アラサー独身の俺が義妹を預かることになった件~俺と義妹が本当の家族になるまで~

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変化する義妹との関係

春香視点

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 へ、平気かな?

 今頃、店に来てる頃だよね?

 わたしは、部屋の中をウロウロしながら一週間前のことを思い出す。




 和也さんと、加奈子さんと美沙さんの四人でお話をしてました。

「はい! 告白をしましたね!」

「あぅぅ……」

「春香ちゃん、偉かったわね」

「うんうん、これで兄貴も……そう上手くはいかないっすね」

「そこなんですよねー、相変わらずガードが固いです」

「やっぱり、誰かが背中を押してやらないとダメだわ」

「でも、私たちではもう一歩が踏み込めないですよねー。あくまでも、雇い主と雇われの身ですから。別に苦言を呈したとしても、大将は嫌な顔はしないとは思いますけど」

「そうっすね。あんまり強くいうのもアレかもしれない。なんか、兄貴をみんなで責めてるような感じになっちゃいますし」

「わ、わたしは、それなら……そんなつもりは無くて」

「わかってますよー。ただ、このままだと殻に閉じこもってしまいそうですよねー」

「うーん、宗馬君の殻を破ってくれる人で、ここの人と関係がない人……」

「あっ——」

「和也さん? 何か浮かびましたかー?」

「いや、しかし……でもなぁ……そういや、連絡は受けたんだよなぁ」

「煮え切らないですねー?」

「何か心当たりがあるなら教えて欲しいわ」

「えっと……兄貴の元カノさんから連絡がありまして。俺にとっても、高校の先輩なんです」

「えっ? ……お、お兄ちゃんの?」

 な、なんだろ!? よりを戻したいとか!?
 うぅー……だったらどうしよう?

「あっ、まずはよりを戻したいとかじゃないっす」

「では、何ですかー?」

「いや、電話がありまして……結局、店は開いたのかと聞かれ……その際に色々と根掘り葉掘り聞かれまして……あの人には逆らえないっす」

 こ、怖い人なのかな? どんな人なんだろ? 
 会ってみたいような、会いたくないような……。

「それで、どうしたんですかー?」

「いや……何か力になれるなら言ってちょうだいと。ものすごい男前な人なんすよ」

「へぇ……じゃあ、発破をかけてもらいましょう」

「あら、良いわね~。じゃあ、私達で色々聞きたいことを考えましょう」

 そして、あれよこれよのうちに話が進んでいきました。





 ……で、その日を迎えたんだけど。

「うぅー……やっぱり、よりを戻すとか言わないかなぁ?」

 お兄ちゃんカッコいいもん。
 特に腕回りとか……舞衣ちゃんにはマニアックねって言われたけど。
 そんなに変かな? 血管とか、筋肉の筋とか素敵だと思うんだけど。

「もうきたよね? ……行ってみようかな? どっちにしろ、バイトには行くんだし……」

 結局、会うか会わないか迷ったけど……気になるもん。

 意を決して、わたしが階段を下りていくと……。

 店の外で、和也さんと女性がお話をしてました。

「由香里さん、ありがとうございました!」

「いいのよ、和也君。私こそありがとう。ずっと、心の何処かで引っかかってたから。私が別れを切り出さずに、無理矢理にでも付いていけば良かったかなって。ただ、私とあいつじゃ喧嘩別れになってたかもね。でも、和也君がいてくれて良かったわ。店自体は上手くいってるみたいだしね」

「いえいえ、俺なんか……あっ、春香ちゃん」

「えっ? ……貴女がそうなのね」

「えっと、別に盗み聞きをしてたわけじゃないんです!」

「ふふ、わかってるわよ。へぇ、随分と可愛らしい子ね。私とは全然違う」

 その女性は、とっても綺麗な方でした。
 背筋も伸びて、カッコいい大人の女性って感じで。
 お、お兄ちゃんは、こういう人がタイプなのかな?

「あ、あの……」

「平気よ、私もあいつもお互いにそういう興味はないから」

「ほっ……あっ——」

「クスクス……」

「わ、笑われちゃった……」

「ごめんなさいね、つい初々しくて。一応、発破はかけておいたから。あとは、あいつ次第ね」

「あ、ありがとうございました!」

「いいのよ、ずっと気になってたから。まあ、あのまま付き合ってても上手く行かなかっただろうし……これで、私も前に進めるわ」

 ……そっか、別れたけどずっと気にしてたのかも。

「じゃあ、これで。私がいうのも筋違いだけど、あいつのことよろしくね」

 それだけ言うと、颯爽と歩いて行きました。

「春香ちゃん、まだ時間あるから兄貴のところに行ってきな」

「は、はい」

「俺はここでお客さんが来るまで待ってるから。それまで、ゆっくり話すと良いよ」

「あ、ありがとうございます!」

「礼を言うのはこっちの方だよ。兄貴、ここんところ楽しそうだからね」



 わたしが店に入ると……難しい顔をしたお兄ちゃんがいました。

「……ん? ああ、春香か」

「あ、あのね、元カノさんに会ったよ」

「そうか……まったく、全員グルってことか」

「あのね! みんな悪気はなくて……」

「わかってるよ。俺がうじうじしてるからなのは。あんな状態で仕事をしてたんじゃみんな迷惑」

「違うよ!」

「春香?」

「みんな、お兄ちゃんが好きだから! だから……!」

「そうか……うん、そうだな。俺の悪い癖だな」

「お兄ちゃん……」

「そうだな……まだ時間はあるか。少し話でもするか?」

「う、うん」

 わたしは覚悟を決めて、お兄ちゃんの対面に座ります。

 ……何を言われてもいいように。
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