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変化する義妹との関係

そして……

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 うーむ……よく考えたら、これってどう見られているんだ?

「お兄ちゃん? どうしたの?」

「いや、何でもない。それにしても懐かしいなぁ。ジェットコースターに乗れなくて泣いてたっけ」

 身長制限で乗れなくて、駄々をこねてたよなぁ。

「な、泣いてないもん!」

「いやいや、泣いてたから。それで、大きくなったら連れて行くって約束を……ごめんな、すっかり忘れていた」

 あれ以来連れて行ったことはない。
 俺はよくわからない孤独感に襲われ、一刻も早く家を出ようと準備を始めたからだ。

「お兄ちゃん……ううん、約束守ってくれたよ?」

「なに?」

「だって——今、二人で歩いてるもん」

「なるほど……十年も待たせてしまったがな」

 二人で思い出話をしていると、色々なことを思い出す。
 兄貴達に、きちんと愛されていたこと。
 苦労はかけたが、邪魔者になどされていなかったこと。
 俺が助けるつもりが、精神的に春香に助けられていたこと。
 詩織が生まれたタイミングはたまたまだったのかもしれないこと。
 あの兄貴達が、そんなあからさまなことをするわけがないこと。





「キャ——!!??」

「うぉぉぉ!!??」

 ゴー!という轟音とともに、物凄い風を感じる!
 まあつまり……ジェットコースターですね。


「ぜぇ、ぜぇ……舐めてたぜ」

「楽しかったね!」

「そ、そうか」

 こ、これが年齢差ってやつか。
 俺も十代の頃は、何十回と乗っても平気だったんだが。

「お兄ちゃん、こういうの得意じゃなかった?」

「そうだったはずなんだが……俺も、おっさんだからなぁ」

 自分では若いつもりでも、こういう時に実感する。
 春香とは、十歳も離れていることを。
 やはり……春香には、もっと同年代の男の人のが良いのかもしれない。
 俺みたいな……いやいや! そもそもそういうアレではないし!

「はぁ……」

「わ、わたし、飲み物買ってくるね!」

「お、おい!?」

 しまいには、気を遣わせてしまった。

「はぁ……俺は、一体どうしたら良い? いや、どうしたいんだ?」

 春香の気持ちには、何となく気づいてはいる。
 しかし、それを受け入れるわけにはいかない。
 あいつは義妹であり、兄貴達の大事な娘だ。
 大恩ある家族を崩壊させるわけにはいかない。




「ん? ……遅いな」

 ジュースを買うのに、そんなに時間がかかるか?
 ……様子を見に行くとするか。




「ま、待ってる人がいるので……」

「いないじゃん!」

「そうそう、置いてかれたんだよ」

「そうじゃなくて……」

 気がついた時——俺は駆け出していた。

「おい」

「あっ——」

「何だよ!?」

「邪魔すんなよ!」

「邪魔はお前達だ。こいつは俺の連れだ——失せろ、ガキ共」

「な、なんだよ、そうならそうって言えよ!」

「だから言ったじゃねえか! こんな可愛い子が一人でいるわけがねえって!」

「うるせー!」

「俺は失せろと言ったが?」

「「す、すいませんでしたー!!」」

 まったく、近頃の若者はなってない。
 女の子のナンパの仕方も知らんのか。

「お、お兄ちゃん……」

「ちょっと来い」

「きゃっ!?」



 強引に春香の手を引き、ひと気のない場所に行く。

「えっと……ありがとぅ」

「お前、隙がありすぎじゃないか?」

「ふえっ?」

 なんだ? 俺は、どうしてこんなにもイライラしている?

「あんなのは無視してれば良い。もしくは、俺に連絡すれば良い」

「う、うん……」

「そんなんじゃ、そのうち痛い目にあうぞ? お前、もう高校生なんだからな? そういう目的で寄ってくる奴も増えるぞ?」

「ご、ごめんなさぃ……」

「どうして助けを呼ばない? 俺が来なかったらどうするつもりだった?」

「うぅー……」

 ……ああ! くそ! 泣かせてどうする!?

「その、あれだ……お前は可愛いんだから、もっと自覚をしろ」

「……ふえっ?」

「なに、不思議な顔をしてる?」

「だ、だってぇ……お、お兄ちゃんから見て……か、可愛いの……?」

「おい? 俺は怒っているんだが? なにをニヤニヤしてる?」

「えへへ……」

「はぁ……まあ、可愛いだろうよ」

 最初は、メキメキと大人っぽくなってきた。
 この年頃の二ヶ月の成長は大きい。
 少女から大人の女性へと、これから成長していくからだ。

「そ、そうなんだ……嬉しい」

「だから、まあ、気をつけろ。自分が年頃の男にとって、そういう対象だってことを自覚してくれ」

 成人した俺でさえ、風呂上がりなんかは戸惑うっての。

「は、はぃ……あぅぅ……」

「なあ、今までなかったのか?」

「ふえっ? ……うん、特には。でも、友達には守らなきゃとか言われてたかも」

 なるほど……庇護欲をかきたてられたか。
 おそらく、放って置けないと思われたのだろう。
 はぁ……兄貴のやつ、過保護に育てすぎたな。

「そっか、良い友達も持ったな。あの桜井さんも、良い子だしな」

「うん! いつも男子が来ると追い払っちゃうんだよ!」

 それは……お前を守るためだろうな。

「相変わらず、男子が苦手なのか?」

「う、うん……」

「俺は平気なのか?」

 言った後——すぐに後悔した。

「だっ、だって……お兄ちゃんのこと——好きだもん」

 こう言われることを恐れていたからだ。
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