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少年期
不思議な会話
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アイラとエリゼを見送り、門の前で待っていると……馬車が到着する。
そして、ハロルド様が降りてくる。
「ハロルド様、こんにちは。今日は、わざわざ来てくださり感謝いたします」
「こ、こんにちは……こちらこそ、呼んでくれてありがとうございます」
一人だからか……ガチガチに緊張してるなぁ。
まあ、人見知りするタイプなのだろう。
少しずつでも良いから、距離を縮められたら良いな。
「そんなに堅くならなくて平気ですよ。本来は、ここは貴方の別宅でもあると聞いてます。というより、僕の方が居候の身なので」
「で、でも、ここに来るのは初めてなのです」
「あっ、そうなんですね。とりあえず、屋敷の中に入りましょう」
何故か皇族の別宅において、俺が皇太子を案内する羽目に……。
やっぱり、色々と関係が複雑なのだろうなぁ。
そして、玄関にはいると……。
「よくきたな、ハロルド」
「ち、父上、こんにちは」
「おいおい、何を緊張している? ここは公の場ではないから楽にしなさい」
「で、でも、お爺様が……」
……なるほど。
正妃ではなく、お爺様ってところが肝だね。
王妃様には会ったことないからわからないけど、その実家がよろしくなさそう。
「……アレは気にしないで良い。プライベートと公の場をきちんと分けられることも、上に立つ者には必要な能力だ。そうでないと、皇帝などやってられん」
「そうですよ。見てくださいよ、このゼノスさんのだらしない姿を」
皇帝陛下ともあろう人が、半袖半ズボンである。
いや、暑いから無理もないんだけど。
「おいおい、アレス。まあ、仕方なかろう。いつも暑いのに、堅苦しい格好を強いられているんだ」
「だから、僕が作った氷を首に巻いてくださいね」
「あれには限りがある。まずは、民に優先させるべきだ。というわけで、さっさと魔力を増やしてくれ」
「げげっ、そうなりますか……はいはい、わかりましたよ」
すると、ハロルド様から苦笑する。
「す、すみません」
「ほら、笑われましたよ」
「いや、お主のせいだろ」
「……なんだか、二人って似てますね」
「そうか?」
「そうですか?」
「「………」」
何やらハモってしまったので、二人で顔を見合わせて黙ってしまう。
まあ、確かに仲は良くなったと思う。
最初は畏まってたけど、ここではただのゼノスさんとしているだろうし。
「いやいや、似てませんって。この人、よく寝坊してますし」
「おいおい、お主こそ学校を『遅刻する~!』とか言って騒いでるだろ」
「あははっ! ……わかった、僕も気楽にするね」
そう言い、柔らかく微笑む。
意図したわけじゃないが、どうやらリラックスしてくれたみたいです。
~あとがき~
みなさま、おはようございます(*´∇`*)
本日、アルファポリス様より、本作品が発売となりました。
これも応援してくださった方々のおかげでございます。
もしよろしければ、書籍版を買ってくださると嬉しいです🙇♂️
それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
そして、ハロルド様が降りてくる。
「ハロルド様、こんにちは。今日は、わざわざ来てくださり感謝いたします」
「こ、こんにちは……こちらこそ、呼んでくれてありがとうございます」
一人だからか……ガチガチに緊張してるなぁ。
まあ、人見知りするタイプなのだろう。
少しずつでも良いから、距離を縮められたら良いな。
「そんなに堅くならなくて平気ですよ。本来は、ここは貴方の別宅でもあると聞いてます。というより、僕の方が居候の身なので」
「で、でも、ここに来るのは初めてなのです」
「あっ、そうなんですね。とりあえず、屋敷の中に入りましょう」
何故か皇族の別宅において、俺が皇太子を案内する羽目に……。
やっぱり、色々と関係が複雑なのだろうなぁ。
そして、玄関にはいると……。
「よくきたな、ハロルド」
「ち、父上、こんにちは」
「おいおい、何を緊張している? ここは公の場ではないから楽にしなさい」
「で、でも、お爺様が……」
……なるほど。
正妃ではなく、お爺様ってところが肝だね。
王妃様には会ったことないからわからないけど、その実家がよろしくなさそう。
「……アレは気にしないで良い。プライベートと公の場をきちんと分けられることも、上に立つ者には必要な能力だ。そうでないと、皇帝などやってられん」
「そうですよ。見てくださいよ、このゼノスさんのだらしない姿を」
皇帝陛下ともあろう人が、半袖半ズボンである。
いや、暑いから無理もないんだけど。
「おいおい、アレス。まあ、仕方なかろう。いつも暑いのに、堅苦しい格好を強いられているんだ」
「だから、僕が作った氷を首に巻いてくださいね」
「あれには限りがある。まずは、民に優先させるべきだ。というわけで、さっさと魔力を増やしてくれ」
「げげっ、そうなりますか……はいはい、わかりましたよ」
すると、ハロルド様から苦笑する。
「す、すみません」
「ほら、笑われましたよ」
「いや、お主のせいだろ」
「……なんだか、二人って似てますね」
「そうか?」
「そうですか?」
「「………」」
何やらハモってしまったので、二人で顔を見合わせて黙ってしまう。
まあ、確かに仲は良くなったと思う。
最初は畏まってたけど、ここではただのゼノスさんとしているだろうし。
「いやいや、似てませんって。この人、よく寝坊してますし」
「おいおい、お主こそ学校を『遅刻する~!』とか言って騒いでるだろ」
「あははっ! ……わかった、僕も気楽にするね」
そう言い、柔らかく微笑む。
意図したわけじゃないが、どうやらリラックスしてくれたみたいです。
~あとがき~
みなさま、おはようございます(*´∇`*)
本日、アルファポリス様より、本作品が発売となりました。
これも応援してくださった方々のおかげでございます。
もしよろしければ、書籍版を買ってくださると嬉しいです🙇♂️
それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
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