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少年期
異母兄弟の会話
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さてさて、少しは距離を縮められたかなと思うけど……。
問題は、こっからだよね。
「ハロルド様」
「なんですか?」
「ガイ-ロンダート君についてなのですが……」
「あぁ……いつもガイがすみません」
そういって、律儀に頭を下げてくる。
まずい行為だけど、個人的には好感が持てる。
「いえいえ、ハロルド様が謝ることじゃないですよ」
「いや、あれは僕のせいなんです」
「僕の? 周りのせいではなくて?」
「えっ? ……そうですよね、父上と姉上から聞いてますよね」
「ええ、すみませんが……」
大体の事情は聞いてる。
ガイ君の父親が正妃の兄で、その二人の父親がハロルド様を皇位に継がせたいことは。
その結果、アイラの婚約者の俺を嫌っていることも。
「もちろん、それもあるんですけど……僕自身が弱いからなんです。僕は気弱だし、威厳とかもない。周りから言われたことに、頷くことしかできない……ガイも、本当は呆れてるんじゃないかなぁ」
「それはないかと。彼は、ハロルド様に心酔してる感じですし」
「それはそれであれなんですが……何より、僕は皇帝を継ぐような器じゃないしね。アレス君は強いし、人望もあるし……あの姉上と対等に渡り合えるので、もしかしたらアレス君の方が」
これは相当ネガティブな感じだ。
少なくとも、俺にはその気はない。
そのことを、二人にはわかってもらわないと。
「うーん……そうでしょうか? 僕には、ハロルド様が皇帝の器じゃないようには見えません」
「えっ? そ、そうかな?」
「ええ、そうです。まず一つ、ハロルド様は優しいです。そして、我々を見下す視線がありません」
「あ、当たり前では? 我々皇族の者は、貴族と民のおかげで生きているのですから」
このセリフが出てくるあたり、俺からしたら十分だ。
そういう方に、皇帝になって欲しい。
「その当たり前が、意外と難しかったりするんです。もちろん、あんまりへり下り過ぎるのは良くないと思います。ですが、傲慢で偉そうよりかは良いと思います。一貴族としても、一民としても、そう思います」
「で、でも、僕は自分の意見が言えないだけ……」
「ご自身はそう思うのかもしれないですが、それは完全な欠点なのでしょうか? 言い換えれば、周りの意見や民の声に耳を傾けられるということです」
別に皇帝が優秀である必要はない。
それよりも、周りの意見や気持ちを考えられる人の方がいい。
もちろん、決断力や行動力が必要な場面もある。
でもそれは、これからでも間に合う……人柄だけは変えようがないからね。
「そんなこと言われたの初めてだ……そっか、これって悪いことだけじゃないんだ。叔父さんやお爺様には、いつも言われてきたけど……」
「あとは、そばに置く者さえ気をつければ良いかと」
そもそも皇太子であるハロルド様に対して、そのお爺様と叔父さんが間違っている。
いくら血の繋がりがあろうとも、一貴族にハロルド様を縛る権利はない。
……これは、俺の方でも手を打っておくべき案件かな?
「ガ、ガイは?」
「ガイ君自身は平気かと思います。ですが……」
「うん、わかってる……そうだね、その辺りのことも考えないと」
「ちなみに僕は、貴方に皇帝になって欲しいです。なので、何かあればお手伝いします」
「あ、ありがとう! 頼りになるなぁ……それじゃあ、アレス君を側近にすれば良いのかな?」
「いえ、それはやめましょう。勘ぐる人もいますから。僕は、友達というか……気兼ねなく話せる相談相手にでもなります」
「友達……相談相手」
俺自身が偉くなると、それに寄ってくる輩もいる。
派閥ができるのが、崩壊の始まりとも聞くし。
「ダメですかね?」
「いえ……姉上の婚約者が、アレス君で良かった。姉上共々、よろしくお願いします。あと、僕の意思で……君と仲良くするね。あと、普段はハロルド君とかで良いから」
そして、自然と握手を交わす。
どうやら、少しは仲良くなれたみたいだ。
問題は、こっからだよね。
「ハロルド様」
「なんですか?」
「ガイ-ロンダート君についてなのですが……」
「あぁ……いつもガイがすみません」
そういって、律儀に頭を下げてくる。
まずい行為だけど、個人的には好感が持てる。
「いえいえ、ハロルド様が謝ることじゃないですよ」
「いや、あれは僕のせいなんです」
「僕の? 周りのせいではなくて?」
「えっ? ……そうですよね、父上と姉上から聞いてますよね」
「ええ、すみませんが……」
大体の事情は聞いてる。
ガイ君の父親が正妃の兄で、その二人の父親がハロルド様を皇位に継がせたいことは。
その結果、アイラの婚約者の俺を嫌っていることも。
「もちろん、それもあるんですけど……僕自身が弱いからなんです。僕は気弱だし、威厳とかもない。周りから言われたことに、頷くことしかできない……ガイも、本当は呆れてるんじゃないかなぁ」
「それはないかと。彼は、ハロルド様に心酔してる感じですし」
「それはそれであれなんですが……何より、僕は皇帝を継ぐような器じゃないしね。アレス君は強いし、人望もあるし……あの姉上と対等に渡り合えるので、もしかしたらアレス君の方が」
これは相当ネガティブな感じだ。
少なくとも、俺にはその気はない。
そのことを、二人にはわかってもらわないと。
「うーん……そうでしょうか? 僕には、ハロルド様が皇帝の器じゃないようには見えません」
「えっ? そ、そうかな?」
「ええ、そうです。まず一つ、ハロルド様は優しいです。そして、我々を見下す視線がありません」
「あ、当たり前では? 我々皇族の者は、貴族と民のおかげで生きているのですから」
このセリフが出てくるあたり、俺からしたら十分だ。
そういう方に、皇帝になって欲しい。
「その当たり前が、意外と難しかったりするんです。もちろん、あんまりへり下り過ぎるのは良くないと思います。ですが、傲慢で偉そうよりかは良いと思います。一貴族としても、一民としても、そう思います」
「で、でも、僕は自分の意見が言えないだけ……」
「ご自身はそう思うのかもしれないですが、それは完全な欠点なのでしょうか? 言い換えれば、周りの意見や民の声に耳を傾けられるということです」
別に皇帝が優秀である必要はない。
それよりも、周りの意見や気持ちを考えられる人の方がいい。
もちろん、決断力や行動力が必要な場面もある。
でもそれは、これからでも間に合う……人柄だけは変えようがないからね。
「そんなこと言われたの初めてだ……そっか、これって悪いことだけじゃないんだ。叔父さんやお爺様には、いつも言われてきたけど……」
「あとは、そばに置く者さえ気をつければ良いかと」
そもそも皇太子であるハロルド様に対して、そのお爺様と叔父さんが間違っている。
いくら血の繋がりがあろうとも、一貴族にハロルド様を縛る権利はない。
……これは、俺の方でも手を打っておくべき案件かな?
「ガ、ガイは?」
「ガイ君自身は平気かと思います。ですが……」
「うん、わかってる……そうだね、その辺りのことも考えないと」
「ちなみに僕は、貴方に皇帝になって欲しいです。なので、何かあればお手伝いします」
「あ、ありがとう! 頼りになるなぁ……それじゃあ、アレス君を側近にすれば良いのかな?」
「いえ、それはやめましょう。勘ぐる人もいますから。僕は、友達というか……気兼ねなく話せる相談相手にでもなります」
「友達……相談相手」
俺自身が偉くなると、それに寄ってくる輩もいる。
派閥ができるのが、崩壊の始まりとも聞くし。
「ダメですかね?」
「いえ……姉上の婚約者が、アレス君で良かった。姉上共々、よろしくお願いします。あと、僕の意思で……君と仲良くするね。あと、普段はハロルド君とかで良いから」
そして、自然と握手を交わす。
どうやら、少しは仲良くなれたみたいだ。
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