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少年期
帰宅
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それから数日かけて……皇都へと帰ってくる。
「ようやく着いたわね」
「まあ、帰りは疲れるよね」
「行きはそうでもなかったんですけど……」
俺達三人は、ヘトヘトになっていた。
多分、旅の疲れというやつだろう。
「あとは、行きは楽しみが大きいかと。その分、興奮してますから」
「それは言えてるね。さて、この後はどうしようか? すぐにでも休みたいけど、ランのことがあるし」
馬車を降りて、ランの檻に近づくと……。
「ワフッ!」
「どうやら、元気みたいだね」
帰りの道中も、氷を与え続けた甲斐があったみたい。
まだ食欲はないみたいだけど、これから少しずつ食べられるようになると良いな。
「そうですね……まずは、アレス様はルナさんを送ってください」
「うん、わかった。二人はどうするの?」
「私はランを連れて、冒険者ギルドへ行き、まずは登録をして参ります。Bランク冒険者の私が行けば、話は早いですし。アイラ様、すみませんが屋敷に行って先触れをお願いしてもよろしいですか? これから、ランを連れて行くと」
「ええ、良いわよ。私が言った方がスムーズに進むし。それじゃ……ルナ」
アイラが、ルナに握手を求める。
「へっ?」
「な、何よ?」
「ルナ、握手してあげて。アイラが自分から求めるなんて珍しんだから」
「う、うるさいわねっ!」
「……えへへ、ありがとうございます」
「ま、まあ、これからもよろしくしてあげるわ……どうやら、ライバルって感じじゃなさそうだし」
「はい! こちらこそ、よろしくお願いします!」
おどおどしながらも、ルナが握手に応じた。
ウンウン、仲良くなってくれて良かったよ。
やっぱり、同性の友人は大切だし……ルナはSクラスで唯一の女の子だから、友達作るのが中々難しいよね。
あれ? そういえば、俺ってば同性の友達いない!? クラスには男子がいるのに!
やっぱり、ハロルド皇子と仲良くなりたいところだけど……側にいるガイ君が問題かなぁ。
その後、二人と別れてルナと都市の中を歩く。
「アレス様、アイラ様って良い方ですね。皇女様なのに、私みたいな平民と友達になってくれるなんて……」
「でしょ? 本人は少し不器用だけど、中身は優しいしね」
「えへへ、そうみたいですね。でも、それも何となくわかってきました」
「ただし、気をつけること。公私混同したり、他の人達はそうとは限らないから」
ガイ君とかは、特にうるさそうだ。
無論、他の人たちも……そのあたりは、俺が上手くやるしかないかな。
「……そうですよね。はい! 気をつけます!」
「ん、良い返事だね。とりあえず、これからも仲良くしてくれると嬉しい。ああ見えて、さみしがり屋なところがあるからね」
「えへへ、もちろんです」
「まあ、人のことは言えないんだけどね。俺も、二学期は頑張らないと」
何とかガイ君の鉄壁を崩して、ハロルド皇子達と仲良くしたいところだ。
折角、Sクラスは四人しかいないのに。
しかも、クラス替えがあるような感じもしない。
一応、Aクラスを覗いたけど……まあ、おそらく抜かれることはなさそうだった。
「わ、わたしの所為ですよね?」
「いや、そんなことないよ。あれは、あっちが悪い。これからは、平民だって上に立っていかなきゃならない時代だと思うし。というか、皇帝陛下がそういう政策を実行してる。君が入ったのも、その一環だしね」
「……良いんでしょうか?」
「もちろん。まあ、時間はかかるけどね。別に貴族だから偉いってわけでもないし、平民だからって卑下することはないさ。無論、それを積み重ねてきた先達の方々は偉いけど」
「……アレス様も、随分と変わってますよ」
「自覚はしてる。まあ、何が言いたいかというと……大事なのは、これから何を成すかということかなって。貴族の子供であろうと、平民の子供であろうとね」
「……わたしにできること……考えてみますね!」
「うん、俺も一緒に考えるよ」
はっきり言って、貴族や平民がどうとかで争ってる場合じゃない。
出生率は低下してるし、自給率も低下してる。
国自体も安定してるとは言い難いし……ほんと、みんなで力を合わせれば楽なのに。
前の世界でも、一部の権力者達が自分のためばかりの行動をしてだけど……。
どうして、当たり前のことがわからないんだろうね。
うーん……俺には何が出来るかなぁ。
「ようやく着いたわね」
「まあ、帰りは疲れるよね」
「行きはそうでもなかったんですけど……」
俺達三人は、ヘトヘトになっていた。
多分、旅の疲れというやつだろう。
「あとは、行きは楽しみが大きいかと。その分、興奮してますから」
「それは言えてるね。さて、この後はどうしようか? すぐにでも休みたいけど、ランのことがあるし」
馬車を降りて、ランの檻に近づくと……。
「ワフッ!」
「どうやら、元気みたいだね」
帰りの道中も、氷を与え続けた甲斐があったみたい。
まだ食欲はないみたいだけど、これから少しずつ食べられるようになると良いな。
「そうですね……まずは、アレス様はルナさんを送ってください」
「うん、わかった。二人はどうするの?」
「私はランを連れて、冒険者ギルドへ行き、まずは登録をして参ります。Bランク冒険者の私が行けば、話は早いですし。アイラ様、すみませんが屋敷に行って先触れをお願いしてもよろしいですか? これから、ランを連れて行くと」
「ええ、良いわよ。私が言った方がスムーズに進むし。それじゃ……ルナ」
アイラが、ルナに握手を求める。
「へっ?」
「な、何よ?」
「ルナ、握手してあげて。アイラが自分から求めるなんて珍しんだから」
「う、うるさいわねっ!」
「……えへへ、ありがとうございます」
「ま、まあ、これからもよろしくしてあげるわ……どうやら、ライバルって感じじゃなさそうだし」
「はい! こちらこそ、よろしくお願いします!」
おどおどしながらも、ルナが握手に応じた。
ウンウン、仲良くなってくれて良かったよ。
やっぱり、同性の友人は大切だし……ルナはSクラスで唯一の女の子だから、友達作るのが中々難しいよね。
あれ? そういえば、俺ってば同性の友達いない!? クラスには男子がいるのに!
やっぱり、ハロルド皇子と仲良くなりたいところだけど……側にいるガイ君が問題かなぁ。
その後、二人と別れてルナと都市の中を歩く。
「アレス様、アイラ様って良い方ですね。皇女様なのに、私みたいな平民と友達になってくれるなんて……」
「でしょ? 本人は少し不器用だけど、中身は優しいしね」
「えへへ、そうみたいですね。でも、それも何となくわかってきました」
「ただし、気をつけること。公私混同したり、他の人達はそうとは限らないから」
ガイ君とかは、特にうるさそうだ。
無論、他の人たちも……そのあたりは、俺が上手くやるしかないかな。
「……そうですよね。はい! 気をつけます!」
「ん、良い返事だね。とりあえず、これからも仲良くしてくれると嬉しい。ああ見えて、さみしがり屋なところがあるからね」
「えへへ、もちろんです」
「まあ、人のことは言えないんだけどね。俺も、二学期は頑張らないと」
何とかガイ君の鉄壁を崩して、ハロルド皇子達と仲良くしたいところだ。
折角、Sクラスは四人しかいないのに。
しかも、クラス替えがあるような感じもしない。
一応、Aクラスを覗いたけど……まあ、おそらく抜かれることはなさそうだった。
「わ、わたしの所為ですよね?」
「いや、そんなことないよ。あれは、あっちが悪い。これからは、平民だって上に立っていかなきゃならない時代だと思うし。というか、皇帝陛下がそういう政策を実行してる。君が入ったのも、その一環だしね」
「……良いんでしょうか?」
「もちろん。まあ、時間はかかるけどね。別に貴族だから偉いってわけでもないし、平民だからって卑下することはないさ。無論、それを積み重ねてきた先達の方々は偉いけど」
「……アレス様も、随分と変わってますよ」
「自覚はしてる。まあ、何が言いたいかというと……大事なのは、これから何を成すかということかなって。貴族の子供であろうと、平民の子供であろうとね」
「……わたしにできること……考えてみますね!」
「うん、俺も一緒に考えるよ」
はっきり言って、貴族や平民がどうとかで争ってる場合じゃない。
出生率は低下してるし、自給率も低下してる。
国自体も安定してるとは言い難いし……ほんと、みんなで力を合わせれば楽なのに。
前の世界でも、一部の権力者達が自分のためばかりの行動をしてだけど……。
どうして、当たり前のことがわからないんだろうね。
うーん……俺には何が出来るかなぁ。
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