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変化する義妹との関係

夏です

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 それから幾日か過ぎ……。

 梅雨が明けて——夏がやってきた。





 七月の暑い気温の中、、エアコンの効いた我が家は戦争中である。

「ま、待ってぇぇ——!」

 リビングの中を、うさぎが縦横無尽に走り回っている。
 春香は必死に捕まえようとしているが……全く追いつけていない。

「わぁ! オトメちゃん速いお!」

「おぉ……まさしく脱兎の如くってやつだな」

「お兄ちゃん! 見てないで手伝ってよぉ~!」

「おっと、悪い悪い……よっと」

 オトメの進行方向に前もって手を出して、軽く捕まえる。

「………」

 抱き上げたが、その顔は『なんで!?』と不満そうである。
 気のせいかもしれないが、段々とわかってきた気がする。

「す、すごい……どうして?」

「追っかけ回すから逃げるんだよ。静かに待って、相手が来るのを待つんだよ。まあ、恋愛と一緒かもな」

「そ、そうなんだ……」

「おじたん! 詩織も!」

「良いか? 優しく抱っこするんだぞ? 少し大きくなったとはいえ、まだまだ子供なんだからな?」

「あいっ!」

 詩織に抱かせてみると……。

「………」

 目を閉じ、うっとりとした表情に見える。

「ふふ、大分懐いたのかな?」

「まあ、そうかも。きちんと世話もしてるしな」

「こういうのを部屋んぽっていうんだよね?」

「ああ、たまに出してあげないとストレスになっちゃうからな」

 この家にも慣れてきたし、身体も大きくなってきたので、最近は部屋んぽをさせている。

「ふぅ……」

「それにしても……相変わらず運動神経良くないのか?」

 なんと言うか、動きが鈍臭い。

「うぅー……はぃ」

「ところで、時間は良いのか? 友達と遊ぶんだろ?」

「あっ——いけない! いっ、行ってくるね!」

 バタバタと準備をして、慌ただしく出て行った。
 ウンウン、友達と遊ぶことも大事だからな。

「あれ? おねえたんは?」

「出かけるってさ。今日は、おじたんと遊ぶか?」

「あいっ!」

「じゃあ、オトメちゃんの小屋掃除をやってみるかね」

 いつもは俺か春香がやっているが、そろそろやらせても良いだろう。

 オトメを抱きつつ、詩織に説明をしながら思う。

 ……どうも、最近の俺はやばい。

 春香に対して……その、あれだ……意識してしまう。

 ふとした横顔や、寝顔なんかを見るときに……。

 春香に待つと言った俺の方が……待てないかもしれん。




 ◇◇◇◇◇◇



 家を出たわたしは、急いで電車に乗ります。

「ふぅ……間に合ったぁ」

 電車に揺られながら、ここ最近のことを考えます。

 最近、お兄ちゃんに見られている気がすること……。

 よくわからないけど、避けられる時があること……。

「舞衣ちゃんに、相談してみようっと」




 舞衣ちゃんのよ最寄りの駅で降りて、待ち合わせの場所に向かうと……。

「あら、きたわね」

「ご、ごめんね! 待ったよね?」

「少しだけだから平気よ。でも、理由を聞こうかしら?」

「その、うさぎと追いかけっこしてたら……」

「あら、良いわね。今度、私も見に行っても良い?」

「えっ? ……うん! お兄ちゃんも連れてきなさいって!」

「じゃあ、そのうちお邪魔させてもらおうかしら。とりあえず、移動しましょう」




 舞衣ちゃんについていくと……ひと気のない通りに、お洒落な喫茶店がありました。

「うわぁ……こういうのって、レトロっていうんだよね?」

「そうね。昔ながらの喫茶店ってやつね。ここ、静かで良いのよ」

 店に入って、一番かどの席に座ります。

「で、首尾はどう? 告白して、 一応オッケー的なものはもらったのよね?」

「う、うん……ただ、未成年だからって」

「まあ、そうよね。でも、良かったじゃない。最近いるような無責任な男じゃなくて」

「そ、それは、そうなんだけど……」

「まあ、わかるわよ。今すぐ付き合ってほしいのよね?」

「う、うん……」

「じゃあ——結婚しかないわね」

「ふえっ? ……えぇ!?」

「はい、静かに」

「で、で、でも……!」

「それしか方法はないわ。幸い、八月十日が誕生日でしょ?」

「そうだけど……」

「なら、それまでに相手をその気にさせれば良いのよ」

「お兄ちゃんをその気に……?」

「ええ。あと、結婚までいかなくても、確か婚約して……双方の親が認めてくれたら付き合っても問題ないはずよ」

「そ、そうなの?」

「ええ、そうよ。私の彼氏も、来年には成人するから色々と調べたから」

「あっ、そうだよね……でも、どうしたら良いんだろ?」

 あんまり攻めても、お兄ちゃん嫌がるかもだし……。
 せっかく、待っててくれるって言ったから、それを壊すのも……。
 でも、今すぐに恋人になりたいし……。

「だから、あっちからいわせるのよ」

「ふえっ?」

「幸い、もう夏だわ。つまり、夏休み……そう、水着ね」

「み、水着……」

「折角、育ってきたんだから使わない手はないわ」

「あぅぅ……」

 た、確かに……最近、ブラのサイズが変わったけど。

「男ってのは単純よ。どんなに紳士だろうが、それからは逃れられないはず」

「そ、そうなのかな?」

「ええ、間違いないわ。というわけで、水着を買いに行きましょう」

 うぅ……お兄ちゃんの前で水着……? 
 は、恥ずかしいよぉ……そもそも、プールって苦手だし……。

「でも……が、頑張る!」

「よく言ったわ。じゃあ、行くわよ」

 舞衣ちゃんに連れられて、お店を出ていきます。

 よ、よーし! お兄ちゃんをドキッとさせるんだから!
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