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義妹との生活

春香の新しい日常

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 お兄ちゃんの家に来てから、あっという間に1週間が過ぎました。

 詩織やお兄ちゃんとの生活も少し慣れ……。

 お兄ちゃんの仕事場の人とも、少しだけお話ができるようになりました。

 よーし! もしかしたら人見知りが治ったのかも!

 この調子で高校でも頑張ろう!





 ……と、思ってたのに。

「でさー! あいつが……」

「マジで!?」

「そりゃウケるわ!」

 男の子達は相変わらず大きな声で怖いし……。

「それ知ってる~私も聞いたことあるし」

「ほんと? 私もなんだ~」

「これやばくない?」

「やばいね!可愛い! 今すぐ動画送ってー」

 女子達もすでにグループが出来てしまってます……。

 そんな中、私は教室の隅で一人で大人しく座ってます。

「はぁ……」

 わ、私だって好きでこうしてるわけじゃないもん。

「なんで、みんなすぐに話せるんだろ……」

 クラス分けの掲示板を見て、とりあえず教室に行って……。
 その時は、まだそんなに話して無くて……。
 入学式があるので、体育館前集合の放送があって……。

「そっから戻ってきたら……うぅー」

 どうして、こうなったんだろう?
 確か、体育館に行くときにみんなが会話しだして……。
 どこだっけ?とか、俺知ってる!みたいな感じで……。
 そのまま移動しながら話してて……。
 体育館の前で整列中には、もう打ち解けた感じで……。
 椅子に座ってからも、ヒソヒソと話してたり……。

「はぁ……」

 だって、パンフレットに書いてあったもん。
 教室に入ったら、放送が始まるまで静かにしてなさいって。
 入学式も、隣の人と喋らないようにって。
 なのに、みんな席を立ってるし、ずっと話してるし……。

「ふぅ……」

 完全に出遅れたわたしは、一人でいるのが平気なフリをして窓際の席から空を眺めます。

 ……お兄ちゃん、早速失敗しちゃったよぉ~!

 やっぱり、全然治ってないや……お兄ちゃんの周りの人が気を使ってくれたんだ。

 わたしって、やっぱり子供なんだなぁ。

 周りの女の子も大人っぽくて可愛い子ばっかりだし……男の子は相変わらずだけど。

 これじゃ、お兄ちゃんに女の人として見てもらうなんて——夢のまた夢だね。

「それにしても……お兄ちゃんったら……」

 あ、朝からいきなりあんなことするんだもん。
 すんごく、びっくりしちゃった。
 お、お尻とか触られちゃったし……あぅぅ……。

   そ、それなのに、何処か触ったなんて聞くなんて……。
   お、 お兄ちゃんのばかぁぁ——!  そんなの言えるわけないもん!


「ねえ、あの子可愛くない?」

「うんうん、声かける?」

「でも、なんか悪いよね……」

「あの子可愛くね?」

「お、お前行けよ」

「い、いや、なんか一人が好きそうだし……」

 ……あれ? 今、なんか聞こえたような。

 もしかして、わたしに話しかけてる?

 振り返ってみるけど……どうやら、気のせいみたい。

 はぁ……お兄ちゃんに良い報告がしたかったのになぁ。




 結局、誰とも話すことないまま、帰りの電車に乗ります。

 あのあとすぐに担任と副担任の先生がきて、明日以降の予定を伝えられた。

 そしたら、すぐに終わっちゃって……。

 みんなは教室に残ったり、何処かでお昼ご飯を食べるとか言ってたけど……。

「はぁ……」

 気まずくなったわたしは、すぐに教室を出てしまった。

「どうしよう……」

 このまま帰ったら、お兄ちゃんに心配かけちゃうかな?

「一応、昨日お小遣いはもらったけど……帰りに友達とかと行く時用に」

 でも、お兄ちゃんだって稼ぎが減ってるのに……。
 でもでも、心配かけちゃう方が大変かな?

「はぁ……」

 わたし、一日に何回ため息つくんだろ?
 でも、家のこともちっとも上手く出来ないし……。
 詩織の送り迎えだって、お兄ちゃんにしてもらったのに……。

「わたしって何にも役に立ってない……」





 とりあえず、駅前のマクドナル○で食べることにしました。

 お兄ちゃんが心配するし、もう高校生だから一人で食べても平気だもん。

「いらっしゃいませー、ご注文はいかがしますか?」

「え、えっと……これのセットをください」

「はい、かしこまりました。では、この番号札を持って席にてお待ちください」

「は、はい」

 うぅー……ただの注文ですら緊張しちゃうよぉ~。



 その後、窓際の席で外を眺めながら食事をする。

「美味しいけど……」

 やっぱり、みんなで食べた方が楽しいよね。
 周りの席には制服姿の高校生たちが、楽しそうに食べている。
 わたしは元々友達が少ない上に、仲のいい子達は別の高校に行っちゃったし。

「こんなんで上手くやれるのかなぁ……」

 お母さんはあんなに社交的なのに、どうしてわたしはこうなんだろ?
 中学に上がる頃から、人と話すのが苦手になっちゃった。
 人の顔色が気になってしまい、いつも言葉が遅れてしまう。

「それのせいなのか、いじめ……避けられちゃったし」

 なんか男の子にはジロジロ見られるようになるし……。
 一部の女の子からは遠巻きにされたり……。

「いらっしゃいませー!」

「お客様、ご注文は以上でよろしいでしょうか?」

「また、お越しくださいませ」

 ……カッコいいなぁ。

 あんなにハキハキとして、相手の目を見て仕事してる。

 わたしと変わらない年齢なのに……。

「……そっか、バイトをすれば良いのかな?」

 もう高校生だし、それをすれば少しは良くなるかな?

 よ、よーし、今のうちに調べちゃお!

 食べ終わったわたしは、家に帰るまでスマホと睨めっこするのでした。

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