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最終章
龍神の本体
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……これが龍神か?
確かに見た目の迫力はある。
大きさは十メートルを超えるし、その翼、その爪、その尻尾……。
どれもが逞しく、見るものを畏怖させる。
しかし……生気も感じないし、ただの石像にか見えん。
「ん?」
「主人殿?」
「どうしました?」
「いや……くぅぅ……!」
「アレス様!?」
む、胸が焼けるように熱い……!
「へ、平気だ……これは……ァァァ!」
俺の体から何かが飛び出して……龍神の石像の中に入る!
「はぁ……はぁ……クロスが消えた?」
すると、目の前の石像にヒビが入り……漆黒の皮膚が現れる。
「よくぞ来た、我が器よ」
「……ようやく会えたな……ん?」
周りを見ると……皆が静止している。
それこそ、まるで彫刻のように。
「案ずるな。我が神気に耐えられるのはお主だけだ。。故に、時間を止めさせてもらった」
「……さすがは神様ってことか」
「うむ。さて……時間がない、本題に入るとしよう。お主の願いは聖女と勇者を元の世界に返すことか?」
「もちろんだ。ただ……和馬が生き返ることは可能なのか?」
「……ふむ……お主の力が弱まるが……魂は残っている……聖女の方にも……肉体だけなら時を戻して……」
「っ……! 頼む! 死ぬ以外のことなら構わない!」
「 神とて出来ることは限られている。ましてや、我は力が……いや、待て……お主、女神を取り入れた男を倒したな?」
「あ、ああ……」
「つまり、その女神の力ごと我がもらえば……可能かもしれん」
「たのむっ!」
「確約はできんぞ? そして、お主は力の大半を失うことになる。積み上げた剣技や魔法はともかく……もう闇魔法は使うことはできないだろう」
「ああ、構わない。元々、貴方にもらった力だ」
「……善処してみよう」
「あ——ありがとうございます!」
「何、気にするな。元々、こちらの不手際だ。我の油断が招いたことだ……責任は取らねばなるまい」
「まあ、それは少し思ったり……」
「くははっ! 正直な奴よ! いやはや、我を前にしても変わらぬ態度……クロスが気にいるわけよ」
「……あっ」
そういや、俺……出会ってからずっとタメ口だった。
「け、敬語にした方が……つい、クロスと話してるみたいに……」
「今更だな。それに、神扱いにはうんざりしておる。そもそも、クロスと我は同じ存在だ」
「そ、そっか」
「さて……名残惜しいが、そろそろ始めるとしよう」
「えっ? このまま?」
「ああ、残りの力の全てを使う故に。我が息子、クロスのことを頼んだぞ。我はこれより、世界を支えるだけの存在になる故に」
「わかった……では、お願いします」
「うむ……ぬぅ!!」
「くぅぅ……!」
再び、俺の体から……何かが抜けていく。
そして、目の前にぼやけているが人影が見える。
「アレス君」
「貴方は……」
「お別れだね。君のおかげで、俺は結衣を救うことができた。本当にありがとう」
「……そんなことないです。貴方がいなければ、俺は精神の均衡を保つことができなかったでしょう」
聖痕がないこと、母上たちが狙われること、父上と会えなかったこと、兄弟仲が良くなかったこと。
それらを曲がりなりにも乗り越えてきたのは、間違いなく前世の俺のおかげだ。
ターレスとの初めての対話、その他の大人な対応……それらは、この方が培ってきたものだ。
「いや、君なら平気だったよ。そして、俺を生き返させるためにありがとう」
「いえ、貴方は俺でもあるので……結衣のこと、よろしくお願いします」
「ああ、神に……いや、アレス君に誓って……じゃあ、元気で……君との旅は楽しかった……」
そして、光の玉になり……空に舞い上がる。
「では、聖女達も送るとしよう」
「龍神よ、最後に会話させてくれてありがとう。結衣……達者でな」
本当は最後に話をしたかったけど……それはアレスの役目じゃない。
……後のことは、和馬に任せよう。
和馬……結衣を幸せにしてやってくれよ?
『ああ、もちろんさ』
そんな声が聞こえたような気がした。
確かに見た目の迫力はある。
大きさは十メートルを超えるし、その翼、その爪、その尻尾……。
どれもが逞しく、見るものを畏怖させる。
しかし……生気も感じないし、ただの石像にか見えん。
「ん?」
「主人殿?」
「どうしました?」
「いや……くぅぅ……!」
「アレス様!?」
む、胸が焼けるように熱い……!
「へ、平気だ……これは……ァァァ!」
俺の体から何かが飛び出して……龍神の石像の中に入る!
「はぁ……はぁ……クロスが消えた?」
すると、目の前の石像にヒビが入り……漆黒の皮膚が現れる。
「よくぞ来た、我が器よ」
「……ようやく会えたな……ん?」
周りを見ると……皆が静止している。
それこそ、まるで彫刻のように。
「案ずるな。我が神気に耐えられるのはお主だけだ。。故に、時間を止めさせてもらった」
「……さすがは神様ってことか」
「うむ。さて……時間がない、本題に入るとしよう。お主の願いは聖女と勇者を元の世界に返すことか?」
「もちろんだ。ただ……和馬が生き返ることは可能なのか?」
「……ふむ……お主の力が弱まるが……魂は残っている……聖女の方にも……肉体だけなら時を戻して……」
「っ……! 頼む! 死ぬ以外のことなら構わない!」
「 神とて出来ることは限られている。ましてや、我は力が……いや、待て……お主、女神を取り入れた男を倒したな?」
「あ、ああ……」
「つまり、その女神の力ごと我がもらえば……可能かもしれん」
「たのむっ!」
「確約はできんぞ? そして、お主は力の大半を失うことになる。積み上げた剣技や魔法はともかく……もう闇魔法は使うことはできないだろう」
「ああ、構わない。元々、貴方にもらった力だ」
「……善処してみよう」
「あ——ありがとうございます!」
「何、気にするな。元々、こちらの不手際だ。我の油断が招いたことだ……責任は取らねばなるまい」
「まあ、それは少し思ったり……」
「くははっ! 正直な奴よ! いやはや、我を前にしても変わらぬ態度……クロスが気にいるわけよ」
「……あっ」
そういや、俺……出会ってからずっとタメ口だった。
「け、敬語にした方が……つい、クロスと話してるみたいに……」
「今更だな。それに、神扱いにはうんざりしておる。そもそも、クロスと我は同じ存在だ」
「そ、そっか」
「さて……名残惜しいが、そろそろ始めるとしよう」
「えっ? このまま?」
「ああ、残りの力の全てを使う故に。我が息子、クロスのことを頼んだぞ。我はこれより、世界を支えるだけの存在になる故に」
「わかった……では、お願いします」
「うむ……ぬぅ!!」
「くぅぅ……!」
再び、俺の体から……何かが抜けていく。
そして、目の前にぼやけているが人影が見える。
「アレス君」
「貴方は……」
「お別れだね。君のおかげで、俺は結衣を救うことができた。本当にありがとう」
「……そんなことないです。貴方がいなければ、俺は精神の均衡を保つことができなかったでしょう」
聖痕がないこと、母上たちが狙われること、父上と会えなかったこと、兄弟仲が良くなかったこと。
それらを曲がりなりにも乗り越えてきたのは、間違いなく前世の俺のおかげだ。
ターレスとの初めての対話、その他の大人な対応……それらは、この方が培ってきたものだ。
「いや、君なら平気だったよ。そして、俺を生き返させるためにありがとう」
「いえ、貴方は俺でもあるので……結衣のこと、よろしくお願いします」
「ああ、神に……いや、アレス君に誓って……じゃあ、元気で……君との旅は楽しかった……」
そして、光の玉になり……空に舞い上がる。
「では、聖女達も送るとしよう」
「龍神よ、最後に会話させてくれてありがとう。結衣……達者でな」
本当は最後に話をしたかったけど……それはアレスの役目じゃない。
……後のことは、和馬に任せよう。
和馬……結衣を幸せにしてやってくれよ?
『ああ、もちろんさ』
そんな声が聞こえたような気がした。
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