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一章 義妹を預かる
仕事内容とそれぞれの役目
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仕込みなどの開店準備を済ませたら、最後にミィーティングをする。
「さて、みんな。今日もよろしく頼みます。ミスをしたならすぐに報告を。クレームが来たなら、すぐに報告を。些細なことでも確認しあって、出来るだけ楽しく仕事をしましょう」
「へい! 兄貴!」
「あいさ! 大将!」
「わかったわ、宗馬さん」
「だから、店長かオーナーって呼んでくれ……」
ハァ……トップにはトップの苦労があるよなぁ。
怖がられてもいけないし、舐められてもいけないし……。
まだまだ二十六歳だし、これから慣れていくしかないな。
そして、開店時刻となる。
「いらっしゃいませー!」
「お客様、何名様でしょうか?」
どうやら、次々とお客さんが入ってきたようだ。
「よし、和也。今日もよろしく頼むぜ」
「へいっ!」
料理は戦いであり、キッチンは戦場だ。
常に動き、何が来るか先読みをして準備をする。
様々な状況の変化にも対応できなくてはいけない。
すると、次々と注文もやってくる。
「大将ー! ペペロンチーノ1! ボロネーゼ1入ります!」
「宗馬さーん! マルゲリータ2入ります!」
「はいよ! 和也、パスタを茹でてくれ」
「はいっ!」
うちはイタリアンレストランなので、庶民的でリーズナブルな価格設定でやっている。
昼間のメインはパスタ系とピザが中心になっている。
最近では高級な店も増えているが、元々は大衆的で庶民の味として知られていたし。
そんな店が周りになかったので、自分で作ることにした。
「さて、俺はソース作りとピザだな」
フライパンにオリーブオイルとニンニクと唐辛子、更にベーコンを入れて弱火でじっくりと炒める。もう一つのコンロでは、ナスに小麦粉をまぶして揚げていく。
「これで、良しと」
次に仕込んであるピザ生地を取り出して、オリジナルトマトソースを塗っていく。
その上にチェダーチーズ、モッツァレラチーズを千切って乗せていく。
仕上げにバジルを乗せて準備完了だ。
「和也、あとは焼けるな?」
「任せてください!」
和也が手慣れた手つきで、釜の中にピザを入れて焼いていく。
うむ……良い手際だ。
しっかりと回しながら空気を入れている。
もう、俺が見ていなくても平気かもな。
「パスタの時間まで……二分か」
ナスを油から取り出して、キッチンペーパーの上に置いておく。
その間に、仕込んであるボロネーゼソースをフライパンで温める。
「さて……ここからだ」
ずっと横目で確認していたペペロンチーノを見る。
「……色よし、香りよし」
ニンニクは焦がしちゃダメだし、ベーコンの焼き過ぎも良くない。
ほんのりと色がつくくらいがベストだと、個人的には思っている。
そこにシメジとエリンギを入れ、さっと火を通していく。
「おっ、茹で上がったか」
火を止めたらそこにパスタを投入して、ソースと素早く馴染ませていく。
これでペペロンチーノの完成だ。
ニンニクと唐辛子だけの本格的なやつとは違うが、ベーコンの旨味とキノコの旨味があって、俺は個人的には好きな味だ。それに、お客さんにも人気のメニューだ。
すると、時間差で茹でていたパスタも茹で上がる。
「これをボロネーゼソースに合わせて……ナスを入れると」
少しだけ茹でたお湯を足しながら、ソースと絡ませていく。
それを皿に盛り付け、仕上げにパルメザンチーズをかける。
「兄貴! これでどうですか!?」
「おう、良い色だ。その調子でどんどん焼いてくれ」
「うっし! あざーす!」
「大将ー! お願いしまーす!」
「あいよ! 持って行ってくれ!」
「はーい!」
今野さんは見た目も雰囲気も今時の子だが、その中身は意外としっかりしている。
言葉遣いも緩いけど、それは相手を見て選んでいるし……。
そうでない人にはしっかりと敬語で対応している。
ちなみに、おじさん連中は緩い感じが好きらしい……タメ口をきかれたいとか。
それに兄弟姉妹が多い中の長女なので、色々気配りが出来る良い子だ。
注文が苦手な人には自分から行くし、空いてるグラスにすぐに気づいてくれる。
「宗馬さーん! サラダをお願いします」
「和也、いけるな?」
「はいっ!」
和也にはまだメインは任せられない。
その代わりにピザやサラダ系を中心にやってもらっている。
これだけでも、俺としてはとても助かることだ。
「おーい! こっちまだきてねえぞ!」
「はいは~い、今行きますからね~」
「お、おう。す、すみません」
少しコワモテの方や、中身は良い人だけど言葉遣いか荒い人もいるが……。
加奈子さんにかかればご覧の通りだ。
溢れてる母性と色気に、みんながタジタジになってしまう。
それこそ、高級クラブのママさんでもやっていけるくらいだ。
というかやっていたらしいが、娘さんのことを考えてやめたそうだ。
そういう職業を否定する気もないが、やはり親子さんの間では問題になるからと。
その後も、次々とお客さんが入ってきては、注文を受けて調理していく。
「パスタできました!」
「ありがとうございまーす! 持ってきますねー」
「ドリンクお願いします!」
「はいは~い、持って行きますよ~」
俺はまだまだ未熟者だが、良き仲間に恵まれて何とかやっていけている。
人一人で出来ることなど限られている。
それぞれに役目や、向いていることがある。
もう二人の従業員も含めて、これが俺の仕事仲間だ。
「さて、みんな。今日もよろしく頼みます。ミスをしたならすぐに報告を。クレームが来たなら、すぐに報告を。些細なことでも確認しあって、出来るだけ楽しく仕事をしましょう」
「へい! 兄貴!」
「あいさ! 大将!」
「わかったわ、宗馬さん」
「だから、店長かオーナーって呼んでくれ……」
ハァ……トップにはトップの苦労があるよなぁ。
怖がられてもいけないし、舐められてもいけないし……。
まだまだ二十六歳だし、これから慣れていくしかないな。
そして、開店時刻となる。
「いらっしゃいませー!」
「お客様、何名様でしょうか?」
どうやら、次々とお客さんが入ってきたようだ。
「よし、和也。今日もよろしく頼むぜ」
「へいっ!」
料理は戦いであり、キッチンは戦場だ。
常に動き、何が来るか先読みをして準備をする。
様々な状況の変化にも対応できなくてはいけない。
すると、次々と注文もやってくる。
「大将ー! ペペロンチーノ1! ボロネーゼ1入ります!」
「宗馬さーん! マルゲリータ2入ります!」
「はいよ! 和也、パスタを茹でてくれ」
「はいっ!」
うちはイタリアンレストランなので、庶民的でリーズナブルな価格設定でやっている。
昼間のメインはパスタ系とピザが中心になっている。
最近では高級な店も増えているが、元々は大衆的で庶民の味として知られていたし。
そんな店が周りになかったので、自分で作ることにした。
「さて、俺はソース作りとピザだな」
フライパンにオリーブオイルとニンニクと唐辛子、更にベーコンを入れて弱火でじっくりと炒める。もう一つのコンロでは、ナスに小麦粉をまぶして揚げていく。
「これで、良しと」
次に仕込んであるピザ生地を取り出して、オリジナルトマトソースを塗っていく。
その上にチェダーチーズ、モッツァレラチーズを千切って乗せていく。
仕上げにバジルを乗せて準備完了だ。
「和也、あとは焼けるな?」
「任せてください!」
和也が手慣れた手つきで、釜の中にピザを入れて焼いていく。
うむ……良い手際だ。
しっかりと回しながら空気を入れている。
もう、俺が見ていなくても平気かもな。
「パスタの時間まで……二分か」
ナスを油から取り出して、キッチンペーパーの上に置いておく。
その間に、仕込んであるボロネーゼソースをフライパンで温める。
「さて……ここからだ」
ずっと横目で確認していたペペロンチーノを見る。
「……色よし、香りよし」
ニンニクは焦がしちゃダメだし、ベーコンの焼き過ぎも良くない。
ほんのりと色がつくくらいがベストだと、個人的には思っている。
そこにシメジとエリンギを入れ、さっと火を通していく。
「おっ、茹で上がったか」
火を止めたらそこにパスタを投入して、ソースと素早く馴染ませていく。
これでペペロンチーノの完成だ。
ニンニクと唐辛子だけの本格的なやつとは違うが、ベーコンの旨味とキノコの旨味があって、俺は個人的には好きな味だ。それに、お客さんにも人気のメニューだ。
すると、時間差で茹でていたパスタも茹で上がる。
「これをボロネーゼソースに合わせて……ナスを入れると」
少しだけ茹でたお湯を足しながら、ソースと絡ませていく。
それを皿に盛り付け、仕上げにパルメザンチーズをかける。
「兄貴! これでどうですか!?」
「おう、良い色だ。その調子でどんどん焼いてくれ」
「うっし! あざーす!」
「大将ー! お願いしまーす!」
「あいよ! 持って行ってくれ!」
「はーい!」
今野さんは見た目も雰囲気も今時の子だが、その中身は意外としっかりしている。
言葉遣いも緩いけど、それは相手を見て選んでいるし……。
そうでない人にはしっかりと敬語で対応している。
ちなみに、おじさん連中は緩い感じが好きらしい……タメ口をきかれたいとか。
それに兄弟姉妹が多い中の長女なので、色々気配りが出来る良い子だ。
注文が苦手な人には自分から行くし、空いてるグラスにすぐに気づいてくれる。
「宗馬さーん! サラダをお願いします」
「和也、いけるな?」
「はいっ!」
和也にはまだメインは任せられない。
その代わりにピザやサラダ系を中心にやってもらっている。
これだけでも、俺としてはとても助かることだ。
「おーい! こっちまだきてねえぞ!」
「はいは~い、今行きますからね~」
「お、おう。す、すみません」
少しコワモテの方や、中身は良い人だけど言葉遣いか荒い人もいるが……。
加奈子さんにかかればご覧の通りだ。
溢れてる母性と色気に、みんながタジタジになってしまう。
それこそ、高級クラブのママさんでもやっていけるくらいだ。
というかやっていたらしいが、娘さんのことを考えてやめたそうだ。
そういう職業を否定する気もないが、やはり親子さんの間では問題になるからと。
その後も、次々とお客さんが入ってきては、注文を受けて調理していく。
「パスタできました!」
「ありがとうございまーす! 持ってきますねー」
「ドリンクお願いします!」
「はいは~い、持って行きますよ~」
俺はまだまだ未熟者だが、良き仲間に恵まれて何とかやっていけている。
人一人で出来ることなど限られている。
それぞれに役目や、向いていることがある。
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