たよ……
しかも璃音さんのお部屋はペントハウスだから、最上階のフロア全部が彼の部屋だし、
なんか こんな凄いマンションに、なんの取り柄もないコミュ障の私が居てもいいのかなぁ)
やはり豪華すぎるこの部屋は、
ボッチのコミュ障には100年くらい早い気がしたから
(璃音さんは本当に こんな私の事が欲しいの?幻滅されたらどうしよう!)
こうして遂に対人スキルの限界を突破した玲は……
ガタガタと震えながら無言で下を向く事しか出来なくなったのに
そんなヘタレの負け犬みたいな玲の身体を璃音は優しく抱きしめてくれたので
この後ソファーで隣に座った璃音から、お前が欲しいと言われた玲はこのままの勢いで、
少し激しいキスをされた後すぐに、そのまま広いベッドに運ばれて……
そして遂に、人生初の熱い夜を璃音と一緒に過ごした後で
これまた人生初めての、
朝の5時にドキドキしながら帰宅する事で有名な朝帰りをリアルに経験したのだが、
*****
残念な事に玲の自宅は今日も安定の無人だったので
全くドキドキできない状態で初めての朝帰りを果たした玲は
帰宅早々リビングのソファーに座って冷えた緑茶を飲んだ後
殺風景な白い壁にテープと画鋲で乱暴に貼り付けられた
百円ショップのゴッポ&モネモネ犬猫カレンダーを複雑な心境で見ていたけれど
そんな事よりも……
(あっ!そう言えば今日から7月に入るんだっけ?)
今日が7月1日になっている事に気が付いたので
6月のモネモネ子猫のカレンダーを一気に破った後ですぐ
7月のヒマワリ犬が描かれた意味不のページに変えている途中で ふと……
(いや…ちょっと待って?
確か龍崎ビルの落成式典は7月10日だったから
つまり璃音さんの金塊が謎の実行犯に強奪される日まで、
あと たったの9日だけしか時間が残されていないって事なの?)
このタイミングで銀次達の会話を思い出したので
(そもそも あと一週間やそこらで私に何が出来るって言うの?
…って言うか具体的に何をすれば、今すぐ実行犯を探し当てる事が出来るの?)
こうしている間にも段々と焦ってきた玲は、トムと蛍丸、
そして早瀬翔の飼い猫レイピアに、一刻も早くエスパーの件を報告する為に
(じゃあ今から自転車に乗って、大急ぎで河川敷に行ってみようかな?)
なんて事を思いながら慌ててソファーを立ち上がったのに、
次の瞬間 なんと、いきなり!
コンコンコン!
コンコンコン!
『おーい玲、すげぇ情報を持ってきたぞー』
突然リビングの窓にノックの音と、大好きな友達の声が聞こえたので
えっ?もしかしてトムなの?と返事をした玲が急いでカーテンを開けてみると
一階のウッドテラスに置いてある、ガーデンセットのテーブルの上で
とっても可愛いカラスのトムが、チョコンと止まって此方を見ていた事に気が付いた。
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