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おっさん、異世界生活を始める
おっさん、絡まれる?
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無事に冒険者登録も終えたが、まだクレアさんは戻っていない。
なので、ついでに聞いてみる。
「すみません」
「はい、なんでしょう?」
「初めに受けた方が良い依頼ってありますか?」
「そうですね……まずは雑用系とかですね」
「わかりました。それでは、何か依頼表を見てきますね」
「こちらから斡旋もできますが……」
「ありがとうございます。とりあえずは、自分で確認してからにします」
流石に異世界に来たから、不躾に色々と聞いてきてしまったが……。
個人的に、なんでもかんでも聞くのは違う。
まずは自分で調べたり、実行や確認して、それでもわからなかったら誰かに頼るものだ。
「わかりました。それでは、待ちしてますね」
「はい、色々とありがとうございました」
ひとまず挨拶をして、右側にある掲示板を眺めと……。
そこには受付に近い左奥から順に、ランク別に紙が貼ってある。
もちろん俺は、入り口付近の一番下のランクを眺めることになる。
「まずは近隣の住民と接していかないとかな? あとは、地理関係も知っておかないと」
冒険者をやるにしても、飲食店をやるにしても顔を売る行為は大事だ。
特に俺みたいな見た目と、よそから来た者には。
コツコツと仕事をして、少しずつ人柄を知ってもらわないと。
そうしないと、いざ店をやるときに困る。
「そうなると街の清掃、家の片付け、急募薬草取り……この辺りが良いか」
ひとまず、それら3枚の紙を剥がす。
あとは、これを受理して貰えば良いってことだ。
「……ん? なんだ?」
視線を感じたので、そちらを見ると……。
「ププッ……あのおっさん、清掃とか片付けだってよ」
「ギルドマスターの部屋に呼ばれるから、どんな奴が来たのかと思えば……」
「なんてことない、ただの新人のおっさんか」
……ああ、そういうことか。
まあ、仕方ない。
前の世界でも、三十五歳はおっさんだし。
すると、何やら若い男性が近づいてくる。
「おい、おっさん」
「うん? 俺のことかな?」
確かに目の前の男性は、俺より随分と若い……多分二十五歳前後。
身長175、体重は80キロってところか。
ゴツイ体に、精悍な顔つきをしている。
ただ、纏ってる空気感はあまり良くない。
少しやさぐれている感じだ。
「ああ、そうだよ。なに、ジロジロ見てんだよ?」
「いや、すまない」
「ちっ、良い歳こいて冒険者か? そんな甘いもんじゃないぜ?」
「忠告感謝するよ。それじゃ、俺は依頼を受けるので」
これ以上目立つのは良くないと思い、俺が動こうとすると……その男に肩を掴まれる。
「おい、待てよ」
「うん? 何か用かな?」
引っ張られるので、少し力を入れて立ち止まる。
当然……俺の身体が動くことはない。
「おっ!? ……このおっさん」
「それじゃ」
そして、急激に力を抜けば……彼が尻餅をつく。
「ま、待て……とっ!?」
「おいおい! ダイン、何やってんだよ?」
「絡んだ癖にダセー」
「悪いね、急いでるもので」
彼が周りの冒険者達に野次を飛ばされているのを尻目に、俺は先ほどの受付に向かう。
「アリスさん、依頼をお願いします」
「この方……今の攻防だけでわかりますね」
俺が話しかけるが、どこか上の空といった感じだ。
多分だけど、さっきのことについて考えているのかも。
「アリスさん?」
「あっ、ごめんなさい!」
「すみません、早速問題を起こしそうになって……」
「いえいえ、あれくらいは日常茶飯事なので。では、依頼を確認します……うんうん、良いですね。ちなみに、都市のことや人々を知るためですか?」
「ええ、そうです。まずは、そこから始めようかと思っています」
「ふふ、良い心がけですね」
そんな会話をしつつも、慣れた手つきで書類にハンコやサインを書いていく。
「はい……これで受理されました。あとは、その紙を持って指定の場所にいけば良いです。今日はもう夜なので、明日からよろしくお願いします」
「わかりました。それでは、明日から頑張ります」
冒険者か……年甲斐もなく、楽しみになってきたな。
なので、ついでに聞いてみる。
「すみません」
「はい、なんでしょう?」
「初めに受けた方が良い依頼ってありますか?」
「そうですね……まずは雑用系とかですね」
「わかりました。それでは、何か依頼表を見てきますね」
「こちらから斡旋もできますが……」
「ありがとうございます。とりあえずは、自分で確認してからにします」
流石に異世界に来たから、不躾に色々と聞いてきてしまったが……。
個人的に、なんでもかんでも聞くのは違う。
まずは自分で調べたり、実行や確認して、それでもわからなかったら誰かに頼るものだ。
「わかりました。それでは、待ちしてますね」
「はい、色々とありがとうございました」
ひとまず挨拶をして、右側にある掲示板を眺めと……。
そこには受付に近い左奥から順に、ランク別に紙が貼ってある。
もちろん俺は、入り口付近の一番下のランクを眺めることになる。
「まずは近隣の住民と接していかないとかな? あとは、地理関係も知っておかないと」
冒険者をやるにしても、飲食店をやるにしても顔を売る行為は大事だ。
特に俺みたいな見た目と、よそから来た者には。
コツコツと仕事をして、少しずつ人柄を知ってもらわないと。
そうしないと、いざ店をやるときに困る。
「そうなると街の清掃、家の片付け、急募薬草取り……この辺りが良いか」
ひとまず、それら3枚の紙を剥がす。
あとは、これを受理して貰えば良いってことだ。
「……ん? なんだ?」
視線を感じたので、そちらを見ると……。
「ププッ……あのおっさん、清掃とか片付けだってよ」
「ギルドマスターの部屋に呼ばれるから、どんな奴が来たのかと思えば……」
「なんてことない、ただの新人のおっさんか」
……ああ、そういうことか。
まあ、仕方ない。
前の世界でも、三十五歳はおっさんだし。
すると、何やら若い男性が近づいてくる。
「おい、おっさん」
「うん? 俺のことかな?」
確かに目の前の男性は、俺より随分と若い……多分二十五歳前後。
身長175、体重は80キロってところか。
ゴツイ体に、精悍な顔つきをしている。
ただ、纏ってる空気感はあまり良くない。
少しやさぐれている感じだ。
「ああ、そうだよ。なに、ジロジロ見てんだよ?」
「いや、すまない」
「ちっ、良い歳こいて冒険者か? そんな甘いもんじゃないぜ?」
「忠告感謝するよ。それじゃ、俺は依頼を受けるので」
これ以上目立つのは良くないと思い、俺が動こうとすると……その男に肩を掴まれる。
「おい、待てよ」
「うん? 何か用かな?」
引っ張られるので、少し力を入れて立ち止まる。
当然……俺の身体が動くことはない。
「おっ!? ……このおっさん」
「それじゃ」
そして、急激に力を抜けば……彼が尻餅をつく。
「ま、待て……とっ!?」
「おいおい! ダイン、何やってんだよ?」
「絡んだ癖にダセー」
「悪いね、急いでるもので」
彼が周りの冒険者達に野次を飛ばされているのを尻目に、俺は先ほどの受付に向かう。
「アリスさん、依頼をお願いします」
「この方……今の攻防だけでわかりますね」
俺が話しかけるが、どこか上の空といった感じだ。
多分だけど、さっきのことについて考えているのかも。
「アリスさん?」
「あっ、ごめんなさい!」
「すみません、早速問題を起こしそうになって……」
「いえいえ、あれくらいは日常茶飯事なので。では、依頼を確認します……うんうん、良いですね。ちなみに、都市のことや人々を知るためですか?」
「ええ、そうです。まずは、そこから始めようかと思っています」
「ふふ、良い心がけですね」
そんな会話をしつつも、慣れた手つきで書類にハンコやサインを書いていく。
「はい……これで受理されました。あとは、その紙を持って指定の場所にいけば良いです。今日はもう夜なので、明日からよろしくお願いします」
「わかりました。それでは、明日から頑張ります」
冒険者か……年甲斐もなく、楽しみになってきたな。
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