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1巻
1-1
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はぁ……疲れた。
毎日同じことの繰り返し。
会社に出勤して、朝から晩まで働いて、満員電車に揺られ……気がつけば三十を超えた。
不景気で給料は安いし、上は詰まってて昇進はできないし。
そもそも、孤児で中卒だから、どうしたって上がれない。
「はぁ……俺が普通の家に生まれてたら……今頃は、どうしてたんだろうか?」
母親がいて、父親がいて、兄弟がいて……そんな普通の家に。
お金はもちろん必要だけど、お金持ちでなくてもいい。
今の世の中では、そうした家庭も当たり前とは言えないが、いわゆる、普通の家に生まれたかった。
俺の唯一の楽しみと言えば、さっき買った帰りのコンビニスイーツくらいだ。
「ほんとは美味しいケーキ屋とか行きたいなぁ……あとは美味いもの……高級ステーキとか食べてみたい」
安月給の俺には、どちらも遠い夢である。
そもそも、休日は死んだように眠るので時間もない。
というか、おっさんが一人でスイーツとか……精神的に無理だよっ!
その後、気力を振り絞ってなんとかアパートに帰宅する。
「ただいま……相変わらず虚しい」
もちろん、奥さんや彼女もいないので返事が返ってくることなどない。
無論、自分で温かい家庭を作りたいとも思っていた。しかし、親の愛情を知らない俺なんかが、結婚して家庭を築けるかわからなかった。あと、築くにしても、ある程度稼げるようになってからって……。
そもそも、相手いないけど。
「……自分で言ってて虚しくなってきた……あっ――」
意識が朦朧としてくる。
――次の瞬間、俺の意識は途切れた。
1 愛され末っ子に転生
……ん? ここは?
そういや、さっき玄関で倒れ込むように寝てしまったっけ?
そして……何かがおかしいことに気がつく。身体が動かないし、目も見えないし、耳もほとんど聞こえない。
「奥様、まずはミルクです」
「ええ、わかってるわ」
すると俺は、身体が浮いたような感覚になる。
ミルク? どういうことだ? 見えないからわからん。
すると、何かが身体の中に入ってくる。
なんだ!? この美味いのは!?
そして、気がつくと意識を失っていた。
その後、意識を取り戻し……少しだけ見えてきた。
金髪で、大柄の男性。
灰色の髪で、容姿の整った美女。
そして、俺を抱いてる銀髪の美女。
「んぎゃ……」
みんなでかくない?
俺が抱いた第一印象はそれだった。
再び気を失っては起きるというの繰り返し、わかったことは……。
結論から言うと、俺は一度死んで、今は赤ん坊になってるらしい。
あの時倒れ……そのまま死んだのかもしれない。
なぜそうわかったかというと、俺は話せないし動けないし、乳母らしき若い女性の母乳を飲まされるし……赤ん坊ということは確定だろう。
ちなみに、おっぱいを吸うことに関しては、無の感情である。
考えだしたら、羞恥心でどうにかなりそうだから、深くは考えたくない。
だが、生きるためには仕方ない。
何より、美味しい。
というか、しっかり栄養取らないと……二度も死にたくない。
それにしても、辺りが騒がしい気がする。
そもそも、なぜ言葉が日本語に聞こえる?
どう見ても、外人さんなのだが?
……まあ、考えても仕方ないか。
「お前たち、静かにしないか。まったく、赤ん坊がいるというのに」
「まあまあ、旦那様」
旦那様ってことは、そこそこの家ってことか?
「エリゼの言う通りよ、グレイ」
「まあ、それも仕方ないか」
「それより、名前はどうするの?」
「アレスにしようと思うが、いいだろうか?」
「ええ、もちろんよ。それが、あの子の願いだもの」
「では――この子の名前はアレスだっ!」
ふむ……俺の名前はアレスか。
母親がシエラ、父親がグレイ、メイドさんがエリゼか。
「それにしても……この子、全然泣かないわね」
しまった、不審に思われてしまう。
その時、急激な眠気に襲われる。
「んぎゃ……」
「あらあら、おねむかしら?」
次の瞬間、俺の意識は再び暗闇の中へ……。
* * *
どうやら、俺が赤ん坊になってから一年が経ったらしい。
といっても、寝て起きてを繰り返しているので、俺自身が把握しているわけではない。
ただ単に、今日が俺の誕生日というだけだ。
しかし寝てばかりの赤ん坊とはいえ、その間にも色々なことがわかった。
俺の家は男爵家ということ、少しだけ領地を持っているということ。そして、生まれてすぐにわかったが、姉と兄がいること。
今日は家族全員で俺の誕生日を祝ってくれた。
「アレス、お誕生日おめでとう!」
「おめでとう、アレス」
「おう、おめでとう」
「あぅ……(ありがとうございます)」
「可愛い、私の弟」
「あぅ……(姉さん、少し痛いです)」
どうやら、ブラコン気質のある姉さんらしい。
名前はヒルダといい、年齢は九歳。容姿は母親に似て美人で、髪の色は父親譲りの金髪の女の子だ。よく、俺の面倒を見てくれる優しい人……たまに愛が重たいけど。
「姉貴、離してやれよ。というか、俺だって抱っこしたいぜ」
「いやよ、邪魔しないで」
「扱いが違いすぎる……」
「アンタは可愛くないし」
「ひどくね?」
「アンタはすでに私より大きいし……それに対してアレスは小さくて可愛い」
「へいへい、悪かったな」
この人が、俺の兄であるシグルド兄さんで、年齢は八歳。この家の長男で、容姿も髪の色も父上そっくりだ。生意気そうでやんちゃな人だけど、よく俺と遊んでくれる気のいい兄さんだ。まあ……たまに色々と無茶するけど。
「こら、ヒルダ。アレスが潰れてしまうわよ?」
「お嬢様、そうですよ」
「むぅ……仕方ない」
「んぎゃ(ほっ、ようやく離してくれたか)」
すると、今度は母さんに抱かれる。
「アレス、大きくなったわね~」
「シエラ、私にも抱かせろ」
「俺も抱っこしたい!」
「いえいえ、ここは私が」
母上に父上、兄さんとエリゼと……たらい回しされ、もみくちゃにされる。
でも、凄く温かい気持ちになる。
父上に母上、色々と世話してくれるメイドのエリゼ。そして、ヒルダ姉さんとシグルド兄さんがいる。
前の世界とは違うこともあるけど……これが、俺の求めていた家族だ。
そう、明らかに前の世界と違うものがある。
本来なら後回しにしてはいけないような問題があるのだが、家族のことは俺にとっては重要……えっと、話がずれた。
そう――魔法だ。
この世界には、魔法というものが存在する。
なぜわかるかというと……。
「エリゼ、少し暑いから風をお願いできる?」
「はい、奥様――風よ」
たった今、エリゼの手から風が吹いて、俺にも心地よい風が当たる。
まだまだ俺の行動範囲は狭いし、断言するのは早いかもしれないが……前の世界では魔法など見たことも聞いたこともなかった。
つまり、俺は……おそらく、剣と魔法の異世界に転生したってことだ。
* * *
またあれから、時が過ぎた。
二歳の誕生日を迎え、さらに半年が経った。起きている時間も増え、色々なこともわかってきた。
何より嬉しいのは、少しだけ行動範囲を広げることが可能になったことだ。理由は簡単で、歩くことができるようになったから。
はいはいはだいぶ前からできていたが、危ないからとすぐに戻されてしまう。しかし二歳になったことで、その許可が下りたというわけだ。
「あーい!」
「おい!? アレス!? 待てって!」
とたとたと歩き回る俺を、シグルド兄さんが必死に追いかけてくる。
しかぁし! そんなことで捕まる俺ではない!
急ブレーキをして反転し、兄さんを翻弄。ちょこまかと動いて、あちこちの部屋を探検する。
「うんと……ここがキッチンで……」
探検してわかったことは、二階建ての家だということ。
一階には部屋が三部屋がある。玄関を上がると廊下があり、そのすぐ脇にあるのが、広いリビングダイニング。その次に父上の仕事部屋。最後に家族で眠る寝室があり、基本的に俺はそこの揺りかごの中にいる。
廊下も広く、何回か歩いてみたが、結構大きい家って感じだ。
風呂やトイレもあり、割と綺麗な感じだし、しかも水洗式トイレだったので、日本人として育った俺としては嬉しい限りだ。
水洗の動力については、少しだけわかっている。
どうやら魔石というものがあり、その中に魔法を込めることができるらしい。水の魔法を込めて、それで押し流すという仕組みだ。
「魔法かぁ……早く使ってみたいなぁ」
ちなみに、赤ん坊からやり直したからか、俺の精神年齢は下がっている。別に子供のふりをしているわけではなく、自然とそうなってる感じだ。
ゆえに、魔法を撃ちたいという欲求が……まあ、言い訳ですね。
異世界転生したからには、魔法を撃ちたいです!
「やっと捕まえたぜ……」
「はえ? 兄さん?」
気がつくと俺は、兄さんに抱き上げられていた。
しまった! 魔法のことを考えすぎた!
「ったく、お前はどうなってんだ。はいはいや言葉も早かったが、こんなに早く歩くようになる二歳児は見たことないぜ」
「んー……そう言われても」
生まれ変わりなので身体の使い方がわかってること。理由は未だにわかってないけど、言語が最初からわかること。多分だが、この二つがその要因なのは間違いない。
「まあ、いいか……さて、部屋に帰るぞ」
「いやですっ!」
「いやですって……」
「魔法が見たいですっ!」
「はぁ……仕方ない。二階に行くとするか。俺が姉貴に怒られるけど」
「兄さん! 好きです!」
「ったく、調子のいい弟だ」
兄さんは俺を抱いたまま、二階へと上がっていった。
二階には小さな部屋が三つあり、姉さんと兄さんの部屋、一つが空き部屋となっている。
兄さんは俺を下に降ろし、部屋の扉をノックする。
「姉貴、入るぜ」
「はい? 断るわ」
「……アレスがいるんだが」
「何やってるのよ、さっさと入りなさい」
「この扱いの違い……」
「兄さん、日頃の行いってやつだね」
「俺が何したっていうんだよ?」
「よく姉さんが取っておいたおやつを食べるからじゃない?」
「……何も否定ができない……というか、なんでお前が知ってるんだよ?」
「えっと……」
しまった、俺が赤ん坊の頃から会話を聞いてたとは言えないし……。
「シグルド? 早くしなさい」
「わかったよ」
兄さんが部屋の扉を開け、二人で中に入る。
そこは、ベッドと机と椅子という、シンプルな部屋だった。
「姉さん、勉強の邪魔してすみません。でも、魔法が見たいです!」
「なるほど……仕方ないわね。ちょうど休憩時間だし、庭に行くわ」
「わぁ……ありがとう!」
「ふふ、可愛い弟の頼みだもの」
三人で、庭に出ると……。
「あら、皆さんお揃いですか」
「そうなんだよ、またアレスのやつが……」
「アレスが魔法を見たいって……いいかしら?」
「ええ、いいですよ。私が見てますので」
エリゼは洗濯物を干しながら、素っ気ない返事をする。
エリゼは父上や母上からの信頼は厚い。父上と母上の二人は普段は働いていて、基本的には家にいない。なので、エリゼが俺たちの面倒を見ている。そして、エリゼの許可が下りないと、魔法を使うことはできないのだ。
「エリゼありがとう!」
「いえいえ、アレス様」
なぜか……俺に対する感じだけ、兄さんや姉さんとは違う気がする。別に何が変ってわけじゃないんだけど……うーん、難しい。
「じゃあ、いくわよ……我が手より燃え出ずるは火――ファイア」
「おおっ!」
姉さんの手のひらから火が出て、訓練用の的に当たる!
「ふぅ……こんなところね」
「姉さん凄いです! 僕も早く魔法を撃ってみたい!」
魔力は誰でも持っているが、魔法を使うには才能が必要で、誰でも使えるわけではない。ちなみに、兄さんと父さんは使うことができない。対して、母さんとエリゼは使える。
「まだアレスには早いわよ。まだ魔法の儀式もしてないし。もう少しだから待ってなさい」
この世界には四つの基本属性魔法がある。火、水、土、風があり、別枠として光と闇がある。
魔法の儀式とは、自分がどの属性か判断される儀式のことだ。三歳になると、その儀式を受ける決まりがある。そして、その儀式で自分の属性がわかると。
……俺も、魔法が使えるといいなぁ。
その後、庭で遊んでいると……。
「あら、みんな揃ってどうしたのかしら?」
「母様! お帰りなさい!」
「アレス、ただいま」
駆け寄ると、母上が抱き上げてくれる。
俺はその胸に顔を埋め……幸せを噛みしめる。
……あっ、言っておくけどそういうアレじゃないからね!? ただ単に、前世ではこうしてもらったことがないから……物凄く幸せだ。
温かくなるというか、ふわふわするというか……こんな感じなんだなって。
「あらあら……成長は早いけど、まだまだ赤ん坊ね」
「はいっ!」
「ふふ……月日が経つのは早いわね」
「母上?」
時々、母上は遠くを見るような仕草をする。
しかし、その理由はわからない……まあ、いいか。
日が暮れてきたので家に入る。
「むにゃ……」
赤ん坊の俺は、おねむの状態になる。
「皆様、あとは私にお任せを」
「エリゼ、お願いね。私はご飯の用意をするから」
「じゃあ、私は勉強に戻るわ」
ヒルダ姉さんは、皇都にある難しい学校に入るために一生懸命勉強している。そこで領地経営を学んだり、魔法の鍛錬を積んだりしてから、また領地に帰ってくるらしい。
「姉さん、ありがとう!」
「平気よ、私も楽しかったから」
「おい? 俺にはないのか?」
「兄さんもありがとう!」
「へいへい」
シグルド兄さんは、ずっと槍の鍛錬をしている。いずれは騎士団に入るために、十二歳になったら皇都の騎士学校に通うらしい。
ここにも学校はあるけど、二人はいずれ……ここを出て皇都に行ってしまう。
「……寂しいなぁ」
「平気だ、ちょくちょく帰ってくるし」
「うん……ふぁ……」
どうやら、眠気が限界を迎えそうだ。
「アレス様、失礼しますね」
エリゼに抱かれ、俺は夢の中へ……。
その後、俺が目を覚ますと……。
「父上?」
「すまんな、起こしてしまったか?」
「ううん、平気だよ」
すると、父さんの大きい手が俺の頭を撫でる。ワシワシと……それが妙にこそばゆい感じがする。
「大きくなったな」
「そうですか? 早く大きくなって、色々なことがしたいです。僕も、みんなの仕事を手伝ったり……」
もちろん、魔法や剣なんかも習いたい。
それに、兄さんや姉さんも、畑仕事の手伝いや家のことをやっている。俺だって家族なんだから、そのお手伝いがしたい。
「ははっ、まだ早いさ。お前は、もっと気楽に生きていい」
「僕が次男だからですか?」
俺がふと思いついてそう尋ねると、父さんは少し考え込んで答えた。
「まあ、それもある。だが、お前にはもっと広い視野を持った男に育ってほしい」
「うーん……よくわかんない」
「それもそうだな。まあ、お前が元気に育ってくれればいい」
「ええ、そうよ」
いつの間にか、母上が部屋に来ていた。
「すまん、今帰った」
「あなた、お帰りなさい。お疲れ様……ふふ、それにしても真っ先にアレスに会いに来るなんて……」
「そりゃそうだ……シエラもお疲れだったな」
「いいえ、あなたに比べれば大したことないわ」
詳しいことはわからないけど、うちはあんまり裕福な感じではなさそうだ。
というのも、うちの両親は共働きのようで、朝から晩まで家にいないこともあるからだ。
母さんは畑に出たり、治療院のお手伝いを。父さんは書類仕事をしたり、森から出る魔物を退治し……。
そう、この世界には魔物がいるらしい。当然まだ見たことはないけど。
「まあ、確かに最近魔物が増えたかもしれん」
「そうよねぇ……私も、昔みたいに戦えたら……」
「何を言う。君は家にいてくれ。君に何かあったら……」
「あなた……」
二人は寄り添い、何やらいい雰囲気に。
俺はこのままではまずいと思い……。
「じっー……」
「「はっ!?」」
「父上と母上はどうしたの? ずっと見つめ合って……」
「な、なんでもないぞ! さ、さて、書類整理を……」
「わ、私もご飯の用意を……」
二人が慌てて、部屋を出ていく。
どうやら、弟か妹ができる日も近いようです?
……ふふ~、楽しみだなぁ。
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