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変化する義妹との関係
遊園地デート?
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翌週の土曜日になり、定休日を迎える。
つまり、遊園地に出掛ける日ということだ。
「詩織、餌や水は入れたな?」
「あいっ!」
「うさぎさんって、どれくらい平気なの?」
「一応調べたら、二日くらいは平気らしい。だから、今日ぐらいは平気だろう。それに、暗くなる前には帰ってくるしな」
「おとめちゃん! いってくるね!」
「良い子にしててねー」
二人が最後に頭を撫でたら出発である。
外に出ると……日差しが眩しい。
梅雨のど真ん中であるが、今日はいい天気のようだ。
「晴れてよかったな。さあ、行くとしよう」
今日は現地集合なので、そのまま三人で車に乗り込む。
他の四人は、亮司さんが車を出して送ってくれるそうだ。
三十分ほどで、遊園地に到着する。
「さて、みんなは……」
「大将~! こっちこっち!」
「待たせたか?」
「いえいえー、今来たところですよ……恋人みたいですね」
「こ、今野さん!?」
「春香ちゃん、冗談だよー」
「ふふ、相変わらず可愛いわ」
春香は、随分とこの二人に気に入られたようだ。
加奈子さんは、穢れがなくていいわとか言ってたな。
今野さんは、正統派美少女はレアキャラだよ!とかわけわからんこと言ってたな。
「兄貴! チケット買っておきました!」
「ありがとな、和也。悪かったな、お前まで付き合わせて」
「良いっすよ! というか、俺だけ仲間外れは嫌ですよ」
何故か、いつの間にか従業員全員で行くことになっていた。
まあ、たまには良いかもしれないが。
馴れ合い過ぎてもいけないが、ある程度仲良くもないとな。
「こんにちは、詩織ちゃん」
「みぃちゃん!」
十二歳である加奈子さんの娘さんも来ている。
何度か会ううちに、詩織も懐いたようだ。
「健二さん、こんにちは」
「ええ、春香さん。頑張ってくださいね」
「は、はぃ……」
健二君と春香か……あんまり会話してるの見たことないからレアだな。
男が苦手とか言ってたが……健二君には慣れてきたようだ。
まあ、歳の割に落ち着いているし……決して、嫉妬とかではない。
「亮司さんまで、ありがとうございます」
「いえいえ、お気になさらないでください。遊園地なんて子供の時以来ですから。年甲斐もなく、楽しみにしてましたよ。ただ、乗り物にはあまり乗りませんので。皆さんのフォローに回りますね」
まあ、還暦を過ぎてるからなぁ。
ジェットコースターとかは乗せられないかも。
というわけで、総勢9名での遊園地というわけだ。
……のはずだったが。
一体、どうしてこうなった?
何故か、二人でベンチに座っている。
「お、お兄ちゃん」
「うん?」
「嫌だった……?」
「いや、そんなことはない」
入るなり、春香がトイレに行きたいというので……。
何故か、俺が待つことになり……。
その間に、皆は何処かに行ってしまった。
ラインを送ったのだが……。
今日は春香ちゃんのご褒美なんだから、お願いを聞いてあげてと。
「えへへ、ごめんなさい。ここ、懐かしいからお兄ちゃんと二人で歩きたかったの」
「……そうか、そういやここだったな」
兄貴達が仕事で忙しく、遊びになんかにはいけなかった時……。
遊園地の特集を見てた春香が泣き出したんだっけ……。
「泣いてるわたしをお兄ちゃんが連れてきてくれたよね?」
「あれはいつだったか……俺が高校一年か。つまりお前は五歳くらいか……よく覚えているな?」
「わ、忘れるわけないもん。それに、今考えたら……お金だって、お兄ちゃんが払ってくれたんでしょ?」
「まあ……な。確か、初のバイト代で払った記憶がある」
「そうだったんだ……お兄ちゃん、色々とありがとう。わたし、お兄ちゃんがいたから寂しくなかったよ」
「そうか……」
いや、礼を言うのは俺の方かもしれない。
今考えれば……春香がいなかったら、寂しかったのは俺かもしれん。
「そ、それより……どうかな?」
「うん? ……ああ、似合っているよ」
トイレから戻ってきたら、俺があげたロングタイプの青のワンピースに着替えていた。
道理で、何か荷物を持っているかと思っていたが……。
「えへへ、良かったぁ……」
そう言い、耳に髪をかける。
その動作に——俺の心臓が跳ねる。
たった二ヶ月くらいで、随分と大人っぽくなってきた。
「そ、そういや、髪も伸びたな?」
「えっ? う、うん……」
セミロングだったが、今ではロングに近い。
「何か意味があるのか?」
「べ、別に……好きだって聞いたから」
「あん?」
尻窄みになって、後半が聞こえなかった。
「お、お兄ちゃんは短い方が好きなの?」
「いや、そういうわけでも……似合ってればいいんじゃないか?」
「に、似合ってるかな?」
「まあ……」
さっきから、俺達はなんの会話をしている?
これでは……カップルのようではないか。
いや、俺としてはそんなつもりは全くないんだが……。
「そ、そっかぁ……い、行こう! わたしのご褒美なんでしょ?」
「へいへい、そうですよ。お姫様の言うことを聞きますよ」
「じゃ、じゃあ……手を繋いで欲しいです」
「へっ?」
「む、昔の思い出みたいにしたいから」
「ああ、そういうこと……ほら」
「えへへ……おっきいね」
俺が手を握ると、蕩けるように微笑んでいる。
……とりあえず、今はいいか。
ひとまず、今日は大人しく言うことを聞くとしよう。
つまり、遊園地に出掛ける日ということだ。
「詩織、餌や水は入れたな?」
「あいっ!」
「うさぎさんって、どれくらい平気なの?」
「一応調べたら、二日くらいは平気らしい。だから、今日ぐらいは平気だろう。それに、暗くなる前には帰ってくるしな」
「おとめちゃん! いってくるね!」
「良い子にしててねー」
二人が最後に頭を撫でたら出発である。
外に出ると……日差しが眩しい。
梅雨のど真ん中であるが、今日はいい天気のようだ。
「晴れてよかったな。さあ、行くとしよう」
今日は現地集合なので、そのまま三人で車に乗り込む。
他の四人は、亮司さんが車を出して送ってくれるそうだ。
三十分ほどで、遊園地に到着する。
「さて、みんなは……」
「大将~! こっちこっち!」
「待たせたか?」
「いえいえー、今来たところですよ……恋人みたいですね」
「こ、今野さん!?」
「春香ちゃん、冗談だよー」
「ふふ、相変わらず可愛いわ」
春香は、随分とこの二人に気に入られたようだ。
加奈子さんは、穢れがなくていいわとか言ってたな。
今野さんは、正統派美少女はレアキャラだよ!とかわけわからんこと言ってたな。
「兄貴! チケット買っておきました!」
「ありがとな、和也。悪かったな、お前まで付き合わせて」
「良いっすよ! というか、俺だけ仲間外れは嫌ですよ」
何故か、いつの間にか従業員全員で行くことになっていた。
まあ、たまには良いかもしれないが。
馴れ合い過ぎてもいけないが、ある程度仲良くもないとな。
「こんにちは、詩織ちゃん」
「みぃちゃん!」
十二歳である加奈子さんの娘さんも来ている。
何度か会ううちに、詩織も懐いたようだ。
「健二さん、こんにちは」
「ええ、春香さん。頑張ってくださいね」
「は、はぃ……」
健二君と春香か……あんまり会話してるの見たことないからレアだな。
男が苦手とか言ってたが……健二君には慣れてきたようだ。
まあ、歳の割に落ち着いているし……決して、嫉妬とかではない。
「亮司さんまで、ありがとうございます」
「いえいえ、お気になさらないでください。遊園地なんて子供の時以来ですから。年甲斐もなく、楽しみにしてましたよ。ただ、乗り物にはあまり乗りませんので。皆さんのフォローに回りますね」
まあ、還暦を過ぎてるからなぁ。
ジェットコースターとかは乗せられないかも。
というわけで、総勢9名での遊園地というわけだ。
……のはずだったが。
一体、どうしてこうなった?
何故か、二人でベンチに座っている。
「お、お兄ちゃん」
「うん?」
「嫌だった……?」
「いや、そんなことはない」
入るなり、春香がトイレに行きたいというので……。
何故か、俺が待つことになり……。
その間に、皆は何処かに行ってしまった。
ラインを送ったのだが……。
今日は春香ちゃんのご褒美なんだから、お願いを聞いてあげてと。
「えへへ、ごめんなさい。ここ、懐かしいからお兄ちゃんと二人で歩きたかったの」
「……そうか、そういやここだったな」
兄貴達が仕事で忙しく、遊びになんかにはいけなかった時……。
遊園地の特集を見てた春香が泣き出したんだっけ……。
「泣いてるわたしをお兄ちゃんが連れてきてくれたよね?」
「あれはいつだったか……俺が高校一年か。つまりお前は五歳くらいか……よく覚えているな?」
「わ、忘れるわけないもん。それに、今考えたら……お金だって、お兄ちゃんが払ってくれたんでしょ?」
「まあ……な。確か、初のバイト代で払った記憶がある」
「そうだったんだ……お兄ちゃん、色々とありがとう。わたし、お兄ちゃんがいたから寂しくなかったよ」
「そうか……」
いや、礼を言うのは俺の方かもしれない。
今考えれば……春香がいなかったら、寂しかったのは俺かもしれん。
「そ、それより……どうかな?」
「うん? ……ああ、似合っているよ」
トイレから戻ってきたら、俺があげたロングタイプの青のワンピースに着替えていた。
道理で、何か荷物を持っているかと思っていたが……。
「えへへ、良かったぁ……」
そう言い、耳に髪をかける。
その動作に——俺の心臓が跳ねる。
たった二ヶ月くらいで、随分と大人っぽくなってきた。
「そ、そういや、髪も伸びたな?」
「えっ? う、うん……」
セミロングだったが、今ではロングに近い。
「何か意味があるのか?」
「べ、別に……好きだって聞いたから」
「あん?」
尻窄みになって、後半が聞こえなかった。
「お、お兄ちゃんは短い方が好きなの?」
「いや、そういうわけでも……似合ってればいいんじゃないか?」
「に、似合ってるかな?」
「まあ……」
さっきから、俺達はなんの会話をしている?
これでは……カップルのようではないか。
いや、俺としてはそんなつもりは全くないんだが……。
「そ、そっかぁ……い、行こう! わたしのご褒美なんでしょ?」
「へいへい、そうですよ。お姫様の言うことを聞きますよ」
「じゃ、じゃあ……手を繋いで欲しいです」
「へっ?」
「む、昔の思い出みたいにしたいから」
「ああ、そういうこと……ほら」
「えへへ……おっきいね」
俺が手を握ると、蕩けるように微笑んでいる。
……とりあえず、今はいいか。
ひとまず、今日は大人しく言うことを聞くとしよう。
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