竜殺しの料理人~最強のおっさんは、少女と共にスローライフを送る~

おとら@ 書籍発売中

文字の大きさ
上 下
26 / 64
おっさん、異世界生活を始める

おっさん、人助けをする?

しおりを挟む
 軽く早歩きをしつつ、都市の南口に向かう。

 そして、門の人に冒険者カードを見せる。

 おそらく、俺と同年代くらいの男性だ。

「すみません、依頼で外に出たいのですが……」

「おっ、見ない顔だな?」

「申し遅れました、新人冒険者のソーマと言います」

「て。丁寧にどうも。俺の名前はモンドだ。しかし、その歳で新人か……頑張れよ?」

 そう言い、俺の肩を軽く叩く。
 表情や態度からいって、バカにしてるような感じではない。
 どうやら、悪い人ではなさそうだ。

「お気遣いに感謝します。それと、申し訳ないのですが、薬草がどこにあるか聞いても良いでしょうか?」

「おいおい、そんなことも知らないのか……ったく、仕方ない。この門を出て少し南に行く。すると、そこから森に続く看板があるはずだ。あとは道を辿っていけば良い」

 なるほど……確かに、ここにくる途中にいくつか看板があったな。
 その時は他の話をしていたから聞けなかったが。

「ありがとうございます。それでは行ってみようと思います」

「おうよ、気をつけてな。行っておくが、一番近くの森に行くのは良い。ただ、奥の方には行くなよ? そこにはコボルトやオークなんかもいる。そいつらは弱いとはいえ、新人にとっては強敵だ」

「なるほど……わかりました、気をつけたいと思います。色々とありがとうございました」

「良いってことよ」

 門番……モンドさんにお礼を言った俺は、都市を出て森へと向かうのだった。




 その道中では、特に何もなく……すんなりと森の前に到着する。

「魔物も魔獣もいなかったな。まあ、都市周辺だから当たり前か」

 都市に来られても困るし、冒険者達も都市が近い方が狩るのは楽だ。
 おそらく、すぐに狩られてしまうのだろう。

「さて、目的の薬草を探すか」

 依頼書に書かれた絵があるので、それを頼りに森を歩いていく。
 その道中にて、キノコを発見する。

「おっ、キノコだ……ただ、食べられるか分からん。いや、俺は何を食べても問題ないんだっけ?」

 そういえばステータスに書いてあったし。
 体力が高ければ、身体が丈夫で状態異常になることもないとか。

「ふむ……とりあえず、少しだけ拾っておこう」

 薬草を入れるように持ってきておいた籠とは別に、キノコを入れる。

「おっ、あれはなんだ?……どう見ても果物だな」

 オレンジらしき果物があるので、それも籠に入れる。

「そういや、アイテムボックスみたいのはないのか? その辺も、あとで聞いてみるか」

 そんなことを考えつつ歩いてると、目的の薬草を発見する。

「……おし、色や形共に問題なし。これを、根元から引き抜くと」

 グッと掴んで、上ではなく横に引っ張るイメージで引っこ抜く。
 そうすれば、こういう系は綺麗に取れると習った。

「よしよし、問題なしと……ん?」

 その時、何か叫び声が聞こえたような気がした。

「……悲鳴か?」

 さて、どうする?
 冒険者とは、基本的に自己責任だ。
 依頼を受けるのも自分だし、それで死ぬことになっても自分が悪い。
 それに巻き添えを食う可能性もある。

「……だが、俺なら平気か。それに、知らんぷりをするような真似はしたくない」

 そうと決めた俺は、その声のする方へと駆け出していく。

 すると、何やら犬の化け物に襲われてる人を発見する。

「アルト! 私は良いから!」

「ガァァァ!」

 おそらく、あれがコボルトとかいう魔物か。
 二足歩行で全身が毛に覆われていて、生意気にも剣なんか持っている。
 メンバーは二人で、一人が怪我をしているのか。

「く、くそ! なんでこんなところにコボルトソルジャーが! 俺が引きつけるからお前だけでも逃げろ!」

「い、いやよ!」

 ……助けに来て正解だ、良い若者じゃないか。

 俺はそのまま、少年を庇うようにコボルトの前に立つ。

「だ、誰だ!?」

「ただのおっさんだよ」

「ガァァァ!」

「邪魔だ、若い芽を摘むんじゃない」

 クレアさんに譲ってもらった剣で、相手が剣を振るう前に——叩き斬る!

「グギャァァァ!?」

 身体に一直線の傷ができ……魔石となるのだった。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

勇者様、旅のお供に平兵士などはいかがでしょうか?

黒井 へいほ
ファンタジー
 ミューステルム王国に仕える兵であるラックス=スタンダードは、世界を救うために召喚された勇者ミサキ=ニノミヤの仲間として共に旅立つ。  しかし、彼女は勇者ではあるが、その前に普通の少女である。何度も帰りたいと泣き言を言いながらも、彼女は成長していった。  そして、決断をする。  勇者になりたい、世界を救いたい、と。  己が身に魔王の魂を宿していたことを知ったラックスだが、彼もまた決断をした。  世界を救おうという勇者のために。  ずっと自分を救ってくれていた魔王のために。  二人を守るために、自分は生きようと。  そして、彼らは真の意味で旅立つ。  ――世界を救うために。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...