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最終章

神殿

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 その日の夜、俺が外に出て涼んでいると……。

「ねえ、少し良い?」

「結衣か……ああ、もちろんだ」

「大丈夫よ、お嫁さん達には許可取ってるから」

「なるほど」

 風呂上がりの火照った身体は、もう子供とは言えない。
 というか、今では結衣の方が年上だ。

「……不思議ね……ただの平凡な日常だったのに」

「……ああ」

「和馬さんが亡くなって……変な夢を見るようになって……そしたら異世界に呼ばれて……今、こうしてここにいる」

「結衣……」

「でも、来れて良かったと思う。和馬さんの魂を持つ貴方に会うことが出来て」

「そうか……和馬も喜んでるだろうな」

「ほんと?」

「ああ、綺麗になった姿を見れて嬉しいってさ」

 俺の中の和馬は、ほとんど消えているが……きっと、そういうに違いない。

「そ、そっか……えへへ……うん、辛いけど……ずっと想ってると和馬さんが心配するもんね」

「そうだな……」

「あーあ、私はこの先恋とかできるのかなぁ? 和馬さんのこと、全然忘れられないのに……」

「別に忘れる必要はないんじゃないか?」

「えっ?」

「無理して忘れることはない。それに、和馬の魂の一部はお前の中にある」

「うん……まだ一年くらいだもんね」

「明日には元の世界に返すよ。さあ、もう寝るとしよう」

「そうね……」

 そして、俺も部屋戻り眠りにつくのだった。

 ……和馬と結衣か……俺では結衣を幸せに出来ない。

 どうにかならないものだろうか?






 翌朝……人気がないうちに屋敷を出る。

「お見送りはよろしいので?」

「ええ、クロイス殿。きっと泣いてしまいますから。それに、昨日盛大なお祝いを受けましたし、少し照れくさいですし」

「それもそうですな……カグラ、アレス様を頼んだぞ?」

「はい! 父上!」

「あと、孫もね?」

「は、母上!?」

「はは……まあ、その時は一度帰って来るかもしれません」

 そして、馬だけ借りた俺たちは龍神の結界へと出発する。




 数時間後、無事に結界の前へと到着する。

 以前あった光の結界は無くなり、黒いオーラに包まれた城がある。

「あれが龍神の城か……」

「どうやって入るんですかねー?」

「父上が試したところ、まず近づくことが出来ないと」

「まあ、そういうものだろうな。おそらく、俺以外では……闇よ」

 闇のオーラを発動させると……。

「え、えっ!?」

「なんだ!?」

「結衣、中村君も落ち着け」

「う、うん」

「お、おう」

 他の三人も驚いているが、慌ててはいない。

 まあ……俺も驚いてはいるが。

 なにせ、一瞬で景色が変わり、見知らぬ空間にいる。

 そして、目の前には……龍と思わしき石像が鎮座しているからだ。






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